中谷防衛大臣が記者会見 円滑化協定やウクライナ関連などに言及(3月14日)
- 日本の防衛
2025-3-18 12:12
令和7(2025)年3月14日(金)09時28分~09時54分、中谷元(なかたに・げん)防衛大臣は、防衛省A棟11階第1省議室において閣議後会見を行った。
内容は、以下のとおり。
大臣からの発表事項
14日に閣議決定された法律案について
大臣 :本日の閣議におきまして、正式名称が「日本国の自衛隊と我が国以外の締約国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国と我が国以外の締約国との間の協定の実施に関する法律案」、これが閣議決定をされました。これは円滑化協定、いわゆるRAAは、自衛隊と締約国の軍隊が、共同訓練や災害救助などの協力活動に関して相手国を訪問する際の、出入国手続きや部隊の法的地位などを定めることで、それらの活動の実施を円滑にする二国間の協定であります。
本法律案は、このRAAの適確な実施を確保するための国内担保措置を定めるものであります。これまで我が国は、オーストラリア・英国との間でRAAを締結をいたしております。そして、その実施に関する法律は、それぞれ個別に制定されているところであります。他方、昨年7月に新たにフィリピンとの間でRAAに署名をいたしましたが、その内容も踏まえますと、RAAの実施のために必要となる国内担保措置の内容は定型化していると言えるわけでございます。
これを踏まえまして、本法律案では、これまでの日豪・日英RAAの実施に関する法律を統合し、RAAの国内担保措置を定める規定を共通規定化することといたしております。非常に大切な法案でありますので、引き続き丁寧な説明をしまして、国会での早期成立を期してまいりたいと考えております。
記者との質疑応答
米国が提案したウクライナとロシアの一時停戦案について
記者 :ウクライナが、米国が提案したロシアとの一時停戦案を受け入れました。一方で、ロシアは停戦の実現には議論が必要な問題が多く残っているとして、即時受け入れは困難という立場を示しています。停戦案を巡る一連の動きについての受け止めを伺います。
あわせて、停戦が実現した場合、防衛省・自衛隊としてウクライナ支援にどのように関与していく考えかも伺います。
大臣 :長く継続をしています戦闘の終結に向けたプロセスにおける重要な一歩として歓迎をいたします。そして、今般の協議後に発出された共同声明におきましては、今般の協議結果を受けて、米側がロシア側と協議をするとされております。このロシア側による前向きな対応、これを強く期待をいたします。
停戦が実現した場合においては、予断を持ってお答えする段階にはまだありませんけれども、防衛省・自衛隊として、引き続き困難に直面するウクライナの方々を支え、ウクライナにおける一日も早い公正かつ永続的な平和の実現に向けて、国際社会や関係省庁と連携しながら適切に対応していきたいと考えております。
記者 :ウクライナの関連で伺います。欧州を中心とした有志国の参謀総長クラスが11日、ウクライナの安全保障に関する会議をパリで開催しました。こちらに防衛駐在官の方が参加したということですけれども、参加の目的と意義をどう考えるか、また、今後もですね、こうしたウクライナの安全保障に関する会議に参加していく考えか伺います。
大臣 :3月11日、フランスのパリにおいて、フランス・英国両政府主催によりまして、ウクライナ支援に関する軍参謀総長等会議が開かれました。これは、ウクライナ情勢について、軍関係者が意見交換を行うということを目的とした会議でありまして、この会議には、EU、NATO加盟国、ウクライナなどに加えまして、IP4、すなわちオーストラリア、ニュージーランド、韓国そして我が国も招待を受けております。そして、約40か国によって開催をされました。
我が国からは、在フランス大使館の防衛駐在官が参加をしました。ウクライナ情勢についての情報収集という観点から大変意義があったと考えております。こうした会議への今後の参加につきましては、機会に応じて適切に判断してまいりますが、我が国としては、引き続き国際社会と緊密に連携をしつつ、ウクライナにおける公正かつ永続的な平和の実現に向けて取り組んでいく考えでございます。
手りゅう弾の訓練事故について
記者 :大臣、現役の自衛官時代にですね、演習で手りゅう弾何発携行されていたでしょうか。
大臣 :手りゅう弾。ここへぶら下げて持っていましたけれど、それを携行というんですか。
記者 :はい。
大臣 :携行した記憶はありますけれど、何発かというのは覚えていません。
記者 :実はですね、先日、陸幕の方にですね、去年の手りゅう弾事故に関連して質問した時にですね、手りゅう弾のポーチをどのくらい持っているかと聞いたんですが、各普通科連隊には置いてあると、その数に関しては保安上答えられないというお答えだったんですが、こういうことを隠す軍隊って普通ないと思うんですよね。こんな、公開して当たり前の情報なんで。
しかも、ただ問題なのはですね、手りゅう弾のポーチというのは実はあるにはあるんですけれども、第2次世界大戦の米軍をコピーしたもので、コットン製の旧式のもので誰も使っていない。取材した限りですと、20年ぐらい前に倉庫で見たことがあるんですけれども、誰も使っていませんと。しかも、演習に関しては模擬手りゅう弾も配られないんで、隊員さん達、自分たちで自作で模擬手りゅう弾を持って使っていると。これ、保安上の問題で答えられないんじゃなくて、恥ずかしかったから答えられなかったんじゃないですか。
つまり、手りゅう弾をまともに運用するというですね、システムができていないんではないか。手りゅう弾をまともに運用できない人たちがですね、手りゅう弾の投てきで、危険な、米軍もやめたマーク2を未だに使って大丈夫だ、運用を変えて大丈夫だ、というふうにおっしゃっているんですけれども、大臣、陸自で本当に手りゅう弾をまともに運用できていると思いますか。
大臣 :私は、幹部候補生学校でですね、手りゅう弾に関する教育を受けました。教本には、手りゅう弾の種類とかね、特性を書いておりましたし、実際は模擬弾などを通じて、こうやって金具を外しますとかですね、そういう訓練を受けた後に、投てき訓練ですね、射場で実際、手りゅう弾を投てきをいたしました。この時は、かなり安全に重視をした対処要領とか、避難要領とか、それを徹底した上で、そういう訓練を実施しましたし、実際、部隊における訓練もですね、安全第一ということで、そういうことは徹底して行っていると認識しております。
残念ながら、前回は訓練事故が起こって隊員が死亡してしまいましたが、通常は考えられないようなですね、自分の背丈よりも深い所に入ってやっておりますので、なぜ、あのようなことが起こったのか、これは厳しく、今分析をして、再発防止も講じているわけでございますので、そのような手りゅう弾の訓練等に関しましては、安全重視の上で行っているというふうに認識しております。
記者 :問題はですね、演習に手りゅう弾を持っていかないということが、実戦で使うつもりがないということなんじゃないですか。
自衛隊は、米軍だけではなくて、諸外国、英軍、オーストラリア、フランス、インド、共同演習していますけれども、彼らとですね、演習をしてそこから何を一体学んでいるのか、彼らは、どういうふうに、例えば自分たちの個人装備に使っているのか、どういうものを持っているのか、ということを真摯に学べばですね、ちょっと自分たちの今の方法がおかしいんではないかという反省が出てくると思うのですけれども、これ、共同訓練を本当にやっている意義があるんでしょうか。
大臣 :実際の訓練は、実訓練としてですね、行っているわけでありますけれど、普通の演習等につきましては、私もここにぶら下げて行軍をやったことがありますけれど、いわゆる模擬弾で、これ外れると爆発してしまいますから、やはり安全管理上ですね、そういうことは避けつつ、実際は訓練で投てき、実物でしますので、そういった安全管理、それはしっかりやりながら訓練を実施していると思います。
在日米軍駐留経費負担の増額要求について
記者 :トランプ米大統領が駐日大使に指名した実業家のジョージ・グラス氏が13日、米連邦議会の公聴会で在日米軍駐留経費負担の増額を要求する意向を示しました。トランプ大統領は1次政権でも日本側に要求した経緯がありますが、受け止めを伺います。
また、今回の件も含めてトランプ政権は防衛費増額や安保条約への不満など度々日本の防衛政策について言及していますが、今後どのように対応されていくお考えでしょうか。
大臣 :報道は承知をしておりますが、公聴会でのやり取りの一つ一つにつきましては、コメントはいたしません。その上で、非常に落ち着いた口調でですね、大変詳しい、日米間の内容についても言及をされておりましたので、かなりの識者だと認識をいたしております。
その上で、同盟強靱化予算(HNS)については、日米両国政府の合意に基づいて適切に分担をされていると私は考えております。現行の特別協定期間の終了以降の経費負担の在り方については予断すべきではないと考えますが、これは正式に御就任をされた後に、日本側としましても、しっかりと交渉をしていくと同時にですね、適切な負担の在り方については不断に検討してまいります。
この同盟の強化は、石破政権の外交・安全保障政策の最重要事項でございます。我が国及び国際社会を取り巻く安全保障環境というのが非常に厳しさを増す中で、その重要性というのは一段と高まってきておりまして、同盟の抑止力と対処力の更なる強化に向けて取組を、引き続き継続をしていくことが大事でありますので、引き続き米側と密接に意思疎通をしていく考えでございます。
特に、大使に就任される方とは、日米の在日駐留経費負担、これが一番大きな交渉材料になりますが、現行の規定はですね、令和4年4月にスタートして5年間の期間で行われております。現行の規定は3年目ということで、令和8年度いっぱいが改正時期でありますので令和9年3月までには、しっかりと日米間で協議をして、御了解をしていただいて決着をさせなければならないというふうに思っております。
石破総理の商品券配布問題について
記者 :石破総理大臣のですね、商品券を配った問題に関してお尋ねします。石破総理は昨夜、自らですね、当選1回の自民党議員に対して一人10万円分の商品券を自分の指示で配ったと。更にこうしたことは、今回が初めてではなかったという説明をしました。一方で法令違反ではないという認識を示しています。
石破総理はですね、自民党総裁として政治とカネの問題を受けて党員、あるいは国民の負託を受けて選ばれたわけですけれども、こうした行為がですね、どのような影響を、政権あるいは自民党に対して与えるというふうにお考えでしょうか。また、法令違反ではないというふうに総理はおっしゃいますけれども、李下に冠をたださず、とも言いますが、こうした行為そのものについてですね、大臣どのようにお考えでしょうか。
大臣 :お尋ねにつきましては、昨夜、石破総理が説明をされたということは承知をいたしておりますが、それ以上の事実関係の詳細は承知しておらずですね、お答えは差し控えたいというふうに思います。選挙に関して政府の立場でコメントすることは差し控えたいと思いますが、選挙の影響についても同様でございますので、コメントは控えたいというふうに思っております。
法的な問題につきましては、総理が説明をしたと同様にですね、政治資金規制法と、また公職選挙法等につきましては、法的な違法性はないというふうに認識をしております。
記者 :石破さんのですね、説明は承知していらっしゃるということでしたが、石破さんの説明についてはどういうふうに受け止められましたでしょうか。
大臣 :すぐにお答えをされまして、正直にですね、事実関係を述べたわけでございます。これにつきましては、総理自身の問題でもありますし、総理が説明をされたと思いますが、必要がありましたら、総理にお尋ねいただきたいというふうに思います。
記者 :総理はですね、今回の配布を慰労の目的で配ったというふうに言ってますけれども、中谷大臣御自身はですね、今回のように慰労という目的で商品券を配ったり、あるいは受け取ったりした経験というのはあるのでしょうか。
大臣 :私自身の政治経験としまして、お土産を名目としてですね、同僚の国会議員に商品券を配ったり、受け取ったりしたことはありません。昨日、総理が説明されたことは承知しておりますけれども、それ以上の事実関係は承知しておりませんので、中身については総理にお尋ねいただきたいと思います。
石破総理のC-17輸送機に関する報道について
記者 :総理のですね、C-17に関する諸問題に関して伺いたいのですけれども、石破総理がアメリカとの交渉の時に、C-17を導入したいという話はあったというふうな報道がありまして、それに対して防衛省の人間とか空幕の人間とか空自の人間が、否定的な話をしているという記事が多々出ていると思うんですね。
C-17を導入したいとかっていう話は、少なくとも日米交渉の中でしか出ていなかった話で、外部ではそれを確認する方法がないのに、それを知っている人間というのは防衛省の中でもごく限られた人間になるのではないか。その限られた人間しか知らない情報を下にリークをするというのは、これは交渉の相手としてはね、防衛省に言ったら全部筒抜けだよっていうと、交渉で機微のある交渉ってできないのではないかって話になるのではないでしょうか。いかがでしょうか。
大臣 :今回の事実が報道されたということにつきましては、これは官邸内のやり取りでもありますし、また日米の首脳会談等の内容でありまして、当然表に出るような話でもありませんし、私自身もその問題については、承知しておりません。したがって、これについてのコメントや感想というのは、私は持ちえないということです。
記者 :その件に関してですね、C-17はコストが非常に高いんだみたいな話を、いわゆる防衛省の専門家という人がですね、コメントをしたというふうに報道があるんですけれども、僕の調べる限りC-17よりもC-2の方が5倍も6倍も運用コストがかかっているんですね。
そういう事実でないことをどういう意図でもってね、防衛省の中の人たちがリークしているんだと。僕自身もジャーナリストとしてリークというのは、あるべきものだと思うんですけれども、それは時と場合によるのではないかと。
あと、例えばリークする相手が何らかの意図をもって、この三味線で躍らせてやろうと、例えば世論を誘導してやろうみたいなものがあった時は、ジャーナリストは非常に気を付けなければいけないんですけれども、少なくとも今回の一連の報道を見る限り、皆さん言われたことをそのまんま検証せずに、じゃあその記事を書いた人達の中で実際に、じゃあC-17に関して、ボーイングとか在日米軍に取材したのか、実際に、例えば僕も何度も見てますけれども、離着陸の様子とか、例えばクルーに取材したことあるのかというと、多分ないと思うんですよね。だから、言われたことをそのまま書く、書き散らすというのは、これはいったいどういうことなんだと僕は思うんですけれども、大臣いかがですか。
大臣 :事実もう既にアメリカでは、C-17は製造を中止をしてですね、部品も含めて、全ての調達ができない状況にあると聞いております。このC-2とC-17の選定の時は、非常に航空自衛隊の中でもですね、かなりの検討を重ねて決定したわけでありますので、そのいきさつ等について承知しておりませんけれども、あくまでも、この外部からですね、こういったC-17とかC-2についてどう思うかということで個人的な意見を言われる方はいるかもしれませんが、本気でこれを求めるという認識にある人は、まずいないと思います。詳しいことは、また現場にお聞きになってください。
KC-46空中給油機の来年度予算計上について
記者 :KC-46に関する質問なのですけれども、来年度の予算に入っていたと思うのですが、現在ボーイングの方にですね、生産が止まっていると。しかも開発の段階で問題がある機体であって、これを何の候補も考えずに、初めから1択で買ってしまって、しかも今その生産が中止になっているという状態で、来年度の予算に計上して良いものなのでしょうか。
大臣 :KC-46は空中給油機。
記者 :はい。そうです。
大臣 :これは我が国の国防上ですね、空中において燃料補給が必要だということで、当時の判断としては装備として購入したものでございますが、非常にその価格とか、メンテナンスの面で上手くいっているのかどうか、いろいろ問題があるかどうかですね、その点についてはまた調べてみますが、現行のFMSにおいても、いろんな課題や問題があろうかというふうに思いますので、今度日米防衛相会談においてもですね、このFMS等の在り方については問題提起をしてみたいというふうに思います。
C-17輸送機の導入検討について
記者 :今のC-17に関連してなんですけれども、すみません、ちょっと聞き漏らしていたらあれなんですが、本気でそれを目指している人はほとんどいないと思いますということでしたけれども、石破総理御自身は、これ一つの持論としておっしゃっていますが、石破さんにもそのつもりがないという認識を大臣は持ってらっしゃるという理解でよろしいでしょうか。
大臣 :石破総理には直接伺ったことはないと思いますが、過去の当時の私の経験としまして、PKOの派遣の時に、大きなヘリがですね、輸送できないという問題がありまして、ロシアのアントノフを借りようとしたらですね、かなり長期間かかりまして、それがですね、その後必要になったいうことでございます。
そして、C-17につきまして、導入を検討しているかということにつきましては、現時点において、総理自身も何ら決めて話をしているというものではないというふうに認識をいたしております。ただ、例えばオスプレイなんかの輸送に対して、やっぱり有事に国民の避難誘導などを考えますと、大型のヘリの輸送機というものは、必要な部分もありますので、こういった機動展開能力の在り方につきましては、不断に検討をしてですね、強力に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
空自輸送機のポートフォリオについて
記者 :関連してなのですけれども、航空自衛隊の輸送機のポートフォリオについてお伺いしたいのですけれども、過去3代の空幕長に聞いたところですね、航空自衛隊の輸送機のポートフォリオは何も考えていない、ただC-2を買うだけだみたいな、いつもお返事だったんですけれども、実際問題として、ペイロード8トンのC-1はほぼ退役です。
そして、C-130Hはもう30年経って、ほぼほぼもう老朽化も激しいと、これでですね、この段階で全く将来の輸送機のポートフォリオを航空自衛隊が持っていないというのは大変問題だし、来年度の予算にもそういう例えば調査費用なども計上されていないようなのですけれども、これは例えば極端な話、C-2しかなくなってしまう、1トン、2トンの貨物をC-2で運ぶ、というような状態になって大丈夫、問題ないというお考えなのでしょうか。
大臣 :現時点において、航空機の購入等については何ら決まったものはないのですね。ただ、この機動展開能力の在り方については不断に検討しまして、この強化に引き続き取り組んでまいりたいと思いますので、空幕長の方にですね、ポートフォリオのことも含めまして、事実どうなっているか問い合わせしてみたいというふうに思っております。
大臣 :今日からミャクミャクが登場しました。あと30日でありますので、成功するように、またよろしくお願いいたします。
(以上)
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