中谷防衛大臣、初開催されたG7国防相会合に出席(10月19日)
- 日本の防衛
2024-10-23 11:45
防衛省は令和6(2024)年10月20日(日)01時45分(現地時間)、中谷元(なかたに・げん)防衛大臣がイタリア・ナポリを訪問し、10月19日(土)に今回が初開催となるG7国防相会合に出席するとともに各国国防大臣との会談等を行ったことを公表した。
また、G7国防相並びにEU上級代表によるG7防衛共同宣言の仮訳が発表された。
内容は、以下のとおり。
中谷防衛大臣のG7国防相会合への出席及び各国国防大臣との会談等について(概要)
10月19日(土)、中谷防衛大臣はイタリア・ナポリを訪問し、今回が初開催となるG7国防相会合に出席したところ、概要以下の通り。
G7国防相会合
中谷防衛大臣は、G7国防相会合に出席しました。同会合には、G7メンバー及びNATOの国防大臣等が出席し、地域情勢や防衛力の基盤について幅広い議論が行われ、会合後には共同宣言が発出されました。また、会合に出席した国防大臣等とそれぞれ会談や、懇談等を実施しました。
G7国防相会合の各セッションの概要は以下のとおりです。
(1)セッション1「中東」
G7国防相は、中東におけるエスカレーションに懸念を表明し、ガザにおける即時停戦、全ての人質の解放、ガザ全域における人道支援の大幅かつ持続的な増加、及び二国家解決への持続可能な道筋の必要性を支持することで一致しました。また、イランとロシアとの間の軍事協力の強化に対して深刻な懸念を表明したほか、航行の自由を維持することへのコミットメントを再確認しました。中谷大臣からは、中東地域の平和と安定を確保するための取組を、同盟国・同志国が一体となって実施することが重要である旨述べ、防衛当局としても、同盟国・同志国と連携しながら、中東地域の安定と繁栄に深くコミットしていくという意思を表明しました。
(2)セッション2「アフリカ」
G7国防相は、偽情報等、アフリカに不安定をもたらす戦略を複数の国家及び非国家主体が追求していることに懸念を表明し、アフリカ諸国の安定と安全の強化に貢献していくことを改めて確認しました。中谷大臣からは、アフリカ諸国の自助努力を支援する取組の重要性を指摘した上で、平和維持活動等におけるG7を始めとする同盟国・同志国等との連携の重要性について述べました。
(3)セッション3「インド太平洋」
G7国防相は、東シナ海及び南シナ海の状況に深刻な懸念を表明し、力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに改めて強く反対するとともに、台湾海峡の平和と安定の維持が、国際社会の安全と繁栄にとって不可欠であることを再確認しました。また、中露の軍事連携に懸念を表明したほか、北朝鮮による核・弾道ミサイル計画の継続的な進展を非難し、増大する露朝間の軍事協力にも懸念を表明しました。さらに、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋へのG7のコミットメントを再確認し、同地域における安全保障及び防衛上のプレゼンスを調整することへのコミットメントを表明しました。中谷大臣からは、インド太平洋地域における安全保障情勢について説明するとともに、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分である旨強調し、ミニラテラルの協力や、能力構築支援の実施を含め、同盟国・同志国等との連携を強化することにより、抑止力・対処力をさらに高め、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化していく必要がある旨述べました。
(4)セッション4「ウクライナ」
ロシアによるウクライナ侵略は、国連憲章を含む国際法のあからさまな違反であり、ルールに基づく国際秩序に対する脅威をもたらしていることで一致しました。また、ウクライナの自由、主権、独立及び領土一体性を支持することを再確認しました。中谷大臣からは、防衛省・自衛隊としても、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」との強い危機感の下、ウクライナに対する自衛隊装備品の提供等を行ってきたところ、この度、追加の車両提供を行うことを決定した旨発言し、引き続き国際社会と連携しつつ、ウクライナに対し可能な限りの支援を行っていく旨の決意を表明しました。
(5)セッション5「防衛準備態勢」
G7国防相は、安全保障上の課題に対処するため、防衛産業を強化し、パートナーとの産業協力を奨励する必要性を確認したほか、防衛準備態勢を強化するための各国の取組について、G7で引き続き議論し、共有していくことの重要性を確認しました。中谷大臣からは、安全保障環境が厳しさを増す中、防衛当局がその潜在的な能力を最大限発揮し、国の平和を守り、地域の平和と安定に効果的に貢献するには、装備品等の研究開発・生産や人的資源、必要な防衛予算の確保といった基盤が不可欠である旨指摘した上で、G7各国をはじめとする同盟国・同志国等の間における防衛生産・技術基盤の強靭化に向けたベストプラクティスの共有等、引き続き協力を進めていきたい旨発言しました。
G7防衛共同宣言(仮訳)
前文
我々、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国及び米国のG7国防相並びにEU上級代表は、NATO事務総長の参加も得て、大きな不安定性に特徴づけられた歴史の中で、結束した具体的な方法で安全保障上の課題に対処するための我々の変わらぬ結束と共通の決意を再確認するため、ナポリに集まった。
この精神の下、我々は、国連憲章の尊重を促進し、平和及び安全の堅持に資する具体的な措置を実践し、自由で開かれた、ルールに基づく国際秩序を損なおうとするいかなる行為にも反対するコミットメントを強く再確認する。
我々は、
●ロシアによる残酷で全面的で違法な侵略戦争に対し、3年近くの間、自国を防衛してきたウクライナに対する我々の揺るぎない支持を改めて表明する。我々は、世界規模で対立と不安定化の態勢へと追いやり、ハイブリッド戦及び核のレトリックの無責任な使用を行うロシアを非難する。
●G7は他の国際的なパートナーと共に、ウクライナの主権、独立及び領土一体性を尊重しつつ、国際法に沿った、包括的で、公正かつ永続的な平和を達成するプロセスにおいて、鍵となる役割を果たすことができると信じる。これは、同志国の包摂性に基づき、新たな信頼を醸成し、ウクライナに対するできる限り広い国際的支援を達成するために取り組み続けることなしにはなし得ない。
●防衛産業が高い生産ペースを維持できる必要性の高まりに対処する協力的な解決法を特定することにコミットし、防衛のために必要な供給に関連する問題を含め、強じんで信頼できる防衛産業の構築と強化に取り組む。
●新興破壊技術分野を含め、競争上の優位性を維持するため、悪意のあるアクセスを防止する安全な環境を醸成しつつ、専門的知識及び知見の共有及び活用の観点からも、防衛関連の研究開発における一層協力的なアプローチの必要性を認識する。
●軍事オペレーションの拡大された持続可能性及び部隊の適切な再生を確保するための効果的な解決策を見出すことの妥当性を認識する。
●情報操作並びに誤情報及び偽情報の拡散を抑制し、対抗することにもコミットする。
●中東地域全体を脅かす暴力の連鎖を引き起こした、2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの残忍なテロ攻撃を非難する。
●ガザにおける即時停戦、全ての人質の解放、ガザ全域における人道支援の大幅かつ持続的な増加及び二国家解決への持続可能な道筋の必要性を支持することで結束する。
●レバノンにおける最近の事案と更なるエスカレーションの高まりの危険性を懸念する。国連レバノン暫定隊(UNIFIL)の安全に対する全ての脅威に対し懸念を表明する。平和維持要員の保護は全ての紛争当事者の責務である。レバノンの安定及び安全を確保する役割においてUNIFIL及びレバノン国軍を支持する重要性を再確認する。
●国際法並びに国連安保理決議第2722号及び第2739号に従い、紅海、バブ・エル・マンデブ海峡及びアデン湾を含む海域を通過する船舶に対するホーシー派の攻撃を非難し、航行の自由を確保し、航路を守り船舶及び人員を保護する権利を再確認する。
●2024年4月13日及び10月1日のイランによるイスラエルに対する直接的な軍事攻撃を非難し、イランに対し、ハマス、ヒズボッラー、ホーシー派及びその他の非国家主体への支援提供や、同地域を不安定化し、制御不能なエスカレーションのプロセスを引き起こし得る更なる行動を控えるよう求める。
●一部の国家主体がアフリカに対して追求する、不安定性を生み出す略奪的な経済慣行及び偽情報を含む戦略への懸念を表明する。
●平和、安全保障及び防衛の分野、特に能力構築、安全保障及び防衛分野の改革並びに相互運用性の分野における、アフリカのパートナーとの実践的かつ協調的な行動を通じた統合的なアプローチの重要性を強調しつつ、アフリカ諸国の安定及び安全保障の強化に対する我々のコミットメントを再確認する。この意味で、我々は、EU及びNATOの活動を含む「南方近隣地域」に関する二国間及び多国間パートナーのイニシアティブを期待する。
●気候変動は、我々の安全保障に深刻な影響を及ぼす決定的な課題であり、世界、特に最も脆弱な国における平和と安定に対する人口学的、経済的及び政治的な課題を悪化させる可能性があることを認識する。
●国連及び国連憲章を中心とする多国間システムが強化されなければならないことを再確認する。我々は、国連未来サミットにおいて採択された必要な行動をとり、国際の平和及び安全を維持するための不可欠な手段として国連平和活動を引き続き支援し、適応させることにコミットする。
●世界の繁栄及び安全保障において極めて重要な役割を有すると我々が認識する自由で開かれたインド太平洋へのコミットメント並びにインド太平洋諸国との安全保障及び防衛に関するパートナーシップを促進するとのコミットメントを再確認する。
●台湾海峡の平和と安定の維持が国際社会の安全と繁栄に不可欠であることを再確認する。
●東シナ海及び南シナ海の状況について深刻な懸念を表明し、海空域におけるものを含む力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに対する強い反対を改めて表明する。
●ロシアがウクライナに対する違法な侵略戦争を継続することを可能とし、重大かつ広範な安全保障上の影響を有する中国のロシアに対する支援及び中国とロシアとの間の軍事協力の強化に深い懸念を表明する。
●関連する国連安保理決議の直接的な違反である、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の継続的な推進を非難するとともに、拡大する北朝鮮のロシアとの間の軍事協力に懸念を表明する。
ウクライナへの支援
ロシアによるウクライナへの全面的な侵攻以降、我々G7はNATOと共に、国連憲章及び国家主権の不可侵の原則を含む国際法の優越性を再確認しつつ、ロシアの侵略に対抗し、ウクライナにおける包括的、公正かつ永続的な平和を達成するために、ウクライナの自衛権を支持する中心的な役割を果たしている。
我々は、ウクライナの自由、主権、独立及び領土一体性に対する必要とされる限りの我々の揺るぎない支持を再確認する。
我々は、ロシアによる、国連憲章を含む国際法のあからさまな違反、民間の重要インフラに対する度重なる意図的な攻撃、ハイブリッド戦の実践、及びロシアの無責任な核のレトリックを可能な限り最も強い言葉で非難し続ける。
我々は、ロシアによるウクライナに対する侵略が、国際的な安全、国連憲章の目的及び原則並びにルールに基づく国際秩序に対する脅威をもたらしていると信じる。
我々は、ウクライナの自衛権を支持し、NATOビリニュス・サミットの際に署名されたG7の「ウクライナ支援に関する共同宣言」に基づく二国間の安全保障上のコミットメント及び取決め、ウクライナとの間で署名された二国間の安全保障上の協定及び取決め並びにNATOワシントン・サミットの際に承認されたウクライナ・コンパクトを実施することによるものを含め、ウクライナの長期的な安全保障に対する我々のコミットメントを再確認する。
したがって、我々は、NATO、EU及び二国間又は多国間ベースで提供される支援の間の相乗効果及び一貫性の重要性を再確認する。この関連で、我々は、NATO・ウクライナ理事会との間で設立された同盟とウクライナとの間の強化された政治的協議のメカニズムを支持する。我々は、欧州平和ファシリティを通じた軍事支援、ウクライナのEU加盟に向けた交渉及び対ウクライナ安全保障支援・訓練組織を含むEU及びNATOの支援イニシアティブを支持する。我々はまた、能力コアリションの取組を含むウクライナ防衛コンタクト・グループを支持し、NATOワシントン・サミットでのウクライナ・コンパクトの立上げを想起する。我々は、ウクライナの自衛を可能にするために有益な、ウクライナの防衛産業及びイノベーションを支援することを目的とするイニシアティブを歓迎する。
我々は、短期的及び長期的な軍事支援を含むウクライナに対する支援を引き続き提供する意図を強調する。我々は、ウクライナが、NATO加盟を含む完全な欧州・大西洋への統合に向けた不可逆的な道筋にあることを支持する。
我々は、部隊の再生及び再編成の必要性を踏まえ、短期的及び長期的にウクライナ防衛・治安部隊の教育及び訓練のニーズを引き続き支援することが不可欠であると考える。我々は、対ウクライナ安全保障支援・訓練組織及びEUウクライナ軍事支援ミッションを通じたNATO及びEUそれぞれの取組を歓迎しており、それらは軍事支援を含むウクライナ軍の長期的な発展及び改革にも支援を提供するものである。G7プーリア首脳コミュニケにのっとり、EU及びその他の関係する管轄下にあるロシアの国家が有する資産が動かせないようになっていることに起因する特別な収益は、G7各国の法令に整合的な形で、短期的及び長期的な軍事、財政及び復興支援を含むウクライナ支援のために用いられる。
我々は、支援国及びNATOと相互に運用可能であり、ウクライナを直ちに防衛し、将来の更なる攻撃を抑止する能力を有するウクライナ軍を創設するための解決策を見出すために今取り組むことが優先事項であると考える。このプロセスは、関連する国家及び国際主体間の調整された持続的な行動に基づいていなければならない。
我々は、我々の究極的な目標が、ウクライナの主権及び領土一体性の尊重を確保する、国連憲章及びその原則に示された国際法に従った包括的、公正かつ永続的な平和であり続けることを改めて表明する。
中東
我々は、中東におけるエスカレーションについて懸念を表明する。
我々は、2023年10月7日のハマスによる残忍なテロ攻撃に対する断固とした非難を改めて表明する。我々は、即時停戦及び全ての人質の迅速な解放を求める。この攻撃は、暴力の連鎖を引き起こし、イスラエルやヒズボッラーを巻き込み、民間人に深刻な影響を及ぼしている。攻撃と報復の危険な連鎖は、中東における制御不能なエスカレーションを助長する危険性を有しており、それは誰の利益にもならない。我々は、全ての当事者に対し、現在の緊張を緩和するために建設的に関与するよう促し、全ての当事者が国際人道法を含む国際法に従って行動することの重要性を強調する。我々は、一般市民の保護が絶対的に必要であること、及び、絶対的な優先事項として、完全で、迅速で、安全で、妨げのない人道的アクセスがなければならないことを改めて表明する。
ガザ地区における紛争や劇的な人道危機は、更なる軍事的なエスカレーションを回避し、安定して永続的な安全保障情勢を達成するために必要な政治的プロセスを始める必要性を浮き彫りにしている。したがって、我々は、ガザ地区での永続的な停戦、安定的な安全保障情勢、そして無辜の一般市民に対する人道的支援の拡大され妨げられない流入に向けて、引き続き取り組む必要性を再確認する。
我々は、国連安保理決議第2735号を歓迎し、主権を有する、自立可能で民主的なパレスチナ国家と共に、イスラエルの正当な安全上のニーズの双方に対処しながら、イスラエルとパレスチナの長期的で平和裡の共存を確保するための唯一の選択肢として、国連安保理決議第2735号を歓迎し、二国家解決の実現に向けた政治プロセスを支持するという我々のコミットメントを再確認する。
我々は、パレスチナ自治政府の治安部隊を訓練し助言するためのイニシアティブを称賛し、パレスチナ人のための改善となる、パレスチナ市民警察を対象とするものを含む能力構築イニシアティブの成功という前向きな経験に基づく、治安及び司法分野のより広範な改革を支持する。
我々は、他のパートナーと共に、関係する国際機関の枠組みの中で、紛争後の安定化、統治及び治安のための実行可能な解決策を特定する必要性を再確認するとともに、この点に関して、治安環境が許せば、地域の安定化を目指す戦後のイニシアティブを支援する準備ができている。
我々は、地域の人々の保護を含めて、レバノンとイスラエルとの国境線での安全と安定の回復を支持する。
我々は、レバノンにおける最近の事案と更なるエスカレーションの高まりの危険性を懸念する。我々は、レバノン軍による基本的な安定化の役割を認識し、UNFILの不可欠な役割を再確認しつつ、国連安保理決議第1701号の完全な履行と整合的な形での敵対行為の完全な停止及び戦闘の外交的解決についての我々の要請を改めて表明する。UNIFILの安全に対する全ての脅威に対し懸念を表明する。平和維持要員の保護は全ての紛争当事者の責務である。
我々は、イランのイスラエルに対する弾道ミサイルによる大規模攻撃を明確に非難し、全ての当事者が国際人道法を含む国際法に従って行動することの重要性を強調する。
我々は、イスラエルの安全に対するコミットメントを明確に改めて表明する。
我々は、弾道ミサイル、UAV、軍事装備品及び機微技術の供給を含む、制裁レジームの回避を目的にしたイランとロシアとの間の軍事協力の強化に対して深刻な懸念を表明する。
我々は、国連安保理決議第2722号にのっとり、航行の自由を維持し、シーレーンを保護し、紅海、アラビア海及びアデン湾におけるホーシー派による攻撃から船員及び船舶を保護することにコミットする。我々は、ホーシー派に対し、地域の不安定性を増大させエスカレートさせる取組を直ちに中止し、船舶「ギャラクシー・リーダー」及びその乗組員を直ちに解放することを求める。我々は、この地域における海洋安全保障イニシアティブに対するG7の重要な貢献を歓迎する。
我々はまた、紛争の地域全体への拡大を防ぐことも極めて重要であると信じている。我々は、地域全体を不可逆的に不安定化させ、世界中に更なる緊張と不安定をもたらす状況となる全面戦争を回避することを全ての当事者に呼びかける。
アフリカ
我々は、人口増加と気候変動の複雑な均衡及び複合的な影響が、継続的かつ共有された開発アジェンダの必要性を意味していることを認識しつつ、アフリカ大陸とG7は、パートナーシップ及び共有された目的のための大きな潜在力を共有していると信じる。
我々は、持続した安全、安定及び繁栄の基礎を形成する条件を設定するに当たり、アフリカ諸国の政府を支援するとのコミットメントを表明する。
我々は、複数の国家及び非国家主体がアフリカの経済及び安全に与えている重大な影響を認識する。しかし、この不均衡な影響のいくつかの側面は、劣悪な環境的、社会的及びガバナンスの水準、サプライチェーンの支配、債務の持続不可能性並びに労働と透明性に関する懸念を引き起こしている。G7は、アフリカ諸国及び地域機関との協力を通じて、互恵的かつ公平で、公正な防衛及び経済パートナーシップを支持する。
我々は、民間及び軍の共通安全保障・防衛政策の任務及び活動を含む様々な外交政策手段を組み合わせたEUの統合的アプローチを含め、アフリカの平和、繁栄及び安定を支援するとのコミットメントを継続する。さらに、我々は、アフリカの軍の能力を強化し、アフリカ主導の平和支援活動を支援することによるアフリカのオーナーシップの重要な実現手段として、欧州平和ファシリティ(EPF)の下でアフリカのパートナーに提供された支援措置を歓迎する。我々は、訓練、相互運用性、共通プロトコルの策定、人的交流及びNATOの防衛及び関連安全保障能力構築活動を、安全保障を促進する適切な条件を創出するための効果的な手段と考える。
インド太平洋
我々は、武力による威嚇又は武力の行使に訴えることのない紛争の平和的解決の原則を堅持し、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋へのコミットメントを確認する。この地域は、世界の成長、地政学的発展及び軍事バランスの中心である。
インド太平洋地域の重要性は、経済面のみにとどまらず、多くの先進国及び途上国が、防衛及び安全保障上のパートナーシップを通じたものを含め、地域の平和、安全及び繁栄の促進に直接的な利益を有している。我々は、中国との建設的かつ安定的な関係を追求し、特に国際の平和及び安全に関し、懸念を伝達し相違を管理するための直接的かつ率直な関与の重要性を認識する。
我々は、南シナ海及び東シナ海における状況について深刻な懸念を表明し、G7プーリア首脳コミュニケで述べられているように、力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに対する我々の強い反対を改めて表明する。南シナ海における中国の拡張的な海洋権益に関する主張には法的根拠がなく、我々は、中国による航行の自由に対する度重なる妨害、係争地形の軍事化及び威圧的かつ脅迫的な活動並びに南シナ海における海上保安機関及び海上民兵船舶の危険な使用に強く反対している。
我々は、国連海洋法条約(UNCLOS)の普遍的かつ統一的な性格を再確認し、海洋における活動を規律する法的枠組みを規定する上でのUNCLOSの重要な役割を再確認する。我々はまた、2016年7月12日の仲裁裁判所による仲裁判断が、仲裁手続の当事者を法的に拘束することを改めて表明する。
我々は、台湾海峡の平和と安定の維持が、国際社会の安全と繁栄に不可欠であることを再確認する。我々は、挑発的な活動、特に最近の台湾周辺での人民解放軍の軍事演習を懸念している。表明された「一つの中国政策」を含め、台湾に関するG7メンバーの基本的立場に変更はない。我々は、両岸問題の平和的解決を求める。
我々は、ロシアの戦争経済への中国による増大する支援に深い懸念を表明し、中国に対し、兵器部品及び装置を含め、ロシアの国防部門への重要な投入物となっており、ロシアがウクライナに対する違法な侵略戦争を継続することを可能としている、軍民両用の資材の移転を停止するよう求める。我々は、中露間の軍事協力の強化に起因する不安定化をもたらす行動に懸念を表明する。
我々は、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画を非難する。我々は、北朝鮮の全ての大量破壊兵器・弾道ミサイル計画の、完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄を改めて求める。我々はまた、関連する国連安保理決議に直接違反する北朝鮮の弾道ミサイルの北朝鮮による輸出及びロシアによる調達並びにロシアによるこれらミサイルのウクライナに対する使用を含め、拡大する北朝鮮とロシアの間の軍事協力を非難する。我々は、関連する国連安保理決議に同じく違反する、北朝鮮への核・弾道ミサイル関連技術のあらゆる移転の可能性を懸念している。
その意味で、我々は、グローバルなダイナミクスへのインド太平洋地域の安定の関係性を認識し、地域の安全が国際法に従って維持されることの確保を目的として、同地域におけるそれぞれの安全保障及び防衛上のプレゼンスを調整することにコミットしている。
我々は、拡大する地域の安全に関する課題に対処するため、地域の全てのパートナーとの対話を継続するとともに、地域の演習への参加を増やし、地域の運用面での更なる協力を行うことにコミットしている。
防衛準備態勢
我々は、これら相互に関連する安全保障上の課題を認識し、防衛産業を引き続き強化し、パートナーとの強固な関与及び産業協力を奨励する等、断固として対応する必要性を認識する。我々は、NATO及びEUにおいて開始された補完的なイニシアティブを歓迎する。
我々は、防衛部門の特殊性を認め、持続可能な財政に関する政策、規制、報告及び基準を十分に考慮しつつ、信頼性があり、予見可能で、かつ、安定した防衛産業のための財政へのアクセスを確保することの重要性を認識する。我々は、強固で、即応性があり、安全で、競争力があり、かつ、強じんな防衛産業の能力及び生産を目的とした、より大きな協力、協調及び相乗効果を想定する。我々は、効率的な調達に関する多国間協力の検討に取り組むとともに、需要を集約して効率化を図る。我々は、特に新興破壊技術の分野における新たな技術の責任ある研究開発、開発及び迅速な適用を通じて、我々の軍事的優位性を維持することが最も重要であると考える。
我々は、産業の強じん性のための課題及び機会に関するG7メンバー間の詳細な対話の重要性を強調し、防衛に必要な供給に関連する問題を含め、強じんで信頼し得る防衛産業の構築及び強化に取り組む。
我々は今後も、これまでの共通基準を踏まえ、相互運用性の改善に取り組む。
エネルギー移行に関するベスト・プラクティスを共有しつつ、化石燃料への過度な依存を減らし、排出を最小化及び削減する。
我々は、抑止及び防衛の柱として、信頼できる熟練した労働力を生み出すためにも、社会からの賛同及び関与を確保する方法に関するベスト・プラクティスを共有する必要性を認識する。我々は、防衛準備態勢を強化するためのG7メンバーの取組について引き続き議論し、共有することの重要性を認識する。
結語
我々、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国及び米国のG7国防相並びにEU上級代表は、NATO事務総長の参加を得て、ルールに基づく国際秩序及び国連憲章を含む国際法に対する我々の尊重及びコミットメントを共有する国際機関及びパートナーと協力しつつ、共に国際安全保障上の課題に対処するとの我々のコミットメント、変わらぬ結束及び共通の決意を再確認する。
(以上)
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