[国会答弁]ペトリオットPAC-2の部品(シーカージャイロ)の米国への移転に関する質問と答弁(7月28日)
- 日本の防衛
2026-7-29 12:52
令和8(2026)年7月28日(火)、第221回国会(特別会)に提出された「ペトリオットPAC-2の部品(シーカージャイロ)の米国への移転に関する質問主意書」に対する答弁書が閣議決定・公表された。
その質問主意書と答弁書を以下に転載する。
質問主意書
質問第94号
令和8年7月16日提出
ペトリオットPAC-2の部品(シーカージャイロ)の米国への移転に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第74条によって提出する。
提出者 辻元清美
日本がライセンス生産を行っているペトリオットPAC-2(以下「PAC-2」という。)の部品であるシーカージャイロ(以下「ジャイロ」という。)の日本から米国のライセンス元への移転について、内閣官房、外務省、経済産業省及び防衛省が平成26年7月17日付けで発出した文書によれば、「「防衛装備移転三原則」(平成26年4月1日閣議決定)及び「防衛装備移転三原則の運用指針」(平成26年4月1日国家安全保障会議決定)に従い、国家安全保障会議で審議した結果、海外移転を認め得る案件に該当することを確認した。」とされている。また、PAC-2は、「航空機等を迎撃するために米国が開発した地対空誘導弾であり、我が国においては、平成4年度からライセンス生産を開始し、現在も航空自衛隊が運用している。今般海外移転を認め得る案件に該当することを確認したジャイロは、シーカー(目標を捜索・検知及び追尾するためのミサイルの構成装置)に組み込まれている部品(全長約6センチメートル)であり、このシーカーの向きを検知するものである。このジャイロは、米国のライセンス元からの要求性能を基に、汎用的な技術を用いて、我が国で生産している。」とされている。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 現在、日本はジャイロを生産し、米国に移転しているか示されたい。ジャイロの生産又は移転が終了したのであれば、その時期を示されたい。
二 これまでに日本が米国に移転したジャイロの数量、移転の年月日及び売却額を示されたい。示すことができない場合には、その理由を示されたい。
三 前記文書によれば、ジャイロが組み込まれたPAC-2は「米国以外の第三国に移転されることが想定されている」とされている。政府は「第三国」について、平成27年4月24日の衆議院安全保障委員会において、「具体的にはカタールが想定されている」と答弁したが、カタール以外に想定している第三国があれば、具体的な国名及び当該国を想定している理由を示されたい。
四 私の質問に対する令和8年6月3日の防衛省の回答によれば、「本移転に際しては、最終需要者である米国企業におけるジャイロの管理体制を確認し、ジャイロの最終需要者である米国企業から最終用途誓約書(エンド・ユース認証)の提出を求め、ジャイロの管理体制を確認することとしている。」とされている。この内容に間違いはないか示されたい。また、「最終用途」とは何か、「最終用途誓約書」には第三国移転についてどのように記述されているか、それぞれ示されたい。
同回答によれば、「ジャイロが組み込まれたPAC-2を一元的に管理する米国国防省からPAC-2ユーザー以外への移転が厳しく制限されること」とされているが、「制限」の内容を示されたい。
五 令和7年6月24日の米中央軍のSNS投稿によると、米国及びカタールのPAC-2がイランの弾道ミサイルを迎撃したとされている。この際に使用されたPAC-2に日本が移転したジャイロを使用したPAC-2(以下「当該PAC-2」という。)が含まれていることを確認しているか示されたい。確認していないのであれば、その理由を示されたい。
六 米国国務省は令和8年5月1日、カタールにPAC-2を200発売却することを承認した。この200発に当該PAC-2が含まれていることを確認しているか示されたい。確認していないのであれば、その理由を示されたい。
七 今般の米国とイランの戦争において、イランからの攻撃に対処するために米国及びカタールはPAC-2を使用したか示されたい。使用したのであれば、使用されたPAC-2に当該PAC-2が含まれていることを確認したか示されたい。確認していないのであれば、その理由を示されたい。
八 政府は、当該PAC-2が米国及び第三国においてどのように用いられているかを調査しているか示されたい。紛争を助長しないように調査をすべきと思料するが、政府の見解を示されたい。
九 私の質問に対する令和8年7月の外務省の回答(以下「外務省回答」という。)は、「御指摘の日本から米国に移転したPAC-2のシーカー・ジャイロは、MDA協定の下で移転されたものではありません。」としている。日本から米国に移転したジャイロは、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定(昭和29年条約第6号。以下「MDA協定」という。)の下で移転されたものではないという理解でよいか示されたい。
十 外務省回答は、「MDA協定は、同協定に基づく装備、資材又は役務その他の援助の供与に際しての条件等を定めるものですが、米国に対して防衛装備を移転する際に、その全てに同協定を適用しなければならないわけではありません。」、「日本側として、個別の防衛装備移転に係るMDA協定の適用の要否については、供与の条件等を定めるMDA協定ではなく、防衛装備移転三原則等に従い判断しており、米側との間ではこのような判断を踏まえ、対応しております。」としている。
日本が米国に対して防衛装備を移転する際、MDA協定が適用される防衛装備と適用されない防衛装備については、MDA協定のどの規定のどのような解釈によって決まるのか、MDA協定上の根拠を示されたい。
十一 MDA協定第1条第1項は、「いずれか一方の政府が承認することがあるいかなる援助の供与及び使用も、国際連合憲章と矛盾するものであつてはならない」と規定する。日本から米国に移転したジャイロがMDA協定の下で移転されたものではないのであれば、今般の米国のイラン攻撃において、当該PAC-2を使用する場合、同項の「国際連合憲章と矛盾するものであつてはならない」とする義務を米国は負わないという理解でよいか。
右質問する。
答弁書
参議院議員辻元清美君提出ペトリオットPAC-2の部品(シーカージャイロ)の米国への移転に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「ジャイロ」については、平成29年に生産及び移転を終了している。
二について
お尋ねについては、相手国政府や相手方企業との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。
三について
お尋ねについては、平成27年4月24日の衆議院安全保障委員会において、政府参考人が「米国とのFMS、有償援助調達の進捗によるところでございますが、具体的にはカタールが想定されていると承知してございます。」と述べているところ、この答弁の内容に変更はない。
四について
お尋ねの「この内容に間違いはないか」については、お尋ねのとおりである。また、お尋ねの「最終用途」については、一般に、輸出された貨物等の最終的な用途を意味するものと承知しており、お尋ねの「「最終用途誓約書」には第三国移転についてどのように記述されているか」については、相手方企業との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。さらに、お尋ねの「「制限」の内容を示されたい」については、その具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、米国との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。
五から七までについて
お尋ねについては、米軍及びカタール軍の運用に関することであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。
八の前段について
お尋ねについては、他国軍隊の運用に関することであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。
八の後段について
お尋ねの「紛争を助長しないように調査」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、令和8年6月2日の参議院外交防衛委員会において、小泉防衛大臣が「他国の政策や軍の運用について我が国としてお答えする立場にはありません」と述べた上で、「我が国からアメリカへのPAC2のシーカージャイロの移転に際しては、最終需要者であるアメリカ企業におけるジャイロの管理体制を確認し、加えて、ジャイロが組み込まれたPAC2を一元的に管理するアメリカ戦争省からPAC2ユーザー以外への移転が厳しく制限されること等、その管理体制についても確認をしています。さらに、その上で一般論として申し上げれば、ジャイロが組み込まれたPAC2のアメリカ以外の第三国への移転については、PAC2は自国を攻撃するために飛来してくる巡航ミサイルなどの経空脅威から自国民の命を守るためのあくまで防御的な装備品であること、PAC2で使用されているシーカージャイロはPAC2の一部品にすぎず、アメリカのライセンス元からの要求性能を基に設計、製造されているものであることなどを勘案すれば、日本製ジャイロが組み込まれたPAC2がアメリカから同国による厳格な管理体制の下でアメリカの安全保障上のパートナーである他のPAC2ユーザーに移転されたとしても特段の問題はないものと考えております。」と述べているとおりである。
九について
お尋ねのとおりである。
十について
日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定(昭和29年条約第6号。以下「相互防衛援助協定」という。)は、相互防衛援助協定に基づく装備、資材、役務その他の援助の供与に際しての条件等を定めるものであるが、米国に対して防衛装備を移転する際に、その全てに相互防衛援助協定を適用しなければならないわけではなく、日本側として、個別の防衛装備移転に係る相互防衛援助協定の適用の要否については、供与の条件等を定める相互防衛援助協定ではなく、「防衛装備移転三原則」(平成26年4月1日閣議決定、令和8年4月21日一部改正)等を踏まえて判断しており、米国側との間ではこのような判断を踏まえ、対応している。
十一について
お尋ねの「日本から米国に移転したジャイロ」は、相互防衛援助協定の下で移転されたものではないが、お尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたい。
(以上)
Ranking読まれている記事
- 24時間
- 1週間
- 1ヶ月
- 人事発令 令和8年8月7日付け、内閣承認人事(防衛審議官、人事教育局長、地方協力局長、防衛装備庁長官)
- 人事発令 7月30日・31日付け、指定職人事(防衛大学校副校長)
- 人事発令 令和8年8月3日付け、将補人事(陸自20名、海自7名、空自13名)
- 令和8年熊本地震の災害派遣 自衛隊が人命救助や輸送、給水支援などを実施(7月29日、第2報)
- 人事発令 7月30日・31日付け、書記官人事
- 人事発令 令和8年8月3日付け、将人事(陸自10名、海自6名、空自2名)
- 人事発令 令和8年7月25日・27日付け、1佐職人事(陸自17名、海自13名、空自20名)
- 人事発令 令和8年8月3日付け、内閣承認人事(陸自3名、海自2名、空自2名)
- 齋藤海幕長が定例会見 就任2年の振り返りや護衛艦「ちょうかい」のトマホーク実射試験など(7月28日)
- 人事発令 令和8年7月28日付け、1佐職人事(海自7名、空自3名)
- 人事発令 令和8年7月25日・27日付け、1佐職人事(陸自17名、海自13名、空自20名)
- 人事発令 令和8年7月24日付け、1佐職人事(海自4名、空自2名)
- 人事発令 令和8年7月28日付け、1佐職人事(海自7名、空自3名)
- 人事発令 令和8年8月3日付け、将補人事(陸自20名、海自7名、空自13名)
- 人事発令 令和8年8月3日付け、将人事(陸自10名、海自6名、空自2名)
- 人事発令 令和8年8月7日付け、内閣承認人事(防衛審議官、人事教育局長、地方協力局長、防衛装備庁長官)
- 《レポート》海自の新装備 V-BAT艦載型無人機の飛行訓練を初公開
- 三菱重工と三菱電機が英・伊MBDAと協業契約 GCAPのエフェクター最適化へ(7月23日)
- 陸自UH-1J多用途ヘリに対するレーザー照射事案が北海道上川郡上空で発生(7月23日)
- 航空自衛隊が米軍と共同訓練 F-2、F-16、MQ-9などが参加(7月24日)
- 自衛隊サイバー防衛隊員2名を懲戒処分 海外出張での私的観光1時間半で戒告(7月15日)
- 人事発令 令和8年8月3日付け、将人事(陸自10名、海自6名、空自2名)
- 人事発令 令和8年8月3日付け、将補人事(陸自20名、海自7名、空自13名)
- 人事発令 令和8年7月1日付け、1佐職人事(陸自10名、海自14名、空自11名)
- 若年定年の自衛官への給付金支給対象者を拡大、政令を公布(7月3日)
- 人事発令 令和8年7月1日付け、1佐昇任人事(陸自42名、海自31名、空自33名)
- 人事発令 令和8年7月25日・27日付け、1佐職人事(陸自17名、海自13名、空自20名)
- 人事発令 令和8年7月24日付け、1佐職人事(海自4名、空自2名)
- 陸上自衛隊、令和8年5月における逮捕・送致の実績を公開(7月10日)
- JAXAのH3ロケット9号機による「みちびき7号機」打上げ、28日間の予備期間を追加設定(7月8日)

