三菱電機が、宇宙光通信用光源モジュールの軌道上実証で全サクセスクライテリアを達成
- その他
2024-9-24 11:31
三菱電機株式会社は令和6(2024)年9月19日(木)、民生部品を活用した宇宙光通信用光源モジュールの軌道上実証で、エクストラサクセス(目標以上の成果)を含む全サクセスクライテリア(成功基準)を達成したことを発表した。
リリース内容は以下の通り。
宇宙光通信用光源モジュールの軌道上実証で全サクセスクライテリアを達成(民生部品の活用と超小型人工衛星への搭載により、低コスト化と開発期間の短縮を実現)
三菱電機株式会社は、民生部品を活用した宇宙光通信用レーザー光源モジュールの軌道上実証において、宇宙空間環境下での6カ月間の性能評価を実施した結果、性能劣化がないことを確認しました。これにより、エクストラサクセスを含む全サクセスクライテリア※1 を達成しました。なお、宇宙空間環境下における光部品の性能劣化を実環境下にて評価したのは当社が世界で初めて※2 となります。
近年、災害現場の状況把握や森林資源の保護など、さまざまな用途で人工衛星による撮影画像の活用が進んでいます。しかし、従来の電波を利用した衛星通信では、撮影画像の地上送信や衛星間の送信に際して通信容量や通信時間、通信距離などの制約があります。一方、宇宙光通信は電波による通信に比べて10倍以上の大容量化や高速化に加え、長距離通信を実現できることから、静止軌道衛星を介して低軌道衛星と地上局を常時接続することなどが検討されています。また、レーザー光線は電波に比べて波長が短く、地上の受信アンテナのサイズも小型化できるため、インフラの機能が停止した災害地域への運搬や、基地局の設置が難しい過疎地域や砂漠への設置、移動体への搭載などを可能とし、さまざまな状況でも衛星からの大容量通信を実現できます。そのため、世界では高価な宇宙専用部品を用いた宇宙光通信の活用が進んでいます。
これまで当社は、地上光ファイバー通信などで使用される、汎用的かつ高性能な1.5μm帯レーザーを活用し、宇宙光通信機器の開発を進めてきました。2022年5月に光受信器を開発※3 した後、放射線や熱真空の影響を抑え、民生部品を活用した超小型人工衛星への搭載が可能なレーザー光源モジュールを開発しており、従来※4 と比較して高性能化や低コスト化、開発期間の短縮を実現しています。このモジュールを産学連携プロジェクトで開発した超小型人工衛星「OPTIMAL-1」※5 に搭載し、宇宙光通信において重要なレーザー光周波数制御の軌道上実証を2023年1月から実施※6 してきました。この実証において得られた6カ月間の光源出力光パワーの数値をもとに性能評価を行った結果、出力性能の劣化がないことを確認し、宇宙空間環境下において当初計画されていた目標以上の成果が得られました。これにより、設定した4段階全てのサクセスクライテリアを達成しました。
当社は今後も技術開発を推進し、より早期の大容量宇宙光通信の実現と社会実装を通じて、安心・安全・快適な社会の実現に貢献します。
※1 サクセスクライテリアは、主に宇宙科学の分野におけるプロジェクトが成功したと評価するための具体的な基準や目標。エクストラサクセスは、難易度別に設定された複数段階の基準に照らし、目標以上の成果を達成すること
※2 2024年9月19日現在、当社調べ
※3 2022 年 5 月 31 日広報発表 https://www.MitsubishiElectric.co.jp/news/2022/0531-b.html
※4 当社の従来の宇宙空間環境下での実証試験との比較
※5 株式会社アークエッジ・スペースが主導し、経済産業省の産業技術実用化開発事業費補助金(宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業)に採択され、「TRICOM 衛星による超小型推進系・通信装置及び軌道上高度情報処理技術の実証事業」をテーマとして開発。株式会社 Pale Blue、セーレン株式会社、国立大学法人福井大学、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科、三菱電機が参画。国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟から2023年1月6日に宇宙空間への放出が完了。横10cm×奥行10cm×高34cmの直方体
※6 2023年6月20日広報発表 https://www.MitsubishiElectric.co.jp/news/2023/0620.html
(以上)
※上記のものとは別に、より詳しい内容を記した長文のPDFリリースも発表されている。
- 9月19日 三菱電機株式会社|宇宙光通信用光源モジュールの軌道上実証で全サクセスクライテリアを達成
- https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2024/pdf/0919-a.pdf
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