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齋藤海幕長が定例会見 日韓訓練の再開や「もがみ」能力向上型について(6月2日)

  • 日本の防衛

2026-6-5 10:00

 防衛省 海上幕僚監部は令和8(2026)年6月2日(火)、同日13時30分~13時55分に防衛省A棟10階会見室において行われた齋藤 聡(さいとう・あきら)海上幕僚長の記者会見の要旨を以下のように発表した。

海幕長定例記者会見要旨

海幕長
 本日私から2件発表します。1件目、日韓捜索・救難共同訓練について。6月7日に、海上自衛隊の捜索・救難等に関する技量の向上及び韓国海軍との連携強化を目的として、海上自衛隊の護衛艦「こんごう」が、韓国海軍揚陸艦「チョンジャボン」と五島列島西方において捜索・救難訓練及びヘリコプターによるクロスデッキ等の訓練を実施します。韓国海軍との捜索・救難訓練は、平成29年に実施して以来、9年ぶりの実施であり、今回が11回目となります。
 2件目、シンガポールへの国外出張について。5月30日から31日までの間、第23回IISS(英国国際戦略研究所)アジア安全保障会議(シャングリラ会合)に出席する防衛大臣に随行し、シンガポールを訪問しました。今回の訪問では、アメリカ、ニュージーランド、フィリピンの防衛相会談に陪席することで大臣を補佐するとともに、シャングリラ会合に参加している各国海軍参謀長級等とのハイレベル交流を通じ、今後の防衛協力及び交流について幅広く意見交換を行いました。私からは以上です。

日韓捜索・救難共同訓練の意義について

記者
 9年ぶりに日韓での捜索救難訓練が再開されることとなったが、今回の訓練の意義について改めて教えてください。

海幕長
 韓国海軍との2国間での捜索・救難共同訓練は、9年ぶりとなりますが、これまでも日米韓3か国による訓練や、多国間訓練、また韓国との親善訓練は継続的に実施してきました。昨今の安全保障環境を踏まえれば、日韓の連携の重要性に変わりはなく、2国間及び多国間での共同訓練や、防衛交流・協力を積み重ねていくことは、地域の平和と安定に資するものと認識しています。今回の捜索・救難共同訓練の再開は、今後の日韓における防衛協力・交流の一層の促進につながるものと期待しています。

「もがみ」型能力向上型のコンバットシステムについて

記者
 オーストラリアに対する「もがみ」級改良型の輸出に対して伺いたい。日本のシステムをそのまま、海上自衛隊の仕様をそのまま輸出すると聞いています。実際問題として、オーストラリアというのはほぼ主要艦艇はサーブのコンバットシステムを使っておりまして、互換性が全くないと思うんですけども、これに対して例えばその海上自衛隊の方からある程度情報提供であるとか、そういうことは行ったのでしょうか。

海幕長
 まさに今そういったものを、装備庁を中心として再度調整をしているところであります。従いまして、今これで決め打ちしたというものではございません。今後さらに議論を深めて、我々も出しやすいそしてオーストラリアも運用しやすいものに仕立てていく段取りになっていると思っております。

中国空母「遼寧」の発着艦訓練について

記者
 5月下旬に沖ノ鳥島沖の太平洋上で、中国空母「遼寧」より発着艦が170回確認されたと発表があったという。海上幕僚長の受け止めをお願いします。

海幕長
 おそらく統合幕僚監部の方からも公表があったと思いますが、一連の活動の中で170回の発着艦を繰り返したと認識しております。これまででもありますけども、こういった空母が太平洋上に出て、様々な訓練を行うということについては、その空母の運用能力や本国よりも近いところの海域遠方の海域における作戦能力の向上を企図しているとしていると思われます。私どもも大きな関心を持って、警戒監視に努めていきたいと思っております。

記者
 関連しまして、今回の空母の発着艦が先日行われたフィリピンなどとの共同訓練バリカタンに対する牽制との見方もありますがいかがでしょうか。

海幕長
 様々な見方があると思っています。中国内部がどのように分析してやっているかということについては我々もしっかりと分析しておりますけども、事務の性質上この場でつまびらかにするのは差し控えたいと思っております。

護衛艦「かが」とF-35Bの共同訓練について

記者
 話は変わりますが、護衛艦「かが」と米海兵隊のF-35Bの共同訓練が6月上旬に予定されていたかと思います。部隊の運用上の都合などで実現しなかったものと思います。今回行われる予定だった共同訓練の意義について教えてください。

海幕長
 将来的に護衛艦「かが」、あるいは「いずも」の艦上で運用されていることが想定されておりますF-35Bを複数機搭載しての訓練を計画しておりました。天候等の都合で今回はキャンセルせざるを得ませんでしたけども、近いうちにまたこういった意義のある訓練については、しっかりと取り組んでいきたいなと思っております。
 今まで1機だけ短期間搭載しての訓練はやっておりましたけども、第1回の改造を終えた後に本格的に複数機で訓練するというのは今回初めてでした。複数機運用することによって洋上運用でのノウハウや様々なことが得られたかと思っております。今回その機会を失われたというのは非常に残念ですけども、近い機会を得て、しっかりと訓練していきたいと思っております。

「もがみ」型・「もがみ」型能力向上型へのクルー制導入について

記者
 「もがみ」型と「もがみ」型改のクルー制についてお伺いしたいんですけれども、「もがみ」型については、クルー制を導入したかったができなかったということを前海幕長からも聞いており、「もがみ」型及び「もがみ」型改ともに今後クルー制を導入する予定だと以前の会見でも伺っております。具体的な計画やロードマップはありますでしょうか。

海幕長
 過去に「もがみ」型へのクルー制導入に関し検討したことは事実です。様々な観点から、「もがみ」型ではクルー制を先に導入するのではなく、まずは「もがみ」型を就役させ、その人員を確保し鍛えていく。そして、「もがみ」型をしっかと運用するということを最優先にしています。クルー制の有用性もありますので、そこはしっかりと検討していきたいと思いますが、今のところ、ただちに「もがみ」型あるいは「もがみ」型能力向上型にクルー制を導入するという計画はございません。
 一方で、別の艦種ではクルー制は一部導入していますので、そういったプロセスのノウハウ等も踏まえながら検討していきたいと思っております。

記者
 一部の艦種というのは音響(測定)艦でしょうか。

海幕長
 はいさようです。

記者
 それ以外の艦ではクルー制は導入していないということでしょうか。

海幕長
 現在、それ以外にありませんが、メリット、デメリットがあり、有用であると判断した艦種には積極的に導入すべきだと考えており、引き続き検討していきます。

乗組員不足への対応について

記者
 クルー制の導入に関して、現実として、乗組員の不足が深刻になっているという問題があります。不足するがためにクルー制を導入できないという負のループに入っているとも思うんですが、具体的に乗組員を増やす方策というのはあるのでしょうか。もし、増やせないのであれば、護衛艦の数を減らすという対処はあるのでしょうか。

海幕長
 まず、護衛艦の数については、安全保障環境を十分分析した上で、どういった防衛体制が必要かという上に成り立っているものです。3文書改訂の検討が省内でもしっかり行われておりますので、そういったものを踏まえて考えていきたいと思っています。
 一方で、おっしゃるとおり、人は足りていないのが現実です。充足率も100%となっていないのが現実です。人が入ってくる努力をする、あるいは入ってきた人たちが辞めない努力をする、また、今使っている艦艇の運用の効率を上げるために削減できるところは削減する、様々な面で人の効率化を図るため、総合的に検討しております。

防衛医官・第一線救護について

記者
 防衛医官について伺います。歴代の大臣は9割以上充足しているので問題ないとおっしゃいますが、護衛艦や潜水艦に乗るべき医官が乗っていないというのは問題であると思います。有事に医官が乗っていなくて戦闘ができるのか、人に対するダメージコントロールができるのかという問題があると思いますが、これにはどのように対処するのでしょうか。加えて、現在の1100人で足りていると防衛省は言っていますが、この中に実は250人近い歯科医官が含まれていて、さらに女性医官が産休、育休で100人ぐらいが休んでいて、あと研修医が280人くらいだと。あとは診療資格が失効している先生も中にはいて、実質400名くらいしかいない。この中で、戦傷医療をできる人がほとんどない状態で、本当に応急処置ができるのでしょうか。

海幕長
 医官が足りているか否かという数的なものは、今手元にありませんので、その件についての回答は差し控えたいと思います。必要であれば、後ほどしっかりと回答させていただきます。アメリカ海軍でも同じですが、洋上での戦闘では通常、艦艇に医官は乗っておりません。現場では、第一線救護員が応急処置を行います。その現場から空輸にて医療施設がある程度整っている所に運び処置を行います。最終的には陸上の施設に運んで医療を行うという大きく3段階の形とすることで検討が進んでいます。これは海上自衛隊だけが特異な形をとっているというものではなく、米海軍も同じような形態をとっております。米海軍のノウハウも得ながら我々もしっかりと検討を進めていきます。現場で戦う人間を確保するには、しっかりとした医療体制を整える必要がありますので、引き続き検討していきます。

記者
 私の得た情報では、海自では看護官1名が自衛隊中央病院で研修したという話があるんですが、これは非常に数が少なく、実際に応急処置ができるのかという問題があるかと思いますがいかがでしょうか。

海幕長
 第一線救護員については、毎年複数の人間を横須賀の教育機関において教育しており、一定数の人数が出てきています。先ほど言われました、看護師1名というのは確認させますが、第一線救護員をしっかりと確保するという、強い問題意識の下、我々は取り組んでいます。※1

記者
 関連なんですけども「いずも」、いわば旗艦となるべきDDH、そういうところに手術室があるんですけども、手術台が各一つしか入っていないんですね。米海軍ですと3台、4台あって、1人手術をしている間に次の用意をして、例えば10人とか20人とかけが人が出た時に流れ作業で処置をしていくということがあるんですけども、海上自衛隊のDDHは1人しかできないということと、あと救急医療票というものがないというふうに聞いてます。つまり、いわゆる「TCCCカード」というもので、これで実際この患者はどういう状態であるとか、バイタルがどうだという話を全部記入するんですね。航空自衛隊は、NATO標準のものを一部導入しているって聞いているんですけど、海自はその存在自体がないので救急搬送した後に、本当に処置できるんですかっていう疑問があるんですが、どうでしょう。

海幕長
 まず米空母のベッド数については、記者さんおっしゃるとおり、私も何度も米空母に乗艦して、実際、米空母艦上で体調を崩したこともあって、医療を受けたこともあります。かなり揃っているなと感じました。それと比べると、確かにDDHについては、そこまでのレベルには達してないということがありますので、今後どうしていくかというのはしっかりと我々も議論していきたいと思います。そしてカードの件で言われましたが、トリアージをして、その人たちがどのようなコンディションであり、その人に対してどういう処置をしなきゃいけないというものが書かれてるカードだと記者さんのご発言を受けて認識しました。ただ、私もこの点については専門家ではありませんし、今現状どうなっているかというのは、現在把握しておりませんので、後ほど確認してお答えしたいと思います。※2

シャングリラ会合での装備品輸出に関する意見交換について

記者
 冒頭ありましたシンガポール出張についてお聞きします。シャングリラ・ダイアローグで海幕長もいろいろな防衛大臣等とお会いしたかと思うんですけど、その中で装備品の輸出、移転等についてお聞かせください

海幕長
 今おっしゃられたとおり、大臣に随行してシンガポール、シャングリラ・ダイアローグに参加しました。最初のセッション1では、ヘグセス大臣のスピーチを聞かせていただきました。そして、大臣が設けられました2国間での懇談等の一部に参加させていただきました。その一部につきましては、特に海軍種間の協力が必要な部分について、その話題が出ると想定されたことから、専門的な見地で大臣を補佐することが適当だろうということで、私の陪席が認められたものと判断しております。様々なことが議論されました。内容については、大臣からのお知らせで示されていると思っております。海上自衛隊に関係することについてはしっかりと進めていきたいなと思っております。

フィリピンへの護衛艦輸出に伴う訓練協力と乗員問題について

記者
 先ほどもちょっとお話が出ていたフィリピンへの旧式の護衛艦の輸出に関してお伺いしたいんですけれども、海上自衛隊が使った艦を引き渡すわけですから、これに対する訓練とかが必要になってくるかと思うんですけれども、これを例えば海上自衛隊がやるのか、それともその作った造船所がやるのかという部分もあるかと思うんですが、仮に海上自衛隊の隊員が行うというと、元々今乗員が少ないと、要するに、隊員が不足してる中でそういうことをすると現場の隊員が減ってしまうんじゃないかと思います。その辺はどの程度の協力を海上自衛隊としては輸出に伴って行うんでしょうか。

海幕長
 「あぶくま」型のことを想定してお話されたものと思っております。「あぶくま」型の護衛艦を出す際には、事前にですね、おそらくフィリピンの方から数名のコアなメンバーが研修に来られると思います。その方々を、あぶくま型の護衛艦で乗艦研修をしていただいて、そこでいろんな使い方をコアなメンバーに教えるというのが最初のパターンだと思ってます。その後にそのメンバーが変わるのか、あるいは人数が増えるのか、そういったことで、今までは5名しか来なかったのが次10名、次は20名、そういったことを繰り返していって最終的には向こうにお渡しするっていう形になると思いますので、基本的にはこちらで訓練するというのが一番のパターンだと思います。ただ、向こうに移転した後も、全く我々ノータッチじゃなくて、そこはアフターケアをしっかりとやらなきゃいけないかと思ってます。基本的に我々も人の派出は非常に厳しいところもありますので、どのようにやっていくかというノウハウをしっかりと構築してやっていきたいと思いますし、今「あぶくま」型で海上自衛隊が持ってる部分ありませんけども、例えばVTCでできるもの、あるいはビデオでできるもの、あるいはシミュレーション等でできるものということもできると思いますんでその辺は積極的に活用して、なるべく人手がかからないような教育の仕方を構築していきたいと思っております。

艦艇の燃料消費削減について

記者
 海上自衛隊は3自衛隊の中で最も燃料代を使っていると思うんですけども、まさに今こういう状態で中東から原油が入ってこなくなったということになると、非常に運用上いろいろ差し障りが出てくることがあるかと思うんですけども、例えばその海上自衛隊として、燃料の消費自体を減らしていくとか、そういうことを考えてらっしゃるんでしょうか。以前ですと大体30ノット以上実績多分35ノットぐらいの護衛艦が多くガスタービンを使ってそのぐらい出していた。そうすると例えば、「いずも」みたいな艦と比べると、かなり燃費が悪い。「いずも」も当初は統合的電気推進を使う、その場合だと35年で160億円ぐらい燃料費下がるよっていうような計算もあったかと思うんですけども、例えばその今の護衛艦30ノットまで今落としてますけど、それを欧州とかでよくある28(ノット)まで落としていって全体として燃料の消費を落とすとか、何かそういう有事に際しての燃料消費を減らすというような取り組みというのは何かやっているのでしょうか。

海幕長
 私どもが何ノット必要だ、このビークルは何ノット必要だということは、そのビークルが臨むにあたる戦いの様相を考えた上でこのノット数が必要だというふうに分析しております。それに必要なエンジンを搭載してるという形をとってますんで、その状況が変わらない限りは、このビークルは何ノット必要だということは変化はないと思います。一方で燃料の節減のための運用のやり方はいろいろあると思います。過去も燃料が非常に不足しているときには、例えば通常ガスタービンを使って動くところを、ディーゼルエンジンを持ってる場合にはディーゼルエンジンを使用して、ただ、ディーゼルエンジンはご存知の通り、ある程度の速力しかでませんので、必要なときには切り替えてガスタービンでやるとか、そこら辺は運用でしっかりと燃料節減を指導しながら運用したという実績は過去にはあります。今のところ中東情勢がこういう状況ですけれども、燃料が不足しているということについては聞いておりません。例えばプールについては運用の効率化をして、燃料を極力抑えるようにしているという現場の努力は聞いておりますけども、全体として艦艇の運用あるいは航空機の運用に必要な燃料はしっかりと確保できるものと思っておりますので、今の運用を基本的には続けていきたいと思っております。

「戦艦」の定義について

記者
 高市首相がですね、中国の戦艦という発言をされて、中国には戦艦があるという話を閣議決定したかと思うんですけれども、中国の戦艦って具体的にどういうものなのか、あと海上自衛隊で定義する戦艦というものはどういうものなのか教えていただきたいんですけれども。

海幕長
 高市総理が言われたご発言が何を想定してなされたかということは、私が発言する立場でもありませんし、高市総理のその部分については私もわかりませんので、その件についてはお答えすることは控えたいと思いますが、おっしゃる通り中国は各種のビークルを持っておりますので、その一部の大きいものについてご指摘されたのかもしれません。そこについてはよくわかりませんのでこの件については発言を差し控えたいと思います。(戦艦と言うものはどういうものかという質問に対して)今我々はその定義をしておりません。旧軍については戦艦というカテゴリーがありましたので、その部分については言及することはできますけども、今我々はそういったカテゴリーを持っておりませんので言及することは控えたいと思います。

※1 海上自衛隊では、毎年約20名の第一線救護衛生員を養成している。これらの有資格者に対して、防衛医大での研修が行われており、今年は海自から1名が当該研修に参加した旨、後日説明
※2 第一線救護衛生員集合教育では、米軍が使用している「傷者処置カード(TCCC)」を和訳したものを教育に使用している。今後、統合衛生システム(JIMS)において各幕統一の「傷者処置カード」が導入予定である旨、後日説明

(以上)

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