内倉統幕長が定例会見 新年度の抱負、5つの「I」の達成状況など(4月3日)
- 日本の防衛
2026-4-8 09:37
防衛省 統合幕僚監部は令和8(2026)年4月3日(金)14時00分~14時20分、内倉浩昭(うちくら・ひろあき)統合幕僚長は防衛省A棟10階会見室で定例会見を行った。
統合幕僚監長からの発表事項はなく、記者との質疑応答が行われた。内容は以下のとおり。
1 発表事項
なし。
2 質疑応答
新年度を迎えての抱負、統幕長が掲げる5つの「I」の達成状況について
記者 :
新年度を迎えての統幕長の抱負と、統幕長が8月に就任して以来、掲げられている5つの「I」、「Integration」、「Interoperability」、「Inter-connectivity」、「Intensity」、「Innovation」、この5つの達成具合について、また課題についてもお聞かせください。
統幕長 :
まず、新年度を迎えることになりましたが、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑なものとなっております。国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、新たな危機の時代に突入しております。
欧州や中東における不安定な情勢が続く中、インド太平洋地域においても、中国や北朝鮮の更なる軍事力の増強、中露や露朝の連携強化など、安全保障環境は、かつてないほど急速かつ複雑に変化していると認識しております。
自由で開かれた安定的な国際秩序は、今、大きく揺らいでいると受け止めております。
新年度を迎えるに当たりまして、統合幕僚監部としましては、引き続き強い緊張感を持って情勢を注視しつつ、我が国自身の抑止力・対処力を不断に強化するとともに、日米同盟を基軸とし、同志国等との連携を一層深化させていくことが重要であると考えております。
自衛隊としましては、いかなる事態においても、我が国の独立と平和、そして国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、引き続き任務に全力を尽くしてまいる所存です。
戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中、我が国として主体的に、抑止力・対処力を強化するための取組を不断に検討し、防衛力の抜本的強化を着実に進めてまいります。
続きまして、私の方針であります5つの「I」についての達成状況であります。5つの「I」につきましては、いずれも短期間で完結するものではありませんので、不断に追求していくべき方針であると考えております。
その上で個別に申し上げますと、まず1点目、「一体化」を意味する「Integration(インテグレーション)」でありますが、統合幕僚監部と統合作戦司令部を中核とした統合運用体制の下で、領域横断的な作戦運用を念頭に置いた各種調整や訓練を積み重ねており、一定の前進が図られていると受け止めております。併せまして、政府の関係機関との連携の重要性についても申し述べました。これにつきましては、治安機関であります警察、そして、海上保安庁、さらには、国家安全保障局・外務省・国交省・総務省等、我々の運用に密接に関係のある関係省庁の皆様との連携については、今年の2月に行われました「キーン・エッジ」に先立つ関係省庁との連携訓練におきまして、私がかつて勤務していた時に比べて飛躍的に向上していました。そこを改めて認識したところです。
2点目のI、「相互運用性」、「Interoperability(インターオペラビリティ)」でありますが、日米間を中心に、共同訓練や平素からの調整を通じて、運用面での相互運用性の向上に継続的に取り組んでおりまして、日米同盟の抑止力・対処力の強化が着実に進展していると考えております。目指すところは、あらゆるレベルで、そしてあらゆる領域で、あらゆる機能において、密接に連携できる。そういう関係を目指していきたいと思います。
3点目の「連結性」を意味する「Inter-connectivity(インターコネクティビティ)」の観点でありますが、同志国等との二国間・多国間の枠組みを通じた連携が一層深化しておりまして、インド太平洋と欧州大西洋の安全保障が相互に連関しているとの認識の下、人的な信頼関係・部隊間の信頼関係の構築も含めて、着実に進展していると認識しております。これに関しましては、大きく分けてインド太平洋地域の参謀総長と、それから、それぞれの軍との関係。もう一つが、欧州・NATOを中心としたヨーロッパの国々との関係がありますが、その間に位置しておりますのが、まさに「IP4」と呼ばれます日本・豪州、そして、ニュージーランド・韓国であります。そしてその両方に跨っておりますのは、米国ということで、この5つの国の連携というのが重要であるということから、この関係からも読み取れるかと思います。そして、色々な参謀総長とのネットワークは日頃から構築していて、意思疎通も図っておりますが、緊急時に機能する人間関係、緊急時に機能する部隊間の関係、組織の関係というものを構築していきたいと思います。
4点目、「強度」を意味する、「Intensity(インテンシティ)」につきましては、統合運用の実効性を高める観点から、各種訓練、即応態勢の維持・強化、組織としての緊張感の保持に重点を置いて取り組んでおります。引き続き不断の改善が必要な分野であると考えております。キーワードは、これは主に米国との間で常に確認するところですが、訓練の高度化・実戦的な訓練、これに尽きると思います。
5点目、「変革」を意味する「Innovation(イノベーション)」であります。これこそ単年度や短期間で完結するものではなく、安全保障環境の変化に応じて不断に取り組み続けるべき分野であると認識しております。
そういった観点では、沢山の課題があり、まず、ウクライナを例にとると、ドローンの登場は攻撃側を更に有利にしたと考えております。別な言い方をすると、防御の難度を上げて、防御側のコストを増大させたと考えております。また、ドローンをドローンで攻撃する、迎撃する時代がやってまいりました。また、プラットフォーム・装備品が同じでも、ソフトウェアを改善することによって違う機能、改善された機能を発揮するということが当たり前になってまいりました。
それと、「認知領域」です。我々は、好むと好まざるとにかかわらず、平素から情報の洪水の中にいると言っても過言ではないと思います。その情報の中から真贋を見極めて、正しい情報を入手して、運用に資する、そして、意思決定に用いる。そういった取組が必要だと思っております。その観点でいきますと、隊員1人1人が「ITリテラシー」を高めて、「デジタルリテラシー」を高めていく必要があると考えております。また、意思決定の話を先ほどしましたが、例えば、飽和攻撃等を見た場合に、人間速度、人間の知能の速度では中々追いつきませんので、「機械速度」という言葉が最近、論文等で頻繁に使われてますが、そういったものを活用しながら、苛烈な環境にあっても適切な意思決定ができる、そういうシステム・組織体系を構築していく必要があると考えております。
最後にGPSに関してですが、私が空幕長の頃や、着任してすぐの頃は、カウンターパートであったり、企業の方々はGPSの信頼性が低下した状態での運用を考えなければいけない、あるいは指揮通信が劣化した状態、低下した状態での運用をしっかり考えなければいけない、という言葉が言われてましたが、最近になり、GPSが使えない、指揮通信が確立できないという、「Denied environment(ディナイド・エンバイロメント)」という言葉がよく使われますが、それほどこういう運用の環境というのは厳しさを増しているのだと思います。従いまして、陸・海・空と呼ばれる従来の領域に加えまして、「サイバー」、「認知」、こういったところでしっかりと態勢を構築していく必要があるということを考えております。
いずれにしましても、私自身としましては、現時点で達成度を自己評価するよりも、厳しさを増す安全保障環境の中で、これら5つの「I」を常に念頭に置きながら、統合運用体制の実効性を一層高めていくことが重要であると考えており、引き続き全力で取り組んでまいる所存です。以上です。
専守防衛を掲げる日本の防衛の難度について
記者 :
今の統幕長のお言葉の中で、無人機の導入で防御側のコストを上げた、攻撃側が有利になった、とのお話がありましたが、専守防衛を掲げる日本の防衛は、一層難しくなったという認識でよろしいでしょうか。
統幕長 :
難度は上がったと思いますが、それを達成しなければいけないと思っております。「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」と言いますが、そのレベルを一層上げていく必要がある、というふうに考えております。弾道ミサイルに加えて、巡航ミサイル等が同時に飛んでくることを従来は、統合防空ミサイル防衛の一つのシナリオ、というイメージで一般化されていましたが、そこに、さらに低高度で侵攻してくるドローン、そして、小さくてスピードが遅い、探知も困難、こういったことに、総合的に対応する能力を構築していく必要があるというふうに考えております。
自衛隊におけるドローン活用のイノベーションについて
記者 :
ドローン関係と言いますか、イノベーションの点で伺いたいのですが、ドローンがドローンを攻撃する事態になったっていう辺りとか、かなり低コストで、というところで、今のアメリカ軍の攻撃に対して、イランが山岳で迎撃態勢を整えているところだと思いますが、いわゆる自衛隊においても、小型ドローンを活かして、分散配置だけではなく、隠して配置するとか、場合によっては地下だとか様々なケースがあるかとは思いますが、そういう配置みたいなところで、航空機とか戦車とは違った工夫の余地がないかということが一つと、ドローンがドローンを攻撃するという点について、現時点では、自衛隊の方では基本的に電波妨害とレーザーを浴びせる装備品だと思いますが、今の話であれば、海外では実際にあるかと思いますが、文字どおり、ドローンないしは無人機がなんらかの武器を使って相手のドローンを撃墜する、ないしは無力化するという話だと思いますが、現時点では、どのようにお考えでしょうか。
統幕長 :
いくつかのご質問をいただきました。順番にお答えしたいと思います。
最初のご質問については、ご指摘のとおりで、私が今述べたものは積極防衛に関するところでした。従いまして、「分散配置」、それから「隠蔽する」、といった消極防衛も組み合わせて実施する必要があると思います。その場合以外には非常にコストがかかりますので、とてもクラシックな、古典的なやり方ですけども、今も引き続き有意であります。狭い日本であり、飛行場や港は限られていますが、可能な範囲で平素から分散配置することは、引き続き重要であるということであり、ご指摘のとおりです。
それから、自衛隊が逐次導入を考えておりますドローン等につきましては、「シールド(SHIELD)」というくくりで、複数のドローン等について要求をしております。そのうちの1つが、今ご質問のあったような迎え撃つドローンというものも含まれているように思います。詳しいところは担当から説明させます。ドローンから武器を発射するというものや、ドローンそのものが相手のドローンに当たるというドローンもあります。それも含めて迎撃ドローンと総称していたと記憶しております。
記者 :
体当たり自爆ドローンと、文字どおりなんらかのやり方で小型ロケット弾ですとか、機関銃かもしれませんが、それで撃墜するドローンというイメージでしょうか。
統幕長 :
個別の装備品についてはここで述べることは控えたいと思いますが、今言われたドローンの大きさにもよりますが、ドローンそのものが炸薬を持っていて、そのまま当たる、もしくは小さな武器を積んでいて、小型のロケットのようなもの、もしくは銃みたいなもので撃墜するものがあろうかと思います。
スタンド・オフ・ミサイルの今後の配備について
記者 :
防衛省は、いわゆる長射程のミサイルの配備を今年度からスタートさせた形になっておりますが、現在、発表されている各地への配備以外に、例えば、南西諸島への配備が必要なのかどうか、または、今後の計画で配備が十分だとお考えでしょうか?
統幕長 :
今後の事につきましては、現在省内で大臣を筆頭に検討しているところなので、予断を持ってお答えすることは控えたいと思います。まずは、現在計画中のものをしっかりと配備して実装化することが大事だと考えています。
記者 :
南西諸島を含めて検討する必要性はあるということでしょうか。
統幕長 :
個々別々の検討内容を含めましても、現時点で予断を持ってお答えすることは控えたいと思います。総合的な検討をしております。
人口減少を見据えた部隊改編の必要性について
記者 :
安保三文書の改訂に向けた自民党の議論の中で、今後の人口減少を見据えた自衛隊の部隊改編の必要性が取り沙汰されているのですが、これだけ隊員の応募数が減っている中で、将来的な自衛隊の定員削減というものは、避けられないものだというふうに、統幕長としてご認識されているのでしょうか。
統幕長 :
ご質問の件については承知しておりますが、先ほどのご質問と同じで、全ての懸念における総合的な検討を行っておりますので、現時点での検討の進捗状況、私自身の問題認識については控えたいと思います。その上で申し上げますと、人口減少というものについては、深刻に受け止めておりますので、しっかりした実効性のある方策を講じなければならないということについては、ご質問のとおりであります。
記者 :
中間司令部を縮小すべきだと以前より言われていると思うんですけど、去年も大湊が改編されたと思うのですが、この一年間新しい体制で運用してきて、この中間司令部が削減されることによって生まれ得る課題みたいなもので、統幕長が今感じていらっしゃることがあれば教えて下さい。
統幕長 :
お尋ねの件につきましては、まだ決まったわけではございませんので、仮定のことについてお答えすることは控えたいと思います。
その上で申し上げますと、どこの部隊、どこの司令部、どこの隊を整理する場合におきましても、その機能の必要性がなくなったのか、あるいは機能代替が他のものでできるようになったのか、そういったことを整理しながら、我々の任務に影響がないようにやっていくことになるかと思います。
米トランプ大統領によるイラン攻撃をめぐる演説について
記者 :
先日、アメリカのトランプ大統領が、イラン攻撃をめぐる件で演説をしておりますが、集中的な攻撃をイランに続けると示していて、撤退の時期も明言しませんでした。これについての統幕長の受け止めと、日本・自衛隊の影響についてお願いします。
統幕長 :
お尋ねの件でありますが、他国の首脳の発言に対してコメントすることは差し控えたいと思います。
その上で申し上げますと、現在の中東情勢の悪化は、私自身も深刻に懸念しており、事態の早期鎮静化が重要であると考えております。
いずれにしましても、自衛隊は関係省庁及び関係国と緊密に連携しまして情報収集に努め、中東地域で活動する部隊等の安全確保を図りながら適切に対応してまいりたい、このように考えております。
スタンド・オフ・ミサイルにおけるAI活用、長距離無人機との組み合わせ運用について
記者 :
スタンド・オフ・ミサイルの関連で陸海空米軍といった標的情報のネットワーク化が必要になってくるかと思うのですが、こうした点についてAIの活用も今後検討していくのでしょうか。もう1点、長距離無人機と組み合わせての運用といった報道も一部ありましたが、現在の統幕長のお考えをお聞かせ下さい。
統幕長 :
まずご質問の1点目ですが、大きく捉えてターゲティング機能という言い方をしますが、その中でAIを使うことについては有益だと考えております。それが検討の中で具体的な話がされているかについては、お答えを差し控えたいと思います。
2点目については、私自身は承知しておりません。
記者 :
シールド構想とスタンド・オフ・ミサイルの運用、今後、重なってくる動きというのは、あるのでしょうか。
統幕長 :
今のご質問についてでありますが、相手の脅威圏外からの対処によって自衛隊員の安全を確保しつつ、我が国への攻撃を効果的に阻止できるため、無人アセット防衛能力とスタンド・オフ・ミサイルが相まって対処能力の確保になると考えております。
(以上)
◎下の[次の記事][前の記事]ボタンで、日本の防衛に関するニュース記事を次々にご覧いただけます。
Ranking読まれている記事
- 24時間
- 1週間
- 1ヶ月
- 《寄稿》イラン革命防衛隊の “日本製ミサイル艇” —— 監視艇「つばさ」の数奇な運命
- 「自衛隊が目指す組織文化」を防衛省が公表 処遇改善への取り組みの一環(4月1日)
- 人事発令 4月2日付け、1佐人事(空自1名、陸自3名)
- スタンド・オフ・ミサイル「25式地対艦誘導弾」と「25式高速滑空弾」 名称も新たに部隊配備を開始(3月31日)
- 人事発令 4月3日付け、1佐職人事(空自1名)
- 人事発令 4月1日付け、1佐職人事(陸自5名、海自9名、空自26名)
- 馬毛島の基地建設、4月の工事作業予定などを防衛省九州防衛局が公表(4月1日)
- 人事発令 3月31日・4月1日付け、指定職等人事(4名)
- 陸上自衛隊、豪州で令和7年10月に実施の特殊作戦群実動訓練の成果を報告(4月3日)
- 航空自衛隊がブルーインパルスの2026年度展示飛行スケジュールを発表(3月3日)
- 《寄稿》イラン革命防衛隊の “日本製ミサイル艇” —— 監視艇「つばさ」の数奇な運命
- 人事発令 4月1日付け、1佐職人事(陸自5名、海自9名、空自26名)
- 人事発令 4月2日付け、1佐人事(空自1名、陸自3名)
- 人事発令 3月31日・4月1日付け、指定職等人事(4名)
- 人事発令 3月31日付け、1佐人事(海自6名)
- 馬毛島の基地建設、4月の工事作業予定などを防衛省九州防衛局が公表(4月1日)
- 防衛研究所の防衛事務官を懲戒処分 懇親会で複数名の身体に接触し精神的苦痛を与えたため減給(3月27日)
- 人事発令 4月3日付け、1佐職人事(空自1名)
- 「自衛隊が目指す組織文化」を防衛省が公表 処遇改善への取り組みの一環(4月1日)
- スタンド・オフ・ミサイル「25式地対艦誘導弾」と「25式高速滑空弾」 名称も新たに部隊配備を開始(3月31日)
- 《寄稿》イラン革命防衛隊の “日本製ミサイル艇” —— 監視艇「つばさ」の数奇な運命
- カナダ空軍哨戒機が北朝鮮籍船舶の「瀬取り」に対する警戒監視活動を3月下旬~4月上旬に実施
- 森田空幕長が臨時記者会見 航空自衛隊U-125Aによる事故2件について(3月6日)
- 人事発令 4月1日付け、1佐職人事(陸自5名、海自9名、空自26名)
- 人事発令 3月17日・18日・19日付け、1佐職人事(海自12名、空自1名)
- 防衛省、第10回処遇・給与部会を3月13日に開催 自衛官俸給表に関する資料を公表
- ニュージーランド空軍哨戒機が北朝鮮籍船舶の「瀬取り」に対する警戒監視活動を3月下旬~4月中旬に実施(3月25日)
- 人事発令 令和8年3月23日付け、将補人事(陸自26名、海自20名、空自11名)
- 森田空幕長が記者会見 F-35A用対艦・対地ミサイル「JSM」納入など(3月17日)
- 航空自衛隊がブルーインパルスの2026年度展示飛行スケジュールを発表(3月3日)

