森田空幕長が記者会見 新田原T-4墜落の航空事故調査結果などに言及(7月31日)
- 日本の防衛
2026-8-3 19:15
令和8(2026)年7月31日(金)15時05分~15時13分、森田雄博(もりた・たけひろ)航空幕僚長は、記者会見を行った。
幕僚長からの発表事項と記者との質疑応答は以下の通り。
幕僚長からの発表事項
まずはじめに、この度の令和8年熊本地震で犠牲となられた方々に、深い哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の皆様に心よりお悔み申し上げます。また、被災された方々にお見舞い申し上げます。航空自衛隊は、引き続き、災害対応に全力であたり、国民の皆様の安心・安全の確保に努めてまいります。
本日は、お忙しい中お時間をいただき、ありがとうございます。新田原基地所属T-4練習機の墜落に係る航空事故調査結果について、ご説明いたします。まず、本事故により二名の隊員が殉職する結果となりましたことに対し、深い哀悼の意を表するとともに、ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。また、地域住民の皆様をはじめ、多くの皆様に多大なるご心配とご迷惑をお掛けしたことにつきまして、航空自衛隊として深くお詫び申し上げます。本事故は、昨年5月14日、名古屋飛行場を離陸した新田原基地所属T-4練習機が、搭乗員2名が脱出することなく、愛知県犬山市の入鹿池に墜落したものであります。航空自衛隊は、事故発生直後から、回収品の調査、航跡データの分析、関係者からの聴取及び各種検証を実施するとともに、航空交通管制、航空警戒管制、気象、操縦、指揮管理、整備及び器材、医学並びに心理の各側面から、多角的な観点で事故調査を実施してまいりました。その結果、機体構造、エンジン及び操縦系統等について、飛行中に明確な異常が発生していたことを示す事実は確認されませんでした。一方で、本事故は回収品の損傷等に加え、FDRが搭載されていなかったことにより、客観的裏付けとなる情報が不足しておりました。そのため、利用可能なあらゆる情報を収集し、必要な調査及び分析を実施しましたが、結果として墜落に至る直接的な原因を特定することはできませんでした。その上で、本事故に至る過程においては、操縦に関する要因、サバイバル・キットの干渉に関する要因及び機体定期修理に伴うサバイバル・キットの輸送手段の管理に関する要因が、複合的に影響した可能性が考えられると分析しております。このため再発防止策として、操縦系統に干渉する可能性を有し、航空機の安全な運航を阻害する要因となる物品の操縦席への持込みの禁止、機体定期修理等に伴うサバイバル・キット等の輸送手段の選定に係る判断基準の明確化及び周知徹底、基本手順及び基本動作の厳守、ノンテクニカル・スキルを活用した相互補完、低高度、高速域における飛行特性の把握、機を失しない脱出の決心を実施いたします。これらの対策につきましては、既に着手しており、実効性の確保に努めているところであります。
航空自衛隊は、本事故を極めて重大なものと受け止めております。本事故で得られた教訓を真摯に受け止め、安全確保を最優先として再発防止に取り組むとともに、国民の皆様の信頼回復に全力を尽くしてまいります。
記者との質疑応答
直接的な原因を特定できなかったことへの受け止め
記者 :
この事故の直接的な原因は特定できなかったということで、フライトレコーダーが搭載できていなかったことなどを挙げられていたと思うんですけれども、幕長として様々な分析、長い間行われたと思うんですけれども、直接的な原因まで特定できなかったことについての空幕長の受け止めについて、改めてお伺いしてよろしいでしょうか。
幕僚長 :
航空自衛隊につきましては、事故発生直後から、回収品の調査、航跡データの分析、関係者からの聴取及び各種検証を実施するとともに、航空交通管制、航空警戒管制、気象、操縦、指揮管理、整備及び器材、医学並びに心理の各側面から、多角的な観点で事故調査を実施してまいりました。一方で、本事故は、回収品の損傷等に加え、事故機にFDRが搭載されていなかったことにより、客観的裏付けとなる情報が不足しておりました。
そのため、利用可能なあらゆる情報を収集し、必要な調査及び分析を実施しましたが、結果として墜落に至る直接的な原因を特定することはできませんでした。その上で、本事故に至る過程においては、操縦に関する要因、サバイバル・キットの干渉に関する要因、機体定期修理に伴うサバイバル・キットの輸送手段の管理に関する要因が、複合的に影響した可能性が考えられると分析しております。これについては、先ほど申しあげたとおりであります。
墜落に至る直接的な原因は特定できませんでしたが、本事故調査で得られた教訓や知見を最大限活用し、再発防止策を徹底したいと考えております。また、この客観的裏付けとなる情報が不足していた状況で、利用可能なあらゆる情報を収集し、調査及び分析を実施して、航空事故調査報告書を取りまとめた航空事故調査委員会には労を多としたいというふうに思います。特に、事故調査において、現地調査と飛行状態解析等を担当した航空医学安全研究隊は、彼ら、彼女らが持っている高度かつ専門的な知識及び技術を存分に発揮して、事故に影響を及ぼした可能性が考えられる要因の分析に取り組んでくれました。この場を借りて、航空医学安全研究隊の活躍に改めて敬意と感謝を表したいと思います。
(以上)
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