内倉統合幕僚長が定例会見 日米共同統合演習の成果説明、日米豪の相互運用性向上(2月13日)
- 日本の防衛
2026-2-17 21:00
令和8(2026)年2月13日(金)14時01分~14時16分、内倉浩昭(うちくら・ひろあき)統合幕僚長は防衛省A棟10階会見室で定例会見を実施した。
統合幕僚監長からの発表と記者との質疑応答は以下の通り。
1.発表事項
本日は、私から令和7年度日米共同統合演習の成果についてお知らせいたします。
自衛隊は、1月29日から2月5日までの間、市ヶ谷地区等の各基地・駐屯地、在日米軍施設及びハワイ所在の米軍施設において、令和7年度日米共同統合演習を実施いたしました。本演習を通じまして、各種事態における日米共同対処及び自衛隊の統合運用について演練・検証し、共同統合運用能力の維持・向上を図るという目的を達成することができました。
また、本訓練においてはオーストラリア軍の参加を得まして、日米豪3か国間での相互運用性の向上も図ることができたと考えております。
あわせて、統合運用について統幕及び統合作戦司令部間の連携を含めて、所望の成果を得ることができました。
今後とも自衛隊は、同盟国及び同志国等との連携を強化するとともに、共同統合運用能力の維持・向上に努めてまいります。
2.質疑応答
共同統合演習の具体的成果について
記者 :
先程冒頭で言及ありました、共同統合演習についてですが、具体的な成果についてもう少し詳しくご説明をいただけますでしょうか。
統幕長 :
本演習での具体的な成果について3点申し上げます。
まず1点目は、新たな体制において情勢の推移に応じたシームレスな対処を演練することができたことです。具体的には、本演習は、昨年の春、統合作戦司令部が創設されて以降、陸上総隊、自衛艦隊、航空総隊等をはじめとした各メジャーコマンドが参加する初めての日米共同指揮所演習となりました。これにより、統合幕僚長及び統合作戦司令官以下、新体制における指揮統制上のそれぞれの役割を踏まえた調整要領について演練することができました。
とりわけ私自身と統合作戦司令官のシンクロナイズ(同期)、そして一気通貫のための意思疎通、これを1日に複数回実施しましたが、8日間が経ちまして、だいたいこのようなやり方をすれば、私はしっかりと大臣の命令を執行できる、そして統合作戦司令官は全部隊を掌握して、現状を私に報告できる、そうした意思疎通ができるというある程度のひな形、標準的なものを得ることができました。
2点目は、本指揮所演習の計画段階から日米で密接に連携したことにより、日米間の目標を具体化し、着実な深化を遂げることができました。より具体的には、インド太平洋軍パパロ司令官及び在日米軍ジョスト司令官と共に、日米間で即応態勢が整っていること及び所望のレベルにあることを確認することができました。併せて、日米間の相互運用性を高め、日米共同調整についての実効性を高めることができました。平素より目標として掲げております、「あらゆるレベルで、あらゆる領域(ドメイン)で、そしてあらゆる機能で緊密に連携していくといったことを実践できる。」それを実感できる演習となりました。
最後に3点目は、前回の「キーン・エッジ24」に引き続き、豪軍による参加が得られ、日米のみならず日豪及び日米豪間の連携要領を確認し、日米豪による相互運用性の向上を図ることができたことです。具体的には、オーストラリア軍がプレーヤーとして参加するのは今回が2回目になりますが、前回と比較して、豪統合作戦本部(HQJOC)から派遣されている連絡官を通じて、日豪間の調整要領が格段に深化し、本演習では円滑に連携することができました。
総じて本演習を行うにあたり、特に統幕の隊員にはリアリティ(Reality)を持って、責任感(Responsibility)、役割(Role)を果たすということで、三つの「R」を主眼に据えて臨むことを要望しましたが、一人ひとりが全てを見事にやり遂げてくれました。全隊員を誇りに思います。
新START失効を受けた統幕長の認識
記者 :
米露の核兵器削減の枠組みの新STARTが今月失効しました。核拡散防止態勢の維持に懸念が出るような状況でして、このような国際情勢についての統幕長の認識をお聞かせください。また韓国や北朝鮮、中国の動向も併せて教えてください。
統幕長 :
お尋ねのありました米露間の新戦略兵器削減条約・新STARTは、現地時間2月5日をもって失効したと承知しています。我が国としましては、米国、ロシア及び中国を含む関係国をしっかり巻き込んだ軍備管理、軍縮の取り組みが重要であると考えております。
そして後半部分のお尋ねですが、北朝鮮による核ミサイル開発が我が国及び国際社会の平和と安定を脅かすものであり、断じて容認できません。自衛隊としましては引き続き必要な情報の収集、分析及び警戒監視に全力を挙げていくとともに、米国及び韓国をはじめとする国際社会とも緊密に連携してまいります。
記者 :
中国についてはいかがお考えでしょうか。
統幕長 :
現在、中国について私から確たることを申し上げることは控えたいと思いますが、米国、ロシアの数には至らないまでも、一定数の核戦力を保有していると承知しております。そういったことから、繰り返しになって恐縮ですが、我が国としましては、米国、ロシア及び中国を含む関係国をしっかり巻き込んだ軍備管理、軍縮の取り組みが重要であると考えております。
来月配備予定のスタンド・オフ能力への対応
記者 :
冒頭ありました「キーン・エッジ」に関連して、来月には自衛隊としてスタンド・オフ・ミサイル配備が始まると思いますが、スタンド・オフに関連したシミュレーションも新たに始めるのでしょうか。また、来月の配備に向けた準備状況も伺えますか。
統幕長 :
お尋ねのありましたスタンド・オフ能力の整備状況につきましては、1点目のシミュレーションをしているかどうかについては、事柄の性質上お答えすることが出来ません。そして、配備に向けた現状についても、着実に進めておりますが、その状況について細かいことを申し伝えることは、現時点で差し控えたいと思います。
記者 :
「キーン・エッジ」についてなのですが、今回統裁官にインド太平洋軍司令官のサミュエル・パパロ大将が出てこられておりますが、これまではインド太平洋軍司令官が統裁官になられたことは無かったと記憶しておりますが、インド太平洋軍司令官が出てこられたことの意義については、統幕長はどのようにお考えでしょうか。
統幕長 :
お尋ねの件ですが、過去5回の「キーン・エッジ」を遡って確認しましたところ、ご指摘のとおりインド太平洋軍司令官、昔は太平洋軍司令官と申しておりましたが、その時においても、インド太平洋軍司令官が統裁官として活動されたことはございませんでした。その上で、今回のパパロ司令官が統裁官になられたことについてですが、米側が、なかんずくパパロ司令官がどのようなお考えで、今次統裁官になられ、それを公表されたかについて、私自身は承知しておりませんが、今回の演習で、私はパパロ司令官と毎日緊密に連携を取りながら演習に臨むことが出来ました。それを通じての私の感想でありますが、今次パパロ司令官がこの演習を作戦レベルのみならず、戦略レベルを含めた一気通貫した視点で俯瞰し、統制し、プレーヤーとしてアクションする重要性を認識された結果、毎日フルにコミットされたという風に考えています。
そして、私自身にとってパパロ司令官は、最も緊密に議論ができるカウンター・パートでありまして、彼が直接統裁官を務めたことで日米共同演習の信頼性・戦略的意義・参加部隊等の練度を大きく高めることができたと思います。また、毎日テレビ会議に顔を出されたことによって、そのコミットを各隊員が目の当たりにして、士気を鼓舞することができた。そして重要性を隊員一人一人が認識できたという風に考えております。結果として日米同盟の抑止力・対処力を強化することに繋がったという風に考えております。
記者 :
今回は、在日米軍の統合軍司令部を仮設したような形でのシミュレーションというのは、行われているのでしょうか。
統幕長 :
米軍内部の事でありますので、細部については、お答えすることは控えたいと思いますが、事実としてお伝えしたいことは、米軍のアップグレードの場が途中だということです。その時点での参加となりました。そのことだけは、事実としてお伝えしたいと思います。その段階で、今できる最善を尽くしていただいたと私は理解しております。
日豪間の緊急事態対応協議の進展
記者 :
オーストラリア軍の関係ですが、ちょうど一年前の吉田前統幕長の記者会見の際に、オーストラリア軍の司令官とのハイレベル懇談の中で、自衛隊と豪州軍が、「広大なインド太平洋地域において、グレーゾーンからハイエンドに至るまで様々な緊急事態において相互に何ができるのか、役割の議論を始めています。」という説明をされており、内倉統幕長にも当然引き継がれていると思いますが、現在、日豪間での緊急事態における相互の役割については、どのような議論を展開されているのでしょうか。
もし差し支えないもので、何かご説明できるものがあれば教えてください。
統幕長 :
私と現在のジョンストン豪州軍司令官とのやり取りを述べる前に、前提を申しますと、我が国と豪州は、基本的価値のみならず安全保障上の戦略的利益を共有する、インド太平洋地域の特別な戦略的パートナーであるとともに、米国を共通の同盟国としております。
日米豪3か国は、2024年11月に設立された、日米豪防衛協議体の下、相互運用性の向上を進めており、「キーン・エッジ」を含む演習への豪軍の参加を推進することは、大臣間の合意に基づく、地域の安定に資する取り組みであります。
それに基づき、日米豪の相互運用性向上の重要性は、日米豪参謀総長等間でも共有し、ミリタリーレベルにおいても緊密に連携していくことで一致していることからも、今次演習への参加は、我が国及びインド太平洋地域にとって有益であり、日米豪の連携をさらに強化することとなりました。
お尋ねにありましたとおり、豪軍とは平素から緊急事態に至るあらゆる状況で、自衛隊と豪軍が実効的に連携するための議論や情報収集・警戒監視、偵察における協力等を推進し、相互運用性を向上させてきました。
また、昨年9月のことですが、統合作戦司令部に豪軍の連絡官が派遣され、日豪作戦司令部間の連絡官相互派遣態勢を確立する等、日豪協力関係は、ますます深化しつつある中で、日豪間では、ACSA、RAA及び情報保護協定等の防衛協力推進のための基盤が整備されております。
こういった中で、私とジョンストン司令官は、かなりの頻度で意見交換・情報交換をしております。しかし、どの分野で何を深めていくのかという事につきましては、予断を持ってお話することは控えたいと思います。
ただ、航空幕僚長の時も取り組みましたが、オーストラリアにローテーション配備をすると、そういった所の具体化ということを各軍種と連携しながら少しずつ深めていく事になろうかと思います。
記者 :
間違えていたら恐縮なのですが、今ローテーション配備についての議論が深まっているという意味でご説明いただということでしょうか。
統幕長 :
失礼いたしました。そういったわけではありません。一つの例示として申しました。
(以上)
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