防衛省が「令和8年版 防衛白書」を公表 今回初めて紹介動画も制作(8月4日)
- 日本の防衛
2026-8-6 09:57
防衛省は令和8(2026)年8月4日(火)に『令和8年版 防衛白書』を刊行し、公式サイトの「防衛白書」のページにおいて「本編」のPDF、および冊子には含まれていない「資料編」と「防衛年表」のPDF、そして若年者向けの『まるわかり!日本の防衛』を公表した。英語版、中国語版も同時に公表した。
防衛省は防衛白書について「できる限り多くの皆様に、できる限り平易な形で、わが国防衛の現状とその課題およびその取組について周知を図ることを目的として毎年刊行しています。」としており、とくに令和8年度版については以下のように紹介している。
“令和8年版防衛白書は、「未来につながる安全保障」をテーマとし、防衛装備移転三原則を改正し、「三文書」の前倒し改定を行う節目の年の白書として、安全保障政策が広く国民の未来につながっている点や、新しい戦い方などについて記述しています。
また、2025年4月から2026年3月まで(一部重要事象については5月まで)のわが国周辺国の軍事動向などわが国を取り巻く安全保障環境や、防衛省・自衛隊の取組、米国をはじめとする各国との協力などについてまとめています。
表紙は「未来につながる安全保障」のテーマのもと、わが国の未来へ希望を持てるようなデザインとしました。”
また今年は初めての試みとして、防衛白書を紹介するショート動画(防衛大臣メッセージ、30秒動画(スマホ向け)、3分動画、英語版、中国語版)も制作、公開した。
こちらには同日報道に向け公表された、閣議における「防衛大臣発言要旨」、「令和8年度 防衛白書の概要」を転載する。
閣議資料「令和8年版日本の防衛」(防衛白書)について
令和8年8月4日(火)閣議
防衛大臣発言要旨
本年の防衛白書は、中国、北朝鮮、ロシアの軍事動向などのわが国を取り巻く安全保障環境や、「新しい戦い方」をめぐる各国の動向などについて詳細に記述しているほか、「三文書」を踏まえて進めている防衛力の抜本的強化のための防衛省・自衛隊の取組もまとめております。
また、「未来につながる安全保障」というテーマのもと、新しい部を項目立てして防衛産業・科学技術に関する記述を充実させた上で、コラムも活用して多角的に紹介しております。
資料 令和8年版防衛白書の概要について
1 構成
| 令和8年版 | 令和7年版 |
|---|---|
| 第Ⅰ部 わが国を取り巻く安全保障環境 | 第Ⅰ部 わが国を取り巻く安全保障環境 |
| 第Ⅱ部 わが国の安全保障・防衛政策 | 第Ⅱ部 わが国の安全保障・防衛政策 |
| 第Ⅲ部 防衛目標を実現するための3つのアプローチなど | 第Ⅲ部 防衛目標を実現するための3つのアプローチなど |
| 第Ⅳ部 防衛生産・技術基盤の強化 | 第Ⅳ部 防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するための基盤の強化 |
| 第Ⅴ部 人的基盤の強化 | 第Ⅴ部 防衛力を維持・強化するために必要な基盤や取組 |
2 内容
(1)全般
○ 防衛白書は、わが国の防衛政策への理解の促進を図るために毎年夏頃に刊行
○ 第Ⅰ部では、諸外国の防衛政策、新しい戦い方や先端技術の動向などについて記述
○ 第Ⅱ部では、安全保障と防衛の基本的考え方、「三文書」の概要、防衛を担う組織、自衛隊の行動に関する枠組みについて記述
○ 第Ⅲ部では、わが国自身の防衛体制、日米同盟、同志国などとの連携、地域社会や環境との共生に関する取組について記述
○ 第Ⅳ部では、防衛生産・技術基盤に関する取組について記述
○ 第Ⅴ部では、自衛官の処遇・勤務環境の改善などを含む人的基盤の強化について記述
(2)主な記述内容
第Ⅰ部
○ 概観
【戦後最大の試練の時を迎える国際社会】
▪普遍的価値やそれに基づく政治・経済体制を共有しない国家が勢力を拡大
▪力による一方的な現状変更やその試みは、既存の国際秩序に対する深刻な挑戦に
▪国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、新たな危機の時代に突入
【厳しさを増すインド太平洋地域の安全保障】
▪グローバルな安全保障環境と課題は、インド太平洋地域で、将来さらに深刻さを増す可能性
▪ウクライナ侵略と同様の深刻な事態が、とりわけ東アジアにおいて発生する可能性
○ ロシアによる侵略とウクライナによる防衛
【ロシアによるウクライナ侵略は、国連憲章を含む国際法の深刻な違反】
▪力による一方的な現状変更は、国際秩序の根幹を揺るがす行為
▪このような侵略は、わが国を含む国際社会として、決して許すべきではない
【ウクライナ侵略が国際情勢に与える影響と各国の対応】
▪ウクライナ自身の強固な抵抗に加え、国際社会が結束して強力な制裁措置を実施
▪わが国としては欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分との認識
○ 米国
▪国家安全保障戦略、国家防衛戦略が発表され、改めて第2期トランプ政権の安全保障戦略が明らかに
▪戦争省は「力による平和」を回復するとし、本土防衛を最優先としつつもインド太平洋における中国抑止などにも重点
○ 中国
▪中国の軍事動向などは、わが国と国際社会の深刻な懸念事項であり、これまでにない最大の戦略的挑戦
▪わが国の総合的な国力と同盟国・同志国などとの協力・連携により対応すべきもの
▪透明性を欠いたまま、継続的に高い水準で国防費を増加。核・ミサイル戦力や海上・航空戦力を中心に軍事力の質・量を広範かつ急速に強化
【わが国周辺などでの活動】
▪尖閣諸島周辺をはじめ、東シナ海、日本海、西太平洋などわが国周辺全体での活動を活発化
‐ 2025年6月:空母1隻の硫黄島より東側の海域での活動、空母2隻の太平洋上での活動、中国軍戦闘機による自衛隊機への特異な接近
‐ 同年7月:中国軍戦闘爆撃機による自衛隊機への特異な接近
‐ 同年12月、空母による沖縄本島東方から奄美大島東方の太平洋上にかけての活動、中国軍戦闘機による自衛隊機への約30分にわたる断続的なレーダー照射
【台湾周辺での活動】
▪中国は台湾周辺での軍事活動を活発化。2025年も台湾周辺海空域で軍事演習をたびたび実施
▪中国軍が常態的に活動している状況の既成事実化を図り、実戦能力の向上を企図
【ロシアとの連携など】
▪ロシアとの連携を一層強化。わが国周辺では、爆撃機の共同飛行や艦艇の共同航行を実施し、わが国の安全保障上、重大な懸念。2025年12月、中露の爆撃機が東シナ海から太平洋上を四国沖まで共同飛行
▪同年9月、中露朝の首脳3人が並び立つ姿を示した。
○ 北朝鮮
▪北朝鮮の軍事動向は、わが国の安全保障にとって従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威
▪極めて速いスピードで継続的にミサイル開発を推進、「極超音速ミサイル」と称する弾道ミサイルなども発射
▪朝鮮労働党第9回大会では、今後5年間の新たな目標を提示。核・ミサイル開発を継続すると同時に、多様な装備体系の開発を目指していくものとみられる
▪急速に進展する露朝軍事協力を通じ、北朝鮮の軍事力が中長期的に増強されるおそれ
○ ロシア
▪ロシア軍は、極東方面への最新の装備の配備など、わが国周辺における活発な軍事活動を継続
▪同国の軍事的動向は、中国との戦略的な連携と相まって安全保障上の強い懸念
▪「強い国家」を掲げ、新型兵器の開発・配備に加えて、兵員数の増加や部隊編制の拡大改編も指向
▪北方領土において、不法占拠のもと、軍の活発な活動を継続
○ 中東地域
▪中東地域の平和と安定は、わが国を含む国際社会の平和と繁栄にとって極めて重要
▪2025年6月および2026年2月以降、イスラエル・米国とイランによる攻撃の応酬が発生。イランがホルムズ海峡の封鎖を宣言する一方、米国はイラン港湾に出入する船舶に対する海上封鎖を発表
▪その後、パキスタンなどを介して停戦期間の延長や交渉が行われ、2026年6月には、双方が戦闘終結などに関する覚書に署名した旨を発表
▪ガザ情勢に関しては、トランプ大統領の「ガザ紛争終結のための包括的計画」の下、当事者間で合意が成立。停戦と人質解放が実現するなどの進展
○ 新しい戦い方をめぐる動向
【新しい戦い方や課題】
▪ウクライナの戦場では、大量・安価・多種多様な無人アセットが投入
▪これに従来の砲弾やミサイルを組み合わせた大規模な複合攻撃が展開
▪AI・ネットワークによる意思決定の迅速化に加え、従来と比べ、極めて短いサイクルで装備品や戦術が更新される状況
▪侵略が長期化するなか、平素からの備蓄や持続的な対応能力を確保することの重要性も浮き彫りに
【新しい戦い方をめぐる各国の動向】
▪各国は、新しい戦い方や長期戦への備えを加速
▪無人航空機やAIの活用、偽情報への対策を含む情報戦、防衛生産・技術基盤の強化といった継戦能力の確保などに向けた取組を強化
▪防衛生産・技術基盤に関して、AI・量子・半導体などの先進技術の安全保障への適用・管理を積極的に推進
▪自国の防衛生産・技術基盤を国防に必要な要素ととらえ、国内企業参画支援や輸出の促進など様々な取組を強化
第Ⅱ部
○ 安全保障と防衛の基本的考え方、国家安全保障戦略などの「三文書」
▪力による一方的な現状変更は困難であると認識させる抑止力により、わが国を守る
▪現行の「三文書」を策定した2022年と比べ、安全保障環境の変化が様々な分野で加速度的に生じている
▪こうした中、「対GDP比2%水準」を、2025年度中に、前倒して措置
▪新「三文書」の検討などを目的とした防衛力変革推進本部において議論がなされており、「三文書」の2026年中の改定に向けて検討中
○ 安全保障と防衛を担う組織
▪平素から有事まであらゆる段階においてシームレスに領域横断作戦を実現するため、「統合作戦司令部」のもと、陸・海・空自を一体的に運用
▪あらゆる事態への対処に万全を期しつつ、増大する政策課題にもしっかり対応し得る体制を構築するため、2026年度に防衛副大臣を1人体制から2人体制へ強化
○ 自衛隊の行動に関する枠組み
▪今後、一定のサイバー攻撃について、自衛隊の部隊等がアクセス・無害化措置(通信防護措置など)を講じることが可能
第Ⅲ部
○ わが国自身の防衛体制
▪スタンド・オフ・ミサイルの配備。無人アセットによる多層的沿岸防衛体制(SHIELD)を構築
▪宇宙領域が作戦行動を行う領域になることを踏まえ、航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改編
▪南西地域の防衛体制を強化するため、第15旅団を「第15師団」に改編
○ 日米同盟
▪日米首脳会談において、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化すべく、幅広い安全保障協力を進めることで一致
▪日米防衛相会談において、急速に厳しさを増す安全保障情勢について認識を共有。日米同盟の一層の強化を確認
統合防空ミサイル防衛能力や宇宙領域での協力強化の必要性についても議論
▪沖縄をはじめとする地元の基地負担軽減のため、在日米軍再編に向けた取組を推進
○ 同志国などとの連携
▪事象を羅列するのではなく、図表を活用し、視覚的にわかりやすくメリハリのある記載
▪米国及び英国の軍高官から寄稿されたコラムを掲載(米国分は日米同盟の項目に記載)
▪FOIPを実現するため、多角的・多層的な防衛協力・交流を推進
▪同盟国・同志国などとの連携を強化し、抑止力・対処力向上により地域の安定を確保
○ 地域社会や環境との共生に関する取組
▪地域社会・国民の理解と協力の獲得を推進
▪積極的に広報活動を実施
第Ⅳ部
○ 防衛生産・技術基盤をめぐる状況
▪防衛生産・技術基盤は、いわば防衛力そのもの。各国は先端技術の獲得に注力
○ 防衛生産・技術基盤の維持・強化に向けた基本的な考え方
▪防衛と民生のデュアルユースの領域が拡大
▪防衛生産・技術基盤強化のための取組(スタートアップ企業活用の施策など)
▪革新的な民間先端技術の発掘・育成・取込のための施策(防衛省ファンディングなど)
▪防衛科学技術委員会の設置
▪防衛産業を支える企業、スタートアップ、科学技術研究者の幅広い声
▪防衛生産基盤の強化による、経済波及効果や民間部門への技術的な波及効果
○ 防衛装備・技術協力と防衛装備移転の推進
▪防衛装備移転三原則の運用指針における「5類型」の撤廃や装備移転の意義など
同盟国・同志国の抑止力・対処力を強化
同じ装備品を保有し、生産・維持整備基盤を共有することで、相互に支援する環境を構築
持続的な対応能力を支える国内生産能力を確保
▪諸外国との防衛装備・技術協力
米国との間の、共同研究・共同開発、ミサイルの共同生産や艦船・航空機の共同維持整備
豪による汎用フリゲート(「もがみ」型護衛艦の能力向上型)の選定
GCAPの進捗
○ 装備品の最適化の取組
第Ⅴ部
○ プロフェッショナルな自衛隊員
▪自衛官のみならず、事務官、技官、教官などの多様な隊員
▪自衛隊員一人ひとりが、わが国の平和と独立を守るという普遍の使命の担い手。結果を求められるプロフェッショナル。誰もがそれぞれの分野で重責を果たす
▪自衛隊員の子どもを含む、家族からみた声を掲載
○ 自衛官の処遇・勤務環境の改善および新たな生涯設計の確立など
【人的基盤強化の取組】
▪自衛官の人材確保は至上命題。2025年度は、過去例のない30を超える手当等の新設・引上げ等、自衛官の給与が過去最高の額となる給与改定を実施
▪自衛官の給与体系の独自改定に向けた検討など
▪幹部候補曹、陸自におけるサイバーなどの専門分野に特化した幹部の採用区分、新たな任期制士の創設など多様な採用区分を拡充
▪事務官・技官を対象とした「人財戦略」を初めて策定
▪定年年齢の引上げ、再任用推進、若年定年退職者給付金の引上げ、再就職先の拡充などを実施
【ワークライフバランス・女性の活用のさらなる推進】
▪多様な職員の活躍のため、採用・登用の拡大や中途採用職員などの活躍を推進
▪女性自衛官の配置制限を完全撤廃
(以上)
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