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[国会答弁]原子力潜水艦の保有の検討に関する質問答弁

  • 日本の防衛

2025-12-2 11:52

 防衛省は令和7(2025)年11月28日(金)8時37分、第219回国会における閣議資料のうち、「原子力潜水艦の保有の検討に関する質問主意書」を報道に公開した。
 その質問主意書と答弁書を以下に転載する。

質問主意書

質問第四六号
令和七年十一月十八日提出

原子力潜水艦の保有の検討に関する質問主意書

提出者 石垣 のりこ

 令和七年十一月十二日の参議院予算委員会において、羽田次郎参議院議員は原子力潜水艦に関する質疑を行った。羽田議員は、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第二条第一項における原子力の研究、開発及び利用は平和の目的に限る旨の規定の解釈として、原子力が殺傷力ないし破壊力としてではなく、自衛艦の推進力として使用されることも、船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、同じく認められない旨の昭和四十年の愛知揆一科学技術庁長官の答弁等を引用し、小野田紀美内閣府特命担当大臣(科学技術政策)に対して、現在の解釈を質した。これに対して、小野田内閣府特命担当大臣は、「原子力が殺傷力ないし破壊力としてではなく、自衛艦の推進力として使用されることも、船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、同じく認められないと考えられるとされております。」と答弁した。 また、小泉進次郎防衛大臣は、「何が一般化になったかなっていないかということは、明確なことはないと思います。」、「原子力の利用が一般化した状況について何かと問われましても、現時点で具体的にお答えすることは困難」と答弁した。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 全世界における民間船舶のうち、原子力を推進力として使用している船舶について、政府が把握している現在の数を示されたい。

二 船舶の推進力としての原子力利用が一般化した状況については具体的に答えることが困難だとしても、現在、一般化している状況にあるか否かは判断できると考える。政府は、前記一の民間船舶の数を踏まえ、船舶の推進力としての原子力利用が一般化している現状にあると考えるか、それとも、一般化していない現状にあると考えるか、見解を示されたい。

三 小泉防衛大臣は、「アメリカが韓国に対して原子力潜水艦の建造の許可を出す」ことなどを例示し、この半年間でも極めて大きな動きが日本を取り巻く安全保障環境に更なる負荷を掛けている旨答弁した。韓国が原子力潜水艦を保有することが日本を取り巻く安全保障環境に更に負荷を掛けることになる理由について、具体的な事例を挙げて示されたい。

四 防衛省は現在、通常動力型潜水艦として世界最高峰の能力を持つ「たいげい」型潜水艦を含めた潜水艦二十二隻体制を敷いていると承知している。同体制では我が国を取り巻く安全保障環境の変化に対応できないと認識しているか、政府の見解を示されたい。

五 原子力基本法は、我が国が世界で唯一の被爆国であることを踏まえた法律である。原子力基本法第二条第一項において、「原子力利用は、平和の目的に限」ると規定している理由及び同条の立法趣旨を明らかにされたい。

右質問する。

答弁書

一について

 政府として把握している限りでは、令和七年十一月時点で、我が国において、民間企業が御指摘の「原子力を推進力として使用している船舶」を有している事実はない。

二について

 また、海外において、民間企業が有している御指摘の「原子力を推進力として使用している船舶」の数については把握していない。 お尋ねについては、昭和四十年四月十四日の衆議院科学技術振興対策特別委員会において、愛知科学技術庁長官(当時)が「推進力として原子力の利用が一般化した状況というものが現在においては想像の域を出ない」と答弁しているところ、現時点においてもその認識に変更はない。

三について

 お尋ねについては、令和七年十一月十八日の衆議院安全保障委員会において、小泉防衛大臣が「今、周辺国が原子力潜水艦を持っている。そしてまた、韓国やオーストラリアについては、これからアメリカの協力の下で原子力潜水艦を保有をしていく。だから、日本が持った方がいいと言っているのではなくて、こういった周辺の戦略環境の変化を踏まえた上で、では、日本は、潜水艦として、今までのようなディーゼルなのか、原子力なのか、そういったことも検討する必要はあるという、決め打ちをしているわけではなくて、議論する必要性を私は申し上げております。国民の皆さんにも、こういった日本を取り巻く環境についても、共に認識を近づけるためでも、私は議論は引き続きやはり必要なことと思っております。」と答弁しているところであり、お尋ねの同月十二日の参議院予算委員会における同大臣の「この半年間の間でも極めて大きな動きがこの我々を取り巻く安全保障環境に更なる負荷を掛けている」との答弁については、我が国を取り巻く安全保障環境の変化全般に対応していく必要性について述べたものである。

四について

 令和七年十一月十八日の衆議院安全保障委員会において、小泉防衛大臣が「安全保障環境の変化が様々な分野で加速度的に生じる中で、更なる防衛力の強化と変革が必要であります。今後の防衛力の内容につきましては、来年中の三文書の改定に向けて、我が国の主体的判断の下、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、安全保障環境を踏まえて具体的かつ現実的に議論を積み上げてまいりたいと思います。」と答弁しているところ、お尋ねについても今後議論することとしており、現時点においてお答えすることは困難である。

五について

 原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第二条第一項については、同法制定時の提案理由説明において、広島及び長崎の経験を踏まえ、「第二条は、基本方針をうたっております。その中心は平和目的に限るということであります。つまり軍事的利用は絶対禁止するという意思である」と説明されているものと承知している。

(以上)

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