齋藤海幕長が定例会見 フィリピン海軍司令官の招待や多国間訓練「バリカタン26」参加など(5月26日)
- 日本の防衛
2026-5-29 11:15
防衛省 海上幕僚監部は令和8(2026)年5月26日(火)、同日13時30分~13時43分に防衛省A棟10階会見室において行われた齋藤聡(さいとう・あきら)海上幕僚長の記者会見の要旨を以下のように発表した。
海幕長定例記者会見要旨
海幕長 :
本日私から1件発表します。フィリピン海軍司令官の公式招待についてです。5月19日から20日の間、フィリピン海軍司令官エスペレタ中将を公式招待しました。今回の招待は、エスペレタ中将との意見交換や部隊研修等を通じて、相互理解を深めるとともに、両海軍種間の信頼関係の一層の強化を図ることを目的として招待したものです。フィリピン海軍司令官の日本への公式招待については、2018年以来、8年ぶりとなります。
市ヶ谷においては、防衛副大臣に表敬するとともに、懇談の機会を持ちました。また、横須賀地区におきましては、海上作戦センターや護衛艦、潜水艦そして掃海艦の研修を行いました。海上自衛隊の艦艇や部隊運用について、理解を深めていただいたものと思っております。私から以上です。
フィリピン海軍司令官の公式招待の成果について
記者 :
今の冒頭発言にありましたフィリピン海軍司令官の公式招待の成果について、ご見解お願いします。また、懇談の中で「あぶくま」型護衛艦などの装備移転に関する意見交換は行われたのかどうか合わせてお願いします。
海幕長 :
エスペレタ海軍司令官とは、インド太平洋地域の安全保障環境や装備協力を含む今後の両海軍種間の連携について懇談を行い、防衛協力・交流の更なる発展について意見交換できたことは非常に有意義だったと思っております。
本年は日本とフィリピンの国交正常化70周年という節目であります。海上自衛隊とフィリピン海軍との関係については、今後もハイレベル交流を含め様々なレベル、あるいは様々な分野において交流を重ねていくことが重要であると認識しておりますので、引き続きしっかりとやっていきたいと思っております。私から以上です。
多国間共同訓練「バリカタン26」参加について
記者 :
先ほどのフィリピン海軍司令官とも関連ありますが、5月上旬まで行われていましたバリカタンについてお尋ねします。海上自衛隊からも、水陸両用戦機雷戦群等々、護衛艦などのアセットも参加したと聞いております。初めての本格参加ということになったわけですけれども、海上自衛隊にとっての今回のフィリピンでの演習の意義について伺いたいと思います。
海幕長 :
バリカタンにつきましては、フィリピンとアメリカが毎年実施する二国間の演習の中でも最大規模の演習であります。私ども海上自衛隊の部隊としては、前回のバリカタン25においては、護衛艦やはぎが参加しました。そして今回、水陸両用戦機雷戦群の護衛艦いせや護衛艦いかづち、輸送艦しもきた及び航空機のUS-2が参加しました。演習の特色は、開催国であるフィリピン及び米国を主体としつつ、近年、同盟国・同志国の参加を得て、他国化が発展している点にあると思っております。
今回、海上自衛隊の部隊が参加した訓練のうち、水陸両用戦では、海自艦艇等による海上での部隊機動から陸自水陸両用車両等を用いた着上陸に至るまでの一連の過程を通じて、陸海両自衛隊が連携した行動を実施することで、その実効性を確認するとともに、一層の連携向上を図ることができたと承知しております。本訓練を通じて、参加各国間との連携及び協力関係の深化が図られており、自衛隊としても、日本、フィリピン間の防衛協力交流をはじめ、参加各国との連携を一層強化する上で意義のあるものであったと考えております。また統合運用の観点からも、一定の成果があったものと認識しております。
先週末、出張で佐世保の部隊を視察しました。その際に水陸両用戦機雷戦群の新しくできた司令部を視察しました。群司令がバリカタンに参加しておりますので、感想を聞いたところ、非常に日本から近い位置にとても有意義な演習場があるという認識でありました。そんなに日数がかからない航海ですぐ到達できて、しかも非常に広いエリアがありますので、先ほど申しましたとおり、海上と陸上自衛隊が一連の動作を訓練するにはとても有意義な場所で、有意義な訓練であったというふうに報告を受けております。引き続きこういった機会の確保に努めていきたいと思っております。以上です。
フィリピン海軍司令官との懇談の内容について
記者 :
先ほどの質問の中で、改めてフィリピン海軍司令官との懇談の中で「あぶくま」型について意見交換があったのか、あったのであればどのような意見交換だったのかを教えてください。
海幕長 :
装備協力を含む今後の連携についてお話ししました。具体的には、TC-90、「あぶくま」型について話しました。細部について、相手国のこともありますので控えさせていただきたいと思いますが、今回の懇談では、1時間半の時間中、防衛部長、装備計画部長、人事教育部長、C4I(指揮通信情報)部長の4人を参加させました。この4人の受け持つ業務範囲について議論しました。フィリピン側も相当する幕僚を参加させており、それぞれの分野で深い議論ができたものと考えています。
フィリピンへの装備移転が議論されている「あぶくま」型護衛艦について
記者 :
フィリピンに対して、「あぶくま」型、TC-90含む防衛装備品の移転の実現に向けて、今後、具体的に議論していくものと思います。フィリピンが「あぶくま」型を選定することを念頭に置いている理由をいかに考えていますでしょうか。
また、仮に装備移転が実現して「あぶくま」型がフィリピン側に提供されることとなった場合、海上自衛隊としてはどのようなメリットがあると考えていますでしょうか。
海幕長 :
フィリピン海軍がどのように考えているかについて、私は答える立場ではないと思っていますが、「あぶくま」型を長年運用してきた我々の立場からすると、乗員数が約120名という小さな部隊であり、チームとして一致団結しやすい点があり、フィリピンにおいても同じことが言えると思います。
個室で業務をすると同僚の幹部と意思疎通がしにくいことがあります。私も若い頃は大部屋の士官室で仕事をするよう指導を受けておりました。これにより士官室で情報が共有しやすいのですが、現在ではこれもなかなか難しい状況があります。「あぶくま」型は艦内が狭いので、必然的に士官室に幹部が集まって仕事をすることとなりますので、昔ながらの士官室で情報共有をしながら仕事することとなり、チームワークの非常に強い艦ができるわけです。
武器体系で言えば、ミサイルに対処する対空戦、水上目標に対処する対水上戦、水中の潜水艦に対処する対潜戦とありますが、対空戦では76mm砲やCIWS(Close–In Weapon System)、対水上戦では同じく76mm砲やハープーン、対潜戦ではアスロックや短魚雷を装備しています。小さいながらバランスよく武器を搭載しており、フィリピン海軍がどのように使っていくかは承知しておりませんが、一つのメリットであると思います。
また、仮定の質問にはなかなかお答えしづらいですが、仮に「あぶくま」型が採用された場合の我々のメリットとして、教育を通じた人事交流、交流ができることによりその先の様々な作戦、警戒監視等での情報共有や頭合わせが副次的にできるものと思います。以上です。
(以上)
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