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木原防衛大臣、6月21日の記者会見 露朝関係、JAXA機密流出、防衛省関連の法律成立など

  • 防衛省関連

2024-6-23 17:17

 令和6(2024)年6月21日(金)9時53分から約11分間、木原稔(きはら・みのる)防衛大臣は防衛省A棟11階第1省議室で、閣議後の記者会見を開いた。

大臣の発表事項

国際連合南スーダン共和国ミッションへの司令部要員の派遣期間を延長

大臣 :国際連合南スーダン共和国ミッションへの司令部要員の派遣期間の延長について申し上げます。いわゆるUNMISS(アンミス)につきましては、現在、自衛官6名を司令部要員として派遣していますが、本日、21日の閣議におきまして、1年間の派遣期間延長が決定されました。
 UNMISSは、現在、我が国が要員を派遣する唯一の国連PKOであり、国連による平和のための努力への関与の継続のため、要員派遣を継続していくことは重要であります。引き続き、自衛官の派遣を通じて、南スーダンの平和と安定に貢献してまいります。

記者との質疑応答

ロシア・北朝鮮の動きについて

記者 :露朝関係について伺います。ロシアと北朝鮮は、軍事や経済に関する包括的戦略パートナーシップ条約を締結しました(6月19日)。両国は同盟関係にあると規定し、核兵器も含めて軍事面での協力がより進むかと思いますが、防衛省としてどのように分析されていますでしょうか。
 また、日米の拡大抑止の強化も重要になるかと思いますが、今後どのような議論が進んでいくか、考えをお伺いします。

大臣 :まず、前段の露朝関係でございます。露朝間の軍事的な連携・協力の強化等を含めて、我が国を取り巻く地域の安全保障環境が一層厳しさを増している中で、防衛省としては、今般の露朝首脳会談の結果を重大な関心をもって注視しているところです。
 今回署名されたとされる条約については、政府として、その内容を説明する立場にはございませんが、当該条約には、いずれか一方が武力侵攻を受けて戦争状態におかれることとなった場合、保有する全ての手段により、軍事的及びその他援助を提供する旨などが規定されているとの北朝鮮メディアの報道は承知しており、今後の動向を注視していく必要があると考えております。また、プーチン大統領が、関連安保理決議への直接的な違反となり得る北朝鮮との軍事技術協力を排除しなかった点は、我が国を取り巻く地域の安全保障環境に与え得る影響の観点からも、深刻に憂慮しています。当該条約が署名されたことによる我が国の安全保障への個々の具体的な影響については、予断をもってお答えすることはいたしませんが、当該条約に基づいて今後いかなる協力がなされていくか、注視していく必要があると考えておりまして、防衛省としては、引き続き、関連情報の収集・分析を行うとともに、関連の安保理決議の完全な履行を含め、米国、韓国をはじめとする国際社会と緊密に連携していく考えです。
 後段の御質問の日米拡大抑止でございますが、我が国周辺において核兵器を含む軍事力の更なる強化が顕著である中で、核抑止力を含む米国の拡大抑止は不可欠です。本年4月の日米首脳会談では、日本の防衛力によって強化される米国の拡大抑止を引き続き強化することの決定的な重要性を改めて確認し、二国間協力を更に強化していくこと、また、この観点から、次回の日米「2+2」の機会に、拡大抑止に関する突っ込んだ議論を行うよう、日米それぞれの外務・防衛担当閣僚に求めているところであります。こうしたことを踏まえて、これまでも実施してきた日米拡大抑止協議に加えて、次回の日米「2+2」の機会における突っ込んだ議論等を通じて、拡大抑止の強化に向けた取組を引き続き進めてまいります。

JAXA機密大量流出について

記者 :今朝の報道でお尋ねしたいんですけれども、JAXAで大量の機密が流出したという報道があってですね、その中には一部防衛省の関連の情報も含まれているというふうな報道内容だったのですが、現在の把握している状況というのを教えていただけますでしょうか。

大臣 :国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、宇宙・航空分野で重要な役割を果たしている法人であり、防衛省の装備品等の研究開発、役務の契約相手方でもございます。そのため、JAXAに対する不正アクセスについては、防衛省としても注視しておりまして、JAXAからも報告を十分に受けております。
 事案の影響について、現時点で防衛省の業務に特段の支障はないものと考えておりますが、JAXAによる調査及び対応については、引き続き確認していきたいと考えています。

全戦没者追悼式参列への大臣の思い等

記者 :大臣は23日に沖縄で開催される全戦没者追悼式に出席されるとのことですが、どのような思いで参列されますでしょうか。
 また、戦争から79年が経過する中、再び沖縄が戦争に巻き込まれるのではないかという危機感もありますが、その点について大臣の見解と、防衛力整備の方針や住民説明の観点から、どのように対応していくお考えか教えてください。

大臣 :諸般の事情が許せば、私は防衛大臣として、沖縄県の追悼式に出席したいというふうに考えております。慰霊の日を迎えるに当たり、戦没者の御霊に対し、哀悼の誠を捧げるとともに、国の安全保障をあずかる一人として、戦争の惨禍を二度と繰り返さないことを誓いたいと考えております。
 その上で、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しており、防衛力の抜本的強化を進めているところですが、その目的というものは、我が国への侵攻を抑止することにあります。部隊配備を含む南西地域の防衛体制の強化は、正にこのためであります。これにより、力による一方的な現状変更やその試みを許容しないとの我が国の意思を示し、島嶼部への攻撃に対する抑止力・対処力を高めることで、沖縄県民を含む国民の安全につながるとともに、大規模災害や国民保護における対応の迅速化にもつながると考えています。また、総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備や、武力攻撃を想定したシェルターの確保に係る政府としての取組も、丁寧に検討・調整してまいります。
 今後も、こうした諸点について様々な機会を通じて、地元の皆様に対する丁寧な説明や適切な情報提供を実施してまいります。

通常国会閉会にともなう、防衛省関連の法律の成立について

記者 :本日で通常国会が事実上閉会しますが、防衛省が関連する法律として、改正防衛省設置法、特定防衛調達に関する法律、GIGO(ジャイゴ)設立に関する条約などが成立しましたが、大臣の受け止めをお願いします。
 あわせて、GIGO設立条約などは次期戦闘機の輸出にも関係し、一部野党からは、国是を変えるような法律なのに審議時間が少ないという指摘も出ました。安保関連法やPKO協力法など、審議時間が100時間を超えたものと比べ、今回の法案の審議時間はいずれも10時間前後でしたが、国会で十分な審議が尽くされたと思うか、大臣の所感をお願いします。

大臣 :通常国会におきましては、防衛省からは、防衛省設置法等の一部を改正する法律を含む3本の法律案を提出し、いずれも成立をさせていただきました。また、防衛省関連の条約として、御指摘あったように、次期戦闘機の共同開発のための国際機関であるGIGOの設立に関する条約等も、これも御承認をいただきました。
 これらの法律、あるいは条約というものは、我が国を取り巻く戦後最も厳しく、そして複雑な安全保障環境を踏まえると、国民の生命・身体・財産を守り抜くために非常に重要なものでございまして、防衛省としても丁寧な説明を尽くしたことで、与党のみならず、一部の野党の賛成もいただけたということは大変ありがたく思っております。
 また、法案の国会審議の在り方につきましては、審議時間等の御指摘もありましたけれども、これは国会が判断される事柄でございまして、今政府の立場として申し上げるということは差し控えますけれども、防衛省としては、多くの国民の皆様、そして、与党のみならず野党の皆様に法案の趣旨を御理解いただき、幅広い御支持が得られるように、今後の法案審議においても、分かりやすく、丁寧な説明を心掛けてまいりたいというふうに思っております。

以上

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