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[国会答弁]在日米軍基地におけるPCBに関する質問答弁

  • 日本の防衛

2025-6-26 12:25

 防衛省は令和7(2025)年6月24日(火)10時25分、第217回国会における閣議資料のうち、「在日米軍基地におけるPCBに関する質問に対する答弁書」を報道に公開した。
 その質問主意書と答弁書を以下に転載する。

質問主意書

令和7年6月13日提出
質問第273号

在日米軍基地におけるPCBに関する質問主意書

提出者 田村貴昭

 ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、変圧器やコンデンサー、安定器など電気機器に使用されてきたが、環境中で分解されにくく、生物への蓄積が認められてきたことから、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約によって、廃絶と適正処理が求められている。国内でも、いわゆるPCB特措法により、2027年までに全てのPCB含有電気機器の廃止、処理を終了させ、国内から完全に廃絶することとなっている。
 有害物質であるPCBの処理は、汚染者負担の原則に基づかなければならないが、防衛省は米軍のPCB含有機器、廃棄物を日本側で引き取り、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)等において、処理されてきた。
 したがって、次の事項について政府に対し質問する。

一 防衛省は昨年の私の問合せに、在日米軍施設・区域のPCB廃棄物量は2022年度から2023年度まで約463トン、処理費用は約4億4830万円と回答した。その後、直近までのPCB廃棄物量と処理費用についてそれぞれ可能な限り明らかにされたい。

二 全国5か所のJESCO処理施設の稼働状況について及びこれまでのコンデンサー等の処理台数、安定器等の処理トン数の総量について、政府の把握するところをそれぞれ可能な限り明らかにされたい。

三 環境省は、2023年12月21日に、北海道及び室蘭市に対して、2023年度で処理事業を終了する西日本、北九州、大阪、豊田事業エリアにおいて今後新たに高濃度PCB廃棄物が発見された場合、2025年度末までの間、JESCO北海道事業所にて受け入れることを要請したと承知している。
 その中には、在日米軍基地に残存するPCBは含まれないことを、2024年2月28日の衆議院予算委員会分科会で、当時の伊藤環境大臣が答弁している。また環境省も、西日本エリアの高濃度PCB廃棄物の処理、受入れを北海道に要請しているが、米軍のものは想定していない、そうした要請もしていないと答弁している。この答弁は今も変わりはないか。

四 米軍基地・施設内に残存するPCB含有機器及び廃棄物について

 1 数量はどのくらいあるのか。

 2 調査、聴取等は行っているのか。

 3 残存確認はどの府省庁が行うのか。

 4 返還地を含む在日米軍施設・区域における工事に際し、PCBの有無について、政府の把握するところを可能な限り明らかにされたい。

五 日本のPCB処理施設で、米軍のPCB廃棄物については処理しない方針のもと、米軍基地・施設におけるPCB廃棄物は、どのようにして処理するのか。いわゆるPCB特措法により、2027年までに国内から完全に廃絶することとなっているが、米軍PCBは米国等国外へ搬出して処理するのか。処理の方法について、政府の把握するところを可能な限り明らかにされたい。

六 防衛省が米軍のPCBを引き取り、防衛省の施設において保管しているとの情報があるが、それは事実か。そうであるならば、日本側が引き取っている根拠を示した上で、そのPCBの処理はどのように行うのか、JESCO北海道に処理を要請するのか、それぞれ明らかにされたい。

七 米軍のPCBは速やかに米国に持ち帰って処理すべきと考えるが、政府の見解はいかがか。

右質問する。

答弁書

衆議院議員田村貴昭君提出在日米軍基地におけるPCBに関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「防衛省は昨年の私の問合せに、在日米軍施設・区域のPCB廃棄物量は2022年度から2023年度まで約463トン、処理費用は約4億4830万円と回答した」の意味するところが必ずしも明らかではないが、防衛省が把握している限りにおいて、平成15年度から令和5年度までに、在日米軍施設及び区域から発生した、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号)第2条第1項に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物(以下「PCB廃棄物」という。)を処理した量は約482トンであり、その処理に要した費用は約6億円である。

二について

 お尋ねの「JESCO処理施設の稼働状況」の意味するところが必ずしも明らかではないが、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法(平成15年法律第44号)に基づき設立された中間貯蔵・環境安全事業株式会社は、北海道、東京都、愛知県、大阪府及び福岡県にポリ塩化ビフェニル廃棄物処理施設を設置しており、令和7年6月24日時点において、北海道及び東京都に所在する2箇所のポリ塩化ビフェニル廃棄物処理施設が稼働しているものと承知している。
 また、お尋ねの「これまでのコンデンサー等の処理台数、安定器等の処理トン数の総量」については、同年3月末までに、同社のポリ塩化ビフェニル廃棄物処理施設において処理を行った、1台当たりの重量が3キログラム以上の変圧器、コンデンサー等の機器は約39万5000台、安定器、汚染物等の量は約2万1000トンであると承知している。

三について

 お尋ねの答弁で述べられた政府の従来の見解に変わりはない。

四の1について

 お尋ねの「米軍基地・施設内に残存するPCB含有機器及び廃棄物」の「数量」については、日本政府として現時点において把握していない。

四の2及び3について

 お尋ねの「調査、聴取等」及び「残存確認」の有無を含む日米間での協議については、これを公にすると米国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあること等から、答弁を差し控えたい。いずれにせよ、在日米軍施設及び区域内の御指摘の「PCB含有機器及び廃棄物」については、米国との間で、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和35年条約第7号。以下「日米地位協定」という。)第25条1の規定に基づき設置された合同委員会等様々な場で、外務省、環境省、防衛省等関係省庁で連携しつつ、適切に処理されるよう働きかけるなど、環境対策が実効的なものとなるよう取り組んでいる。

四の4について

 お尋ねの「返還地を含む在日米軍施設・区域における工事」の意味するところが必ずしも明らかではないが、防衛省が行う、在日米軍から施設及び区域が返還された場合の原状回復措置並びに提供施設整備及び米軍再編に係る事業において発生したPCB廃棄物があると承知している。

五から七までについて

 在日米軍から施設及び区域が返還された場合の原状回復措置に係るPCB廃棄物については、日米地位協定第4条1の規定に基づき、また、提供施設整備及び米軍再編に係る事業におけるPCB廃棄物については、日米地位協定第24条2の規定に基づき、それぞれ日本政府が処理費用を負担し、在日米軍から返還手続をとった上で、防衛省が適切に保管しているところである。
 その上で、御指摘の「日本のPCB処理施設で、米軍のPCB廃棄物については処理しない方針」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本政府としては、外務省、環境省、防衛省等関係省庁で連携しつつ、環境対策が実効的なものとなるよう、米国政府との間で、PCB廃棄物の処理について協議しているところ、その具体的内容に係る事項については、これを公にすると同国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあること等から、答弁を差し控えたい。

(以上)

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