小泉防衛大臣が江田島で臨時会見 日鉄跡地での複合防衛拠点の整備など(9月7日)
- 日本の防衛
2026-9-9 20:15
令和8(2026)年9月7日(月)16時33分~16時45分、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣は、海上自衛隊江田島地区において、日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区跡地及び海上自衛隊江田島地区視察後の臨時会見を行った。
大臣からの発表事項、記者との質疑応答を以下に転載する。
発表事項
本日、日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区跡地と海上自衛隊江田島地区を視察しました。
瀬戸内製鉄所呉地区跡地における複合防衛拠点の整備
瀬戸内製鉄所呉地区跡地については、先月28日に防衛省と日本製鉄との間で、防衛省が取得するための契約を締結したところです。現在、日本製鉄が解体工事を進めている状況などを現場の社員の皆さんから御説明をいただきました。本日の視察を経て、この地に多機能な複合防衛拠点を整備することは、防衛力の強化を着実に進めるものであり、我が国の安全保障上重要な意義を有するものであるとの認識を一層深めることができました。引き続き、日本製鉄と緊密に連携しながら、拠点整備を着実に進めていきます。
また本日は、新原呉市長と林田市議会議長とお会いし、防衛省・自衛隊の取組に御理解いただいていることへの感謝を述べさせていただきました。呉市長からは、海上自衛隊と呉市の深い信頼関係についてもお話をいただきました。
また多機能な複合防衛拠点については、地域の発展に向けて、地元の皆様からの期待についてもお話をいただきました。防衛省としては、今月1日に民間企業誘致エリアに係る企業の募集を開始したところです。広く募集を行った上で、地元経済への貢献なども加味しながら評価を行い、企業を選定していく考えです。引き続き、広島県や呉市の御意見も伺いながら、事業の着実な推進と早期整備を進めてまいります。
海上自衛隊江田島地区の視察所感
続いて、ここ海上自衛隊江田島地区では、特別警備隊、幹部候補生学校、そして第1術科学校を視察しました。
特別警備隊は、海上警備行動に際して不審船の立入検査を行う場合などに予想される抵抗に対処し、その不審船の武装解除等を行うための専門の部隊で2001年に新編されました。新編されて25年の節目に視察できたことをうれしく思います。本日は、このような任務に備えた訓練展示を視察し、隊員の皆さんが高度で専門的な技能を身に付けていることを頼もしく感じました。また特別警備隊の隊員との交流の場では、任務に対する思いや、日頃の訓練について直接話を聞くことができました。隊員一人一人の強い使命感と誇りに触れ、大変心強く感じました。
加えて江田島地区には、明治以来の海軍兵学校の伝統を受け継ぐ歴史ある教育施設が数多く残されており、旧海軍時代から受け継がれてきた赤レンガの校舎や大講堂など、風格ある建物を実際に見ることができました。こうした歴史と伝統に彩られた教育環境の中で、学生たちが将来の海上自衛隊を担う人材として日々研鑽を積んでいることに深い感銘を受けました。
幹部候補生学校と第1術科学校では、学生と隊員の御家族との交流を行いました。幹部候補生学校は、海上自衛隊の将来を担う幹部自衛官を育成する学校として、幹部に必要な知識や技能に加え、シーマンシップやリーダーシップを重視した教育を行っています。また第1術科学校では、艦艇運用や航海、砲術など水上艦艇の運用に必要な専門教育が行われています。学生との懇談では、高い志を持って教育訓練に励む姿に接し、海上自衛隊の将来を担う人材が着実に成長していることを実感しました。歴史ある校舎と豊かな自然に囲まれた江田島で、学生たちが勉学や訓練に励む姿が大変印象的でした。また、隊員の御家族の方々との交流の機会をいただき、日頃から隊員を支えていただいている御家族の皆様に感謝の気持ちをお伝えすることができました。
この後は、海上自衛隊岩国航空基地を訪れ、現場で任務に当たる隊員の激励を行う予定です。冒頭は、今日は以上です。
質疑応答
日鉄跡地における複合防衛拠点 整備のスケジュール
記者 :
先ほどの日鉄跡地の件でお伺いさせてください。呉市と呉市議会も早期整備を要望しておりますけれども、多機能な複合防衛拠点の整備に向けて、地元住民への理解促進と課題もあるかと思います。この課題感及び工事着手、完成時期などのスケジュール感についてお聞かせください。
大臣 :
我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しており、防衛力の抜本的強化のために装備品の維持整備・製造、訓練、補給等を一体的に機能させ、部隊運用の持続性を高める必要があることから、日鉄の跡地を取得し、多機能な複合防衛拠点を新たに整備していきたいと考えています。
防衛省による施設整備を行うに当たって、現在、日本製鉄による地上構造物の解体や地下埋設物の撤去等が行われており、その完了まで一定の時間を要するとのことです。現時点で、今後のスケジュールの細部は検討中です。民間企業誘致エリアについては、比較的早期に引渡しを受けることが可能なことから、9月1日には、民間企業誘致に係る企業の募集を開始したところです。
本事業については、地域の発展に向けて地元からも大きな期待が寄せられています。今後、日鉄と連携しつつ、広島県や呉市と意思疎通を行い、地元の皆様にも様々な形で情報提供をさせていただきながら、事業を着実に進めていきたいと思います。
複合防衛拠点の活用
記者 :
今の複合防衛拠点の関連でお伺いします。防衛省が目指す継戦能力の強化や防衛生産・技術基盤の強化といった観点からですね、複合防衛拠点の整備にはどのような意義があると捉えていらっしゃるのでしょうか。また、どのように活用していきたいか見解を伺います。また、跡地の利用について、地元からは地域の活性化につなげて欲しいという声が出ていますが、今後どのように対応するお考えでしょうか。
大臣 :
今、ウクライナ侵略が5年目に突入していることも踏まえれば、侵略を試みる相手に攻撃を思いとどまらせるとともに、長期にわたる事態にも対応できる持続的な対応能力の確保が不可欠です。また、ドローンなど新しい戦い方に対応する防衛生産・技術基盤を構築していくことも踏まえ、こういったことも喫緊の課題となっています。
この点、呉地区において、装備品の維持整備・製造、訓練、補給等を一体的に機能させた多機能な複合防衛拠点を整備することは、こうした持続的な対応能力の確保や装備品の国内生産基盤の強化等につながる非常に重要な取組であり、安全保障上重要な意義を有するものと考えています。
最後の質問で、地元の地域活性化にどうつなげるかということありましたけれども、この事業をですね、着実に進めていくこと、そのことがひいては地域の、地元の活性化にもつながると思っていますので、先ほどの民間の企業の誘致エリアも含めまして、できることを着実に進めていくことが大事だと思っております。
隊員の処遇改善と元隊員およびご家族への支援
記者 :
隊員家族への支援について伺います。防衛省は、退職自衛隊員・家族支援庁の新設を検討されています。本日の部隊視察でも隊員家族と交流されましたが、家族に対して具体的にどのような支援が必要とお考えでしょうか。また、大臣は就任以来、部隊視察の際には隊員家族との交流を重ねておられますが、その狙いについても伺います。
大臣 :
自衛隊がその能力を十分に発揮するため、隊員の御家族への支援は重要であり、これまで宿舎の近代化や庁内託児施設の整備、シッターサービスなど様々な施策に取り組んできました。また、現職の自衛隊員の処遇改善に加え、国防の任務を全うした退職自衛隊員や平素から自衛隊員を支える御家族も、誇りを持って安心して生活できる環境の構築が必要だという思いから、今、私を委員長として、退職自衛隊員・家族支援の強化に関する検討委員会を立ち上げ、検討を進めているところです。
そして、令和9年度概算要求においては、退職自衛隊員・家族支援庁という、これは仮称ですけれども、新たな庁の設置を含め取組の強化を進めることとしています。
私は就任以来、全国の部隊視察の機会を通じて、隊員だけでなく、その御家族や家族会、協力団体の皆様とも積極的に意見交換を行ってまいりました。これは、現場の生の声を直接伺い、隊員や御家族が抱える課題や要望を把握し、それを施策につなげていくという、そういった思いからです。
実際にですね、視察時に、これは南西諸島の離島でしたけれども、視察時にペットの飼育要望、ペットが飼えないのでね、今隊舎の中で、官舎の中で※1、こういったことを何とかしてもらえないかという、お子さんからの、御家族からの声もありました。こういったことを、要望を受けて検討した結果、実際、今、既にですね、陸上自衛隊でペット飼育可能な宿舎が実現をしています。そして、これは今後も順次拡大することとしています。
※1 下線部:大臣発言中、「今隊舎の中で、官舎の中で」を「官舎の中で」に修正
そして今日もですね、隊員の御家族の中からは、やはり今、営内で生活をされている方、そしてまた、今、寮生活、隊舎の中でも※2、例えば、空室となっているようなところの鍵の管理とかですね、こういったことも家族の中で一部負担となっているような、そういった声も直接お聞きすることができました。様々な、今日、現場の声がありましたので、今日、私がしっかりと受け止めて、それを一つ一つ、省内で議論をして、一つでもですね、実際に形にできるように努めていきたいと思います。
※2 下線部:大臣発言中、「営内で生活をされている方、そしてまた、今、寮生活、隊舎の中でも」を「官舎で生活をされている方の中でも」に修正
そして、御家族のことだけではなくて、今日は隊員の皆さんからも様々な御要望をいただきました。特警隊は、皆さん御存じのとおり、非常に厳しい訓練をやっています。特に負荷のかかるような任務内容ですので、そういった皆さんからは、やはり、この負担に見合ったような待遇をしっかりと確保してもらいたいという、そういった声もありました。
今、来年に向けて、自衛官独自の給与体系を作るという作業をやっています。その中の一つのポイントとしては、やはり負担に見合った、そして、任務の内容のリスクに見合った、こういった待遇がしっかり用意できることっていうのは大事だと思っています。今日はそういった観点からも極めて重要かつ負担の重い、負荷のかかるような任務内容を遂行している特警隊の皆さんの率直な声というのは、私にとって非常に学びもありましたし、例えばですね、やはり最新の設備、最新の装備品についてもしっかりと供給してもらいたいという声もありました。特に、極めて重要な任務を遂行するための部隊ですから、そういった声も形にすべくですね、今日、視察には会計課長も同行していますから、しっかりと予算も含めて、これから省内で形につながるような議論をしていきたいと思います。
防衛省としては、今日、隊員の皆さんの声もそうですし、隊員の皆さんの御家族も含めて、この日本を守るという国防を担っているんだと、こういった思いですから、非常に歴史ある伝統ある江田島で、このような次につながるような声を聞くことができたのも、家族の皆さん、隊員の皆さんに心から感謝をしたいと思います。
(以上)
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