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齋藤海幕長が定例会見 ベトナム海軍司令官の公式招待、マラバール2026、原子力潜水艦など(10月27日)

  • 日本の防衛

2026-10-29 17:45

 令和8(2026)年10月27日(火)13時30分~13時45分、齋藤 聡(さいとう・あきら)海上幕僚長は、防衛省A棟10階会見室において、定例記者会見を行った。
 海幕長からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。

海幕長からの発表事項

 本日、私から3件発表します。
 1件目、ベトナム海軍司令官の公式招待についてです。10月20日(火)から21日(水)の間、ベトナム海軍司令官 チャン・タイン・ギエム中将を公式招待しました。昨年、ベトナム国家建設80周年及びベトナム人民海軍創設70周年の節目の年に、ベトナム海軍からの公式招待を受けて同国を訪問し、海軍高官等との意見交換を実施するとともに、部隊等を訪問し、日越海軍種間における交流促進のため、相互訪問を含むハイレベル交流を実施することで合意しました。
 今回は、ベトナム海軍司令官を日本に公式招待し、地域の安全保障環境や海軍種間における防衛協力・交流に関する意見交換を行うとともに、海上自衛隊の部隊や長崎の造船所等を視察していただき、相互理解の促進を図りました。
 2件目、遠洋練習航海部隊の帰国についてです。本年5月16日(土)に出国した遠洋練習航海部隊は、約5カ月間の航海を終え、10月24日(土)に横須賀へ帰国し、令和8年度遠洋練習航海の任務を終了しました。実習幹部たちは、この遠洋練習航海を通じ、初級幹部として必要な知識及び技能を実地に習得するとともに、慣海性や国際感覚をかん養し、海上自衛官として必要な資質を向上させることができました。
 3件目、日米印豪共同訓練(マラバール2026)についてです。海上自衛隊は、11月5日(木)から12日(木)の間、日米印豪共同訓練(マラバール2026)を実施します。海上自衛隊からは護衛艦「いせ」、「もがみ」、潜水艦及びP-1哨戒機が参加し、各種戦術訓練等を実施します。
 マラバールは、平成19年(2007年)に多国間共同訓練として初参加して以降、計14回参加しており、今年のマラバール2026は、日本が主催国として実施します。

記者との質疑応答

日本が主催するマラバール2026の特徴と意義

記者 :
 今回のマラバール2026は日本で開催されるとのことであるが、今回の訓練の特徴や意義についてお聞かせください。
海幕長 :
 今回のマラバール2026は、日米印豪4か国が参加する共同訓練であり、海上自衛隊にとっては、戦術技量の向上及び参加国海空軍との相互運用性の向上を図る重要な機会であると認識している。
 その中でも、今回は日本がホスト国として訓練を主催する点に大きな特徴があります。訓練の計画調整段階から各国との連携を深めることにより、現場の部隊レベルのみならず、組織間の協力関係や相互理解の一層の促進につながるものと考えています。
 また、本訓練では、対潜戦や対水上戦を始めとする各種戦術訓練を通じて、4か国の部隊が共同して活動する能力を向上させることとしており、これらは、自由で開かれたインド太平洋の実現や地域の平和と安定に資するものであると考えています。

過去の原子力潜水艦保有の議論と今回の違い

記者 :
 原子力潜水艦について伺います。これまで原潜の保有論議については、戦後国会でも取り上げられ、メディアでも何度も取り上げられてきました。
 例えば、産経新聞は2011年2月17日付朝刊で、当時の防衛庁が2004年の防衛計画の大綱策定に向けて、中国の潜水艦戦力の増強に対抗するため、原潜保有を独自に検討していたと報じました。法律や予算、運用面の課題から、時期尚早と判断されたといいます。元潜水艦隊司令官の矢野一樹さんも『世界の艦船』の今年の1月号で、海自が原潜保有を検討していたことに言及しています。
 過去のこうした原潜導入議論と今回では、何が違うのでしょうか。例えば、中国海軍のうち、太平洋への進出拡大や中国の原潜戦略の状況によって、日本が原潜を保有する必要性が過去に比べて高まっているということがあって、今改めて議論が起こっているのでしょうか。海上幕僚長の認識を改めて教えてください。
海幕長 :
 過去にどのような議論が行われたかについては、過去のものであったとしても、その内容に言及することは控えたいと思います。
 一方、矢野元潜水艦隊司令官が雑誌に投稿された内容については、私も一部拝見しました。矢野先輩がOBとなられた現在も、潜水艦乗りとしての経験や知見を生かして様々な論評をされている姿勢に敬意を表したいと思いますし、そのような分析や評価が発信され、議論が深まることは大変有意義であると考えています。
 様々な装備について検討し、実際に導入するかどうかについては、一部の議論だけではなく、政府全体として議論し、予算化し、製造、導入した上で、訓練等を通じて実際にオペレーションできるかを確認するという、一連のプロセスが必要です。
 政府一体としての取組が必要であり、これまで導入し、運用している様々なビークルも、全て同様のプロセスを経ています。今後も同じようなプロセスが踏まれるものと考えています。

長年議論されてきた原子力潜水艦の知見の発信

記者 :
 今回、新聞社の社説や政府の有識者会議の議論を見ていても、原子力潜水艦が初めて議論されているかのように受け止められている面がありますが、1958年の川崎重工業による試設計の目論見書をはじめ、長年にわたり繰り返し議論されてきたと認識しています。
 これまで海上自衛隊、政府及び防衛庁内で蓄積されてきた知見を、国民的な議論の土壌とするため、より伝えていく必要があるのではないでしょうか。
海幕長 :
 過去の議論については、先輩方が様々な場で論評されていますので、そうしたものに委ねたいと思います。様々な装備を導入する際には、省内でもしっかりと議論します。
 今回の原子力潜水艦に関しては、防衛大臣が述べられたとおり、全ての選択肢を排除せず、幅広く議論していくということですので、政府においてしっかりと議論されるものと考えています。それが防衛省に示された場合には、防衛省内でもしっかりと議論されるものと考えています。
 私どもは、実際にそのようなビークルが導入された際に運用する立場ですので、専門的な見地からしっかりと議論に参画したいと思っています。

原子力潜水艦のメリット・デメリットと乗員の艦内環境

記者 :
 原子力潜水艦を保有する場合には、それぞれメリットとデメリットがあると思います。専門的な見地から、改めて海幕長の考えをお聞かせください。
海幕長 :
 これまでも、作戦上のメリット、デメリットについては、この場で何度もお答えしてきました。相当な能力を有する原子力潜水艦により、作戦上の能力が大幅に向上することは間違いないと考えています。今回は別の視点として、乗員にとっての環境が格段に向上するという点も指摘できると思います。
 動力が通常動力から原子力に変わるだけで、一概に居住性が高まるとは言えませんが、船体が大型化し、電気をふんだんに使用できるという観点から、水や空気を、空気清浄装置や造水装置により多く供給できるようになります。
 乗員によって異なりますが、通常動力型潜水艦ではシャワーを浴びるのが2日又は3日に1回という場合もあり、下着についても、シャワーのたびに着替える者や、靴下だけは6時間のワッチ※ごとに替える者など、それぞれです。水を十分に使えないことは、非常に厳しい環境の一つです。新たな潜水艦で空気と水をふんだんに使用できるようになれば、生活環境はかなり向上するものと考えています。
 また、通常動力型潜水艦は、夜間にディーゼルエンジンを運転して充電する際、スノーケルを海面上に出して空気を取り込みます。波をかぶった場合にはスノーケルが急に閉鎖したり、捜索兵力が接近した場合には、身を隠すために急速潜航したりする必要があります。エンジンが回転している状態で吸気口を閉じると、艦内の空気が使用され、艦内の気圧が急激に変化するため、耳が痛くなることもあると聞いています。
 これらを総合すると、乗員の艦内環境は格段に向上するものと考えています。
※ワッチ:交代制で行う当直勤務
(以上)

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