齋藤海幕長が記者会見 水泳大会、WPNS STEP、米艦艇整備に言及(9月29日)
- 日本の防衛
2026-10-1 16:00
令和8(2026)年9月29日(火)11時30分~11時42分、齋藤聡(さいとう・あきら)海上幕僚長は、防衛省A棟10階会見室において、定例記者会見を行った。
海幕長からの発表事項と記者との質疑応答は以下の通り。
海幕長からの発表事項
本日、私から2件、発表します。1件目は海上自衛隊水泳大会についてです。
海上自衛隊は、9月17日(木)に隊員の体力及び練度の向上を目的として、舞鶴教育隊で海上自衛隊水泳大会を実施しました。
本大会には、各部隊から選抜された隊員が参加し、日頃の訓練成果を発揮するとともに、健全な競争を通じて士気の高揚及び部隊の一体感の醸成を図りました。また、オリンピック競泳日本代表として活躍された松田丈志(まつだ・たけし)さんをゲストとしてお迎えし、競技観戦や選手への激励、泳法のデモンストレーションを実施していただきました。参加した隊員にとっては、トップアスリートの経験や考え方に直接触れ、競技力の向上のみならず、目標に向かって努力を重ねることの重要性を学ぶ貴重な機会になったものと考えています。
このような大会を通じて、隊員の練度や活力ある姿を広く発信することは、海上自衛隊の活動に対する理解の促進につながるものであり、将来の海上自衛隊を支える人材の確保にも資するものと考えています。
2件目は、WPNS STEPについてです。
本日、9月29日(火)から10月6日(火)までの間、海上自衛隊幹部学校において、第14回西太平洋海軍シンポジウム次世代海軍士官短期交流プログラム「WPNS STEP※」を開催します。
「WPNS STEP」は、インド太平洋諸国等の次世代海軍士官に対し、我が国への理解を深めるとともに、参加者相互の理解を促進し、多国間協力を推進するための基盤を構築することを目的として、毎年、海上自衛隊幹部学校で実施しているものです。今回は22か国から参加者を受け入れ、我が国の安全保障環境や防衛政策に関する講義、歴史・文化に関する研修を実施するとともに、海軍種間の協力をテーマとした討論を行う予定です。
※WPNS STEP:Western Pacific Naval Symposium Short Term Exchange Program for officers of the Next Generations
記者との質疑応答
WPNS STEPを主催する意義とプログラムの特徴
記者 :
海上自衛隊がWPNS STEPを主催する意義と今回のプログラムの特徴について教えてください。
幕僚長 :
WPNSは、西太平洋地域における多国間海軍種協力のための枠組みです。海上自衛隊が本プログラムを継続して主催し、各国の将来を担う次世代海軍士官との人的ネットワークを構築することは、参加国との相互理解を促進し、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出に寄与するものと考えています。
また、今回は「海洋の安定利用のための海軍種間協力」をテーマとしており、人材確保に向けた広報活動や、無人機・AIを活用した海洋状況把握など、各国海軍種が直面する今日的な課題について議論することが特徴です。こうした議論を通じて、参加国海軍等との相互理解を深めるとともに、将来の海軍種間協力及び多国間協力の更なる発展につながることを期待しています。
海上自衛隊水泳大会に松田丈志さんを招いた理由
記者 :
海上自衛隊水泳大会についてお伺いします。ゲストが水泳大会に参加したのは初めてと聞いています。今回お呼びするに至った理由と、なぜ松田さんであったのか、合わせて、参加隊員とのやりとりなど、印象に残ったエピソードがあれば教えてください。
幕僚長 :
今回、ゲストとして来ていただいたのは初めてです。松田さんは長年にわたり日本の競泳界を牽引し、オリンピックをはじめとする様々な国際大会で活躍された方です。トップアスリートとして培われた経験や競技に対する姿勢に触れること、及び世界最高水準の競技技術を間近に見学することは、参加隊員にとって大変有意義な機会になると考え、ゲストとしてお迎えしました。
松田さんからは、競技に向き合う姿勢や目標達成に向けた継続的な努力の重要性についてお話しいただき、参加隊員にとって大きな励みになったと受け止めています。また、松田さんは、北京オリンピックの際の「康介さんを手ぶらで帰すわけにはいかない。」という言葉でとても有名な方です。私は、この言葉にリーダーシップとフォロワーシップの本質が表れていると感じ、これを引用して訓示を行いました。それを少し読み上げます。
「『康介さんを手ぶらで帰すわけにはいかない。』松田さんを紹介する上で、この言葉について触れないわけにはいきません。私はこの言葉にリーダーシップとフォロワーシップの本質を見る気がします。センターポールに日の丸を掲げた水泳界のリーダーをこのまま日本に帰すわけにはいかない、康介さんが積み上げてきた努力や功績に結果で応えたい、そうした強い思いがチームを一つにし、個人の力を超えたチーム力を生み出したのだと考えています。人は自分一人だけでは限界があります。しかし、仲間のため、部下のため、そして組織のためと思ったとき、自分では信じられないぐらいの力を発揮することがあります。日々の業務の中には決して華やかではない仕事もあります。苦しいときもあります。思いどおりの結果が出ないときもあります。本日の水泳大会で悔しい思いをした人もいると思います。だからこそ互いを尊重し、支え合うことが大切です。指揮官はリーダーシップを、隊員一人一人はフォロワーシップを発揮し、より誠実で精強な海上自衛隊を目指していきましょう。」
こういう気持ちがありましたので、松田さんを招待したということでもあります。
米海軍掃海艦「ウォーリア」の函館寄港と国内艦艇整備の意義
記者 :
北海道の函館どつくに、明日まで米海軍の「ウォーリア」が寄港しています。道内における米艦艇の整備は今回が初めてとのことですが、従来の佐世保などの南西方面に加え、北方方面でも整備できる体制が整うことの意義やメリットについて、海幕長はどのように捉えていらっしゃいますか。
幕僚長 :
米海軍の掃海艦「ウォーリア」の函館への寄港については、臨時修理工事の一部を民間造船所である函館どつくが受注したことによるものです。9月30日までの間、入港予定であると聞いています。
今回の件に限らず、日本の民間造船所による米海軍艦艇の修理は、民間造船所が米海軍との個別契約に基づき実施しているものですので、米海軍の運用に関する内容であることから、細部については差し控えますが、その上で、日本の民間造船所が米海軍艦艇の維持整備を行うことは、我が国の防衛生産・技術基盤の強靱化に加え、我が国周辺で活動する米艦艇の修理期間の短縮や効率化を通じた米海軍の即応性の向上、ひいては、日米同盟の抑止力・対処力の強化に資するものであると考えています。米艦艇が日本国内の様々な民間造船所で整備可能となることは、修理拠点の選択肢を広げることにもつながると思っています。
海自艦艇と米艦艇の整備のバランス
記者 :
米艦艇の整備を民間事業者が担うことは、米海軍の即応態勢には意義がある一方、限られた整備体制の中で、今後、海上自衛隊艦艇の整備と米艦艇の整備とのバランスを取る必要があると思いますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
幕僚長 :
おっしゃるとおりだと考えています。今のところ、米艦艇の整備についてはそれほど数が多くありませんので、海上自衛隊艦艇の修理と競合することはありませんが、今後、そういった機会が増えるということになれば、そういった調整も必要になってくるかと思います。N4すなわちロジスティクスの分野での日米の議論も進んでいますので、そういった中で議論していきたいと思っています。
私も8月上旬に函館どつくを研修させていただきました。函館どつくは、海上自衛隊の艦艇を多く修理で引き受けていますので、米艦艇の修理等に関してかなり高い習熟度を有していると思います。そういった工場が全国各地にありますので、先ほど申し上げたような調整も含め、今後、しっかりとN4で議論し、調整していきたいと思っています。
(以上)
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