森田空幕長が臨時記者会見 F-2A墜落事故調査結果について(4月24日)
- 日本の防衛
2026-4-28 10:13
防衛省 航空幕僚監部は令和8(2026)年4月24日(木)、森田雄博(もりた・たけひろ)航空幕僚長が4月24日(金)13時00分~13時27分に実施した臨時記者会見の内容を公表した。
1 発表事項等
本日は臨時の会見にお集まりいただき、ありがとうございます。航空自衛隊百里基地所属F-2A墜落に係る事故調査結果について、お知らせさせていただきます。
まず、事故の概要ですが、本事故は、令和7年8月7日、航空自衛隊百里基地所属のF-2Aが、茨城県沖の訓練空域で訓練中にエンジンの異常及び推力の低下が発生し、洋上に墜落したものです。搭乗員は緊急脱出し生還しております。
航空自衛隊では、事故発生直後から航空事故調査委員会において、事故関係者からの聞き取り、フライト・データ・レコーダーの解析、機体及びエンジンの調査等を通じて、事故原因の究明を進めてまいりました。
事故調査の結果、事故の原因として、まず飛行に必要なエンジン推力が得られないというエンジンの異常が発生したことであり、それは、エンジン内部の構成部品が当該事故の発生から約3年7か月前の関連整備作業において適切に取付けられなかったことにより、エンジンコンプレッサ内に異常が生じ、エンジン推力の低下に至ったものと推定されるものです。
また、整備作業において適切に取付けられなかったのは、取付け作業時に適切に取付けられなかったことに加えて、取付け作業後の点検及び検査の確認機会において、見落とされたものと考えられます。また、その背景としては、実施頻度が少ない作業に伴う隊員の練度不足や参照すべき技術指令書の認識不足に起因する作業手順の漏れ、作業完了後の検査の実施時期が不文律であったことによる検査の漏れがあった可能性があります。
事故原因を踏まえた再発防止策としては、まず、実施頻度が少ない整備作業に関して、作業の練度及び知識の維持、向上を図るための教育訓練や隊員個々の能力に応じて経験を積ませる機会を作ってまいります。また、隊員に作業内容を正しく理解させるため、必要に応じ、図等を活用した技術指令書を制定してまいります。さらに、不文律で規定している事項がある場合には、標準化について検討し、必要に応じ明文化するとともに、取付け作業後の点検や検査において、複数の検査実施者による見落としや、検査完了として誤って取り扱われる事態を回避するため、一つ又は一人の適切ではない整備作業が全体に波及しないようにする仕組みを構築してまいります。
航空幕僚長として、本事故が発生した事実を重く受け止めるとともに、百里基地周辺の住民の皆様を始め、多くの国民の皆様にご心配をおかけし、大変申し訳なく思っております。
航空自衛隊は、究明した原因及び事故から得た教訓を厳正に受け止め、基本手順の遵守及び指揮管理の徹底を図り、実効性ある事故防止対策を推進するとともに、飛行安全の確保に万全を期してまいります。
2 質疑応答
事故機が3年7か月、飛行を続けていたということについて
記者 :
このエンジンを積んだF-2ですけれどもこの3年7か月の間、いわゆる通常通りに任務訓練もしくは航空祭等での飛行等、繰り返していたという認識でよろしいでしょうか。
空幕長 :
当該エンジンを積んだ飛行機については、エンジンは載せ替えたりしているものでありまして、その複数機につきましては、通常どおり飛行を続けていたものであります。
記者 :
関連で、空幕長も地域住民の方にとおしゃっておりましたけれども、エンジンを載せ替えるということは他の地域でももちろん飛行はあったんだと推測しますし、3年7か月の間、結果として3年7か月経って墜落ということになりましたけれども、これが何回で落ちるとかそういうことって推定できるものではもちろんないと思うんです。こういった事実が地域の方ですとか、国民の方にかなり大きな衝撃だと思うんですが、このいつ事故が起きるかも分からない航空機が当たり前のように住民の方々の近くで飛んでいるというこの事実という点をどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
空幕長 :
ご指摘につきましては、航空幕僚長として極めて重く受け止めております。本件につきましては、調査の結果、関連する整備作業が令和3年に実施されて、事故発生まで約3年7か月が経過していたことを確認をしております。問題となった部位につきましては、通常の外観点検や飛行前点検では把握することが極めて困難であり、ボアスコープを用いた特別な点検を実施しなければ確認し得ない構造上の特性を有する部位でありました。
航空自衛隊としては、今回の事故から得られた教訓を重く受け止め、実施頻度が少ない整備作業に関して、作業の練度及び知識の維持、向上を図るため、隊員に対する教育訓練の実施そして隊員の個々の能力に応じて経験を積ませる機会を設定するとともに、技術指令書の改善、不文律で規定している事項がある場合には、標準化について検討し、必要に応じ明文化することで、今後の飛行運用に支障を来すことのないよう、引き続き飛行安全の確保に万全を期してまいりたいと思います。
今回、十分な調査の上で結論を出せたのか
記者 :
3年7か月前の整備作業に関するものの調査をしたということなんですが、当該作業の記録が残ってないという点と後はその関係者の記憶に基づく供述を得られなかったというところから背景のですね、明確な事象というのが特定できなかったというふうに伺ったんですけれども、幕長としては、今回必要十分な調査を遂げて、その上で結論を出せたというふうにお考えなのか、そこの見解を伺えればと思います。
空幕長 :
まず改めてですが、本件につきましては、当該部品の取付作業が実施されたのが令和3年頃でありました。事故発生まで約3年7か月が経過をしていました。事故調査としましては、作業に関係していた隊員に対し、口述調査を行いましたが、当該作業を実施した以降、相当期間が経過してあったこともあり、具体的な作業状況について分析できる証言については得られませんでした。
また、当該部品の取付けにつきましては、コンプレッサー部品の一部の交換に伴う整備作業の一工程として実施された作業であったということは判明しておりまして、整備規則上、個別の作業として実施者や日時を特定する形の記録をすべきとの規定にはなっておりませんでした。
このように、時間的経過や、記録管理のあり方が重なった結果、当該作業の詳細な実施状況を特定するには至らなかったことであります。そういった事象も踏まえまして、十分な事故調査を実施したところでありましたが、最終的に分からなかったものであります。
空自機の事故が相次いだことについての受け止めは
記者 :
先日、U-125の時にもお伺いさせていただいたんですけども、昨年、航空自衛隊T-4の事故だったり、F-2、そしてU-125の事故が相次いだと思うんですけど、改めて航空自衛隊としてですね、再発防止という面でですね、空幕長の受け止め、事故が昨年相次いだことでの受け止めをお聞かせ願えますでしょうか。
空幕長 :
今、ご指摘のあったとおり、令和7年度につきましては、連続して4件の航空事故が発生し、航空幕僚長として極めて重く受け止めておるところであります。
こうした状況を踏まえまして、航空自衛隊では防衛大臣から発出された安全管理に関する指示に基づき、全ての航空機に対する飛行前後の入念な点検や、操縦者に対する安全管理、緊急手順に関する教育を実施して参りました。
また、昨年9月には航空自衛隊安全点検意識向上週間を設け、航空自衛隊の全隊員を対象に、各種事故等の防止及び安全意識の向上を目的として、基本手順や基本事項の徹底状況の確認や教育、対策の立案を行いました。さらに本年3月には、令和8年度事故防止通達を策定し、全隊員に対し、この現状を自らの問題として受け止め、特に基本手順の厳守、厳正な指揮、相互補完態勢の向上について、愚直に実行するよう指示しております。
安全は、任務遂行の前提条件であり、いかなる状況においても揺らぐことはありません。今後も私自身が先頭に立って、国民を守り、大切な仲間を守るとの強い決意のもと、航空自衛隊全体で安全文化を確立し、事故防止に全力で取り組んで参りたいというふうに思います。
再発防止策の検討について
記者 :
再発防止に関してなんですけども、不文律で規定している事項について標準化を検討し、必要に応じて明文化するとありますが、こうした事故、まあ、墜落が起きているっていうところで、しっかり点検してほしいっていう声もあると思うんですけども、この再発防止について、標準化について検討ですとか、必要に応じっていうところの表現が、はっきり言えないのは、どういったオペレーションとか、御事情があるんでしょうか。
空幕長 :
本件に関わる事項につきましては、速やかに明文化を進めて参りたいというふうに考えております。他方、本件以外のもの全てに関しまして、航空自衛隊の全機種も含めて、そういったものについては、本当に不文律で運用されてきたものがあるのかどうなのかも含めまして、また、それを明文化しなければいけないものにつきましては、おそらく、かなり大きなものから、本当に細かいものまであるというふうに思います。ですので、それらをすべて文字化できるかどうかといったところについては、まだまだ検討が必要があるという認識であります。
記者 :
先ほどの質問で事故が相次いでいることの受け止めとありましたけれども、それに関連してなんですけれども、この事象自体の原因っていうのは分かったんですけれども、組織としてですね、なんでこういうことが相次ぐのか、大きな理由として、その組織の体質であったりとか、まあそういった文化であったりとかっていうのは考えられるものなんでしょうか。
空幕長 :
文化かどうかはわかりませんが、今回、先ほどの繰り返しになりますが、私自身が先月にも通達いたしましたとおり、この現状を自らの問題として受け止める。そして愚直に基本手順の厳守や、厳正な指揮、相互補完態勢の向上について、愚直に実行をし続けるという姿勢を我々としてはやってきたつもりではあるんですが、それがひょっとしたら足りてないのかもしれないというところを感じておりまして、それを航空自衛隊全体に、しっかりと遵守をさせるということを進めていきたいというふうに考えております。
記者 :
組織文化上であったりとか、組織の体質上、直していかないといけないことがあるというわけではないっていうことですか。
空幕長 :
分かりません。それがその文化といったところ、体質といったところにつきましては、目に見えないところもありますので、我々としては真摯にこれを受け止めて、愚直に、基本を厳守していきたいというふうに考えております
すべての機体エンジンの検査等を終えているのか
記者 :
当該のエンジンなんですけれども、去年の9月にF-2は、飛行の見合わせを解除して再開してますけれども、9月の時点で、同じような場所でしたりっていうもの、あの全ての機体でで、もう点検、確認、検査まで全てを終えたという認識でよろしいでしょうか。
空幕長 :
昨年の飛行見合わせ解除の際に、特別な点検を実施しております。この特別な点検と申しますのは、ボアスコープ、内視鏡のようなものなんですが、ボアコープを使用したエンジン内部の点検や部品の点検、そしてエンジンの作動点検を含む網羅的な点検を実施をいたしまして、このエンジン内部の部品の疲労破壊等の兆候を含めまして、異常がないことを確認をした上で、飛行を実施しております。
不文律で規定されている事項の明文化という点について
記者 :
再発防止策のところで再度確認なんですけれども、不文律で規定されている事項の明文化というところで、まず、今回速やかに実施しますということなんですが、これはF-2の当該箇所のみの話なのか、それともF-2戦闘機のエンジンに関わる全ての不文律と、技術指令書などで不文律にされている全てに対する対策をすぐにやるっていう意味なのか、ちょっとこちらははっきりさせてほしいというところと、その他の標準化について検討するというところについては、F-2戦闘機のエンジンの今回の箇所以外の部分も含めた、航空自衛隊の保有する、航空機全てに対する話になるのかと。これについて少し詳しく教えてください。
空幕長 :
先ほどのご質問と重複をいたしますが、まず本件に関しましては、速やかに不文律の個所について明文化すると申し上げたものにつきましては、今回の事象に関してであります。その他のところも、ひょっとしたらその不文律のところで明文化しなければいけない箇所があるだろうといったところにつきましては、F-2もそうですし、その他の航空機についても全てであります。
3年7か月前の整備についてなぜ口述が得られなかったのか
記者 :
今回の事故の原因が令和3年頃の不適切な整備が、ということなんですけれども、先程相当期間が経っていることもあり関係者の口述が得られなかったと仰られていましたが、3年7か月しか経っていないという見方もできるかと思います。なぜ口述が得られなかったのでしょうか。
空幕長 :
なぜ得られないのかといったところにつきましては、記憶が皆曖昧です。記憶がないといったところになりますので、それをなぜというのは、直接私も聞いた訳ではありませんが、おそらくですが、様々な点検整備をしていますので、その記憶が不確かであろうといったところになると思います。色々な経験が重なっておりますので、それで記憶がなかったんではないかなと想像いたします。申し訳ございません。こちらの方につきましては、何ら確認をしているものではありませんので、私の想像であります。
記者 :
それで十分な調査と言えるのでしょうか。
空幕長 :
我々としては、この去年の8月7日以来ですね、十分な航空事故調査委員会を立ち上げて事故調査をしっかりと進めてきたというところになりますので、この事故調査委員会の者たちがしっかりと調査をしてくれたというふうに考えております。
記者 :
関連して、取得に110億円もかかっている重要なアセットでもあると思うのですが、防衛費も増額して、国民の負担も強いている中でですね、記憶が曖昧だとか、整備について覚えていないというのはどうなんでしょうか。
空幕長 :
はい。そちらの方については、大変私自身も申し訳ないというふうには思っておりますが、もう一つ、記憶というところだけに頼っている訳ではないんですが、我々としては、当然整備作業をした時には記録を残しています。
他方、今回の作業につきましては、3年7か月前にエンジンのコンプレッサ部品の一部にひび割れが発見されたため、交換を目的として行われた整備作業でもありました。
ですので、整備作業の一工程としておこなった作業で、当該部品の取り外しが必要だったので、取り外しと取付けの作業を実施したところであります。ところが、こういった一工程については、この当時は、記録に残さなくてもいいというか、記録を義務付けるような規則になっておりませんでしたので、こちらの方については、そういったものも含めて、チェックリストなり何なりを整備をした上で、今後しっかりと、記録に残して整備をしていこうといったところで、再発防止策を考えているところであります。
そういったものも含めてF-2 1機を喪失、損壊させたというところについては大変申し訳ありませんが、我々としては、今後こういったことが絶対起きないようにしていきたいというふうに考えております。
記者 :
再発防止策のところでお伺いしたいんですけども、一つ又は一人の適切ではない整備作業が全体に波及しないようにする仕組みの構築とあるのですけれども、チェックリスト形式での整備作業を管理するなどということになるんですけど、その仕組みというものが、全部おっしゃられないから、こうゆう書き方なのかなと思うんですけど、何かこうイメージするような仕組みというものが何かあるのでしょうか。
空幕長 :
まず具体的には、今回の事象に限ってですが、点検と検査をそれぞれ別の人が、別の者が行っておりました。その行っているタイミングが明確には定まっていなかったので、まずそれを明確に致します。なおかつ、作業にしろ、点検、整備にしろ、チェックリストというものを作って、そこで行われた作業、行われた点検、行われた検査について、しっかりとチェックをすることで、抜け、漏れがないようにしていきたいというふうに考えております。
(以上)
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