中谷防衛大臣が記者会見 国内初の88式地対艦ミサイル実射訓練の6月実施などについて回答(4月11日)
- 日本の防衛
2025-4-15 09:01
令和7(2025)年4月11日(金)08時32分~08時43分、中谷元(なかたに・げん)防衛大臣は、衆議院分館1階において閣議後会見を行った。
大臣からの発表事項はなく、以下のとおり記者との質疑応答が行われた。
記者との質疑応答
陸上自衛隊 北部方面隊による国内初の88式地対艦ミサイルの実射訓練実施について
記者 :
陸上自衛隊の北部方面隊が今年の6月、88式地対艦ミサイルの実射訓練を国内で初めて行うと発表がありました。安保環境が悪化する中、初めて国内で実射訓練に取り組む意義を改めて教えてください。また、地元関係者からは不安の声もありますけれども、安全性の確保をどのように行っていく予定なのかもあわせてお願いします。
大臣 :
陸上自衛隊では、本年6月頃に、国内において地対艦誘導弾の射撃訓練を実施する予定であります。その実施場所については現在調整中であります。陸上自衛隊の地対艦誘導弾につきましては、これまで、良好な訓練基盤を有するアメリカ本土の射場において、この長射程射撃などの実戦的な射撃訓練を行ってまいりました。他方で、近年の厳しい安全保障環境を踏まえまして、より多くの部隊による各種装備、これを用いた訓練の機会を確保するために、射程などに制限はあるものの、国内における射撃訓練の実施について調整をしているところであります。いずれにしましても、国内における射撃訓練の実施に際しましては、まずは安全性の確保、そして地元への丁寧な説明に努めてまいりたいと思っております。
在日米軍の駐留経費の日本負担に関する米国国防次官コルビー氏との交渉について
記者 :
米国上院は8日、国防次官にコルビー氏を充てる人事を承認しました。コルビー氏は、第1次トランプ政権で国防次官補代理を務め、対中強硬派としても知られています。また、抑止力強化のために日本の防衛費を少なくとも、GDP比3%に引き上げるよう主張しています。大臣の受け止めと、どのように向き合っていくかお考えを伺います。また、同じ日には、グラス氏を駐日大使に充てることが承認されました。今後、経済と防衛の両面で対日圧力を強めるとみられる中で、在日米軍の駐留経費の日本負担に関して交渉相手となることが想定されますが、どのように受け止めていますか。
大臣 :
政府としましては、米国の国防次官補代理としての経験を持つコルビー氏が国防次官として承認されたこと、また、外交、ビジネスの経験を持つグラス氏が、駐日大使として承認されたということを歓迎をいたします。御指摘のコルビー氏やグラス氏の過去の発言については承知をしていますが、その一つ一つについてコメントをすることはいたしません。その上で、防衛力の抜本的強化につきましては、大事なのは防衛力の中身であります。我が国自身の判断と責任で進めていく、そして主体性と主導性をもって考えていくということが重要であります。戦後最も厳しい複雑な安全保障環境の中で、我が国として主体的に、抑止力・対処力を強化するための取組を不断に検討をしておりまして、引き続き、国家安全保障戦略等に基づき、防衛力の抜本的強化、これを着実に進めてまいりたいと考えております。先日の防衛相会談では、私からヘグセス長官にこうした内容を説明をし、米国からも理解を得たところであります。また、同盟の強化において、同盟強靱化予算(HNS)につきましては、日米両政府の合意に基づいて適切に分担をされていると考えております。現行の特別協定期間終了、これは2027年の3月31日でありますけれども、以降の経費負担の在り方については、現時点において予断すべきではないと考えますが、今後とも、日本側の適切な負担の在り方について不断に検討してまいります。防衛省としましては、引き続き日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化を図るための協力を進めていくべく、トランプ政権関係の政府の方々と緊密に意思疎通をしていく考えであります。
普天間飛行場の全面返還合意から29年、具体的な負担軽減策について
記者 :
明日12日で、日米両政府が普天間飛行場の全面返還に合意してから29年となります。いまだ返還が実現していない現状でありますけれども、大臣の受け止めと、それから地元の宜野湾市からですね、所属機の段階的な移駐というものを要望されておりますけれども、そういったものも含めた具体的な負担軽減策をお伺いします。
大臣 :
普天間飛行場をめぐる問題の原点は、何と言っても市街地に位置をして、住宅や学校で囲まれて、世界で一番最も危険と言われる普天間飛行場の危険性を一日も早く除去をするということであります。これは普天間飛行場の固定化というのは絶対に避けなければならない。昨日も質問が出ておりましたけれども、やはり普天間飛行場に危険性が残されるということは、いつまで経っても地元の不安であるという発言がありました。これはやはり、地元と政府との今共通認識でありまして、この本年の3月の日米防衛相会談でも、話し合われましたけれども、これまで29年の中でですね、日米間で累次にわたって確認をしているとおり、辺野古への移設、これが唯一の解決策であります。普天間飛行場が残ればですね、まだまだ心配や危険性が残されているわけでありますので、これまで様々な経緯がありましたけれども、この方針に基づいて、着実に工事を進めていく、もう既に手順が示されていますので、やはり普天間飛行場の一日も早い全面返還、これを実現するものであります。一方で、全面返還が実現するまでの間も、基地負担の軽減、これは一層進めていかなければならないことでありまして、米側に対して、安全確保に最大限努め、航空機騒音規制措置の遵守など周辺地域の影響を最小限にとどめるよう、引き続き粘り強く働きかけるとともに、訓練移転のほか、地域社会の調和に係る各種施策なども着実に実施をしていくということが大事であります。今後とも、地元の皆さんに丁寧に説明を行いながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現をし、そして、基地負担軽減を図るためにもですね、全力で取り組んでまいります。この29年といいますと、私が最初に防衛庁長官になったのは2001年ですから、それから25年、その時はまだ普天間移設協議会というのがありまして、この名護市と県と国、これが定期的にですね、話し合いをしながら移設を進めておりました。その後、様々な経緯がありますが、今、3度目の防衛大臣をさせていただいておりますので、これまでの経緯も含めましてですね、一日も早く、この移設が実現できるように頑張っていきたいと思っております。
NATO のウクライナ支援組織「対ウクライナ安全保障支援及び訓練組織(NSATU)」への参加について
記者 :
先日のNATOのルッテ事務総長との会談の件で伺います。大臣からNSATUへの参加に向けた調整を進めていきたい旨伝達されたかと思います。NSATUは、幅広い活動をしていますが、司令部や現場での作業など、具体的にどのような場に自衛官、もしくは事務官など、その中でどのような立場の人を参加させたいとお考えでしょうか。また、参加することで、日本としてどのようなメリットがあるとお考えでしょうか。
大臣 :
火曜日に、ルッテNATO事務総長との間で会談をしまして、私からルッテ事務総長に対して、このNSATU、これは何かと言いますと、NATO対ウクライナ安全保障支援・訓練組織、これへの参加に向けて調整をしていきたいという旨を伝えました。この組織は、ウクライナ軍への装備品に関連した支援や訓練の調整、またロシアによるウクライナ侵略に関する教訓の収集・分析、これを実施しているところでございます。今後、防衛省としましては、この組織に対し、具体的にどのような協力が可能であるのか検討をしていく段階でありますが、現時点で人員の派遣について、何ら決まっていることはございません。引き続き、NATOとの間で参加に向けた調整、これを進めてまいりたいと、また、この組織の協力を通じまして、防衛省として有用な教訓が得られるということは重要なことと考えております。今後、具体的にどのような教訓の収集・活用が可能であるのか、情報を集めて検討していくこととしておりますが、まず一般論としまして、ウクライナ侵略においては新しい戦い方、これが顕在化をしており、例えば、サイバーや偽情報、無人機といった分野を始めとする様々な分野について、幅広い知見と教訓が得られることを期待をいたしております。そのような内容をルッテ事務総長との間で話をしまして、先方からは大変歓迎をいたしますと、大いに受け入れていきたいというお話がありました。
(以上)
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