荒井陸上幕僚長が定例記者会見 ダルマ・ガーディアン25、元陸上自衛官との和解やハラスメント対策など(2月10日)
- 日本の防衛
2026-2-13 12:45
防衛省 陸上幕僚監部は令和8(2026)年2月10日(火)、公式サイトにおいて、同日15時30分から実施された荒井正芳(あらい・まさよし)陸上幕僚長による定例記者会見の内容を公表した。
陸幕長からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。
陸幕長からの発表事項
米国およびインドとの共同訓練について
本日は私から2点、共同訓練についてお知らせします。
まず、明日2月11日から、九州・沖縄地域等において、米海兵隊との実動訓練、アイアン・フィスト26を実施します。
本訓練では、島嶼部を活用した実践的な環境下での水陸両用作戦を演練し、日米の相互運用性の向上を図ります。
次に、2月24日から、インド国内において、インド陸軍との実動訓練、ダルマ・ガーディアン25を実施します。
本訓練では、対テロ戦に係る各種行動を演練し、練度向上を図ります。
陸上自衛隊は、これらの共同訓練を通じて、作戦遂行能力の向上及び戦術技量の向上を図るとともに、各国との相互理解及び信頼関係を強化してまいります。
記者との質疑応答
日印共同訓練「ダルマ・ガーディアン25」について
記者 :
ダルマ・ガーディアン25では、今回日印の共同訓練で初めてドローン対処訓練を実施すると伺っています。ライジング・サンダー25でもドローン撃墜訓練を実施していたと思いますが、今回の対テロ戦で初めてドローン撃墜訓練を行う意義と期待する成果について教えてください。
陸幕長 :
ダルマ・ガーディアン25において、UAV対処訓練を実施する意義ですが、本訓練では敵UAVによる攻撃や情報活動、これを模擬した状況下において、陸自の訓練部隊がUAV対処器材を用いて、これを無力化する行動を演練します。当然、予想される戦場といえば、都市部になると思うのですが、そういう地域でもUAVの脅威が高まっておりますので、どのような場面でもUAV対処訓練を実施することに意義があると思います。今回は日本に比して各種制約が比較的少ないインドにおける訓練基盤・演習場を活用して、我々の持つ装備品の性能を最大限発揮し得る環境においてUAV対処に関する専門的識能を有するインド陸軍と共同で訓練を実施することで、陸上自衛隊のUAV対処能力を向上させる上で非常に意義があるものと認識しています。期待する成果はインド陸軍が対テロ戦の分野で優れた作戦遂行能力、経験を持つので、このような軍隊と訓練をすることによって、陸上自衛隊の作戦遂行能力、戦術技量を向上させることによる成果に期待したいと思います。
記者 :
今の質問に関連して、UAVの無力化について、機銃などで直接迎撃するやり方、レーザー光線で撃墜するやり方、電波を発射して無力化するやり方、これらの少なくとも3つのやり方があると思いますが、今回の訓練で想定しているのは、この中のどれでしょうか。
陸幕長 :
使用するUAV対処器材について、個別の器材についてどれを使用するか、その性能については陸上自衛隊の警備等の能力に関わるため回答を差し控えさせていただきますが、ご指摘がありましたとおり、電波妨害をするような器材、物理的手段により敵UAVを無力化する器材を使用することだけは申し上げたいと思います。
記者 :
そうしますと、レーザーは運ぶのも大変でありますので、難しいってことでしょうか。
陸幕長 :
申しましたとおり、電波妨害、物理的手段という形でありますが、それ以上のこういうものを持っているとか、そういったことは回答を差し控えさせていただきたいと思います。
記者 :
電波の方ですけど、実際問題、国内ですと電波法の規制でETCや携帯電話と交信してしまいますので高い出力が使えないと思いますが、それに関連しますと、遠くまで電波を飛ばせない、日本国内ですと実験ができないというか、かなり制約があるので本格的な実験ができないということをドローン事業者、あるいは関連企業から聞くのですが、陸自の場合は相当数のドローンを運用していると思いますが、そういった不便とかはありますでしょうか。
陸幕長 :
ご指摘ありましたとおり、国内の訓練基盤では、電波発射あるいは射撃区域の制約によりUAV対処器材の性能を最大限発揮した訓練に制約があると認識しています。であるからこそ、今回のような、あるいは昨年実施したライジング・サンダー25のような国外の訓練基盤の活用を含めてUAV対処能力の向上に努めていきたいと思っています。
記者 :
アイアン・フィスト26についてお伺いします。参加人数が過去最大ということで伺っておりましたが、自衛隊の参加者が増えたことが最大の要因と思いますが、その狙いについて教えてください。また、昨年9月のレゾリュート・ドラゴンは2021年に比べて、米軍は2倍ですが、自衛隊は10倍でして、日米の大規模な訓練で自衛隊の参加人数が増えている背景や狙いについて教えてください。
陸幕長 :
訓練参加規模ですが、これが増えている、あるいは減っていることについては、一概にお答えすることは、難しいと思っていますが、各種訓練の参加規模は、訓練の目的、訓練基盤の状況、それから参加する部隊の年度の予定とかを含めて我々として相手国と調整した結果によるものと考えております。今回のアイアン・フィスト26に関して言えば、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しい中で、本訓練を通じて水陸両用作戦における日米の相互運用性を向上させたいということ、これが日米の抑止力・対処力を強化し、我が国の防衛の実効性向上に直結すると認識しておりますので、一概に参加規模の比較や理由というのはお答えできませんが、訓練目的の達成具合というのは、重視をして参加規模を決定、調整しているところであります。
記者 :
ダルマ・ガーディアン25に関連してお伺いしますが、対テロ戦の訓練というところですが、現在の厳しい安全保障環境を踏まえてのインド陸軍との防衛交流の目的・意義、今後考えている分野での交流、拡大があれば教えてください。
陸幕長 :
インドの位置付けですが、我が国と中東、アフリカを結ぶシーレーンの中央に位置する大国であること、民主主義国であり我が国と基本的価値を共有している国であります。このような国の陸軍と実動訓練を実施するということで、インドによるインド太平洋地域への関与の強化、あるいは日印間の防衛協力を促進して、自由で開かれたインド太平洋の実現に寄与するということで、インドとの軍種間の防衛交流については意義があると思っています。その上で今回のダルマ・ガーディアン25の他にどのような交流をしているか、今後どう考えるかというご質問ですが、陸上自衛隊として今回のような共同訓練の他、ハイレベル交流、実務者の交流を実施しています。例えば、昨年12月に実施しましたLFSにおいては米国をはじめオーストラリア、フィリピン、マレーシアに加えてインド陸軍参謀総長等にも、ご参加いただき交流しています。また先日も陸幕の幕僚がインドに赴いてインド陸軍との間で水陸両用作戦に係る専門家の交流を実施して、現在の状況や今後どのような訓練の拡大の機会があるかを話し合ってきたところです。この他、定期的な日・印間の幕僚協議を継続しているところであります。
記者 :
印陸軍との交流を深めるメリットはありますでしょうか。
陸幕長 :
我が国と基本的価値を共有する日印関係、なかんずく陸軍同士で関係を結ぶということで安全保障環境の改善、同志国との連携強化、これに関する意義があると思います。今回のダルマ・ガーディアンについては対テロ戦に絞って、お互いが得意とすることを知ったり、教えてもらう、そういうことで我々の作戦遂行能力の向上に寄与するという意義があります。
日米共同訓練「アイアン・フィスト25」について
記者 :
アイアン・フィストについて教えてください。米軍の基地に離発着することは初めてだと思いますが、どういう狙いがあってどういう訓練を行うのか分かれば教えてください。また、航空機がどこに飛来するか分かれば教えてください。
陸幕長 :
アイアン・フィスト26においては日米の各種航空機が参加をして、九州・沖縄本島で訓練に参加する予定であります。訓練内容は搭載卸下訓練、様々な場所での離着陸をすることによる慣熟、そういう場所での燃料補給訓練、そのようなことで練度向上、戦術技量の向上に資するという意義があると思います。航空機の運用に関しては現時点では回答を差し控えさせていただくということと、やはり地元への丁寧な説明という観点で情報が明確になる場合等においては、しっかり説明していきたいと思います。
記者 :
飛来する予定が決まったら、当該自治体に連絡されるという理解でよろしいでしょうか。
陸幕長 :
個別の訓練については、訓練の状況、天候の状況によってピンポイントでのお知らせの仕方はこれまでも実施していませんので、アイアン・フィスト26の訓練全般の中で使用する飛行場をお知らせしているところであります。
五ノ井里奈さんとの和解成立後の隊内でのハラスメント対策について
記者 :
1月末に元陸上自衛官の五ノ井里奈さんと国との民事訴訟が終結に至りました。非常に長い道のりを経て至ったわけですが、五ノ井さんの告発をきっかけにハラスメント対策を防衛省・自衛隊として進めているわけですが、その後の陸上自衛隊におけるハラスメントへの取組みに関して、成果や課題について、陸幕長のご所感をお伺いしてよろしいでしょうか。
陸幕長 :
令和8年1月26日、五ノ井氏と被告との間で和解が成立したということであります。ハラスメントというものは、隊員相互の信頼関係を損ない、組織としての精強性・健全性を揺るがす重大な問題であるという認識は変わりませんし、より強く感じているところであります。このような認識の下、陸上自衛隊においてはハラスメントを一切許容しない組織風土、これを根付かせるよう、引き続き一つ一つの取組を丁寧に継続して全体が安心して任務にまい進できる組織を作っていきたいと思います。
記者 :
一つ一つの丁寧な取組なんですけども、毎月の不祥事の発表も受けている訳ですが、これだけ巨大な組織ですから、定着するのは難しいと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。
陸幕長 :
現時点ではハラスメントを完全に根絶できているわけではありませんが、部隊の監察、あるいは隊員との懇談、各種アンケートなど、間接的に聞いたり、報告を受けたり、自分が部隊に視察に行く場合は隊員との懇談など、様々な手段を通じて、現場の状況を把握し、改善する方向を粘り強く続けるということに尽きると思っています。
ウクライナの無人機の研究について
記者 :
ウクライナが無人機の兵器輸出に向けた拠点を欧州に10カ所程度設置するという報道がありました。ウクライナの無人機はご存知のとおり、ロシアとの戦闘の最前線で改良を続けているものと認識しておりますが、こうしたウクライナの無人機について、陸上自衛隊として研究する必要性があるのか、その点はいかがでしょうか。
陸幕長 :
ウクライナの無人機を巡る動向については当然、陸上自衛隊として関心を持っておりますし、公開情報が主になりますが、情報収集、この場でもお話ししている共同訓練など諸外国との交流の中で、ロシアを含むドローンの動向については自分達自身でも情報収集しておりますし、海外の陸軍との交流の場でも話題になることが多いのでそういう場で情報交換を行い、学んでいるところであります。細部、どういうことを中心に情報収集しているか、どういうことをやっているかについては、我々の能力を推察される可能性がありますので、細部は控えさせていただきます。
(以上)
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