日本の防衛と安全保障の今を伝える
[Jディフェンスニュース]

site search

menu

Jディフェンスニュース

《レポート》テラドローン社が防衛事業発表会「AI自律型迎撃ドローンの実装」(7月21日)

  • 特集

2026-7-27 14:44

 テラドローン株式会社は、2026年7月21日(火)にオンラインの防衛事業発表会を開催し、同社の最新動向を発表した。
 既報のプレスリリースに先んじて開催したこの会見で、德重 徹(とくしげ・とおる)代表はウクライナの状況に触れ、「新しい戦い」に直面する現地のニーズから生まれたAI搭載型の自律迎撃ドローンについて紹介した。また、防衛省の迎撃ドローンへの取り組み方に対する危機感と、国内開発・生産体制の必要性を訴えた。
 以下に、発表会で語られた主な内容をお届けする。

防衛事業・進捗報告 AI活用の自律型迎撃ドローンの実装(2026年7月21日)

 テラドローンは、ウクライナなどの戦場でみられるドローン攻撃に対応するため、迎撃用ドローンをAIで自律制御する技術を開発し、短期間で実装できた。

テラドローンが発表したAI自律型迎撃ドローン「Terra A1 Autonomous」 画像出典:Terra Drone

「新しい戦い」で求められる安価な迎撃ドローン

 現在のロシアや中東における攻撃の主力は、1機約500万円と安価で、航続距離2,000kmに及ぶイラン開発の自爆ドローン「シャヘド」である。ウクライナでは3日に1回程度、主要都市に向けて数発のミサイルとともにロシアで製造された数百機のシャヘドが飛来し、その数は1か月で8000機に及ぶ。
 これがいわゆる「新しい戦い」と言われているもの。その対抗策として1発5000万円〜数億円のミサイルを使用するとコストが高すぎて防衛力が急速に弱体化するため、安価な迎撃ドローンを活用することが極めて重要となっている。

防衛省「迎撃ドローン早期取得プログラム」はショッキングな結果

 そんなシャヘドを、中国では最低数万機保有するとされている。有事の際には飛来し得る脅威であり、日本も真剣に迎撃手段を準備する必要がある。現在、防衛省が進めている「迎撃ドローン早期取得プログラム」が、募集開始から実証評価まで3ヶ月というスピード感を持っていることは評価したいし、選ばれたことを光栄に思っている。
 その一方で、応募38社の中で実証フェーズへ進む4社に国内メーカーが1社しかない(テラドローンのみ)ことには、日本の国防という観点から非常にショックを受けている。なぜなら、ウクライナが長期にわたり戦えている大きな理由として、前線部隊から昨日入った要望を受けて徹夜で装備を改良して翌日には前線に送り込むという圧倒的な開発サイクルの早さがあるからだ。それを実行するには、商社や海外メーカーではなく、国内メーカーである必要がある。

防衛省「迎撃ドローン早期取得プログラム」で実証フェーズへ進む4機種
機種名製造企業(参考)契約相手方(参考)
タイプ1 BVQ404 Beyond Vision
(ポルトガル)
エアモビリティ
タイプ2 QS INTERCEPTOR QuantumSyetems
(ドイツ)
全日空商事
タイプ3 TerraB1 TerraDrone
(日本)
TerraDrone
タイプ4 IonStrike DZYNE Technologie 
(アメリカ)
日本海洋

AIを活用した自律型ドローンが必要

 ウクライナでは1機が10〜15万円程度のFPVドローン(ファースト・パーソン・ビュー・ドローン:一人称視点ドローン)を使用して、ドローンパイロットのマニュアル操縦による戦車の無力化やシャヘドの迎撃を行ってきている。
 ただし、FPVドローンの操縦には数週間以上の訓練が必要で、迎撃任務に臨めるようになっても、初心者パイロットのシャヘド迎撃成功率は10〜20%にとどまるのが現状である。このFPVドローンをウクライナ軍以外が使う際には、パイロットがほぼ皆無という現状から、「AIによる自律化」が絶対条件となる。
 ちなみに、中東での迎撃ドローン実証試験では、天候の違い、レーダーなどへのシステム連携不足、AI自律航行技術の不足で失敗した。実用化に耐えるようにまでなるには、現場での試行錯誤も欠かせない。

迎撃ドローンを活かすためのカウンター・ドローン・システム

 迎撃ドローンは単体で機能するものではなく、「カウンター・ドローン・システム」の一要素である。システム全体は検知(detect)・識別(identify)・追尾(track)・無力化(neutralize)の4段階で構成されており、迎撃ドローンは「無力化」を担う。別の企業がつくるセンサーシステムや指揮統制システムと連携した統合システムとして運用する必要がある。
 ウクライナでも当初、レーダーとの連携ができないために10回迎撃に飛ばしても9回は戻って来ていた。レーダー情報をもとに離れたところから200mまで近づく「中間誘導」を組み合わせることで、迎撃の成功率を飛躍的に高められることがわかった。

AI搭載型自律迎撃ドローンの実現

 今年2月にFPVドローンへ搭載した自律迎撃システムを短期間で完成させることができたのは、日常的にトライアルを重ねられるウクライナの環境があったから。テラドローンの試作機は、 自律ソフトで離陸し、レーダー情報と連結して目標に近づき、カメラで発見した目標をAI識別で攻撃対象(シャヘド)であると認識し、さらに接近して近接信管により爆発して対象を無力化する。

中間誘導の様子。緑の点が迎撃ドローンの発進地点、緑の線はレーダー覆域、赤い点が飛来する目標、ピンクのサークルは半径200メートルを示す 画像出典:Terra Drone
終末誘導の様子。白い影が攻撃目標で、黄色い数字「7m」は対象との距離。さらに接近して近接信管で自爆し、対象を無力化する。終末誘導における対象識別から無力化までの様子は、同社が発表したYouTube映像でも見ることができる 画像出典:Terra Drone

 カウンター・ドローン・システムにおいて日本市場が世界からだいぶ遅れているなか、同社がウクライナにおいて自律化成功という大きな一歩を刻んだことをあらためて述べ、発表を終わった。
(以上)

Ranking読まれている記事
  • 24時間
  • 1週間
  • 1ヶ月
bnrname
bnrname

pagetop