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小泉防衛大臣が記者会見 空自府中基地の視察や令和7年度補正予算案などについて(12月2日)

  • 日本の防衛

2025-12-4 14:15

 令和7(2025)年12月2日(火)14時29分~14時42分、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣は、航空自衛隊府中基地において閣議及び空自府中基地視察後の会見を行った。
 大臣からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。

大臣からの発表事項

航空自衛隊府中基地の視察

本日、航空自衛隊府中基地を視察いたしました。府中基地は、横田基地と並び、空自の作戦の中核となる基地です。最初に視察した航空支援集団司令部は、航空管制や気象観測等を通じて、我が国の領空を守る任務を様々な形で支援するとともに、その輸送力を活かして、政府専用機の運航や、海外で紛争が発生した際の邦人等の輸送を行う航空支援集団の司令塔であります。国内外で幅広く活動している隊員が、士気高く、ひたむきに一つ一つの任務を達成している。私はこの現場を直接確認し、本当に頼もしく感じました。
 次に視察した宇宙作戦群が任務とする宇宙空間の安定的利用の確保は、今や日々の国民生活の基盤を維持する上で必要不可欠なものであります。令和7年度中には宇宙作戦団へ、そして令和8年度には宇宙作戦集団への格上げを予定しており、航空自衛隊も航空宇宙自衛隊に改編します。宇宙領域の重要性がますます高まる中、他国の衛星を妨害・無力化する技術開発も活発化しています。防衛省・自衛隊は、宇宙空間の安定的利用の確保のための能力を引き続き強化し、国民の命と平和な暮らしを守るという任務を果たしていく考えです。
 本日、私は、こうした新たな重要任務に対して真摯に向き合う隊員を激励することができ、大変有意義でありました。その後は、常に隊員や御家族を支えていただいている協力会、関係団体の皆様との意見交換、そして、航空中央音楽隊の演奏を間近で披露していただきました。そして、その後には、隊員の御家族の皆様との写真撮影等含めまして、日頃から音楽を通じて、音楽で国を守るという崇高な思いで使命を果たされている航空中央音楽隊、そういった皆さんの仕事ぶり、演奏ぶりにも改めて私も勇気を、力をいただいた気がします。自衛隊音楽まつりも素晴らしかったですが、これからも更に海外との交流、そして自衛隊の士気の高揚、間違いなく力を発揮してくれると信じています。
 今回の視察を通じて、出会った我が国を守る、国防という共通の使命を果たすべく、様々な分野で懸命に任務に励んでいる一人一人の隊員を誇りに思います。防衛大臣として、こうした隊員の先頭に立って、国民の命や平和な暮らしを守り抜く、そして、任務に当たる隊員一人一人とその御家族を守り抜くという強い覚悟の下で、直面する課題に全力で取り組んでまいります。

補正予算の閣議決定とそのねらいについて

今日はもう1点、お話させてください。安保関連の予算についてであります。先週金曜日、11月28日、令和7年度補正予算案が閣議決定されました。防衛省においては、現下の安全保障環境を踏まえ、自衛隊における人的基盤の強化に係る経費を計上し、全ての隊員が士気高く任務に専念し、自らの能力を十分に発揮する環境を早急に整備することとしています。この結果として、約8割以上の隊舎居室が個室化されるとともに、空調設備については、3か月程度整備が早まる計画です。また、より能力の高いドローン対処器材を可能な限り早期に導入するための経費を計上し、自衛隊の基地に侵入するドローンを探知・識別し、電波妨害により対処することで基地警備に万全を期すなど、自衛隊の活動基盤の強化を図ることとしました。
 また、人件費・資材価格の高騰などの影響が生じ、防衛産業を取り巻く環境が厳しい中、自衛隊の装備品を製造する企業に対し、資金を早期に提供することによる納入の安定化や早期納入を確保することで、防衛力整備を図るとともに、日米同盟の抑止力・対処力を強化しつつ、地元負担の軽減を図るため、空母艦載機の移駐等のための事業や、先週に埋立てが開始されたようにですね、普天間飛行場の一日も早い全面返還の実現に向けた辺野古移設に係る事業など、米軍再編を着実に実施することとし、8,472億円を計上しました。
 その上で、今般の補正予算案においては、安全保障関連経費として、防衛省において計上した予算に加え、海上保安庁等の関係省庁所管経費として、0.2兆円程度、サイバー安全保障に必要な経費として、0.1兆円程度を計上しており、政府全体では1.1兆円程度となりますので、当初予算の9.9兆円程度と合わせた合計額は、11兆円程度となります。その結果、令和7年度において、国家安全保障戦略に定める対GDP比2%水準を前倒しで措置したと言えることとなります。
 引き続き、防衛力の一層の強化に当たって、国民の皆様の御理解をいただけるよう、更に丁寧な説明に努めるとともに、国会の場でも、政府として、補正予算を提出させていただいた後、しっかりと御説明をさせていただきたいと思います。

記者との質疑応答

自衛隊の中SAM輸出に関する報道について

記者
 自衛隊の中SAMの輸出についてお尋ねします。政府がフィリピンと非公式に協議を行い、防衛装備移転に関する5類型撤廃の決定後、速やかに輸出に向けて具体的な検討に入ると一部メディアが報じました。事実関係と、今後、装備品の輸出をどのように進めていくか、お考えをお聞かせ下さい。

大臣
 その報道については承知しています。防衛省としては、フィリピンとの防衛装備・技術協力について、平素から様々なやり取りを行っておりますが、中SAMの輸出に向けた協議を行っているという事実はございません。

三文書の改定をめぐる議論について

記者
 三文書の改定をめぐる議論について伺います。自民党内で、昨日、安保調査会の中でですね、三文書の改定に先駆けて5類型撤廃について議論を始めるということが決まりました。一部報道では、2月中をめどに結論を出すということもありますけれども、それに対する大臣の受け止めをお願いいたします。

大臣
 防衛省としては、この防衛装備移転三原則の運用指針の見直しを早期に実現をすべく、与党とも相談しながら、関係省庁とともに検討を行ってまいります。2月というふうな報道もありますけれども、この時期などについては、基本的な認識として、今の日本を取り巻く安全保障環境の現実を踏まえれば、遅すぎるという批判はあっても、早すぎるという批判には当たらないと、そういう思いでいます。

自民党政党支部が受けていた上限を超える寄附について

記者
 大臣が代表を務める自民党の政党支部が去年、企業から法律で定められた上限を超える1,000万円の寄附を受けていたことが分かりました。この上限を超える寄附を受け取った経緯をお聞かせください。また、上限を超えた額を返金する考えはありますでしょうか。

大臣
 本件につきましては、確認の結果、寄附を受けた企業の資本金額を知らず、上限を超える寄附を受けていたことが分かりました。このため、上限を超える金額について、直ちに返金を行っており、来年公表される令和7年分の収支報告書で返金を報告することとしています。今後は、寄附を受ける際の確認作業を徹底し、再発防止に努めてまいります。

ニュージーランドとACSAを結ぶ意義について

記者
 防衛外交についてお伺いします。一部報道で、今月の中旬にもですね、ニュージーランドの国防大臣と都内で会談するとの話が出ています。現在の調整状況を教えて欲しいというのと、ニュージーランドとはACSA締結に向けた話も進んでいますけれども、改めてニュージーランドとACSAを結ぶ意義、それから利点についてですね、大臣どのようにお考えか教えてください。

大臣
 その報道については承知していますが、コリンズ・ニュージーランド国防大臣の訪日や日ニュージーランド防衛相会談については、現時点で何ら決まったものはありません。また、日ニュージーランドACSAにつきましては、2025年7月の日ニュージーランド外相会談において、締結に向けた交渉を開始することで一致したところでありますが、御指摘の点を含め、今後の見通しについて予断をもってお答えすることは差し控えたいと思います。
 その上で、本協定は、自衛隊とニュージーランド国防軍が様々な活動を行うに際し、両者の間で物品・役務を相互に提供する際の決済手続等の枠組みを定めるものであります。この協定が締結される場合には、自衛隊とニュージーランド国防軍との間の緊密な協力が促進され、両国が、複雑化する国際情勢の中で、共に「自由で開かれたインド太平洋」の実現に寄与することが期待をされています。

宇宙作戦群の視察について

記者
 冒頭で宇宙作戦群の視察をしたということを御説明いただきましたけれども、もう少し具体的に、お部屋なのか、部隊なのかは分からないですけれども、具体的に何を見たのかということを可能な範囲で教えていただけますか。

大臣
 どこまで見たかということについては、機微なことも含めて報告を受けていますので、詳細については差し控えたいと思いますが、来年航空宇宙自衛隊に改編されるに当たって、これから求められることの一つは、国会でも、またこういった場でもそうですが、航空自衛隊が新たにこの宇宙と名前を冠していくことの意義、そして世界を取り巻く、この宇宙領域における現実、こういったものをどのように現場の部隊から詳細な報告を受けた上で、それをまた国会の中で、そしてまた国民の皆様に分かりやすく説明をする上では、大変有意義なやり取りをさせていただきました。
 今、この宇宙領域ですらですね、他国の衛星を妨害をする、そして無害化をする。仮にこういったことがあれば、正に今、皆さんも取材活動も携帯使ってやっていますけれども、携帯もGPSも使えない。そして、車の運転も含めてカーナビもそう。こういった宇宙領域をこれからも平和的に安定的に利用できる環境を整えることは、これは軍事だけではなくてですね、民生という部分においても極めて重要な領域になっています。そういった意義を説明をする上でも、現場の方からの説明と、内局の方からの説明とあわせて、それに対する意見交換等をさせていただいたと。今日はそれぐらいの説明で、御理解をいただければというふうに思います。

特定秘密保護法の取り扱いについて

記者
 まもなく施行から11年となる特定秘密保護法について伺います。施行10年となった昨年2024年は、特定秘密の不適切な取り扱いが陸・海・空3自衛隊でありましたが、防衛省として現状、改善に向けた取組がありましたら御紹介ください。また、防衛産業への参入促進の動きを踏まえ、今後は特定秘密を扱う民間の方が増えていくとみられますが、どのようなことに心がけていくべきか大臣のお考えをお聞かせください。

大臣
 防衛省は、国防という重要な任務を担っており、情報の保全はその根幹をなすものであります。このため、昨年12月に公表した不適切な取扱い事案等について、重く受け止めています。現在、防衛省においては、再発防止のため、例えば、個々の隊員のレベルに応じたきめ細かい教育資料の作成、現場の担当者が疑問点を気軽に相談できる秘密制度相談窓口の設置、ヒューマン・エラーを局限するための各種保全業務のシステム化に向けた調査研究といった施策を実施してきています。引き続き、防衛省一丸となって、情報保全体制の強化に向け取り組んでいく考えです。
 また、防衛産業による特定秘密の取扱いに当たりましては、企業の保全体制を着実に整備した上で、従業者の方々に、情報保全に対して高い意識をもっていただくことが重要だと考えています。このため、例えば、従業者の方々への教育が確実に実施されるよう監督していくなど、引き続き特定秘密保護法に規定する保護措置を確実に講じてまいります。

フィリピン軍への日本製システムの輸出に関する報道について

記者
 冒頭の幹事社質問に関連してなのですけれども、一部報道で日本とフィリピンの両政府が情報収集や指揮系統を担う日本製のシステムを初めてフィリピン軍に輸出する方向で調整しているとの一部報道がありました。事実関係と現状の進展等あれば伺いたいです。

大臣
 防衛省としては、フィリピンとの防衛装備技術・協力について、平素から様々なやり取りを行っているというのは先ほど申し上げましたが、当該システムの移転が決まったという事実はございません。

(以上)

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