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中谷防衛大臣が臨時会見 自衛官の処遇改善について(12月20日)

  • 日本の防衛

2024-12-25 12:11

 令和6年12月20日(金)19時11分~19時28分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、第4回「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議」の後の臨時会見を行った。
 内容は、以下の通り。◎公開後にスライド資料の画像を追加しました。

大臣からの発表事項

 10月9日に石破総理を議長とする、「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議」が設置をされ、高い頻度で議論を重ねてまいりました結果、本日、第4回会議におきまして、自衛官の処遇改善等に関する基本方針を取りまとめることができました。
 こちらのスライドを御覧ください。緑の部分、青い部分、黄色い部分がありますが、緑の部分が自衛官としての給与、年額でございます。

出典:臨時会見説明資料

 まず、18歳から定年まで自衛官として働く現役時代の給与が大幅に改善をされます。具体的には、高校卒業時に入隊する隊員の1年目の年収は、今年4月時点と比べて現在350万円、これが60万円以上アップをいたします。加えて、過去に例のない30を超える手当、これが新設されまして、金額の引き上げ等を実施をするほか、自衛官の俸給表も令和10年度の改定を目指して検討してまいります。
 次に、56歳、この定年時の給与でありますが、まず、令和10年度以降、2歳程度引き上げる検討をいたします。これによりまして、緑の台形でお示しをしている現役時代の収入が今、年俸720万円、これが引き上げられるということでございます。つまり、定年退職をした後の再就職につきましては、これは正に自衛官退職の壁なんです。退職自衛官の壁、非常に年収ががたっと落ちるわけでありますけれども、この720万、これが若年の給付金、これが250万、そして、この青い部分の再就職賃金、これが310万ありますけれども、いずれもこれは引き上げるということでこの金額、合計、今560万でございますが、それが引き上げられるということでございます。

 次にこちらのスライドを御覧ください。スライド2、今回の基本方針では、これからの防衛力の担い手となる世代が厳しい任務にも安心して従事ができ、誇りと名誉を得るということができます。令和の時代に相応しい処遇を確立すべく、自衛官の処遇改善、生活・勤務環境の改善のために、新たな生涯設計の確立に向けても取り組むことといたしました。

出典:臨時会見説明資料

 この処遇改善としては、5つ挙げております。第1には、給与、手当の引上げの拡充。第2は、任務や勤務環境の特殊性に見合う俸給表への改定。第3には、当初から自衛官として採用する新たな任期制士の創設。第4、これは営内、これは自衛隊の中の居住区域でありますが、営内等の指定場所に生活する隊員への給付金の新設。そして第5は、表彰、叙勲の対象範囲の拡大、これを図ってまいります。

 次にスライド3を御覧ください。これは生活・勤務環境の改善として、隊員の要望が非常に高かった、まず第1に居住スペース、これの個室化。第2に隊舎の共用区画や主要艦艇へのWi-Fiの設置といった通信環境の整備をスピード感をもって進めます。そして、第3に仕事と育児の両立に向けた託児事業の充実。第4に女性活躍推進のための女性用区画の整備。そして、第5に隊員の糧食の魅力化、糧食というのは難しい言葉でありますが、おいしい食事ということです。

出典:臨時会見説明資料

 最後にこちらのスライドのとおり、スライド4、新たな生涯設計の確立としては、まず、再就職先の拡充。そして、公的資格取得のプロセスの簡素化、公的資格と申しますと、色々社会的に通用するような各種認定資格、そういった免許とかですね、そういう取得のプロセスの簡素化。そして、65歳までの再就職支援の制度整備を図るにあわせて、第4に定年の引上げ。そして、第5に若年定年退職者給付金、これの給付水準の引上げ、これを検討してまいります。

出典:臨時会見説明資料

 つまり、この基本方針に記載した各施策の実効性を確保していくということが何よりも重要でありまして、今後、令和7年度の予算案に反映するとともに、法律・制度改正、これが必要なものについて、速やかに検討いたしまして、可能なものにつきましては、次期通常国会に提出をいたします。
 引き続き、関係省庁とも連携をいたしまして、人的基盤の抜本的強化に取り組んでまいります。

記者との質疑応答

自衛官の処遇改善の予算規模と財源について

記者 :予算規模と財源についてお伺いします。今回かなり収入面での引き上げが盛り込まれていますが、この計画によって新たにどれほどの経費がかかると見込んでいるのか概算で良いのでお示しください。
 また、施策の中には現行の防衛力整備計画期間中に行われる事業もありますが、防衛費43兆円の枠内で行うのでしょうか。その場合、計画の内のどの部分を削って予算を捻出するお考えでしょうか。

大臣 :ただ今説明いたしました基本方針の内容につきましては、令和7年度予算案にしっかりと計上してまいります。その額につきましては、政府の予算案の決定に向けて、今、最終調整中でありますので、これが確定次第ですね、速やかに公表させていただきます。
 そして、防衛力整備計画の43兆円程度という規模は、防衛力の抜本的強化が達成できて、そして、防衛省・自衛隊として役割をしっかり果たすことができる水準としてお示しをしたものでありまして、これは閣議決定された金額であります。
 従いまして、自衛官の給与・手当も含めまして、この定められた金額の範囲内において、必要な防衛力の強化を着実に図っていくことが防衛省の役割であると考えておりまして、この金額を超過するということは考えておりません。
 そして、防衛省としましては、各年度の予算要求におきまして、現員数、採用者数の見込み及び退職者の増減等の諸事情を勘案いたしまして、人件費を最適化する形で、自衛官の給与・手当に係る処遇向上をしっかりと確保してまいるつもりでございます。

自衛官の処遇改善施策の今後の実効性

記者 :今回の取りまとめの実効性をどのようにして検証して今後に活かされるのかということと、また、今回の自衛官の処遇改善に向けた取組というのを、今後も続けていくことをどのように担保していくのかということについて、大臣のお考えをお願いいたします。

大臣 :ただ今、基本方針を説明しましたけれども、この内容を実行できるという、この実効性、これを確保していくということは何よりも重要であります。そのために、この基本方針の内容を令和7年度の予算案にしっかりと反映をするとともに、法律・制度改正、これが必要なものにつきましては速やかに検討して、可能なものは次期通常国会に提出をしてまいります。
 その上で、基本方針に定められた各方策につきましては、自衛官の採用、中途退職抑制、充足率向上にいかに寄与しているかという観点から、関係閣僚会議におきまして、令和7年度中に効果の検証を行い、以後毎年フォローアップを行うということにいたしております。更に、こうした検証を踏まえつつ、自衛官の確保等に資する新たな方策を継続的に検討し、人的基盤の抜本的強化に取り組んでまいります。
 更に、令和7年度には、人事教育局に人事基盤強化を担う部屋、担当部署、これを設置をしまして、省内における検討体制を充実させるということにしておりまして、新たな体制によって、基本方針に盛り込んだ施策を検証・フォローアップをするとともに、自衛官のライフサイクル全体を俯瞰をして、講ずべき施策を総合的かつ継続的に企画・立案をしてまいります。
 今までと大きな違った点におきましては、何と言っても、この定年ですね、この56歳であった年齢をですね、これを引き上げるということでございまして、これによりまして、自衛官の生涯設計とか、また退職後のプランとかですね、こういうことはかなり変わってくるわけでありますので、やっぱり自衛官の採用に対してですね、プラスになれるようにですね、大いにPRをし、今後検討していきたいというふうに思います。

記者 :今回の会議は政府直轄の会議として大臣も先ほどおっしゃられましたけれども、初会合から2か月で取りまとめられました。このスピード感というものをどのように評価されるか教えてください。

大臣 :これはやはり総理がですね、強力にリーダーシップを発揮されました。そして、4回目の今日会議がありましたが、本当に時間内に終わらないぐらいですね、各省、大臣、また、副大臣から、非常にたくさんの提案、アイデア、そういうものがありまして、そういうのをまとめてきましたけれども、まだまだ提案が出てくるような気がいたします。そういうことで、やっぱり政府としてですね、この問題の重要性に鑑みまして、各省にそれぞれ提案をさせるという形で本日までやってまいりましたので、やはり、リーダーシップがあったからこそですね、政府もここまでできたんじゃないかなというふうに思います。

自衛官の処遇改善で人材確保できるか、さらなるアップデートは

記者 :今回の基本方針では、かなり網羅的に取りまとめられていたと思いますが、大臣はこの今回まとめられた方針でなり手不足の解消が十分だと考えているのかどうか、毎年フォローアップするともおっしゃってますけれども、あえてまだ不十分だとするのであれば、どのような点が今後アップデートも必要だと考えていますか。

大臣 :私も自衛官をね、経験をいたしましたけれども、多くの隊員さんとね、寝起きを共にして訓練をしましたけれど、やはり一番の不安は生涯設計です。退職して、その後、生活がどうなるかというような悩みをですね、たくさん多く抱えながらも、一生懸命与えられた条件でですね、勤務をしておりました。
 これは特に、隊員本人もそうですけれども、入隊時に御父兄、親御さんも自分の子供がですね、生涯きちんとやっていけるのかということで心配しておりますので、この定年が早いということが、私は一番の障害になっているんじゃないかなというふうに感じておりましたので、この年齢も2歳ですね、引き上げるということでありますので、非常にそういう間で、自分の人生を考える期間も増えてまいりますし、また、その前に、第2の人生についてもですね、こういう制度がありますので、こういう道で頑張ろうということ、それから、自衛官の間で運転免許とか、調理師とかですね、コンピューターとか、語学とか、いろんな資格が取れます。そういう点においては、しっかりと自衛隊を退職した後もですね、生きていけるんだということを、プラスになるようにですね、寄与できたらと思いますし、また、退職後の仕事も各省から農業からはじまりまして、学校の先生とかですね、そういう分野でも採用できやすいようなですね、アイデアも出てきたし、一番近いのはやっぱり警察、消防といった危機管理、特に、公務員関係のですね、地方行政における危機管理監とかですね、こういった危機管理の仕事にも自衛官向いてますので、そういう分野でもいけるようなですね、やっぱりそういうバラエティというか、幅広い選択肢、こういうことは持つことが大事じゃないかなというふうに思っていました。

関係省庁、関係自治体の米軍横田基地への立入りについて

記者 :話題が変わって恐縮なんですけれども、今朝の横田基地への立入りについてお伺いしたいのですが、消火訓練エリアを視察したということでリリースがあったんですけれども、具体的にどういう所を視察したのか、お聞きしたいのと、米側からどういう説明があったのかあわせてお聞きします。

大臣 :実際、視察がどうであったかということは、私自身ずっと国会にいましたので、まだ正確に報告は受けていませんが、朝の会見でも述べたとおりですね、10月の3日に米側から通報を受けて、横田基地におけるPFOS等を含む水の漏出事案に対してですね、本日、防衛省、外務省、環境省といった関係省庁と東京都、福生市、立川市、羽村市、武蔵村山市、昭島市、そして、瑞穂町といった関係自治体の関係者によりまして、横田飛行場への立入りを実施をいたしました。
 今回の立入りにおきましては、消火訓練エリア周辺の視察及び米側からの説明を受けたというふうに聞いておりますが、詳細につきましては、事務方からですね、お知らせをするという予定になっておりますので、事務方からお聞きになってください。

(以上)

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