中谷防衛大臣が記者会見 大阪・関西万博でのブルーインパルス飛行、サイバー防御法案、総理の訪米その他について回答(2月7日)
- 日本の防衛
2025-2-10 12:05
令和7(2025)年2月7日(金)09時20分~09時47分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、防衛省A棟11階第1省議室で閣議後の記者会見を行った。
内容は、以下の通り。
大臣からの発表事項
大阪・関西万博でブルーインパルスが展示飛行
本年の4月13日、日曜日、「2025年日本国際博覧会」、通称「大阪・関西万博」が開幕をいたします。
この開幕イベントの一環として、万博会場であります夢洲の上空で、航空自衛隊ブルーインパルスによる展示飛行を行うことにいたしました。
今回の「大阪・関西万博」は、我が国で20年ぶりに開催をされる国際博覧会であります。政府、経済界、地元自治体など関係者が一丸となって全力で取り組むべきイベントであると考えておりまして、防衛省・自衛隊としましても、この記念すべき万博を一層盛り上げていこうということで、ブルーインパルスによる展示飛行、これを行うことといたしました。飛行の演目や経路といった詳細につきましては、今後、検討・調整を進めてまいりますが、いずれにしましても、たくさんの人々に喜んでいただき、そして、この万博が魅力的な内容になるように盛り上げるということで、そのための展示飛行にしたいと考えております。
防衛省・自衛隊といたしましても、この万博の成功に向けましては、できる限りの役割を果たしていきたいと考えております。
ちなみに、私はこの胸にですね、この万博の公式キャラクターであります、ミャクミャク、これのバッジを着けておりますが、このキャラクターは5つの目、そして、それを取り巻く細胞をリングにしておりますが、これはどういう意味かということで調べますと、脈々と受け継がれている人間のDNA、知恵、技術、歴史、文化、こういう変幻自在なキャラクターとして、あらゆる可能性、人間のすばらしさをこれからも脈々と未来に受け継いでくれるようにするためにですね、この脈という、この生命そのものが受け継いでいるような音、動脈と静脈、こういうことを表すということで、赤は細胞、青は清い水と、細胞は分かれたり増えたりする、水は流れるようにですね、形を変えていくということで、テーマとしては、あらゆる生き物や物事と触れ合うというようなことで、こういった壮大な構想をですね、テーマに開催されるということでございますので、4月13日から10月13日、184日間にわたって開かれますので、これが成功されるようにですね、防衛省も協力をしてまいりたいということでございます。
記者との質疑応答
能動的サイバー防御の法案について、自衛隊の対応とは
記者 :能動的サイバー防御の法案が今朝、閣議決定されました。警察と合同で自衛隊も対処に当たりますが、どのような場合に自衛隊が対処するのか、具体的な想定を教えてください。また、警察や自衛隊などの関係機関が合同で対応に当たる拠点を市ヶ谷に整備するという話もありますが、どのような態勢を整備していくかお答えください。
大臣 :本日の閣議におきましては、正式名称が「重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律案」、いわゆる「サイバー対処能力強化法案」とともに、自衛隊法の改正を含む「整備法案」について閣議決定をいたしました。
お尋ねの自衛隊による対処について申し上げますと、まず国や基幹インフラ等の重要な電子計算機に対して、国家を背景とする主体による高度なサイバー攻撃が行われて、自衛隊が対処を行う特別の必要があるときに、被害を防止するための措置である通信防護措置を自衛隊が実施できるということといたしております。また、自衛隊や我が国に所在する米軍が使用する一定の電子計算機をサイバー攻撃から警護するための権限を自衛隊に付与することといたしております。
そして、御指摘の点につきまして、現時点で政府として決定している施設はございませんが、通信防護措置は、自衛隊と警察機関が共同して実施をすることとしておりまして、平素から情報共有を含めて、両者の密接な連携を可能とする様々な工夫を行っていく考えであります。防衛省・自衛隊としましても、国会の審議に丁寧に対応して、この法案の早期成立に努めてまいりたいと思っております。
大臣と豪州国防軍司令官との会談について
記者 :大臣は5日、オーストラリア国防軍のジョンストン司令官と会談しましたが、会談を実施した受け止めと、オーストラリアと防衛協力を深める意義、また、一致できた点があれば教えてください。また、日米豪印の枠組みなど、米国のトランプ大統領就任を受けた今後の米国を含めたこれらの国との防衛協力の関係維持や、「もがみ」型護衛艦の輸出に関する話題に言及したか、あわせてお願いいたします。
大臣 :2月の5日に、豪州国防軍司令官のジョンストン海軍大将から表敬を受けました。我が国とオーストラリアは、価値観と戦略目標を完全に共有をしておりまして、同志国連携の中核であります。オーストラリアとの間では、日米防衛協力に次ぐ緊密な関係を構築をするということにいたしております。
その上で、同盟国である米国と共に、平素から緊急事態まで切れ目なく、自衛隊・オーストラリア軍・米軍が実効的に連携する態勢を構築をし、実践的な抑止力・対処力を構築をしていくことは、我が国や地域の平和と安定を構築、強化、そして維持をする上でですね、極めて重要であります。豪州の軍のトップであるジョンストン司令官との間におきましては、こうした認識を共有をいたしまして、私が以前提案をいたしました日米豪防衛協議体「TDC(Trilateral Defence Consultations)」、これも活用しまして、日米豪防衛協力をはじめ、米国との連携を、引き続き推進することの重要性を確認をいたしました。
また、今年の3月に設立をいたします自衛隊の統合作戦司令部とオーストラリアの統合作戦本部との間を含めて、自衛隊とオーストラリア軍のあらゆるレベルでの協力を深化をさせていくということで一致をいたしました。
また、オーストラリアの次期汎用フリゲートの最終候補に我が国の艦艇が残っているということも踏まえまして、私も日本とオーストラリアの間で防衛装備・技術協力を更に推進をしていきたい旨、私からお話しをしたところであります。
今後とも日豪防衛当局間では、あらゆるレベルで緊密に連携をいたしまして、自衛隊とオーストラリア軍の実効的な連携の強化をはじめ、日豪防衛協力の更なる進展を図ってまいりたいと考えております。
日豪で合意した反撃能力と長距離打撃力の協力深化の現状
記者 :関連で、日豪の関係でですね、昨年9月の「2+2」で合意した、反撃能力と長距離打撃力の協力深化という項目があったと思うのですが、こちらに関してですね、現状の取組について伺えますでしょうか。
大臣 :我が国は、戦略3文書に基づいて、スタンド・オフ防衛能力を活用した反撃能力の整備などを進めております。また、オーストラリアも長距離打撃力の取得を重視をいたしております。こういうことで、日豪間では、防衛協力の更なる進展を図る上でも、共通の能力を整備をし、相互運用性を高める取組は重要であるということを認識をしておりまして、こうした点を踏まえて、昨年9月、日豪「2+2」、そして11月のですね、日豪防衛相会談におきまして、日本のスタンド・オフ防衛能力を活用した反撃能力とオーストラリアの長距離打撃力との協力を深化するということで一致をしたところであります。
現在、日豪間においては、例えば、戦略環境に関する認識共有、そして反撃能力の運用に関する意見交換を行っているところでございます。なお、第11回のですね、9月5日に行われました日豪「2+2」におきましては、今お話しをいたしましたスタンド・オフ防衛能力を活用した反撃能力とオーストラリアの長距離打撃力の協力を深化するということなど、こういった項目について協議をいたしておりますし、また11月17日にもですね、このマールズ副首相兼国防大臣と日豪防衛相会談におきまして、この日本のスタンド・オフ防衛能力を活用した反撃能力と豪州の長距離打撃力の協力、また新たに立ち上げる審議官級の装備当局間の協議を通じた防衛装備産業協力など、日豪の防衛協力を更に推進していくということで一致をいたしております。
自衛官による国会答弁について
記者 :別件で伺いたいのですが、先日の予算委員会での関係で伺います。国民民主党の橋本議員がですね、自衛官の国会出席を求める場面がありました。長年の国会の慣例ですけれども、諸外国では現役軍人の方が出席することも珍しくありません。本件に関するですね、大臣の受け止め、考えを伺いたいと思います。
大臣 :自衛官によります国会答弁につきましては、あくまでも国会において判断をされる事項でありますので、御指摘の予算委員会でのやり取りや答弁の在り方につきましては、政府として見解を述べるという立場にはありません。
ただし、以前、私も同様の問題について国会答弁をいたしておりますが、その時には防衛大臣をはじめとする政務が国会答弁を行う、それと、政策的見地から大臣を補佐する官房長や局長、防衛装備庁長官、また、統合幕僚監部にあたっては、政策的知見を有する総括官といった文官に行わせるということにいたしておりまして、統合幕僚長等については、引き続き防衛大臣を軍事専門的見地から補佐をする者として、自衛隊の部隊運用をはじめとする部隊の管理・運営に専念をさせたいと考えております。
防衛省設置法におきましては、防衛大臣を補佐する者としてですね、先ほど述べました政策的見地から大臣を補佐する官房長等の文官の皆さん、そして、片や自衛隊の部隊運用をはじめとする、この部隊の管理・運営につきましては、軍事的専門的見地から補佐をする者としての自衛官という形でですね、位置付けられておりますので、こういうことを含めて考えた結果、先ほどお話した内容であると考えております。
各国空母が参加する日米仏共同訓練について
記者 :日米仏共同訓練について伺います。海上幕僚監部は6日、10日から日米仏共同訓練を開始すると発表しました。今回の訓練には事実上の空母として改修が進められている護衛艦「かが」のほか、米仏の空母と3か国の空母が参加する予定です。今回の訓練の意義や、3か国の空母が出る狙いについて教えてください。
また、昨年はイタリアの空母「カブール」との共同訓練もありましたが、改めて欧州各国との防衛協力・交流の強化をどのように進めていかれるか伺います。
大臣 :海上自衛隊の護衛艦であります「かが」、「あきづき」、これは、2月10日から18日までの間、フィリピンの東方海空域において、米海軍の空母「カール・ヴィンソン」及びフランス海軍の空母「シャルル・ド・ゴール」を中心とした空母打撃群とともに、対空戦訓練、対潜戦訓練をはじめとする各種戦術訓練を実施をし、海上自衛隊の戦術技量及び参加国の海軍との連携、これの強化を図ってまいります。なお、空母を交えた日米仏3か国共同訓練は今回が初めてとなります。そしてフランスの空母打撃群のインド太平洋地域への派遣は、フランス海軍のインド太平洋に対する関与の意思と能力、これを示す証左であります。そのようなフランスの空母打撃群と同盟国である米国の空母打撃群との共同訓練は、自衛隊の戦術技量を向上させるのみならず、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて各国との連携を深化をさせるというものでございます。
我が国と欧州各国は、力による一方的な現状変更及びその試みを許容しないという考えをはじめとし、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値を共有をしております。防衛省・自衛隊としましては、欧州各国との間で、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であるという認識を確認をしつつ、安全保障上の課題が多く存在をしておりますインド太平洋地域における共同訓練をはじめとして、引き続き、様々な分野での防衛協力・交流を進めてまいりたいと考えております。
なお、「いずも」型護衛艦は、ヘリコプター運用機能、対潜水艦作戦機能、指揮中枢機能、人員や車両の輸送機能、そして医療機能などを兼ね備えた多機能な護衛艦であり、今後、これに航空機の運用機能が加わってもですね、引き続き多機能な護衛艦として活用していく考えでございます。
石破総理大臣の日米首脳会談について
記者 :石破総理大臣、先ほどアメリカに到着されました。明日未明にもですね、日米首脳会談が行われますけれども、安全保障面での連携の更なる深化、どのような成果を期待されますでしょうか。また、首脳会談を受けてですね、「2+2」の早期実施等も見込まれていますが、そのあたり、どういうふうに見通してらっしゃるか、お聞かせください。
大臣 :石破総理、アメリカに到着をした模様でございますが、今回の日米首脳会談は、石破総理とトランプ大統領との間の最初の対面による会談となりますので、まずは率直な意見交換を通じまして、個人的関係を構築をすること、そして、厳しさを増すインド太平洋地域の安全保障環境について認識を共有をするとともに、日本の防衛と「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて日米両国で一層協力をしていくということを確認をし、そして日米同盟を更なる高みに引き上げる機会となるということを期待をいたします。
また、私は先日、1月の31日でありますけれども、ヘグセス長官との間で電話会談を行いまして、日米同盟の意義及び抑止力・対処力の重要性について確認をし、可能な限り早期の対面での会談の実現に向けて調整をしていくということで一致をいたしました。私といたしましても、ヘグセス長官との間では、お互いに最も信頼するカウンターパートとして、防衛相会談や「2+2」の機会を捉えてですね、緊密に意思疎通を図るとともに、強固な信頼・協力関係を構築をし、日米同盟を更なる高みに引き上げていく考えでございます。今回の首脳会談を良好な関係を構築をしましてですね、更に日米安全保障環境の信頼が高みにまいるようにですね、期待をするものでございます。
大阪・関西万博でのブルーインパルスの飛行について
記者 :冒頭御説明があったブルーインパルスの関係でお尋ねしたいんですけれども、今回のブルーインパルスでの飛行においては東京五輪のようなカラースモークの使用というのは考えていらっしゃるんでしょうか。
大臣 :やり方につきましては、今後検討・調整を進めているということでございますが、現在私が聞いているところによりましては、カラースモーク、これを使用することは考えていないということです。
記者 :関連で、コースについてもこれから考えていかれるというお話だったんですけれども、以前からですね、大阪の子供達がですね、関西空港にブルーインパルス来てくれないかという手紙をですね、防衛省、確か航空自衛隊の方に出していたんですけれども、今回夢洲飛ぶんですが、関西空港の方にも足を延ばされるようなお考えというのはございますでしょうか。
大臣 :内容につきましては今日発表したことで、今回の目的というのは夢洲で開かれる大阪・関西万博ということでありまして、その夢洲の上空で行うということでございますが、今後実施につきましてはそういった御要望もあることを踏まえましてですね、今後内部で検討していきたいと思います。
記者 :大臣先ほど万博に、できる限りの役割を果たしていきたいとおっしゃられたんですが、ブルーインパルス以外に今思い描いていらっしゃる協力というのはどのようなことがあるのでしょうか。
大臣 :できる限りの役割を果たすということで、各種調整・検討を実施しているところでございますが、そういうイベントの要請とかですね、警備の問題とかですね、いろいろと要望があるかもしれませんが、現時点でお話できるものはまだございませんけれども、この万博が成功できるようにですね、いろんな形で協力できるところは協力したいというふうに思います。
記者 :同じくブルーインパルスの関係で、1点確認させてください。先ほど開幕イベントの一環として展示飛行を行うというふうにおっしゃっていたと思うんですけれども、4月12日の開会式で飛行するということでよろしいでしょうか。
大臣 :この万博が、4月13日の日曜日、開幕をいたします。これは正式に。12時頃に航空自衛隊がブルーインパルスをもちまして、万博会場の夢洲上空で展示飛行を行うということとしております。それに伴いまして、その前日、12日にも当日と同じ要領でですね、予行飛行、これを予定をいたしております。その内容等につきましては、現在、検討・調整をしているところでございまして決定をいたしておりませんが、前日の12日もですね、同じ要領で予行飛行を予定をしているということでございます。
北方領土について
最後にですね、今日、2月7日は北方領土の日でございます。北方領土に関する我が国の立場を申し上げればですね、北方領土は我が国が主権を有する島々であり、我が国固有の領土であります。政府としては、この立場は一貫しておりまして、変わりはなくて、北方領土問題を解決をし、平和条約を締結をするという方針を堅持していくという考えには変わりはありません。
ロシアは、近年、我が国固有の領土である北方領土においては、不法占拠の下でですね、最新の装備の配備、また演習・訓練、こういった実施をしておりまして、ロシア軍の活発な活動を継続をいたしております。また、北方四島におけるロシア軍による軍の行動、また軍備の強化、これは諸島に対する我が国の立場に反するものでありまして、決して受け入れられません。防衛省としましては、ロシアによるウクライナの侵攻の動きも念頭に置きつつ、我が国周辺におけるロシア軍の動向についても、引き続き情報収集・警戒監視に万全を期してまいりたいと考えております。また今日、政府も参加しての関連行事も開催される予定であります。
(以上)
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