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中谷防衛大臣が記者会見 北朝鮮のミサイル発射、海賊対処行動等の1年期間延長などに言及(11月5日)

  • 日本の防衛

2024-11-7 09:03

 令和6(2024)年11月5日(火)11時03分~11時24分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、防衛省A棟第1省議室において閣議後会見を行った。
 内容は、以下のとおり。

発表事項

北朝鮮による短距離弾道ミサイルの発射について

大臣 :まず、北朝鮮による短距離弾道ミサイルの発射について申し上げます。北朝鮮は本日7時台、北朝鮮の西岸付近から複数発の短距離弾道ミサイルを発射をいたしました。詳細につきましては、現在、日米韓で緊密に連携して分析中でありますが、落下したのはいずれも朝鮮半島東岸付近の日本海でありまして、我が国の排他的経済水域(EEZ)の外であると推定をしております。発射された弾道ミサイルのうち、少なくとも7発は、最高高度約100km程度、約400km程度飛翔したものと推定をしております。北朝鮮は、1週間という短期間の間に立て続けに弾道ミサイルを発射をしております。これは申し上げているとおり、北朝鮮による核・ミサイル開発は、我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものでありまして、断じて容認できません。防衛省としましては、国民の生命・財産を守り抜くために、引き続き、米国や韓国等とも緊密に連携をしながら、必要な情報の収集・分析に努めるとともに、警戒監視に全力を挙げていく考えであります。

ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動を含む3件の1年期間延長について

大臣 :次に、先ほど閣議で申し上げましたけれども、本日、国家安全保障会議及び閣議におきまして、次の3件について、期間の1年延長が決定をされました。1件目は、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動、2件目は、中東地域における情報収集活動、3件目は、多国籍部隊・監視団(MFO)、これの司令部要員の派遣であります。防衛省・自衛隊としては、これらの活動を通じて、引き続き、国際社会の平和と安全のために貢献をしてまいります。続きまして、その細部にわたってお話をさせていただきます。まず、海賊対処行動につきましては、海賊を生み出す根本的な原因であるソマリア国内の貧困等は未だ解決をしておらず、状況には依然として変化が見られないわけでございます。各国の部隊も、引き続き、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処活動を実施していることから、我が国としても、引き続き、海賊対処行動を実施していく必要があります。次に情報収集活動につきまして、この中東地域においては、日本関係船舶の防護を直ちに要する状況にはないものの、高い緊張状態が継続をしておりまして、航行船舶に対する事案も発生しているということから、引き続き、日本関係船舶の安全確保のための取組が必要であると考えております。第3点のMFOについて、このMFOへの要員、そして司令部要員の派遣期間を延長することにつきましては、まず我が国の平和と繁栄の土台である中東の平和と安定に資する活動を継続をする、第2に、米国等の他の要員派遣国14か国との連携の促進、そして第3に、人材育成の機会の確保等の観点から意義があるものと考えております。

記者との質疑応答

アメリカの大統領選挙について

記者 :アメリカの大統領選挙についてお伺いします。5日にアメリカの大統領選が行われます。ハリス氏とトランプ氏の接戦が伝えられていますが、選挙の情勢が日米同盟や地域の安全保障にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。何か懸念がある場合、その払しょくのためにどういった行動をとるお考えでしょうか。その上で、今後の日米の防衛協力の在り方について、特にどういった点を重視するか改めてお伺いします。

大臣 :日米同盟と言いますと、申すまでもなく、我が国の外交・安全保障政策の基軸でありまして、米国の大統領選挙については、その推移、また、あり得べき影響も含めまして、高い関心をもって注視をしております。他国の内政に関わることでありますので、コメントは差し控えさせていただきます。その上で、従来から日米同盟というのは揺るぎなく、その重要性については、民主党、共和党を問わず、共通の認識が存在をしております。防衛省といたしましては、大統領選挙の結果に関わらず、引き続き、日米同盟の抑止力・対処力の強化に向けて、具体的な成果が上げられるようにですね、努力をしてまいりたいと考えております。

2016年沖縄県名護市で発生したオスプレイの事故について

記者 :2016年に沖縄県名護市で起きたオスプレイの事故についてお伺いします。自衛隊が内部文書で墜落と表現していることが分かりました。この事故について、防衛省はこれまで不時着水と主張していましたが、改めて大臣の認識をお聞きします。

大臣 :御指摘の事故につきましては、防衛省からですね、機体は最低限姿勢を制御できる状態でありまして、パイロットが意図した地点に不時着水した旨、米側から説明を受けておりました。また、本件に係る事故調査報告書においても、米側は、MV-22オスプレイの右のプロペラが空中給油機の給油口と空中で接触をし、その後、制御された動力飛行により意図的に着水を行ったと結論を付けております。したがいまして、防衛省としましては、事故機は不時着水したものというふうに認識しております。

北朝鮮の弾道ミサイル発射について

記者 :冒頭の北朝鮮のミサイルに関連して伺います。アメリカの大統領選の直前で、かつ北朝鮮の外相がロシアを訪問している中での今回ミサイルの発射ということになりましたけれども、防衛省としては、これらの点どのように分析されているか伺えたらと思います。

大臣 :昨日、4日でありますが、ロシアのプーチン大統領と北朝鮮のチェソニ外務大臣が会談を行った旨報じられているということについては承知をいたしております。また、御指摘のとおり、米国大統領選挙については、防衛省としてその推移やあり得べき影響も含めまして、高い関心をもって注視をいたしております。その上で、このようなタイミングで北朝鮮が弾道ミサイルを発射した意図等については、我が方から確定的にお答えすることは困難であるということは御理解をいただきたいと思います。どのような狙いがあるにせよ、北朝鮮による核・ミサイル開発は、我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものでありまして、断じて容認できるものではありません。政府としましては、引き続き、米国や韓国等とも緊密に連携をしながら、必要な情報の収集・分析に努めるとともに、警戒・監視に全力をあげていくという考えでございます。

北朝鮮のロシア派兵について

記者 :北朝鮮のロシア派兵について伺います。ウクライナの高官は昨日、ウクライナ軍が北朝鮮兵に攻撃を加えたと言及しました。北朝鮮とウクライナの交戦状況について、防衛省の分析を教えてください。また、交戦したと認めている場合、防衛省としての受止めと、日本周辺の地域情勢に与える影響についてどう考えるか教えてください。

大臣 :御指摘の報道につきましては、承知をいたしております。その上で、北朝鮮兵士のロシアへの派遣に係る防衛省の分析状況につきましては、先日、大臣会見で申し上げたとおりでありますが、我が国としては北朝鮮から派遣された兵士が、ロシアによるウクライナ侵略に加担をする可能性も含めまして、深刻な懸念をもって注視をしているところであります。そもそも、まず、ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす暴挙である。そして今般の北朝鮮による兵士の派遣も含めまして、最近の露朝軍事協力の進展の動き、これはウクライナ情勢の更なる悪化を招いていくことのみならず、我が国を取り巻く地域の安全保障に与える影響の観点からも深刻に憂慮すべきものと考えております。我が国としましては、引き続き、関連情報の収集・分析を行うとともに関連する安保理決議の完全な履行、そして、ウクライナにおける一日も早い公正かつ永続的な平和の実現に向けまして、国際社会と緊密に連携をして取り組んでまいる所存でございます。

記者 :関連してもう1点、ウクライナ支援の観点から伺いたいんですけれども、こうした北朝鮮のロシア派兵に対して、韓国はウクライナへの武器供与を段階的に進める考えを示唆しています。日本政府や防衛省は、これまで非殺傷の装備品や車両等を提供していると承知していますが、新たなウクライナ支援の必要性についてどう考えるか教えてください。

大臣 :必要性につきましては、ロシアによるウクライナ侵略、これは国際社会の根幹を揺るがす暴挙であるということで、このような行動は断じて認められないということであります。防衛省といたしましても、ロシアによる侵略を受けているウクライナ、これを最大限支えるべく、防衛装備移転三原則の範囲内で、まず第1に、非殺傷、この装備品、自衛隊車両といった、我が国として供与可能な装備品を支援しているところでありまして、先月の日本・ウクライナ防衛相会談におきましては、更に追加の自衛隊車両の提供を発表したところでございます。また、ウクライナ負傷兵の自衛隊中央病院への受け入れ、そしてITコアリション及び地雷除去コアリションを通じた支援も継続をして行っております。今後とも、防衛省としましては、国際社会と連携しまして、可能な限りのウクライナ支援を行っていく所存であります。

前出のオスプレイの事故に関する自衛隊内部文書内の墜落表記ついて

記者 :先ほどのオスプレイの墜落事故ですね、2016年の事故に関して、改めてお伺いしたいんですけれども、自衛隊の内部文書で墜落という表記をされていたということは、防衛省の、今大臣もおっしゃったような、不時着水という認識とは全く異なるものだと思うんですけど、なぜそういうふうな表記がされているのかという理由と、その経緯をお伺いできればと思います。

大臣 :防衛省としましては、事故機については、機体は最低限姿勢を制御できる状態であり、パイロットが意図した地点にある浅瀬に不時着水したものと認識をいたしております。これに関連をいたしまして、米側によれば、ブレードの破損により飛行が困難である状態であるものの、パイロットが機体の制御ができるという状態であってですね、意図した地点に着水したものというふうな説明がありました。米側においても、こうしたことを考慮してですね、不時着水という用語を用いたものであります。そこで、御指摘の文書は、おそらく部隊が作成をした内部文書であると思われますが、防衛省として事故の評価をしたものではありません。この防衛省の用語につきましては、不時着水及び墜落については、一概に定義することは困難でありますけれども、本件の事故に係る説明においては、墜落とは、コントロールを失った状態で着水をした旨を、そして不時着水は、コントロールを失わずにパイロットの意思で着水をした旨を意味するものとしておりまして、それぞれ用いているものでありますが、防衛省といたしましては、事故機については機体は最低限姿勢を制御できる状態であり、パイロットが意図した地点である浅瀬に不時着水したものであるというふうに認識にしています。

記者 :関連でなんですけれども、そうすると、部隊はなぜ墜落という表記を使ったのかという、その経緯は分かりますでしょうか。

大臣 :その点については確認をいたしておりますが、我々の定義によりますと、先ほど説明をしたとおりでございます。

前出の北朝鮮の弾道ミサイルの変則軌道の有無などについて

記者 :北朝鮮のミサイルですけれども、こちら、今回はいわゆる変則軌道を描いているような状況というのはあったんでしょうか、教えてください。

大臣 :この件については、詳細についてはですね、ただ今分析中でありますけれども、今回の打ち上げについては、いわゆる衛星として打ち上げをするような目的をしたものではなかったと考えられますし、この距離等につきましても、現在分析中でありますので、その内容につきましては、もう少しお待ちいただきたいと思います。

記者 :関連でお尋ねします。そうしますと、今まで防衛省の方では短距離弾道ミサイルについて、A型からD型というふうな分類を明らかにされているわけですが、その分類について、あるいは別の新型に当たるのかどうかについても現在分析中という理解でよろしいですか。

大臣 :その通りです。詳細については、引き続き分析をしております。

11月3日に実施した日米韓共同訓練と北朝鮮の非難について

記者 :弾道ミサイルとは別件で、北朝鮮に関してなんですけれども、北朝鮮のキムヨジョン氏はですね、昨日、日米韓が行った共同訓練に関連しまして、最も侵略的な行為であるというふうに非難した上で、自らによる核開発のですね、正当性を訴えました。こうした発言の意図、内容についてですね、大臣の受止めとお考えをお聞かせください。

大臣 :御指摘の報道につきましては、承知をしております。談話の受止め等につきましては、逐一コメントは申し上げませんけれども、先週、10月31日、北朝鮮が少なくとも1発のICBM級の弾道ミサイルを発射するなどですね、地域の緊張を著しく高めておりまして、我が国を取り巻く安全保障環境、これはより一層ですね、厳しさを増しているわけでございます。こういう厳しい安全保障環境の中ですね、一昨日の11月3日、航空自衛隊のF-2戦闘機は、九州北西の空域におきまして、そして、米空軍のB-1爆撃機及びF-16戦闘機並びに韓国空軍のF-15戦闘機と、日米韓でですね、共同でですね、各種の戦術訓練を実施をしたということでございます。防衛省・自衛隊としては、こうした訓練の実施を通じて、地域の安全保障上の課題に対応するため、日米韓3か国協力、これを力強く推進することができたと考えております。今後とも、日米韓3か国で一層緊密に連携してまいります。共同での各種戦術訓練を実施したということです。

記者 :関連してお伺いします。こうした発言の直後というか同じようなタイミングでですね、少なくとも7発の短距離弾道ミサイルを打ってきたわけですが、これ以降もですね、日米韓でこうした共同訓練を行っていくお考えはありますでしょうか。

大臣 :先ほども申し上げましたとおり、今の情勢等を注視をしておりまして、今後も引き続き、日米韓3か国で一層緊密に連携をしてまいりたいと考えております。あとですね、チェソニ北朝鮮の外務大臣とプーチン大統領がこの北朝鮮のミサイル発射の時期にですね、会談をもちました。これにつきましては、報道は承知しておりますけれども、アメリカの大統領選挙がある状況の中で、どういう事例があるかということにつきましては、防衛省としましても、その推移やあり得べき影響も含めましてですね、関心をもって注視をしているわけであります。このようなタイミングで北朝鮮が弾道ミサイルを発射した意図等につきましては、我が方から確定的にお答えすることは困難でありますが、どのような狙いがあるにせよですね、北朝鮮による核・ミサイル開発は我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものでありまして、断じて容認できるものはないということございますので、今後とも、米国、韓国等とも、緊密に連携しながら必要な情報の収集・分析に努めるとともに、警戒監視に全力をあげていくという考えであります。

(以上)

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