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中谷防衛大臣の定例会見 今年の漢字は「遇」など(12月24日)

  • 日本の防衛

2024-12-26 10:00

 令和6(2024)年12月24日(火)9時59分~10時22分、中谷元(なかたに・げん)防衛大臣は、防衛省内で閣議後の会見を行った。
 内容は、以下のとおり。

大臣からの発表事項

今年の漢字は「遇」

大臣 :まず、私が考えた今年の漢字を発表いたします。
 今年の漢字は、「遇」です。これは、処遇改善とかですね、千載一遇とかいう言葉で、「遇」でございます。
 まず、「遇」の字にはですね、思いがけず出会うという意味があります。「奇遇」とか「遭遇」とか、これも「遇」でありますが、まず、今年は石破内閣の発足に伴いまして、思いがけず三度目の防衛大臣を拝命するということになりました。これは「奇遇」と言ってもいいかもしれません。
 また、「遇」という文字には、「天命として好機に遇う」という意味もありまして、今回の防衛大臣就任も私自身の天命と信じまして、与えられた役割をしっかり果たしていきたいと考えます。次に、「遇」という字には、「接遇する」、「知遇を得る」、との「遇」がございます。つまり、人と接する、人をもてなすという意味であります。
 私、10月1日に就任してほぼ3か月になりますけれども、この間ですね、NATOの国防大臣会議、またG7の国防大臣会議、またASEANのADMMプラスなど様々な機会を捉えまして、世界各国のカウンターパートとして国防大臣に積極的に会いまして、会談を行いました。日豪、日米豪、日韓、そして日フィリピンなど行いまして、各国の大臣とですね、知己を得たということで、人と会い、人と接し、人との絆、これを深めることで、日本国、そして防衛省のプレゼンスと信頼を向上させることが我が国の平和と地域の安定に寄与できたのではないかと。記者クラブの皆さんとお会いしたのも「遇」の一つでございます。
 そして、最後に「遇」の字は、処遇の「遇」でもありまして、防衛大臣としては、自衛官の処遇改善、地位、名誉の向上、これは長年の課題でありまして、国家としてしっかりと実現をしなければならないことでありました。この度、総理を議長といたします官邸での関係閣僚会議、4回行われましたけれども、この前の会合でですね、基本方針を取りまとめることができたということでございます。「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針」、これを取りまとめることができましたので、今後この基本方針に記載をした各種施策の実効性、これを確保していくことが何よりも重要でございます。
 最後にまた、より運に巡り合うという意味もあります。職業としての自衛官の魅力に飛躍的に向上させる、正に千載一遇のチャンスと捉えておりまして、これから私自身がリーダーシップを発揮しましてですね、これからの施策を強力に推進してまいりたいと思っております。
 以上、今年の漢字につきましてのお話でございました。本当は、忙しいということで「忙」と言ったんですけど、ちょっとよくない、ということで。

〇インドネシアとの協力関係
大臣 :年明けの1月5日の日曜日から8日水曜日、インドネシアを訪問しまして、日インドネシア防衛相会談を実施をいたします。今回が、インドネシアのシャフリィ国防大臣と会談を行う予定でありますが、二国間の防衛相会談としましては2024年、今年の4月に実施して以来ということでございます。当時の国防大臣は、プラボウォ国防大臣、現在、大統領になられました。
 東南アジアの諸国は我が国のシーレーンの要衝を占める戦略的に重要な地域であります。インドネシアとは昨年、二国間の関係を「包括的・戦略的パートナーシップ」に格上げをしております。また、昨年12月に日本で実施された、両国との首脳会談でも安全保障分野での協力を更に強化をするということで一致をいたしております。今回の訪問を機に、安全保障上、大きな意義を有するインドネシアとの協力関係を更に発展をさせていきたいと考えております。

〇ベトナムとの協力関係
大臣 :もう一つ、発表いたします。ベトナムへの資材運搬車の譲渡につきまして。昨日12月23日、ベトナムと防衛装備品・技術移転協定に基づく、初の移転案件としまして、陸上自衛隊の中古資材運搬車2両、これの譲渡が完了をいたしました。本件は、かねてよりベトナム側から、日本の災害対処能力に高い関心が寄せられていたことから、両国間で、陸上自衛隊で運用されている資材運搬車の譲渡について調整が進められていたものでございます。
 今回の譲渡完了を受けまして、現地では、明日12月25日、ベトナム国防省が主催する記念式典が予定をされております。ベトナムとの防衛協力・交流を推進することは、我が国及びインド太平洋地域の平和と安定の確保において重要であり、今回の譲渡は、ベトナムの災害対処能力の向上に貢献をするのみならず、両国の国防当局間の関係強化にも資するものであります。防衛省としましては、引き続き、防衛装備・技術協力はもちろんのこと、能力構築支援や教育交流等を進めてまいりたいと考えております。

記者との質疑応答

陸自オスプレイの追加的措置と飛行再開

記者 :防衛省は21日、オスプレイに関する追加的な措置について発表しました。陸自オスプレイについて、追加的措置が必要となる機体の数と、飛行再開の見通しをお聞かせください。

大臣 :今般、米国が行った分析の結果ですね、一定の飛行時間に満たないプロップローター・ギヤボックス(PRGB)、これにおいて、不具合が発生する潜在的な可能性が示唆されたところ、安全性を更に向上させる観点から、12月20日、これは米国時間でありますが、米海軍航空コマンドによりまして、各機体のプロップ・ローター・ギヤボックスの飛行時間を確認することなどを内容とする新たな指示が出された旨、米側から説明を受けております。これを受けて、陸上自衛隊V-22オスプレイにつきましては、全ての機体についてプロップローター・ギヤボックス(PRGB)の飛行時間の点検を終了しておりますが、今般米側から説明があった追加的措置、これは、一定の条件下での飛行を制限するものなど、オスプレイの運用能力に影響を及ぼすものが含まれていることから、追加的な措置を適用する必要のある具体的な機数については、お答えできないということを御理解をいただきたいと思います。
 また、その飛行再開の時期につきましては、具体的な日程はまだ決まっておりませんが、引き続き関係自治体の皆様に丁寧な説明を行った上で、今般米側から説明のあった追加的な措置を講じ、飛行の安全を確認したものから、順次飛行を再開していく考えであります。

飛行場などに侵入するドローン

記者 :ドローンの侵入事案についてお伺いします。山口県の岩国錦帯橋空港で22日に、滑走路上空でドローンが目撃され、一時航空機の離着陸が中止されました。この件について、防衛省が把握している事実関係と、米軍との共同使用空港にドローンが侵入したことについて、安全保障上の影響をどうお考えでしょうか。また、あわせて今年は護衛艦「いずも」がドローンで撮影される事案も発生しましたが、その後の防衛省・自衛隊の対策の状況についてもお伺いします。

大臣 :一昨日の22日、岩国飛行場の状況について米側に確認をしたところ、安全を最優先とし、滑走路の上空でですね、ドローンの目撃情報を調査するために、一時的に滑走路を閉鎖をしたということであります。その後、航空安全上の脅威はないと判断をし、滑走路の運用を再開をしたと、そういう説明を受けております。また、それに伴いまして、民間航空機が広島空港にダイバート、これは代替着陸をしたと承知をしております。
 ドローンが飛行していたかどうかも含めまして、更なる事実関係につきましては調査中と承知をしておりますが、一般論として申し上げれば、飛行場の上空やその周辺においてドローンを飛行させることは、航空機との衝突事故につながるおそれがある大変な危険な行為であります。防衛省としましては、在日米軍の即応性の維持・向上のために、その施設・区域の安全性を高めるとともに、地域の安全と航空機の安全な運航を確保するために、引き続き関係省庁と連携をして対応をしてまいります。
 また、防衛省・自衛隊としては、本年の3月の「いずも」の事案も踏まえまして、ドローン対処を含む基地警備能力を強化するための取組を、省を挙げて推進をしてまいりました。具体的には、違法ドローンに対し電波妨害による強制着陸を含め、法令の範囲内で厳正かつ速やかな対処を行うよう各部隊に徹底をしたほか、令和6年度補正予算において、ドローン対処に係る予算として過去最大規模の約57億円を計上し、より能力の高いドローン対処器材を早期導入することといたしております。引き続き、他国の動向や技術の趨勢等も踏まえつつ、基地警備に万全を期してまいりたいと考えております。

北朝鮮のミサイル、衛星発射

記者 :韓国軍が昨日、北朝鮮が年末にかけて中距離弾道ミサイルを発射するおそれがあると発表しています。一方で、分析によれば、今年3基を打ち上げるとしていた衛星の発射については、年内の打ち上げは難しいとしています。韓国軍の発表を含め北朝鮮の動向について、現時点での防衛省の分析をお伺いします。

大臣 :韓国の合同参謀本部による御指摘の発表につきましては、承知をいたしております。この当該発表におきましては、北朝鮮が年末に開催予定の朝鮮労働党中央委員会の会議の前後に中距離の弾道ミサイルを発射する可能性があるということ、そして北朝鮮が本年に追加で3基打ち上げるとしていた偵察衛星に関しまして、年内の打ち上げが困難であるということなどが言及されていたものと承知しております。こうした発射の兆候の有無も含め、北朝鮮の軍事動向については、防衛省としても、米国・韓国等とも緊密に連携をしつつ、重大な関心を持って情報収集・分析に努めているところであります。
 そして、本年に入ってからも、北朝鮮は、一貫をして核・ミサイル能力を強化をしていく姿勢を示してきました。こうした状況を踏まえれば、北朝鮮が今後も、更なる挑発行為に出る可能性はあると考えています。このような北朝鮮による核・ミサイル開発は、我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できるものではありません。防衛省としては、国民の生命・財産を守り抜くため、引き続き米国や韓国等とも緊密に連携をしながら必要な情報の収集・分析に努めるとともに、警戒監視に全力を挙げてまいりたいと考えております。

記者 :今のお答えの中で、更なる挑発行為というふうにおっしゃいましたけれども、それは韓国軍が分析するような年内の発射も含めてということでよろしいでしょうか。

大臣 :これは、北朝鮮の動向については関心を持ってですね、情報収集・分析に努めているわけでありますが、個々の具体的な情報の内容につきましては、事柄の性質上、お答えが困難であるということは御理解いただきたいと思いますが、防衛省としましては、引き続き米国や韓国等とも緊密に連携しながら、必要な情報の収集・分析に努めるとともに、警戒監視に全力を挙げてまいりたいと考えてます。

川崎重工の潜水艦修理契約についての特別観察

記者 :話題変わりまして、川崎重工業の件なんですけれども、川崎重工業が架空の取引で作った裏金で海上自衛隊の潜水艦の乗組員に物品の提供などをしていた問題で、大阪国税局が経費と認められない交際費だと認定したということですが、一方、防衛省では、今年7月から特別防衛監察を行っていますけれども、その進捗状況ですとか、中間報告を年内に公表するお考えがあるのか伺いたいと思います。

大臣 :現在、防衛省では7月から特別防衛監察を行っておりますが、この潜水艦修理契約に関する特別防衛監察については、7月に調査を開始以来ですね、一定程度の事実関係を確認してきております。調整結果につきましては、できる限り早く取りまとめ、しかるべき御説明を行ってまいります。いずれにしましても、潜水艦修理契約下での不適切な行為は断じてあってはならず、徹底した調査を行った上で、再発防止策を徹底する考えでございます。

米軍オスプレイの墜落原因、陸自オスプレイへの追加的措置

記者 :オスプレイの関連で何点かお伺いします。昨年11月に起きた屋久島沖のオスプレイ墜落事故では、プロップローター・ギヤボックス(PRGB)のギアの1つにひびが入り、破断しましたが、なぜギアにひびが入ったのか、根本的な原因は解明されたのか教えてください。

大臣 :昨年11月の屋久島沖で発生した米軍オスプレイの墜落事故の調査報告書によりますと、事故の原因は、左側のプロップローター・ギヤボックスの不具合と、操縦士の意思決定とされております。当該事故につきましては、一連の事故の状況や原因が明らかとなっており、原因に対応した各種の安全対策の措置を講じることによりまして、同様の事故の予防や対処が可能です。その上で、プロップローター・ギヤボックス内のハイスピード・ピニオンギヤの一つにひびが入ったことについては、二次的な損傷により、初期の破損の痕跡が不明瞭になったことから、正確な根本的原因を特定することはできなかったと承知をいたしております。
 防衛省としましては、オスプレイの安全性については、必要な情報を発信することは重要だと考えており、引き続き、お伝えできる情報があれば、随時、情報提供をしていきたいというふうに思います。
 その上で、一般論として申し上げれば、航空機について、安全性に関係するような部品の不具合等が判明した場合、製造企業や政府のプログラムオフィスから不具合等について連絡が来ますが、現時点においては、そういった連絡は来ておりません。その上で、今回米側が発表した追加的な措置の内容は、米側においてオスプレイの安全性に関する不断の検討を行った結果、オスプレイの安全性を更に向上させるために実施するものであるというふうに認識をしております。

記者 :今回の追加的措置では、一定の飛行時間に満たないPRGBを搭載したオスプレイが対象になりますが、比較的飛行時間が短い機体が対象になるということは、PRGBの構成品や、その材質自体に問題があるのではないかと考えられますが、大臣の見解を教えてください。

大臣 :その点につきましてはですね、安全性に関係するような部品の不具合等が判明した場合には、製造企業とかプログラムオフィスから不具合等についての連絡が来ますけれど、現時点においては、そういった連絡は来てないということで、今回米側が発表した追加的な措置の内容は、米側においてオスプレイの安全性に関する、この不断の検討を行った結果、オスプレイの安全性を更に向上させるために実施するものであると認識をしておりますので、初期の時間がですね、経過したものについては、確認ができるが、その間は安全性を更に点検するように、という指示だと思います。

記者 :防衛省の発表では、追加的な措置をとる対象機はPRGBが更新されるか、または、特定の飛行時間を上回るまで、措置を継続するとありますが、陸自のオスプレイのPRGBが更新される場合には、その更新費用は日米どちらが負担するのか教えてください。

大臣 :米側からは、オスプレイの統合プログラムオフィスが、PRGB内のギヤ等の更新を含む対応策について、引き続き検討している旨の説明を受けております。その上で、一般的に、安全性を向上するための改修に係る費用については、V-22オスプレイを運用をしております防衛省が一定の負担をすることになると認識しております。

記者 :確認ですけれども、一定の負担ということは、それは日米で分担し合うのか、それとも日本側が日本側の分については全て負担するのか、どちらでしょうか。

大臣 :これ以上の詳細につきましてはですね、事務方の方にお問い合わせいただいて、確認をしていただきたいと思います。

(以上)

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