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《レポート》海自の新装備 V-BAT艦載型無人機の飛行訓練を初公開

  • 特集

2026-7-24 13:05

2026年6月末、海上自衛隊は護衛艦「くまの」の艦上において、取得したばかりの艦載型無人機「V-BAT」(ブイバット)の飛行訓練を初公開した。小さなスペースで運用でき、今後の警戒監視や情報収集に使用される。鈴崎利治 SUZUSAKI Toshiharu

護衛艦「くまの」の飛行甲板から離陸するV-BAT。草刈り機のような、2ストロークの甲高いエンジン音をたてて上昇していく。艦載運用らしく、左手に発着艦指揮所LSOを入れて撮影したが、実際には艦内の指揮所から遠隔操作している 写真:鈴崎利治

 2026年6月29日(月)から7月1日(水)にかけて、「艦載型UAV(小型)」として海上自衛隊が取得した無人機V-BATの飛行訓練が、護衛艦「くまの」艦上で報道陣に公開された。
 V-BATは米国シールドAI社製のUAV(無人機、Unmmaned Aerial Vehicle)で、単発ダクテッドファンを推進力とし、機体を立てて垂直に離着陸する。離陸後は機体を横にし、水平飛行して広範囲の警戒監視・情報収集を行う。艦載ヘリに比べて低コストで、かつ最少4人という少人数で運用できる。わずか約4m四方のスペースに離着陸が可能で、小型の艦艇でも運用できるのも強みだ。
 離着陸は基本的に自動で行い、事前にプログラミングしたコースを飛行して警戒監視する。機首には可視光カメラまたは赤外線カメラを搭載可能で、昼夜を問わず運用できる。分解して数個のコンテナに収めて輸送でき、機体は2人がかりで約30分程度で組み立てられる。組み立てた機体は、全長約2.8m、翼幅約3.8m、重量約75kgとコンパクトだ。制御はノートパソコンサイズのコントローラーで行い、艦内の指揮所などにあるモニターに接続して情報共有が可能。巡航速度は時速約100km、最大で約12時間飛行できる。
 アメリカ戦争省ではMQ-35Aの名称で採用し、米海軍と米陸軍に配備中であるほか、オランダ、インド、ポーランドなどでも採用されている。ウクライナ軍にも供与され、偵察や火力誘導等に用いられており、電子戦環境下でも運用可能な能力が注目されている。
 海上自衛隊では2025年度予算で6機のV-BATを発注し、基幹要員による飛行訓練が積み重ねられている。今回はもがみ型護衛艦の2番艦「くまの」に2機のV-BATが持ち込まれ、訓練は相模湾で行われた。さまざまなプラットフォームで運用データを集めている最中で、もがみ型護衛艦で運用するのは初めて。8月からは青森県の大湊航空基地でV-BATの運用教育が始まる予定で、今後はさくら型哨戒艦(2027年以降に就役予定)にV-BATを搭載して警戒監視・情報収集能力を高めることになる。

専用のノートパソコンで制御し、3面のモニターに画像や諸元等が映し出される。基本的に全自動で、飛行経路等を補正することは少ないという 写真:鈴崎利治
格納庫内で組み立てたV-BATを人力で運び、発射台に立てて離陸準備を進める。着陸は甲板上の誘導パッドを目標に自動で降りてくる(実際はわずかにずらして着陸する)。燃料は艦載ヘリと同じJP-5を使用する 写真:鈴崎利治

◎初出:月刊『Jウイング』2026年9月号

鈴崎利治SUZUSAKI Toshiharu

地域密着と遠征取材を両立する職業カメラマン。陸上自衛隊と航空自衛隊について造詣が深く、自衛隊の訓練や演習、駐屯地記念行事、航空祭などのレポーターとして四半世紀以上の経験を持つ。月刊『Jウイング』、不定期刊『JグランドEX』、月刊『軍事研究』などに寄稿多数。表の顔は、埼玉県飯能駅前のスズサキ写真店 店主。キャッチフレーズは「幼稚園児から戦車まで」「卒業アルバムから戦闘機まで」。

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