《レポート》宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE 2026」 防衛関係者も登壇(7月6日〜9日)
- 特集
2026-7-10 16:00
アジア太平洋地域最大級の国際宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE(スペースタイド)2026」が、2026年7月6日(月)から9日(木)までの4日間、東京の虎ノ門ヒルズフォーラムで開催された。2015年の第1回から数えて通算11回目となる今回は、「Unlocking Space for All Humanity - すべての人のために宇宙を拓く」をビジョンに掲げ、国内外から200名を超える登壇者、2000名規模の参加者が集った。
会期中は80を超えるセッションが組まれ、宇宙ビジネスの視点から、月面・シスルナ経済圏の構築、衛星コンステレーションや地政学にからんだ安全保障、そしてGEOINT(地理空間情報)分野の日米協力まで、業界の持続的成長を左右するテーマが幅広く議論された。
宇宙利用における安全保障の存在感は年々増しており、本カンファレンスの主催者であるNPO法人SPACETIDEの石田真康(いしだ・まさやす)氏も開会の挨拶で「宇宙安全保障は、いま日本において大きな焦点となりつつあります。(中略)3社の宇宙スタートアップを含む6社の民間企業が衛星コンステレーションの開発・運用を担う予定です。」と注目を促している。

安全保障に特化したセッションとしては、8日(水)の午前中にこちらの3本が組まれ、日本の宇宙防衛政策や宇宙任務の最前線、米大手宇宙防衛企業との共同事業などについて知ることができた。
「日本の宇宙防衛政策:宇宙領域防衛指針と防衛見直しの動向」
講演:髙橋杉雄 氏(防衛省 内部部局 戦略企画参事官)
原題:Japan’s Defense Space Policy: Space Domain Defense Guidelines and Ongoing Defense Review
主な内容:昨年7月に公表した『宇宙領域防衛指針』での4つの優先事項 ①宇宙状況把握(SDA、極超音速滑空兵器などの検知・追跡や今年度中のリアルタイムデジタルツイン環境実装)、②衛星通信(光宇宙通信技術への最優先投資)、③ミッション保証(今年度中のSDA衛星打ち上げなど)、④対宇宙能力(機密)を紹介。軍民両用の特性を活かし、防衛予算を国内経済発展の好循環に繋げたいとした。今後は、広大な海域での作戦でドローンが鍵を握り、その運用に衛星通信とAI自律制御の融合が命綱となることを説明。政策と予算の権限を統合した「宇宙課」の新設により、今後の宇宙防衛政策を加速させると語った。

「同盟国の安全保障と安定のためのパートナーシップ」
講演:リサ・ブラウン 氏(ノースロップ・グラマン・ジャパン代表)
原題:Partnering for allied security & stability
主な内容:アメリカの大手防衛宇宙企業であるノースロップ・グラマンが、日本の安全保障と産業を守るために、いかに強力な日米共同開発(迎撃ミサイルGPIや宇宙技術)を進めているかについて語った

「宇宙領域把握(SDA)と官民連携のフロンティア」
登壇:阿式俊英 1等空佐(航空自衛隊 宇宙作戦団 司令部防衛部長)
恩田雄太 1等空佐(航空幕僚監部 防衛部 事業計画第2課)
岩城陽大 氏(スターシグナル・ソリューションズ株式会社)
福島忠徳 氏(株式会社オービタル・レーザーズ)
司会:梅田耕太 氏(地経学研究所)
原題:Space Domain Awareness and the Frontier of Public-Private Collaboration
主な内容:2名の自衛官からは、低軌道衛星やデブリの急増、対衛星兵器などの意図的な脅威に対し、自衛隊が2023年から地上レーダーによるSSA(宇宙状況把握)運用を開始したこと、今年度は「航空宇宙自衛隊」への改称や「宇宙作戦集団」への格上げなどに加え、宇宙から物体を監視する「SDA衛星」や低軌道物体の位置を測る「レーザー測距装置」の導入など、大幅な能力整備を予定していることが語られた。民間のスタートアップ2社は、1〜10cmの小型デブリを監視する光学技術や、24時間リアルタイムで物体との距離を測る宇宙用レーザー技術を紹介。防衛省やJAXAとの具体的なMOU・契約実績が示され、国際連携と民間技術を融合させて宇宙の安全を確保する重要性が共有された。

展示会場では宇宙企業や大学などがブース出展を行った。
近隣のビジョンセンター東京虎ノ門ではサイドイベントが開催されて、安全保障分野ではデロイト トーマツが「防衛 × 宇宙サイバーセキュリティ」と題したセミナーを実施している。



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