[国会答弁]陸上自衛隊祝園分屯地の弾薬庫増設に関する質問答弁
- 日本の防衛
2025-12-25 09:45
防衛省は令和7(2025)年12月23日(火)、第219回国会臨時会)における閣議資料のうち、阪口直人(さかぐち・なおと)衆議院議員が提出した「陸上自衛隊祝園分屯地の弾薬庫増設に関する質問に対する答弁書」を報道に公開した。
その質問主意書と答弁書を以下に転載する。
質問主意書
令和7年12月11日提出
質問第149号
陸上自衛隊祝園分屯地の弾薬庫増設に関する質問主意書
提出者 阪口直人
陸上自衛隊祝園分屯地の弾薬庫増設に関する質問主意書
京都府相楽郡精華町と京田辺市にまたがる陸上自衛隊祝園分屯地では、防衛力強化の一環として大規模な弾薬庫増設計画が進んでいる。長距離ミサイルなどの保管能力向上を目指し、複数の火薬庫の建設が2025年8月から始まったと承知している。完成すれば本州で最大級の弾薬庫が見込まれる。同分屯地は周辺を学校や公園、商業施設に囲まれ、精華町・京田辺市など25万人以上の住民が暮らす。他国と紛争になった場合、長距離ミサイルを大量保管する同分屯地は敵国の攻撃の標的になるという不安の声も住民から上がっている。
したがって、次の事項について政府に質問する。
一 敵対国の攻撃を受け、長距離ミサイルを収納する弾薬庫が爆発した場合の被害想定は試算されているの
か。
二 有事が発生した場合の周辺住民の避難及び安全確保のための計画があれば示されたい。
三 弾薬庫で爆発事故などが起きた場合、事故時の責任の詳細は事前に明確に示されているのか。
四 事故発生時の消防と救急の連携体制は事前に決められているのか。具体的な連携の体制を示されたい。
五 こうした周辺住民の不安を考慮すれば、政府は同分屯地の弾薬庫増設の中止を検討すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。また、増設工事を続行する場合は周辺住民へのよりきめ細やかな説明は検討しているのか。住民向けの説明会などが決定されているならば、具体的な開催日などを示されたい。
右質問する。
答弁書
令和7年12月23日受領
答弁第149号
内閣衆質219第149号
令和7年12月23日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 額賀福志郎殿
衆議院議員阪口直人君提出陸上自衛隊祝園分屯地の弾薬庫増設に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員阪口直人君提出陸上自衛隊祝園分屯地の弾薬庫増設に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の「敵対国の攻撃」の意味するところが必ずしも明らかではないが、防衛省としては、火薬庫の整備に当たっては、火薬類取締法(昭和25年法律第149号)等の関係法令に基づき、例えば、火薬類取締法施行規則(昭和25年通商産業省令第八88号)第23条に規定する保安距離を確保する等、安全を確保するための措置を講じており、また、これまで自衛隊の火薬庫で爆発事故が発生したこともなく、周辺地域の住民に重大な影響を与えるような被害に係る、お尋ねの「被害想定」の「試算」は行っていない。
二について
お尋ねの「周辺住民の避難及び安全確保のための計画」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成16年法律第112号)第54条第1項の規定に基づき、都道府県知事が、要避難地域を管轄する市町村長を経由して、当該要避難地域の住民に対し避難すべき旨を指示したときは、同法第61条第1項の規定に基づき、当該市町村長が、同法第35条第1項に規定する国民の保護に関する計画(以下「国民保護計画」という。)で定めるところにより、住民の避難の方法に関する事項等について定める避難実施要領を定めなければならないこととされており、さらに、同法第32条第1項の規定に基づき定められている「国民の保護に関する基本指針」(平成17年3月25日閣議決定)において、「避難実施要領のパターンをあらかじめ作成しておくよう努めるものとする。」とされているところであり、京田辺市及び精華町においては、国民保護計画及びこの「避難実施要領のパターン」が作成されていると承知している。
三について
お尋ねの「事故時の責任の詳細」の意味するところが必ずしも明らかではないが、防衛省としては、火薬類取締法その他の関係法令の規定等に基づき、火薬庫及びその周辺における安全を確保しているところである。
四について
お尋ねの「事故発生時の消防と救急の連携体制」及び「具体的な連携の体制」の意味するところが必ずしも明らかではないが、防衛省としては、自衛隊の施設及びその近隣に危害を及ぼすおそれが生じた場合は、直ちに警察署、消防署その他の関係機関に通報し、万が一、火災等が発生した場合は、自衛隊員が直ちに初期消火に努めるとともに、消防隊員を直ちに火災現場に誘導し、自衛隊員及び消防隊員が協力して速やかに消火活動に当たることができるよう必要な措置を講ずることとしている。
五について
前段のお尋ねについては、火薬庫の整備を含め、防衛体制の強化を行うことは、我が国自身の抑止力及び対処力を強化し、武力攻撃そのものを抑止し、ひいては国民の安全の確保にも資するものであると考えているところ、「国家防衛戦略」(令和4年12月16日閣議決定)において、「有事において自衛隊が粘り強く活動でき、また、実効的な抑止力となるよう、十分な継戦能力の確保・維持を図る必要がある。このため、弾薬の生産能力の向上及び製造量に見合う火薬庫の確保を進め、必要十分な弾薬を早急に保有する」こととしており、このような考えの下、陸上自衛隊宇治駐屯地祝園分屯地においても火薬庫の整備を進めていく考えであり、当該整備を中止することは考えていない。
後段のお尋ねについては、これまでも、防衛省近畿中部防衛局から関係自治体に対し、文書等により当該整備について丁寧に説明を行っているほか、令和7年7月に関係自治体により開催された住民説明会において、同局から工事の実施に関する説明を実施したところである。現時点で更なる住民説明会の予定はないが、引き続き、工事の進捗状況等については、関係自治体に対し、様々な形で情報提供してまいりたい。
(以上)
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