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木原防衛大臣、陸自奄美駐屯地での臨時記者会見(7月18日、部隊視察後)

  • 防衛省関連

2024-7-19 16:16

 令和6(2024)年7月18日(木)10時17分~10時26分、木原稔(きはら・みのる)防衛大臣は、陸上自衛隊奄美(あまみ)駐屯地のA庁舎1階中央ホールにおいて、同駐屯地部隊視察後の臨時会見を行った。
 内容は、以下のとおり。

大臣からの発表事項

大臣 :ただ今、陸上自衛隊奄美駐屯地を視察いたしました。この後は馬毛島(まげしま)を視察することとしております。戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する我が国にとりまして、特に南西諸島地域の防衛体制強化が喫緊の課題となる中、いずれの場所も非常に重要な役割を担うものであります。

 ここ奄美駐屯地は、南西地域の防衛体制強化の取組の中で、2019年に開設され、我が国の抑止力及び対処力の強化の観点から重要な役割を果たしています。今回の視察では、一人一人の隊員たちが緊張感をもってそれぞれの任務に励んでいる姿を改めて確認することができました。防衛大臣として、大変心強く思うとともに、我が国防衛の最前線である南西諸島地域の防衛体制強化を引き続き着実に進めていく、その決意を新たにしたところであります。過酷な環境の中、士気高く任務に当たっている隊員諸君に改めて敬意を表したいと思います。

 また、この後向かう馬毛島では、自衛隊施設の整備状況を視察します。外海に位置し、社会インフラが全く整っていない離島での大規模な工事という、言わば特殊な条件にありながら、多くの関係者が懸命に作業に従事し、施設整備が進められているその様子を、自らの目で私自身がしっかりと確認したいと考えています。

記者との質疑応答

東シナ海での中国軍の動きや奄美群島での部隊の新設などについて

記者 :現状の評価と今後についてお伺いいたします。奄美駐屯地が開設した2019年以降、奄美大島や喜界島(きかいじま)、徳之島(とくのしま)など、群島全体で自衛隊施設以外での生地訓練が行われています。また、奄美大島南部の瀬戸内町では火薬庫整備や海上護衛群、仮称になりますが、の補給地として港湾施設整備に向けた調査も進んでいるところです。抑止力強化を目的とした南西シフト防衛力強化の動きが進んでいることと思います。
 一方で、依然として近海では、東シナ海では中国軍の動きが活発、拡大化しており、そのような現状をどのように今評価されていらっしゃるでしょうか。また、今後、奄美群島での自衛隊の増員、更なる部隊の新設、また、馬毛島に配備される装備品や部隊などとも連携した訓練の計画があるのかどうか、お考えをお聞かせいただければと思います。
※生地訓練:せいちくんれん。訓練施設や演習場ではなく実際の環境で行う訓練のこと。

大臣 :大きく3種類の質問があったかと思いますが、まず1点目は、中国軍の東シナ海での活動の評価、あるいは分析という点で申し上げますと、東シナ海において、中国は、力による一方的な現状変更の試みを継続、あるいは強化するとともに、艦艇や航空機を活発に活動させています。このような中国の軍事動向等は、我が国として深刻な懸念事項となっています。防衛省・自衛隊としては、引き続き、関係省庁と緊密に連携しながら、警戒監視に万全を期すとともに、中国側の一方的な現状変更の試みに対しては、我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜く、その考えの下、毅然かつ冷静に対処していく所存です。
 2点目はこの奄美群島における自衛隊の部隊の新設等でございましたが、南西地域の防衛体制強化も、我が国の防衛にとって喫緊の課題です。奄美大島においては、平成31年3月に奄美駐屯地、瀬戸内(せとうち)分屯地を開設し、警備部隊、地対空誘導弾部隊、地対艦誘導弾部隊等の配備を行ってきたほか、現在、瀬戸内分屯地において火薬庫の新設に係る事業を実施しているところです。今後も、自衛隊全体の体制の検討の中で、奄美群島の防衛体制については不断に検討をしてまいる考えであります。
 それから、馬毛島基地(仮称)新設後の生地訓練の計画などの御質問でございましたが、奄美群島の生地訓練の計画については、現時点では具体的な計画というのはございません。

馬毛島基地(仮称)の施設整備について

記者 :今から視察される馬毛島基地(仮称)についてお伺いします。アセスの評価書では10月に滑走路が完成予定ということでした。予定どおり進むのかどうか、もしそうであれば、来年度からFCLP、米軍のですね、行われるのかお聞かせください。
※FCLP:陸上空母着艦訓練。硫黄島で実施している、アメリカ海軍の空母艦載機が航空母艦に搭載されて航海に出るために必須とされている訓練。

大臣 :馬毛島に関する御質問ですが、施設整備は、先ほども冒頭で申し上げましたが、外海に接しているということ、そして社会インフラが全く整っていない離島での、しかも大規模な工事であるということ、極めて特殊な施工条件において今行われているということです。しかも、気候も非常に連日の猛暑という状況でもあります。また台風などですね、前線の影響などもあるということです。このような特殊な施工条件であることは加味しつつ、施設整備が全体として最適な状態で進捗するよう、作業を進めているところです。
 その上で、FCLPの開始時期の見通しについてですが、確定的なお答えができる段階にはこの時点でない、ということは御理解をいただきたいと存じます。防衛省としては、引き続き、住民の方々の期待の声に応えるとともに、その不安を解消するために、種子島の1市2町、そして鹿児島県とより一層緊密に連携しながら、施設整備に着実に取り組んでまいります。

相次ぐ不祥事に対する大臣の受け止めについて

記者 :防衛省ではですね、現在特定秘密の不正運用とかですね、まさに不祥事が相次いで、処分もされているわけですけれども、それについてですね、大臣の受け止めについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

大臣 :先週の金曜日に公表した、記者会見において御説明させていただいたわけですが、いずれの事案も、防衛省・自衛隊への国民の信頼を損なうものであり、決してあってはならないものであります。防衛大臣として、国民の皆様に改めて深くお詫びを申し上げます。
 事案の原因は、処分を受けた職員一人一人の順法精神や倫理観の欠如をはじめ、基本的な心構えが著しく欠けていたとの、ある意味隊員個人の問題から、組織全体で誤った理解の下で特定秘密の取り扱いを行っていたとの、言わば海上自衛隊全体の問題まで、それぞれがですね、多岐にわたっているものです。
 その上で、我が国の防衛に一分の隙も許されないという中において、徹底した情報保全体制の確立や、順法、法令順守の徹底、そしてハラスメント防止などといった綱紀粛正のため、幹部を中心に職員一人一人がしっかりと取り組んでいくことが不可欠です。
 私もですね、先週の金曜日の夕方にですね、会見の後、隊員向けのビデオメッセージというのを収録しまして、今それぞれの部隊に、私のそのメッセージをしっかりと聞くように指示していると同時に、これは一般公開もしております。引き続き、私が強いリーダーシップをとり、防衛省・自衛隊一丸となって再発防止策の実現に取り組み、そして国民の皆様の信頼を取り戻すため、全力を尽くしてまいります。

以上

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