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報道官、6月18日の記者会見 多国間訓練への参加や平和安全法制について

  • 防衛省関連

2024-6-19 11:55

 令和6(2024)年6月18日(火)16時00分から、防衛省A棟10階会見室において報道官による記者会見がおこなわれた。
 報道官からの発表事項はなく、記者からの質問に回答した。

記者との質疑応答

多国間共同訓練の増加と平和安全法制について

記者 :直近の10年ほどのですね、自衛隊が参加している多国間の共同訓練の件数がですね、右肩上がりに増えております。
 防衛白書にも載っておるわけですけれども、当然ながらFOIP(Free and Open Indo-Pacific、自由で開かれたインド太平洋)を掲げて、その理念のために多国間で結集しているということも重々承知しているんですが、さらにお尋ねしますと、これはやはり多国軍との協力の幅が一気に拡大した平和安全法制の成立というのも、この動きを後押ししているのではないかと思うのですが、その辺り防衛省としてはどのようにお考えでしょうか。

※平和安全法制:「平和安全法制整備法」と「国際平和支援法」からなる法律の総称。日本国民の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能にするとともに、国際社会の平和と安定への一層の貢献を可能にするためのものとされる。

大臣 :大変難しい御質問をいただいたというふうに考えております。平和安全法制の御指摘がございましたけれども、御案内のように、平和安全法制は、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しておって、もはや、どの国も一国のみでは自国の安全を守ることができないとの問題意識の下で、整備をされたものでございます。
 防衛省といたしましては、この平和安全法制の施行以降、多国間訓練をはじめといたしまして、平和安全法制に基づく新たな任務に係る訓練を実施することによりまして、一つには、自衛隊の任務遂行能力の向上と、それからもう一つには、関係国との連携の強化に努めていることは、これは事実でございます。
 この意味で、御質問にございましたけれども、近年の多くの多国間訓練実施の背景の一つに、平和安全法制等の整備、あるいはこの整備の背景となりました、厳しさを増す安全保障環境があることは、そのとおりだろうというふうに考えるところでございます。
 他方でですね、他国との共同訓練ということになりますと、これはどうしても相手国との調整の上で実施するものでございます。そうなりますと、我が国の平和安全法制に基づく新たな任務に係る訓練を行うためだけにですね、そのためだけに多国間訓練を新たに始めるということはなかなか難しいという面もあるわけでございます。
 したがいまして、平和安全法制等の整備それ自体というものと、多国間訓練への参加の回数の増加というものが、リニアに、直接関係しているかどうかということにつきましては、なかなか一概にお答えすることは、これはまた困難であるというのも一面、真実だろうというふうに考えているところでございます。
 私がより大切だと思いますことは、いわゆる大変厳しい安全保障環境の下では、同盟国、あるいは同志国との連携というものが、我が国の、諸外国で言えばその国のということになりますけれども、その国の安全保障の確保にとって、今日死活的に重要な意味をもっていると、こういう点だろうと思うわけでございます。
 我が国の国家安保戦略におきましても、同盟国・同志国間のネットワークを重層的に構築するとともに、それを拡大し、抑止力を強化していくために、安全保障上の協力を強化する、共同訓練等の取組を進めるという記載がございますけれども、諸外国もまた、同様の認識を有している国が増えてきているものと、私どもは考えるところでございまして、こうしたことから、近年、多国間訓練というものが増加する傾向にあるのではないか、こんなふうに理解しているところでございます。
 令和5年度におきましても、御案内のように日米共同指揮所演習であります「キーン・エッジ24」、あるいは「ヤマサクラ」へ豪州軍が初参加する、日米豪比の枠組みでの共同訓練、あるいは日米韓の様々な訓練、日米印豪という訓練など、様々な形での共同訓練が行われてきたわけでございますが、いずれも日米同盟を基軸といたしまして、多国間の協力を進展させる中で、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に資するべく、積極的に他国との連携を強化しようというもののあらわれというふうに、私どもは理解しているところでございます。
 防衛省・自衛隊といたしましては、今後とも日米同盟を基軸として、同盟国・同志国間のネットワークを重層的に構築するため、豪州をはじめ同志国の参加も得たハイレベルな多国間共同訓練に、引き続き、積極的に取り組んでいきたい、こんなふうに考えているところでございます。

集団的自衛権を問う議論が起こらないことについて

記者 :大変古い話で恐縮なんですけれども、海上自衛隊が米海軍の「リムパック」(RIMPAC:環太平洋合同演習)に初参加する1980年前後でしょうか。この訓練の参加というのが、集団的自衛権の行使に当たるのか、当たらないのかみたいなことが、国会で議論されたのを報道官も覚えていらっしゃるかと思うんですけれども、今、共同訓練というものについて、そういった、集団的自衛権かどうかを特に問うような声というのが国会等でも上がってきていない、それは時代の変化というのでしょうかね、この辺りはどのようにお考えですか。

大臣 :やはり一つは、平和安全法制の整備というものが、法的な基盤を私どもに与えていただいたということは、事実だろうというふうに思うわけでございます。
 ただ、それぞれの共同訓練には、それぞれ目的があり、スコープがあって、また性格・性質も異なるものでございますので、一概に何か多国間共同演習全体を捉えてですね、その法的な整理、あるいは国民の皆様方の御支持、あるいはお考えというものを一括して申し上げるというのは、なかなか難しい話だというふうに心得ているところでございます。
 それぞれ多国間訓練の目的、あるいは趣旨にかないますように、防衛省・自衛隊としては、今後ともきちんと、参加する訓練については精査した上で、御説明をしながら我々の実力の涵養(かんよう)に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。

以上

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