《特集:ブルーインパルス》飛行展示と飛行条件の基礎知識
- 特集
2025-4-13 10:40
自衛隊の航空祭や国民的な行事で華麗なアクロバット飛行を披露する、航空自衛隊の展示飛行チーム「ブルーインパルス」。ここでは、飛行の基礎知識をお届けします。
会場によって飛行展示のパターンは3種類
ブルーインパルスが観客に披露する飛行のことを「飛行展示」と呼ぶ。
飛行展示には「曲技飛行」「編隊連携機動飛行」「航過飛行」の3種類がある。飛行場の上空でスリリングなアクロバット(曲技)を含む20数種類の多彩な演技課目を披露するのが「曲技飛行」、おもに飛行場以外の会場などで比較的穏やかな内容の演技課目を実施するのが「編隊連携機動飛行」、市街地上空などで各種隊形と単機での演技課目を披露するのが「航過飛行」だ。
つまり飛行場か、それ以外の会場か、市街地上空かといった展示会場の条件によって、どんなパターンで飛行するかが決まる。
そして、展示飛行のフルショーを見られるのは、長い滑走路を持つ飛行場(基地)で開催される、晴れた日の航空祭だけだ。駐機している機体に乗り込んでエンジンをかける「ウォークダウン」から始まり、「曲技飛行」を終えて着陸し、パイロットが地上に整列する「ウォークバック」まで、ショーアップされた様子で展開する。
天気が悪い場合は、これを縮小したかたちで実施し、曲技飛行ではなく、編隊連携機動飛行や航過飛行になる。
どんな飛行になるかは、視程や雲底の高さにも左右される
展示会場という条件以外に、ブルーインパルスの飛行に大きく影響するのが天候だ。そこでキーワードになるのが「視程」と「シーリング」である。「視程」は何キロメートル先まで見えるかを示した数字で、「シーリング」は全天のうち8分の5以上を覆う雲の底の高度(雲低高度)を示す数字だ。これによって明確な基準がある。
まず、視程が8キロメートルを下回った場合や、シーリングが3000フィート(約900メートル)を下回った場合は曲技飛行に代わって航過飛行が実施される。さらに視程が5キロメートルを下回るか、シーリングが1500フィート(約450メートル)以下にまで悪化した場合は、すべての展示飛行が中止される。
また視程が8キロメートル以上あっても、シーリングの高さによって実施する演技課目は変化する。それを定めているのが「演技区分」だ。
第1区分や第2区分では空高くループを描く大きな垂直系の技を見ることができ、第3区分や第4区分では上限高度が抑えられているので、旋回を中心にした水平系の課目がほとんどになる。
シーリングと演技区分の関係はこちらのとおり。
区分 | シーリング |
---|---|
第1区分 | 10,000フィート(約3,000メートル) |
第2区分 | 7,000フィート(約2,100メートル) |
第3区分 | 5,000フィート(約1,500メートル) |
第4区分 | 3,000フィート(約900メートル) |
ブルーインパルスの代表的な隊形
ブルーインパルスを操縦しているのは、全員が航空自衛隊の戦闘機パイロットだが、戦闘機でも行わないような密集編隊で飛行する。その編隊の組み方には様々なパターンがあり、20種類以上になる。ここでは代表的な8つの基本隊形を紹介しておく。
ブルーインパルスの代表的な演技課目
ブルーインパルスの演技課目は50以上にのぼる。一度の展示飛行で実施されるのは20数課目で、シーリングが低いときにしか実施されない課目もあるため、そのすべてを見ることは案外難しい。
ここでは、編隊で行う「編隊課目」、1機または2機で行う「ソロ課目」と「デュアルソロ課目」、スモークを効果的に使う「描きもの」のなかから、代表的なものを少しずつ紹介しておく。
(以上)
※《特集:ブルーインパルス》の記事は、航空祭シーズンの始まりに向けて徐々に数を増やしてゆく予定です。
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