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国連事務総長が広島・長崎の式典に挨拶寄せる グローバルな核軍縮体制を訴え(8月6日、8月9日)

  • 日本の防衛

2026-8-10 16:30

 国連広報センターは2026年8月6日(木)と8月9日(日)、広島平和記念式典と長崎平和祈念式典にそれぞれ寄せたアントニオ・グテーレス国連事務総長の挨拶を公表した。
 いずれの式典でも、挨拶は中満 泉(なかみつ・いずみ)軍縮担当上級代表が代読した。内容は以下のとおり。

広島平和記念式典に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶(8月6日)

写真:広島市

 代読:軍縮担当上級代表 中満 泉
 81年前の今日、広島は廃墟と化しました。数万人の方々が一瞬にして尊い命を落とされました。そして、世界は核戦争の恐るべき力に直面しました。
 今日、私たちはこの場においてあの日の出来事を振り返り、犠牲となられた方々の魂を偲びます。そして、被爆者の方々に敬意を表します。被爆者の方々の数は年々減っていますが、彼らの平和へのメッセージは、これまで以上に重要な意味を持っています。
 この記念日は、厳粛な追悼の日であるだけではなく、私たち自らに問いかける時でもあります。81年前、この地が炎に包まれた経験から、私たちは何かを学んだのでしょうか?人類は平和な未来を選ぶのでしょうか?それとも、核による破滅という暗い影の下で生き続けるのでしょうか?
 私たちは今、地政学的な分断が深まり、不信感がつのり、競争が激化する時代にいます。核による惨禍を未然に防いできた規範と方策は、今、危機に瀕しています。
 数十年にわたって続いた核兵器削減の潮流が逆行しつつあります。核実験禁止という国際規範も脅かされています。世界の軍事費は急増し2025年には2兆9000億ドルに達しました。力の誇示と強制のため、核兵器による恫喝も横行しています。
 広島の教訓は、核兵器の恐ろしさだけではありません。核兵器の脅威が、そして使用が考えられない世界を築く必要性を教えてくれました。
 平和とは恐怖と力によって得られるものではありません。平和とは信頼によって築かれるものです。対話、外交、国際協力への継続的な投資によって。国際法への揺るぎないコミットメントによって。すべての国、特に核兵器保有国が、リスクを軽減し、信頼を再構築し、完全なる軍縮に向けての行動をとることによって。グローバルな軍縮体制を強化することによって。そして、核兵器こそが究極の安全保障であるというゼロサム思考を断固として拒否することによって──実際、核兵器は安全保障の対極に位置するのです。
 国連は、世界から戦争という惨禍を根絶するために設立されました。そして、1946年の第1回国連総会における最初の決議は、核兵器の廃絶を述べています。その約束は未だ果たされていません。しかしそれは、決して不可能というわけではありません。
 広島は、不屈の精神、復活、そして希望の象徴として、私たちに力強いメッセージを伝えてくれます。最も暗い時代を経験しても、私たちは異なる未来を選択し、築き上げることができると、広島の人々は世代を超えて、私たちに示してくれるのです。
 原爆投下から81周年を迎えるにあたり、確固たる意志と信念を持って行動しましょう。分断ではなく対話を、対立ではなく協力を、無意味な競争ではなく共通の安全保障を選びましょう。そして、広島の悲劇が二度と繰り返されない世界へと、一歩一歩歩んでいきましょう。
 2026年(令和8年)8月6日
 国際連合事務総長
 アントニオ・グテーレス

長崎平和祈念式典に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長挨拶(8月9日)

写真:長崎市

 代読:軍縮担当上級代表 中満 泉
 81年前、長崎は人類がいかに破壊的になれるかの象徴となりました。毎年8月9日、私たちは長崎の原爆で命を落とされた方々を追悼いたします。
 この街を再建し、悲劇を克服された世代に敬意を表します。そして、想像を絶する苦しみを揺るぎない道徳性をもって、同じ過ちを二度と繰り返してはならないと世界に訴えた被爆者の方々に敬意を表します。彼らの不屈の精神、協調、そして希望のメッセージは、今もなお生き続け、これからも永遠に生き続けることでしょう。
 2018年、私はこの長崎の追悼式典に出席した初の国連事務総長となり、そのことを今も光栄に思っています。ここで起きたことを世界は決して忘れてはならない―私はそう固く信じています。
 今日、私たちは深刻な地政学的緊張の時代にいます。信頼は失われつつあり、悲劇が再び起こるのを今まで防いできた規範が失われつつあります。
 数十年にわたって続いた核兵器削減の潮流が反転するやもしれません。核実験禁止という国際規範も脅かされています。世界の軍事費は急増し2025年に2兆9000億ドルに達しました。そして、核兵器による恫喝が横行しています。誤解、エスカレーション、そして戦争のリスクが年々高まっています。これはとても見過しできることではありません。
 人類が恒常的な脅威の下で生きなければならない理由はないのです。歴史は、たとえ激しい対立の時代にあっても、協力・進歩が可能であることを私たちに示しています。しかし、進歩のためには政治的意志とリーダーシップが必要です。私たちの安全保障は相互に依存しており、核兵器は不確実性を助長するだけだという認識が必要なのです。そして、長崎が示した核戦争の真の恐ろしさについての教訓に耳を傾ける必要があります。
 平和な未来への道は、信頼と予測可能性を強化することによって築かれます。戦争のための武器ではなく、対話、外交、協力といった平和の手段に投資することによって。すべての国、特に核兵器保有国が、リスクを軽減し、核兵器廃絶に向かう措置を講じることによって。そして、数十年にわたり核の惨禍を防いできたグローバルな軍縮体制へ再びコミットすることによって。私たちは共に、未来を対立と危機ではなく、協力と安定によって形作らなければなりません。
 長崎は今日、私たちに警告を発するとともに指針をも示してくれます。長崎は、私たちにただ惨禍を記憶にとどめるだけでなく、行動を起こすことを求めています。そして、信頼を再構築し、協力を強化し、分断ではなく外交を選択することを私たちに求めているのです。
 過去数十年にわたる長崎の人々を模範とし、私たちは皆、恐怖ではなく共通の目的によって支えられる平和な世界を築くことを誓いましょう。そして、この81周年の記念日に、被爆者の勇気を言葉だけでなく行動で称えようではありませんか。国連は、この目的を達成するため、皆様とともに歩むパートナーとなることを切に願ってやみません。
 2026年(令和8年)8月9日
 国際連合事務総長
 アントニオ・グテーレス
(以上)

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