小泉防衛大臣が臨時記者会見 北朝鮮による弾道ミサイル発射事案について(11月7日)
- 日本の防衛
2025-11-11 17:48
令和7(2025)年11月7日(金)17時28分~17時37分、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣は、防衛省A棟1階エントランスにおいて、北朝鮮による弾道ミサイル発射事案後の臨時会見を行った。
大臣からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。
大臣からの発表事項
北朝鮮は、本日12時34分頃、北朝鮮西岸から、1発の弾道ミサイルを、東方向に向けて発射しました。詳細については、現在、日米韓で緊密に連携して分析中でありますが、発射された弾道ミサイルは、最高高度約50km程度で、約450kmを超えて飛翔し、落下したのは朝鮮半島東の我が国の排他的経済水域外であると推定しています。政府より、付近を航行する航空機や船舶への情報提供を行ったところ、現時点において被害報告等の情報は確認されていません。
総理には、本件について直ちに報告を行い、3つの指示がありました。1つ目が、情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行うこと。2つ目が、航空機、船舶等の安全確認を徹底すること。3つ目が、不測の事態に備え、万全の態勢をとること。以上の3つです。
そして、私からは、高市総理からの指示を受け、2つの指示を出しました。1つ目が、アメリカ、韓国等と緊密に連携しつつ、情報収集・分析に全力を挙げること。2つ目が、不測の事態の発生に備え、引き続き警戒監視に万全を期すこと。こういった指示を出し、対応に万全を期していたところであります。
北朝鮮は、先月22日にも弾道ミサイルを発射したばかりです。これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。また、このような弾道ミサイル発射は、関連する安保理決議に違反し、国民の安全に関わる重大な問題であります。
我が国としては、北朝鮮に対し、北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議し、強く非難をしました。防衛省としては、引き続き、アメリカや韓国等とも緊密に連携し、情報の収集・分析及び警戒監視に全力を挙げてまいります。また、北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射事案が示すように、安全保障環境が急速に変化する中で、防衛力変革のための取組を進めることについて、遅すぎることはあっても、早すぎることはありません。我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守っていくために何が必要か、あらゆる選択肢を排除せずに検討していく考えであります。
記者との質疑応答
北朝鮮の弾道ミサイルや今後の動向について
記者 :
本日、弾道ミサイルが発射されました。ミサイルの種類であるとか、発射の成否など現時点での分析状況について伺います。また、日本政府としてですね、日米韓のリアルタイム共有など、各国とどのように連携して対応されたのか、その状況についても教えてください。
大臣 :
防衛省としては、平素からアメリカ、韓国等と緊密に連携しながら、必要な情報の収集・分析に努めているところであります。更なる詳細については、引き続き、分析中ということです。
記者 :
韓国の国防省は、北朝鮮側が決断すれば、短時間で核実験が可能で、軍事偵察衛星の更なる打ち上げについても準備をしているとしています。木原官房長官は先ほどの会見でもですね、今後も各種ミサイルの発射や衛星の打上げ、核実験などの更なる挑発行為に出る可能性はあるとおっしゃってます。具体的に、防衛省・自衛隊としては、いつからどのような行動に出ると分析されているのか教えてください。
大臣 :
この北朝鮮の動向についての分析については、常に注視をしながら、米韓共に連携しているところでありますので、今の最新の状況についても常に確認をしながら、あらゆる事態に備えることは当然のことだと思います。
台湾有事に関する高市首相の発言について
記者 :
先ほど高市首相は衆議院の予算委員会で、台湾有事について聞かれて、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、存立危機事態になり得るケースであると私は考える」と述べられました。存立危機事態と政府が認定すれば、集団的自衛権の行使が可能となり、自衛隊が武力行使に踏み切る可能性を認めたものとなります。防衛省・自衛隊のトップである大臣は、この発言をどのように受け止められましたか。
また、米国のトランプ大統領は、台湾有事の際の対応について、明言していませんが、この首相の発言をどのように感じられたかもあわせて教えてください。
大臣 :
いかなる事態が存立危機事態に該当するかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して判断するものです。その上で、お尋ねの高市総理の発言は、その趣旨を述べたものであって、従来の政府の立場を変えるものではないと私は認識をしています。
いずれにせよ、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であり、台湾をめぐる問題が、対話により平和的に解決されることを期待するというのが我が国の従来から一貫した立場であります。政府としては、厳しさを増す安全保障環境の中で、いかなる事態においても、我が国の領土・領海・領空、そして国民の生命と財産を守り抜いていくため、引き続き万全を期していく考えです。
なお、あのやり取りは、私も席から聞いておりましたが、あの時は、立憲の岡田委員が総理の昨年の総裁選の期間中の発言を捉えて、指摘をされておりました。私は、昨年の総裁選も、その高市総理の発言をされた場にも、私は居ましたので、あの時の状況を振り返りますと、あれはおそらくテレビ番組に出演をした中で、こういったケースは存立危機事態に当たるかとか、個別具体的な質問をして、各候補者の見解を問うような、そういった番組の仕立てになっていました。そういったことがまず前提としてあった中での、高市総理の発言だということを抜きにして、今回のことを一部を取り上げて、何か指摘をするというのは私はそれは違うと思いますし、そもそも、今回のやり取りを私は聞きながら、根本的な基本的な認識として、一つ一つ個別の具体的な想定されるケースに対して、詳細に対応決めておくべきだという、そういったことは、私の認識としては基本的に違います。
この安全保障の分野で、現場で見ていれば、どのような事態を想定し得るかといったときに、できる限り柔軟に対応できるようにしなければ、国民の皆さんの命も、そして地域の平和も安定も私は成し遂げることはできないと思います。このケースだからこの事態、このケースだからこの事態、こういったことを明らかにして、相手はその手の内を見せられて、より日本に対する攻撃などを容易にするのではないでしょうか。
そういったことも含めてですね、やはり、この安全保障の今の環境が、日本にとって極めて厳しくなっていること。中国の3隻目の空母もそうですし、こういったときに、やはり今までの考え方も含めて、この危機的な安全保障の今の現状というものを正確にできる限り、もちろん言えないことはありますが、国民の皆さんにも丁寧に御説明をさせていただきながら、やはり、国民の命と、そして平和な暮らしを守り抜けるだけの、そういった対応というのは、私は不可欠なことではないかなというふうに思いましたので、むしろ今回のやり取りを通じて、安全保障の現実、こういったことを踏まえて対応をするのであれば、個別具体的なケースに対して、これはこの事態、これはこの事態と到底答えることはできないと。そういったことを私は改めて感じています。
(以上)
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