木原防衛大臣、4月12日の記者会見 10日の日米首脳会談など
- 防衛省関連
2024-4-12 09:42
令和6(2024)年4月12日(金)9時19分から、木原稔(きはら・みのる)防衛大臣は、防衛省A棟11階第1省議室で記者会見を行った。
記者との質疑応答
記者 :10日の日米首脳会談で、両首脳は日米同盟の抑止力・対処力の強化や指揮・統制枠組みの向上などといった安全保障・防衛協力を拡大・深化していくことで一致しましたが、大臣の受け止めをお聞かせください。
また、共同声明では「2+2」の開催にも触れられていましたが、次回の「2+2」でどのような議論をしたいかとお考えか大臣の御見解と、いつ頃開催される予定か開催時期のめどなどがありましたら教えてください。
大臣 :10日の日米首脳会談についてのまず前段、受け止めということでございますが、今般の日米首脳会談においては、岸田総理やバイデン大統領もその重要性を強調されていた、日米それぞれの指揮・統制の枠組みの向上をはじめとし、日米豪・日米韓・日米英など、日米を基軸とした地域のパートナーとの協力や、防衛省と米国防省が共に主導する日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議、いわゆるDICASといった、その設立といった装備・技術協力における新たな取組など、様々な取組が議論され、共同声明に盛り込まれました。
こうした取組は、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化が急務であることを再確認した上で、防衛・安全保障協力における新たな戦略的イニシアティブとして発表されたものであり、国際社会が歴史的な転換点にある中で、日米間の戦略的協力の新しい時代を切り拓く、大きな意義を持つものと考えております。以上が受け止めでございます。
後段は「2+2」の御質問でございますけれども、まず実施時期については、現時点でお答えするということは困難ですが、今般の両首脳からの指示を踏まえて、私とオースティン国防長官を含めたあらゆるレベルで議論を進展をさせ、我が国の防衛力の抜本的強化と日米同盟の抑止力・対処力の強化に向けて、具体的な成果に繋げられるよう努力していきたいという考えでございます。
記者 :日米首脳会談の関係でお伺いします。共同声明で日米豪のネットワーク化された防空面におけるアーキテクチャーに関する協力が盛り込まれましたが、この協力の意義と協力の中身として具体的にどのようなものを想定しているか教えてください。
大臣 :ビジョンについてという御質問でございますが、近年、弾道ミサイル、巡航ミサイル、航空機等の能力向上に加えて、対艦弾道ミサイル、極超音速兵器や無人機等の出現によって、経空脅威が多様化・複雑化・高度化しております。特に我が国周辺では、質・量ともにミサイル戦力が著しく増強される中で、我が国へのミサイル攻撃が現実の脅威となっております。
今般の日米首脳会談は、こうした認識を米国とも共有した上で、これまでもミサイル防衛で緊密に連携してきた日米だけでなく、日米豪の3か国でミサイル防衛に係る情報共有など、防空面における協力ができないかということを探求することといたしました。
増大する空からの脅威に対処するに当たり、3か国でいかなる協力ができるのか具体的な内容については、正に今後調整していくとしておりまして、その意味で、共同声明ではビジョンというふうにしておるところでございます。いずれにしても、我が国の防空を万全に期すべく、引き続き、我が国自身の防空能力の強化はもちろんのこと、日米での対処力・抑止力の強化や、同志国との連携強化に取り組んでまいります。
記者 :日米の共同声明の関係でもう1点だけ、日米協力の一環で次世代戦闘機のための日米共通のジェット練習機の共同開発・生産を追求するというのも盛り込まれましたが、日本は次期戦闘機で言うと、米国とはタッグを組まない予定ですが、この共通のジェット練習機というのは、どのようなものを想定しているのか教えてください。また、日本の場合、これT-4の後継機という想定でよろしいのか教えてください。
大臣 :まず、日米共通のジェット練習機の共同開発・共同生産についてはですね、決定しているものではございません。その上で申し上げれば、今般ですね、日米双方において、当該共同開発・共同生産の機会を追求することについて一致したところでありますので、これを公表したということになります。
記者 :北朝鮮の軍事偵察衛星についてお伺いします。韓国の国防大臣が、北朝鮮が追加の衛星を今月中旬にも打ち上げる可能性があるとの見方を示していますが、防衛省の分析状況と現在の警戒態勢についてお伺いします。
大臣 :韓国の国防部の長官の発言、報道によって承知をしております。北朝鮮の軍事動向につきましては、政府として平素から重大な関心を持って情報収集、そして分析に努めておりますが、事柄の性質上、個々の具体的な情報の内容についてお答えすることは困難であるということは御理解をいただけると思っております。
その上で申し上げると、北朝鮮は、本年に偵察衛星3基を追加で打ち上げる旨を発表しており、今後、衛星打ち上げを目的とした発射を強行する可能性はあるものと考えています。
防衛省としては、引き続き、米国・韓国等とも緊密に連携しつつ、必要な情報の収集・分析を行うとともに、警戒監視に全力を挙げていくという考えです。また、万が一我が国の領域に落下する場合に備え、自衛隊のイージス艦や沖縄県内のPAC-3部隊が必要な態勢というのを維持しております。
記者 :大臣は昨日、沖縄県うるま市石川のゴルフ場跡地で訓練場を整備する計画について取りやめて、15旅団の師団化に伴う訓練等の在り方については、再検討を行うよう指示されたと表明されました。
今後検討を深められるところかとは思いますが、もともと土地が限られる沖縄本島内で、住民生活と調和しながら訓練所要を満たす、そういった案を見いだすことについては困難を極めると思うんですけれども、その点についてどうお考えでしょうか。本島内で住民生活と調和しながら訓練所要を満たすことは可能だとお考えでしょうか。
大臣 :昨日の夕方も会見をさせていただきましたけれども、令和9年度までに、沖縄本島に所在する陸上自衛隊の第15旅団を師団に改編をし、その一環として2個目の普通科連隊を新編する計画ですけれども、これに伴う人員の増加によって、沖縄本島において訓練場が不足するという、そういう前提がございます。
このため、うるま市における今般の訓練場の整備計画は取りやめるものの、陸上自衛隊の追加的な訓練所要等を満たすための取組というのは、これは沖縄県民はもとより、国民の生命・財産を守り抜くために必要なことであると考えていますから、したがって、今後は15旅団の師団化に伴う訓練等の在り方について、幅広い視点から再検討を行うことといたしました。
再検討の判断というのは、昨日の夕方に私の判断で、その判断を行ったばかりでありますから、現時点でその内容について予断をもってお答えすることは困難ですが、防衛省においては、自衛隊施設の安定的な運用、部隊活動の円滑な実施の観点から、住民生活との調和を図ることは重要だと考えています。
この点、昨日も若干申し上げましたけれども、全国各地のですね、そういった基地や駐屯地や訓練場、演習場というようなことを見渡したときに、人口が比較的多い地域に所在し、そして住宅地等に近接するといった特性を有する訓練場は複数ございまして、そのような場所においても、その特性を踏まえながら、地域の皆様に可能な限り影響が生じないよう配慮しつつ訓練を実施しております。
このように、沖縄本島においても、周辺の環境に慎重かつ十分に配慮して検討を行うことで、住民生活と調和をしながら訓練所要を満たすことは不可能とは考えておりません。いずれにしましても、再検討においては省内でしっかりと連携を図り、周囲の生活環境を含めた地元の状況をしっかりときめ細かく把握、そして分析した上で、あらゆる選択肢というものを検討して、適切な結論を得たいと、そのような考えでございます。
記者 :平成24(2012)年に熊本県で陸上自衛隊のトラックと観光バスが衝突した事故に関連して伺います。
この事故で、陸自側がけがをしたバスの乗客に約10年間で7千万円を超える賠償金を支払っていたということが本紙の取材で判明しました。賠償額が高すぎるとの指摘を受けて、既に支払いをやめており、防衛省は不適切な支出だった疑いがあると見て調査を進めているとのことですが、事実関係と今後の対応をお聞きします。
大臣 :本件は平成24年の1月28日に、熊本県八代市の生名子トンネル内で陸上自衛隊の大型トラックと観光バスが衝突した事故によって、バスの乗員乗客約30名が負傷し、陸上自衛隊において負傷された方々への賠償を実施しているものと承知をしております。
その上で、今回の賠償事案においてですね、国が支払っている賠償金については、被害者の方の個人に関する情報、いわゆる個人情報でありますから、個人の権利利益に害する恐れがあることから、回答は差し控えさせていただきますが、賠償金の支払いについて、不適切な手続き等があった場合には、当然のこととして、判明した事実に基づき、これは厳正に対処をしなければいけません。そういうことでございます。
記者 :うるまの訓練場の件でお伺いします。
大臣、昨日の会見で、地元の幅広い層から厳しい意見が徐々に上がってきたということを考えると、結果として取りやめることになったというふうに御説明をされていましたけれども、そういった地元の厳しい指摘であったり反発というところを踏まえると、例えば米軍普天間飛行場の辺野古移設の問題もですね、同じように反発が強い中、県民投票等でも多くの反対が示されているという点も共通していると思うのですけれど、米軍の関わるような辺野古移設の計画はなかなか見直しはできないけれども、陸自の訓練場は地元の反発というものを重く受け止めて取りやめるというふうになっているというふうに見えるんですけれど、この2つの問題の違いはどういう点にあると大臣お考えかお伺いできればと思います。
大臣 :昨日の会見は、うるま市における石川のゴルフ場跡地において、その取得の計画を取りやめるという、そういう会見、それに特化した会見でございます。それと、それ以外の問題とまた別問題でありますから、今回はうるま市の件についての見解を述べたもの、そして計画取りやめの理由を述べたものということになります。
それ以外にも、沖縄県もそうですし、全国各地にはですね、防衛省・自衛隊との関係で様々な御意見や、また、厳しい話もですね、私どもはそれぞれの防衛局が対応しているところでございますが、それはそれで個別具体的に判断していくものというふうに思っております。
記者 :日米首脳会談の共同声明で触れられましたジェット練習機の関連で何点かお伺いします。改めて確認しますが、共同声明で共同開発・生産が言及されたジェット練習機というのは、空自のT-4ジェット練習機の後継機ということでよろしいでしょうか。
大臣 :現在私どもで利用しているのは、T-4をジェット練習機に使っていたり、あるいはブルーインパルスに使っていたりということでございます。
当然、現行使用しているT-4ですけれども、相当時間も経過をしている中でですね、今の段階から常に、これは今回のT-4だけに限りませんが、常に最新の装備、つまり後継機、継承となるものというのは追求していかなければいけませんので、いわゆる共通のジェット練習機の共同開発・共同生産についてというのは具体的に決定しているものでもありませんが、当然T-4も踏まえてですね、対象になっているということでございます。
その点、米国との間でですね、この共同開発・共同生産、その機会を追求しようということで、幅広い観点から一致したということになります。
記者 :関連しまして、空自T-4練習機の後継機については、航空自衛隊や装備庁から、日米共同開発が望ましいという要求が出ているのか教えてください。
大臣 :まず繰り返しになりますけれども、まだ、日米共通のジェット練習機を共同開発・共同生産していこうということは決定しているわけではありませんが、その上で、今回その機会を追求することについては、当然、日米で共同声明に盛り込んだということは、防衛省として様々な検討した結果を踏まえて、米側と一致して公表したということになります。
記者 :このT-4の後継機について、防衛省、空自の方針が固まっていない段階で、日米共同声明の中で共同開発を追求するという文言にされたのは、アメリカ側への何らかの配慮があったということなんでしょうか。
大臣 :共同声明でございますから、お互いに考え方が一致したものについては積極的に盛り込んでいくというところであり、また、先ほども関連した質問がありますけれども、日米豪の防空の質問もありましたけれども、そこもですね、今これから調整していくということを決めた段階で、ビジョンという形で表現をしたというようなこともありですね、確実に決定していなくても、日米で認識が一致したものについては前向きに捉えて、そういう共同声明に盛り込むということはありうることだろうと思います。
記者 :最後にもう1点お伺いしますけれども、大臣は日頃から防衛生産基盤の強化を主張されていますが、であるならば、T-4の後継機はまずは純国産機を追求するのが先ではないかと思いますがいかがでしょうか。
大臣 :今回の次期戦闘機もそうでしたが、特に航空機の中でもジェット機、戦闘機のような類のものは極めて高度化、そして高額化しているものですから、リスクやコストを分担するという意味で、国際共同開発というのは主流になってきているところでありますから、当然、日米共同開発、あるいはそれ以外の他国とのですね、共同開発ということになっても、日本がインテグレータ―としてですね、様々な今後の取組ですね、例えば改修の自由度であったり、あるいは航空機の要求性能ですね、日本主導で盛り込んでいくとか、そういったことができる範囲において国際共同開発を追求していくということ、当然、日本のですね、技術を、あるいは日本の求めるものを盛り込んだ上で、国際共同開発を追求していくということは、これは現在のですね、防衛生産・技術基盤に資するものだというふうに思います。
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