内倉統合幕僚長が定例会見 多国間共同訓練「コブラ・ゴールド26」の成果やイラン情勢など(3月13日)
- 日本の防衛
2026-3-17 12:15
令和8(2026)年3月13日(金)14時00分~14時12分、内倉浩昭(うちくら・ひろあき)統合幕僚長は防衛省A棟10階会見室で定例会見を行った。
統合幕僚監長からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。
1.発表事項
本日は、私から、令和7年度多国間共同訓練「コブラ・ゴールド26」の成果についてお知らせいたします。
自衛隊は、1月31日から3月6日までの間、タイ王国において実施された「コブラ・ゴールド26」に参加しました。
本訓練では、自衛隊の領域横断作戦、在外邦人等保護措置・輸送及び国際平和協力活動等に係る統合運用能力を維持向上させるとともに、参加した多くの国々等との連携を強化できました。
今後とも、自衛隊は、同盟国・同志国等との連携を強化し、「自由で開かれたインド・太平洋」の実現に寄与してまいります。
2.質疑応答
「コブラ・ゴールド26」の成果について
記者 :
冒頭発言の「コブラ・ゴールド」について伺います。今成果を教えていただいたのですが、こういった中東情勢も踏まえてもう少し成果を詳しく教えてください。
統幕長 :
本訓練での具体的な成果について3点申し上げます。まず、1点目は、自衛隊の統合運用能力の維持・向上です。具体的には、自衛隊が主導した在外邦人等保護措置・輸送訓練のほか、タイ及び米国主導の指揮所訓練、落下傘降下訓練、人道支援・災害救援活動、建設活動など、多くの訓練・活動に参加しまして、これまで培ってきた能力を発揮するとともに、各分野における統合運用能力を維持・向上することができました。
2点目は、外務省との連携の強化です。具体的には、ウタパオ海軍基地において行われた在外邦人等保護措置・輸送訓練では、外務省の訓練参加者とともに、一連の状況下で演練しました。このような訓練を通じ、必要な手続等について外務省と連携し、認識を共有しておくことは、いざという時に円滑かつ迅速に任務を遂行するために必要であり、今まさにその連携が発揮されているところであります。
3点目は、参加各国との連携強化です。具体的には、建設活動ではタイ及び米軍とともに、小学校内に多目的施設を建設しました。参加した陸自施設科隊員の高い技術力と作業規律は、タイ及び米軍並びに現地住民との信頼関係構築に大きく寄与したと考えております。また、人道支援・災害救援活動におきましては、台風災害発生時の国際緊急援助活動における多国間調整業務及び医療援助について訓練しており、各国との連携強化を図ることができました。以上3点です。
モルディブで待機しているKC-767について
記者 :
邦人輸送に絡んでもう1点お伺いいたします。現在モルディブでKC-767が前線待機している状況だと思います。政府チャーター機のバックアップ的な意味合いが強いと認識しているのですが、現在チャーター機の退避が順調に進んでいる状況もある中で、いつ頃まで派遣するかなども含めて今後の見通しについて教えてください。
統幕長 :
まず、私自身も先程、午後のニュースでチャーター機が無事に本邦に帰ってくるシーンを見ました。順調に、そして安全に運航されたことについて一国民としましても大変安堵しているところであります。現時点では、万が一、邦人等の輸送が必要となった場合、迅速に対応できるよう、念のためモルディブで待機態勢を取っているところです。
今後の待機期間を含めたオペレーションの具体的内容については、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。いずれにしましても、自衛隊としましては、現地の情勢や邦人の状況を踏まえつつ、外務省をはじめ、関係省庁と緊密に連携し、邦人の安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。
スタンド・オフ防衛能力の強化について
記者 :
スタンド・オフ防衛能力についてお伺いします。3月下旬に、陸自では健軍と富士の駐屯地にそれぞれ配備され、海自では渡米中のイージス艦「ちょうかい」がその能力を獲得するかと思います。JJOCが運用していくと思いますが、改めてその意義と現段階の準備状況、また運用に向けての課題があれば教えてください。
統幕長 :
防衛省・自衛隊では、平成29年にスタンド・オフ・ミサイルの導入を決定いたしまして、令和4年策定の国家防衛戦略でも重視する7つの能力のうちの一つとして、スタンド・オフ防衛能力を強化することとしていました。今般、スタンド・オフ・ミサイルとしまして、アメリカ製の「トマホーク」とノルウェー製の「JSM」の導入が開始されたところであります。
そして、今後の課題については、我々の能力に関わることですので、細部についてはお答えを控えたいと思いますが、いずれにしましても初めて導入する能力でありますので、納入した暁には実装かつ戦力化について、スピード・アップしていきたいというふうに考えております。
記者 :
関連して、イラン情勢でも顕著だと思うのですが、ミサイルの発射拠点などが攻撃の対象になっていると思います。自衛隊でもスタンド・オフ・ミサイルの発射拠点などが狙われるリスクというのは、拭えないものがあるのではないかと思っていまして、地元の方々の不安や懸念については、どうお考えでしょうか。
統幕長 :
お尋ねのありましたような、不安が出ていることについては承知しておりますが、ご指摘のようなことよりも、スタンド・オフ能力を具備することによりまして、より一層、抑止力・対処力を高めることにつながると思います。その効果の方が大きいというふうに考えているところであります。
いずれにしましても導入・配備に当たりましては、引き続き丁寧に地域の方々に説明してまいりたい、このように考えております。
イラン情勢について
記者 :
イラン情勢について、お尋ねします。昨日、イラン新指導者のモジタバ・ハメネイー氏が声明を出し、徹底抗戦の姿勢を示すとともに、ホルムズ海峡の封鎖を継続する方向性も示しました。
イラン情勢が長期化する恐れが高まっていますが、自衛隊が今後取りうる対応等を含めて、どのように見られていますか、また、アメリカの戦力が中東に集中することで、東アジアの安全保障環境に与える影響について、どのように考えていますか。
統幕長 :
イラン情勢についてのお尋ねでありますが、先週も申し上げましたが、現在の中東情勢の悪化は、私自身、深刻に懸念しており、事態の早期鎮静化が重要であると考えております。今後、どのように展開するかについては、予断をもって私自身が申し述べるのは、控えたいと思います。
いずれにせよ、自衛隊は、関係省庁及び関係国と緊密に連携し、情報収集に努め、中東地域で活動する部隊等の安全確保を図りつつ、適切に対応してまいります。また、我が国周辺、そしてこのインド太平洋地域におきましても、カウンタパートであるアメリカ本土においては、ダン・ケイン統合参謀本部議長そして、パパロ司令官等々と緊密に連携を取りながら、日米において、この地域で盤石の態勢を維持してまいりたい、このように考えております。
記者 :
ホルムズ海峡の近くでは、他国の民間船に対する攻撃などが相次いでいて、先日、商船三井のコンテナ船も、原因は分かりませんが、 損傷したという事案がありました。仮に日本の民間の船が攻撃された場合に、自衛隊としてどういう動きが想定されるのか、お答えできる範囲で教えてください。
統幕長 :
お尋ねの事例については、承知しております。しかし、後半部分の自衛隊の今後の活動については、仮定の質問ですので、現時点では、回答を控えたいと思います。
モルディブに待機しているKC-767および輸送部隊について
記者 :
モルディブに待機している輸送部隊というのは、現在は邦人退避のための訓練を重ねている状況になるのでしょうか。
統幕長 :
現在、KC-767、そして、その運航に係る約30名の隊員は、万が一邦人等の輸送が必要となった場合、迅速に対応できるよう、念のためモルディブで待機態勢を取っている所であります。
お尋ねのありました訓練を行った場合、その途中にいざという事があった場合、あるいは訓練を行うことによって飛行機にトラブル等があった場合について、課された任務を遂行できませんので、しっかりと待機を取っているというところになります。
記者 :
現状として1機派遣されているわけですけれども、イラン情勢がかなり緊迫化しておりますが、追加で機体を出す必要性についてはどのようにお考えでしょうか。
統幕長 :
お尋ねの件につきましては、冒頭で幹事社の方からご質問ありましたとおり、チャーター便が順調に円滑に運行されておりますので、それについては非常に安堵しているところであります。また、何機運航するかにつきましては、いつに外務省さんからの依頼に応じて、そして、そのニーズに応じて機種・機数を決めることとなっておりますので、現時点ではご指摘のような追加という事については考えておりません。
(以上)
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