防衛省が4月に開催した第2回宇宙領域アドバイサリーボードの議事要旨を公表(6月18日)
- 日本の防衛
2026-6-22 10:00
防衛省は令和8(2026)年6月18日(木)、4月9日(木)に開催した第2回宇宙領域アドバイサリーボードの概要について、ホームページの情報を更新した。
今回公表された議事要旨の内容は以下のとおり。
第2回宇宙領域アドバイザリーボード 議事概要
1 日時等
(1)日時:令和8年4月9日(木)16時00分~18時00分
(2)場所:防衛省第1省議室
(3)出席者:
【委員】
山川 宏(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事長)[座長]
遠藤 典子(早稲田大学研究院 教授)
木村 康則(国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター 上席フェロー)
瀧口 太(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事)
豊嶋 守生(国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)ネットワーク研究所 ワイヤレスネットワーク研究センター主管研究員)
森 聡(慶應義塾大学法学部 教授)
【防衛省】
事務次官、サイバーセキュリティ・情報化審議官、戦略企画参事官、調査課情報運用企画室長、防衛計画課長、サイバー整備課長
(防衛装備庁)
事業監理官(宇宙・地上装備担当)
(統合幕僚監部)
計画課長、運用第1課長、指揮通信システム官(サイバー)
(陸上幕僚監部)
防衛課長
(海上幕僚監部)
防衛課防衛調整官
(航空幕僚監部)
防衛課長、事業計画第2課長
2 議題
宇宙領域における防衛能力の強化にむけた今後の防衛省・自衛隊の取組について
3 議事概要
「戦略三文書改訂に向けた検討状況」「令和8年度宇宙関係予算の概要」について、防衛省から説明した後、討議を実施
4 各委員からの意見
宇宙政策全般
○ 段階的な戦略構築が重要。まず直近を想定し、既存の宇宙システムの活用や軽微な改修を前提として、運用練度向上により防衛能力の最大化を図る。その上で近い将来を想定し、既存の宇宙システムの段階的な改修、更新、増強による防衛能力の確保を実現する。
○ オールジャパンでの宇宙領域の優位性の確保が最も重要。政策文書でも安全保障の重要性が記載されているが、各省庁がそれを踏まえ資金や人材を増やすことにはなっておらず、日本として安全保障分野で技術を伸ばしきれていない。縦割り構造なく、横断的に連携して施策を進めてほしい。
○ 課題解決型のアプローチについて、日本でタイムリーな解決策を生むには、ニーズがシーズを引き上げ、両者が交差する点を早期に見極めることが重要である。
○ 既存の海外商用コンステレーションが必ずしも有事において利用できる保証はなく、Sovereignなシステムを保有・活用することが重要。衛星単体だけでなく、各種センサ、衛星・地上システム、通信基盤、各種インフラで構成されるエコシステム、そしてサプライチェーンを維持すること、またそれらの維持・構築にあたっては経済安全保障の視点を含めることが極めて重要である。
○ 衛星の量産に関連して、衛星コンステレーション事業は量産体制を後押しし、その成果が海外展開を含む民間ビジネスにつながる観点で、非常に高い波及効果をもつ取り組みである。
○ 宇宙から得られるデータは、有事の状況把握や対応判断に不可欠であるとともに、情報戦・認知戦で偽情報に対して事実を対外的に説明する根拠としても重要である。
迅速かつ的確な戦況把握
○ AIを活用しGPSジャミングの傾向を分析・予測するデータベースを国の資産として整備すれば、特に安全保障分野で有効に活用でき、また日本が優位性を持てる可能性がある。
○ 戦況のリアルタイム把握について、デジタルツイン上でシミュレーションやシナリオベースでの検討を行うことで、実際に事態が起きた際の対応能力向上につながる。
○ AIを活用した高精度なデータ基盤の構築には相当な開発コストが必要だが、日本では単独で担える企業は現状存在しない。出口・課題解決型志向で研究体制も含めて整備し、実際に試みていくことが必要である。
○ 静止軌道と低軌道から得られた情報について、将来的にデジタルツイン上で統合して利用できるようにしていくことは大変有用である。
○ 静止軌道上の光学アンテナは広範囲が一度に常時観測できるため、防衛用途に加え、防災の観点でも有用である。重要な技術として注目いただきたい。
○ VLEO(超低高度軌道)は日本がSLATS(超低高度衛星技術試験機「つばめ」)で世界に先んじて技術実証済みの分野であり、高分解能観測が実現できる。空中発射と連携することで、即応的に非常に高い分解能の衛星を打上げることが可能となるので注目に値する。
作戦の基盤となる衛星通信の確保
○ 高速・大容量化された、オールドメインにおける連接性・抗たん性を有する通信基盤の整備が喫緊の課題である。これはスタンド・オフ防衛能力の実効性確保や、多数の無人機、あるいはドローンを運用する観点においても重要であり、具体的な整備方針が論点となる。
○ 光通信やRF通信はいずれかを選ぶという問題でなく、柔軟に対応できる総合システムを構築し、順次導入していくのがよいのではないか。
○ 光通信は、特に衛星と地上との間に雲があると通信できない問題があるが、新しい技術として、10μm帯が注目されている。これは、雲を透過できる。用途としてHAPS(High Altitude Platform Station 高高度プラットフォーム)等との通信が考えられる。また、防衛省が先行してジャミングに強い新しい波長帯などの先端技術を開発・活用すれば、日本は技術的な優位性を確立できる可能性がある。
○ 光通信端末について、短期であれば海外ベースの調達もあると思うが、将来的には国産についても考える必要がある。経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)関連ではSDA(Space Development Agency 宇宙開発庁)の規格を組み入れて使う取り組みもあり、民間投資も含めて短期と長期目線での開発ができればよい。
○ 米国PWSA(Proliferated Warfighter Space Architecture)では、光通信端末や暗号デバイスが供給能力や認証に時間を要することがサプライチェーンのボトルネックとなっていると聞いている。日本でも、同種製品の調達リスクやその管理について検討が必要である。
機能保証
○ 衛星機能の喪失や復旧の不確実性に備え、抗たん性・強靭性確保の観点から、非宇宙ベースの代替的なプラットフォームによる冗長化も重要である。測位・ISR・通信の機能を多層的に担保する取り組みについて並行して進める必要がある。
○ VLEO(超低高度軌道)について日本ではシステム実証として十分に磨き込まれておらず、JAXAが中核となってリードすべき領域である。静止軌道が飽和する中、VLEOなど新たな軌道を使いこなすことが日本の優位性確保につながる。
(以上)
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