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中谷防衛大臣が記者会見 中東への輸送機派遣、中国艦艇の動向について回答(6月20日)

  • 日本の防衛

2025-6-24 10:25

 令和7年6月20日(金)09時13分~09時30分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、
防衛省A棟10階会見室において閣議後会見を行った。
 内容は、以下の通り。

大臣からの発表事項

 なし

記者との質疑応答

沖縄戦終結から80年、南西地域の防衛強化の意義とは

記者
 太平洋戦争末期の沖縄戦の組織的戦闘が終結して、23日で80年となります。政府は、この10年ほどで沖縄を含む南西地域への自衛隊配備を増強してきましたが、地元には抑止力の強化がかえって地域の緊張を高めると、配備拡張を警戒する声もあります。改めて南西地域の防衛体制を強化する意義を教えてください。あわせて、今後、これらの地域の住民とどのような姿勢で向き合っていくのか、大臣のお考えもお願いします。

大臣
 沖縄は、先の大戦末期において、県民を巻き込む凄惨な地上戦が行われて、軍民あわせて20万人もの多くの尊い命が奪われるなど、筆舌に尽くし難い苦難を経験をされたと認識をいたしております。防衛大臣としましては、このような沖縄の歴史をしっかりと心に刻みながら、引き続き、我が国の防衛を全うするとともに、沖縄の基地負担軽減に全力で取り組んでいく考えであります。
 その上で、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を踏まえれば、沖縄を含む南西地域の防衛体制の強化、これは喫緊の課題であります。このため、防衛省としては、これまで南西地域の陸自部隊の空白、これを埋めるべく、与那国島、奄美大島、宮古島及び石垣島への部隊の配備を行ってまいりました。
 引き続き、第15旅団の師団への改編、また、沖縄本島における補給処支処の新設など、南西地域の防衛体制の強化に努めていく所存でございます。このような南西地域の防衛体制の強化は、まず、力による一方的な現状変更やその試みを決して許容しないという我が国の意思を示すとともに、自衛隊の抑止力・対処力を高めるということで、我が国への武力攻撃そのものの可能性、これを低下をさせるものであります。南西地域の皆様をも含む国民の安全につながるものであると考えております。

中東情勢の緊迫化と自衛隊機の前進待機の意義

記者
 中東に関連して伺います。イスラエルとイランによる攻撃の応酬が続く中、政府は昨日、現地の空港が再開し、空路で退避させることが生じた場合などにも備えて、自衛隊に対して、ジブチにある拠点に自衛隊機の前進待機を命じました。
 政府は、希望者を対象に陸路での国外退避を支援していますが、今後、この支援に自衛隊が加わることというのはあるのでしょうか。また、今回移動せずに現地に残っている方々に対して、支援を自衛隊として行うのかどうかについてもあわせてお聞かせください。

大臣
 現在、緊迫の度合いを深めている中東情勢に鑑みまして、昨日、私から統合作戦司令官に対して、自衛隊の輸送機をジブチ共和国まで移動させることを命じました。これは、邦人等の輸送が必要となった場合に迅速に対応できるようにするためのものであります。あくまで輸送の可能性に備えた準備行為であり、この段階において、今後のオペレーションについて予断を与えるようなお答えをすることは差し控えたいと思います。
 その上で、邦人等を安全に退避させるためには、自衛隊機の活用も含めて、様々なオプションを用意をしまして、在外邦人の安全確保に万全を期す必要があります。防衛省としましては、状況の推移を見極めながら、邦人の安全確保に万全を期すべく、関係省庁と緊密に連携しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。

中国海軍艦艇の動向について

記者
 統合幕僚監部は17日、中国海軍艦艇の動向を公表しました。中国海軍の空母2隻の行動概要をみると、長期間にわたって2隻が太平洋に展開していた様子が分かります。「遼寧」は尖閣諸島周辺で活動した後、第2列島線の東側へ初めて入るなど、中国の軍事行動がより一層踏み込んだものになっていると感じますが、これら中国海軍空母の動向について、大臣の所感をお願いします。
 また、空母の動向についての現状の分析や、空母艦載機への対応の観点から、今後太平洋地域での監視体制をどう強化していくか、大臣の考えをお願いします。

大臣
 中国海軍の空母の「遼寧」及び「山東」は、5月末以降、昨日までに2隻合計で約1,000回に上る艦載戦闘機等の発着艦を繰り返しております。
 中国海軍の空母2隻が同時期に太平洋上で活動していることを確認し、公表したのは初めてのことであります。また、「遼寧」は、中国海軍の空母として初めて硫黄島より東側に進出をしたほか、「山東」は、沖ノ鳥島の周辺の排他的経済水域を含む海域で艦載戦闘機の発着艦、これを計100回以上実施をしました。
 中国は、「遼寧」及び「山東」の運用能力向上、遠方の海空域における作戦遂行能力の向上、これを意図しているものとみられます。防衛省・自衛隊は、引き続き、これら2隻の空母に対して、情報収集・警戒監視、これを厳正に行ってまいります。
 また、このような中、防衛力整備計画におきましては、太平洋側の広大な空域を含む我が国周辺空域における防空態勢を強化をするため、太平洋側の島嶼部等への移動式警戒管制レーダー等の整備を推進することとしており、また、隙目のない情報収集・警戒監視・偵察・ターゲティング(ISRT)、これを実施するために、洋上監視に資する滞空型無人機(UAV)、これを整備することといたしております。
 引き続き、こうした態勢整備を着実に進めていくとともに、太平洋側の海空域を含めた我が国周辺の警戒監視活動に万全を期して、力による一方的な現状変更、その試みを抑止するとの我が国の意思と能力、これを示していく考えでございます。
 なお、この時期に発表したということにつきましては、防衛省・自衛隊としまして、引き続き、これら2隻の空母を含む中国海軍艦艇の動向を注視をするとともに、警戒監視を万全に期してまいると。
 また、今後も警戒監視活動等を通じて得た情報、これを適時適切に公表しまして、我が国が隙目のない情報収集、警戒監視を実施している旨を顕示をすることなどを通じて、力による一方的な現状変更、また、その試みを抑止するとの我が国の意思と能力を示していくという考えによるものでございます。

記者
 関連で、冒頭一番最初、昨日までに1,000回繰り返しという話がありましたけれども、現状でも空母2隻は太平洋上にいるという御認識でよろしいでしょうか。

大臣
 先ほど、お話しましたように、この艦載機の状況につきましては、現状をですね、しっかりと把握をしながら警戒監視をしているということでございます。その内容等につきましては、具体的な内容になりますので、お答えは控えさせていただきます。

海自「たかなみ」の台湾海峡通過報道、事実関係は明かさず

記者
 海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が12日に台湾海峡を通過したとの一部報道があります。事実関係を教えてください。12日は、先ほどありましたように、統幕が中国軍機の異常接近を発表した翌日でした。今回の通過は中国軍の動きに対する対抗措置の意味あいがあるのでしょうか。また、米欧は通過をすることを発表して、戦略的なメッセージを対外的に発表しています。なぜ、日本はこれまでも含めて公式に発表しないのでしょうか。自衛隊の部隊行動の秘匿性はあるとはいえ、台湾海峡という公海上の航行を秘匿することは国民の知る権利を阻害することにつながらないでしょうか。大臣のお考えを教えてください。

大臣
 現在の状況につきましては、先ほど、お話をしましたけれども、海上自衛隊がですね、南鳥島の南西約300キロの海域におきまして、空母の「遼寧」を含む複数の中国海軍艦艇を確認をしたということです。また、宮古島の南東約550キロメートルの海域において、空母「山東」を含む複数の海軍艦艇を確認をしました。
 更に、8日には「遼寧」を、そして9日には「山東」の艦載戦闘機等による発艦をそれぞれ確認をしました。今、お尋ねのことについては、自衛隊の運用に関する事柄でありますので、お答えを差し控えさせていただきますけれども、この空母2隻がですね、同時期に太平洋上で活動しているということ確認して、公表したのは初めてとなります。
 台湾海峡についてのお尋ねがございました。お尋ねの内容につきましては、自衛隊の運用に関する事柄でありますので、お答えは差し控えさせていただきます。

今国会の成果と「熟議の国会」の自己評価

記者
 通常国会についてお伺いします。通常国会が会期末を迎えます。少数与党で迎えた今国会ですけれども、自衛隊の処遇改善に向けた法律など、防衛省関連の法案もいろいろ成立しています。改めて、防衛大臣として今国会をどういうふうに総括されるかということをお伺いします。また、大臣が常々おっしゃっている、熟議の国会ということができたかということも改めてお伺いいたします。

大臣
 今国会におきましては、衆参の予算委員会並びに各委員会等につきまして、防衛問題や安全保障に対する質疑が何度も行われまして、私も防衛大臣としてお答えさせていただきましたけれども、その結果、令和7年度予算においては、整備計画対象費としまして、過去最大となる8.5兆円、これをお認めをいただきました。
 また、防衛省から提案をいたしておりました「防衛省設置法等の一部を改正する法律」及びいわゆる「円滑化協定実施法」の2本の法律案を提出をしまして、いずれも成立したほか、防衛省関連の2つの条約、これは「日比円滑化協定」、また、「日伊ACSA」についても承認をいただきました。
 これら、法案につきましては、非常に我が国を取り巻く戦後厳しく複雑な安全保障環境を踏まえて、国民の生命・身体・財産、これを守り抜くために非常に重要なものでありました。
 また同時に、石破総理の強いリーダーシップの下に、関係閣僚会議において取りまとめられました自衛隊の処遇改善等に関する「基本方針」に基づきまして、30を越える手当て等の新設、金額の引き上げなど、これら自衛官の処遇、生活・勤務環境の改善、また、新たな生涯設計の確立に向けて、必要な措置を実現させるということができたというのは、大変意義深いものであったと考えております。
 今国会におきましては、石破内閣の一員として、国民の皆様の期待と信頼にしっかり応えて、熟議の国会になるように、私なりに謙虚に、誠実に、丁寧に答弁に努めてまいりました。こうした中で、法案の趣旨を幅広く御理解いただきまして、与党のみならず、一部の野党の皆様にも賛成いただけたということは大変ありがたく思っております。
 また、国民の皆様にもですね、努めて記者会見などを通じまして、丁寧に現状につきまして説明をさせていただきましたけれども、その結果、多くの国民の皆様方からも防衛省・自衛隊の取組について、理解・納得・共感、これが得られた、また、幅広く御支持いただけるようにですね、今後とも分かり易く、丁寧な説明を心掛けてまいりたいと考えております。

F-35Bの新田原基地配備と地元負担軽減策の検討状況

記者
 F-35Bの新田原基地への配備について、8月上旬にも実施するとの一部報道があります。かねて大臣も御説明されている地元の負担軽減策と、あわせて今の検討状況を教えてください。

大臣
 現状につきましてですね、航空自衛隊のF-35Bの新田原基地への配備につきましては、具体的な時期については、引き続き調整中でありますが、令和7年度中を予定をいたしております。
 この負担軽減につきましては、このF-35Bによる垂直着陸訓練の実施については、地元から厳しい御指摘もいただいておりまして、どのような負担軽減が可能であるのか、これは真摯に現在検討を行っておりますが、現時点において、この内容や時期についてお答えできる段階ではありませんが、検討した結果ですね、結論が出た場合には、改めて地元に御説明をさせていただく予定でございます。

(以上)

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