荒井陸上幕僚長が定例記者会見 仏陸軍参謀長との懇談、陸自の無人アセット、ドローンやウクライナ侵攻の教訓など(2月24日)
- 日本の防衛
2026-3-2 10:11
防衛省 陸上幕僚監部は令和8(2026)年2月24日(火)、公式サイトにおいて、同日実施された荒井正芳(あらい・まさよし)陸上幕僚長による定例記者会見の内容を公表した。
陸幕長からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。
陸幕長からの発表事項
仏陸軍参謀長との初のVTCによる懇談ついて
本日は私から1点、お知らせします。
私は本日、ピエール・シル・フランス陸軍参謀長と初となるVTCによる懇談を実施します。
本懇談においては、双方を取り巻く戦略環境に対する認識や、今後の防衛協力の方向性について意見交換を行う予定です。
本懇談を通じて、日仏陸軍種間の更なる関係強化を図ることができればと考えています。
記者との質疑応答
仏陸軍と親睦を深める意義
記者 :
フランスは名だたる陸軍国だと思いますけど、改めて、親睦を深めたりする意義について詳しく教えてください。
陸幕長 :
フランスは、今ありましたとおり、インド太平洋地域に常続的に軍事プレゼンスを有する唯一のEU加盟国です。我が国と基本的価値と戦略的利益を共有する特別なパートナーと認識しています。これまでも、日仏防衛相会談、日仏「2プラス2」会談において、共同訓練、演習を含む防衛協力の推進で一致しています。陸上自衛隊としてもフランス陸軍との間で定期的に交流しているところです。こうした中、私が陸幕長に上番して初めて懇談することになりますが、本懇談においては双方を取り巻く戦略環境に対する認識、今後の陸軍種間の防衛協力の方向性について更なる関係強化を図ることができればいいと考えています。
陸自が保有する各種無人アセットについて
記者 :
ミュンヘン会議等では、無人アセットの強化が世界的な関心になっていますが、大臣発言の中で、米陸軍長官の言葉として、2、3年後に100万機のドローンの運用を目指すという趣旨の発言がありましたが、現時点で陸上自衛隊が保有している概ねの機数、機種、例えば空撮用とか偵察用とかいろいろあるかと思います。
現状の規模感や今後、陸幕長としてこういう機種が足りないとか、あればいいなって機種があれば教えてください。
陸幕長 :
まず、規模感的なところでありますと、持っている機種、種類といたしましてはUAV中域用、これはスキャンイーグル、UAV狭域用としてスカイレンジャー、UAV狭域用(汎用型)として蒼天等を保有しています。機数は正確を期したいと思いますので、後ほど広報室担当から、お答えさせていただきたいと思います。(※)
陸上自衛隊の無人機に係る欠落機能ということで理解しましたが、まず防衛省として各種無人アセットを早期に装備・整備するため必要な取組みを進めているところであります。近年、ご指摘ありましたとおり、諸外国における無人アセットの導入や、技術革新が急速に進展したことにより、戦闘様相も大きく変化しています。我が国への侵攻が万が一生起した場合に、侵攻部隊から我が国を防護するためには、高価なアセットを含む、有人アセットのみならず安価、かつ大量のUAV、USV、UUVを活用することによって、これらの組み合わせによる非対称的かつ多層的な防衛体制を早急に整備することがこれまで以上に喫緊の課題となっているというのが全般の認識です。
その上で陸上自衛隊としては近距離で情報収集等を行う、FPVのモジュール型UAV、それから車両・舟艇等を捜索した上で体当たりにより攻撃する小型攻撃用UAVⅡ型及びⅢ型、敵艦艇等への情報収集を行う小型多用途USVや小型多用途UUVを取得する計画であります。これらの無人アセットを活用し、陸上自衛隊として非対称的かつ多層的な防衛体制の構築をしてまいるところであります。現時点で省、陸上自衛隊の構想として大きく欠落しているものはないと認識しています。他方で、3文書の改訂等で、今まさに政府・省を上げて検討しているのでおそらくこういう部分が必要だろうとか、今年そういうことが出てくるということだけ、お伝えしておきたいと思います。
今後導入される小型攻撃用UAVについて
記者 :
敵の車両を識別して体当たりする攻撃するUAVのところですが、ウクライナでもありますとおり、使い捨てのドローンに近いものなのでしょうか。
陸幕長 :
陸上自衛隊が導入する小型攻撃用UAVⅠ型、Ⅱ、Ⅲ型についてはご指摘ありましたとおり、安価で、使い捨てという表現が適否はわかりませんが、しっかりと攻撃のために体当たりするという認識で結構です。
記者 :
ドローンの関連で、防衛省がオーストラリア製小型攻撃用UAVⅠ型を落札しました。機種の特徴や性能について、どこが優れているか、またどのような点が陸上自衛隊の防衛強化に資するのか、陸幕長のご認識をお伺いします。
またどのような部隊に配備され、どのような訓練を行うかについて、お答えできる範囲でお願いいたします。
陸幕長 :
小型攻撃用UAVⅠ型、Drone40これが落札されました。小型攻撃用UAVⅠ型の用途は陸上自衛隊の普通科部隊に装備しまして、空中から車両等を捜索したり識別して、迅速に目標に対処するために使用するというのが、全般の構想です。
今回入札となったDrone40は、小型で持ち運びができること、3つの機体を連携させて運用できる機体です。本体と弾薬部が分離できるタイプでありまして、弾薬部については装備を付け替えられる構造になっており、例えば映像を送信して状況を把握する用途から、様々な任務に柔軟に使用することができる機体と認識しています。
性能諸元についてですが、カタログ上の性能として、最大飛行時間は約60分、最大航続距離は35km、最大速度は1秒間に18メートル、1分間で概ね1kmくらいになります。このような性能諸元がカタログ諸元であります。小型攻撃用、これからⅠ型のみならず、Ⅱ型、Ⅲ型も入ってきますが、どのような部隊にというご質問だったと思いますが、いまの時点で構想しているのは、繰り返しになりますが、小型攻撃用UAVⅠ型は普通科部隊、小型攻撃用UAVⅡ・Ⅲ型は野戦特科部隊等に配備することを考えています。具体的な配備先については、先ほどの中で申しましたとおり、これからの3文書の検討等の中で、陸上自衛隊の体制も具体化していきますので、その中で最終的にどういう部隊に持たせるかという形になると思います。
訓練について、今後どのような形でやるかは、小型攻撃用UAVⅠ型の訓練要領については現在検討中であります。その上で、先ほどDrone40の特性をお話ししましたとおり、空中から車両を捜索したり識別したり、目標に対処する用途ですのでこれに見合った訓練の形をどうやっていくかということを考えています。訓練要領は先ほど申し上げた目的に供するような操作技術、これを教えるのは当然なのですが、機体の特性を理解したり、あるいは関係法令との関係はどうなのか、あるいは整備・補給はどうなのかということを総合的に考慮しながら訓練効果を得ること、それから何よりも安全を確保する訓練要領を検討する。そういう段階にあるということです。
記者 :
小型攻撃用UAVⅠ型は普通科部隊、攻撃用UAVⅡ・Ⅲ型は野戦特科に配備されるということですが、訓練の内容やドローンの使い方もちょっとずつ違うということでしょうか。
陸幕長 :
小型攻撃用UAVⅡ型・Ⅲ型は野戦特科部隊にと考えていますが、段々大きくなっていく装備品です。使える距離・効果が違いますので、運用場面も異なってきますので、その中で訓練要領や配備先を考えたいと思います。運用構想でありますが、安価で大量、距離が短いもの、遠いものを組み合わせていかなければならないと思っていますので、そういうこと事も訓練要領も全体の中で考えて行かなければならないと思っています。
記者 :
小型攻撃用UAVⅠ型のDrone40ですが、車両等の捜索・識別に使用するとのことでしたが、人間を攻撃する用途にも使用しますか。
陸幕長 :
基本的には車両等であります。性能諸元でありますが、大きさや速度を考えると、兵士という言い方は敢えてしませんが、小さな目標に対してどう使うかについては、今後考えていく段階にあると思います。
与那国島での中距離弾道ミサイル部隊の配備について
記者 :
本日の防衛大臣会見でご説明がありました、与那国島での中距離弾道ミサイル部隊の配備に関してですが、30年度を計画しているとありますが、そのスケジュール感を、用地取得を含めて教えて下さい。
陸幕長 :
現状ですね、大臣の会見で申しましたとおり、現時点では2030年度に配備ということで計画をしているところです。
スケジュール感的なものとして、まず用地の取得については令和6年度から令和7年度にかけて、一定の目途が付いているところであります。今後、取得した用地の施設の細部の検討、環境への影響評価、これもある程度目途はつけていますが、実際に用地を取得させていただいたということで、細部の環境への影響調査、そういうものをもう一度見直すための設計業務を経て、造成工事を行う必要があります。今般予定している地域は駐屯地の東側ですので、地形的に起伏がありますので、設計・造成に一定の期間を要する見込みであることから、これくらいの期間が必要になるものと認識しています。
細部スケジュールはこれから詰めていくところですが、2030年度までにしっかり、慎重にやっていこうと思います。
ウクライナ侵攻から得た知見や教訓
記者 :
ウクライナ侵攻から4年が経ちますが、陸上自衛隊としてどういった教訓を得たかということと、ドローンを使った戦い方については、防衛交流を通じてウクライナから知見や教訓を得ているのか、教えてください。
陸幕長 :
陸上自衛隊についても大きな関心を持って、開戦から現在に至るまで、この先も含めてしっかり注視をしていくというのが基本的な姿勢です。
その上で全般の評価を申し上げますと、ウクライナのロシアによる軍事侵略については、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがすものという認識は陸上幕僚長としても変わりません。現時点においては、今後の展開について予断をもって判断することは困難ですが、ウクライナの戦況について引き続き高い関心をもって注視していきます。
その上で、教訓については、ウクライナ侵略を通じて、無人機を含む新たな技術の活用や、電子戦、サイバー、宇宙領域、情報戦、認知戦といった新しい領域を組み合わせた戦い方、防衛省では、新しい戦い方ということで検討しています。更には長期間にわたる作戦を支える継戦能力の重要性などが改めて明らかになっていると考えているところであります。その上で陸上自衛隊として、私が考えているところを3つ申し上げます。
とくに宇宙・サイバー・電磁波領域、いわゆる新しい領域がかなりの頻度で、あるいはかなり進化した形で出てきていると思いますが、皆さんご承知のとおり、ウクライナの東部国境では塹壕戦が行われており、紛争の初期には戦車同士の戦い、あるいは砲兵同士の戦いがありました。これは最近ではありませんが、大国間の紛争における土地を巡る戦い、土地を占有し、土地を支配するといった点では、陸軍種の力、陸上防衛力は変わらない部分があることを改めて認識し、これを教訓としてやっていかなければならないということが一つ目です。
2つ目について、古来から根源的な部分もありますが、新しい戦い方それを象徴するような無人兵器、あるいは意志決定を支援するAIが活用されているという事も防衛省・陸上自衛隊として認識しているところでありますので、無人化、省人化を陸上自衛隊としてどの部分でどう進めていくかという事は大きな課題でありますし、3文書での新しい戦い方の中でも当然取組みが必要であると思っています。
3つ目は、陸軍種本来の役割、新しい戦い方による科学技術に由来する色々な物を入れるのですが、それを使うのは、人であるという事が残っておりますので、陸幕長としては、隊員の育成、どのような訓練をして強靱な隊員を育成するかについて、しっかりと取り組んで、新しい戦い方に供するような部隊を作らなければならないといけないと思っています。
いずれにせよ、代表的なものを3つ申し上げましたが、防衛省・自衛隊、陸上自衛隊一体となって様々な教訓を得ながら3文書の中でやっていきたいと思っています。ウクライナから直接教訓を得ているかという質問ですが、細部、直接的にウクライナから直接得ているという形ではありません。先日も申し上げましたとおり、防衛交流や、共同訓練を通じてウクライナ紛争というものを各国軍隊が注目していますので、その中で情報交換をしたり、あるいは交換した情報を勉強したり、という形でやっているということになります。
後刻、以下のとおり回答
※:下線部『UAV等の無人アセットについては、陸上自衛隊として、令和6年度末時点で約1,200機程度を保有しています。』
(以上)
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