2026年8月の空自F-2A墜落事故について 空幕が事故調査結果を発表(4月24日)
- 日本の防衛
2026-4-28 09:47
防衛省 航空幕僚監部は令和8(2026)年4月24日(金)13時00分、昨年8月7日(木)に起こった百里基地所属F-2Aの墜落について、その事故調査結果を公表した。
詳細は以下のとおり。
百里基地所属F-2A墜落に係る事故調査結果について
1 事故の概要
(1)日時:令和7年8月7日(木)12時34分頃
(2)場所:百里飛行場北東約150kmの海上(訓練空域)
(3)機種:F-2A戦闘機
(4)概要:第7航空団(百里基地)所属のF-2A戦闘機が、茨城県沖の訓練空域で訓練中、エンジンの異常及び推力の低下について通報した後、搭乗員1名が緊急脱出、事故機は洋上に墜落し海没
(5)被害:F-2A戦闘機1機の破壊
2 事故の経過
(1)事故機操縦者は、訓練空域で訓練中に操縦席後下方から異音及び突き上げるような体感を認めるとともに、エンジン系統警報灯の点灯を確認した。
(2)事故機操縦者は、エンジンの異常と判断し、安全を確保するため上昇後、水平飛行への移行を試みたが、エンジンの推力低下により水平飛行が困難であったことから、機体を安全にコントロールすることが可能な速度を保持したまま降下を継続した。
(3)事故機操縦者は、降下中にエンジンの再始動を試みたものの、エンジンの推力が回復する傾向はなく、脱出が推奨される最低高度に達した段階で減速し、緊急脱出した。
3 事故の原因
(1)本事故の原因は、事故機のエンジンに異常が発生し必要なエンジン推力が得られず、事故機操縦者が再始動を試みたものの推力が回復しなかったことで飛行の継続が不可能となったため、事故機が海面に墜落したものである。
(2)エンジンの異常は、事故機操縦者の操縦に起因するものではなく、コンプレッサ・ブレードの一部が疲労破壊により破断・脱落したことでコンプレッサ・ストールが発生し、コンプレッサ内部の圧力変動によりコンプレッサ内の破損が進展して回転数が上昇せず、エンジン推力の低下に至ったものと推定される。
(3)コンプレッサ・ブレードの一部に疲労破壊が生じた原因は、VSV(※1)作動リングのコネクティング・リンク(※2)の穴からレバー・アーム・ピン(※3)が外れていたことに起因してコンプレッサ内の空気流の乱れが生じ、ブレードに継続した異常振動が発生して金属疲労を蓄積させたことによるものと考えられる。
※1:“Variable Stator Vane”。エンジン出力に応じ、コンプレッサ内の空気の圧縮が効率的に行われるよう、コンプレッサ内の空気を整流する可変型の翼
※2:VSV作動リングをエンジンの全周に取付けるため、2つのVSV作動リングを接続させるための部品
※3:VSV作動リングの作動に合わせてVSVの角度を変えるため、VSVとVSV作動リングを接続させる部品
(4)レバー・アーム・ピンがコネクティング・リンクの穴から外れていた原因は、レバー・アーム・ピンが直近(約3年7か月前)の関連整備作業において適切に取付けられなかったことによるものと考えられる。
(5)レバー・アーム・ピンが直近の関連整備作業において適切に取付けられなかった経緯は、取付け作業時に適切に取付けられなかったことに加えて、取付け作業後の点検と検査、計2回の確認機会において、適切に取付けられていない状態が見落とされたものと考えられる。
(6)その背景となった可能性が考えられる要因は次のとおり。しかしながら、当該作業に関する記録がなく、関係者の当時(約3年7か月前)の記憶に基づく口述も得られなかったことから、その背景要因を明確に特定することはできなかった。
ア 実施頻度が少ない作業に伴う隊員の練度不足又は参照すべき技術指令書の認識不足に起因する作業手順の漏れ。
イ 作業完了後の検査の実施時期が不文律であったことによる検査の漏れ。
4 再発防止策
(1)実施頻度が少ない整備作業に関して、作業の練度及び知識の維持、向上を図るため、隊員に対する教育訓練の実施及び隊員個々の能力に応じて経験を積ませる機会の作為
(2)作業内容を正しく理解させるため、必要に応じ、図等を活用した技術指令書の制定
(3)不文律で規定している事項がある場合は、標準化について検討し、必要に応じ明文化するとともに、取付け作業後の点検や検査において、複数の検査実施者による見落としや、検査完了として誤って取り扱われる事態を回避するため、チェックリスト形式で整備作業を管理する等、一つ又は一人の適切ではない整備作業が全体に波及しないようにする仕組みの構築



(以上)
◎下の[次の記事][前の記事]ボタンで、日本の防衛に関するニュース記事を次々にご覧いただけます。
Ranking読まれている記事
- 24時間
- 1週間
- 1ヶ月
- 政府が基本方針を閣議決定 外交力・防衛力強化へ戦略三文書見直し(9月17日)
- 航空自衛隊がブルーインパルスの2026年度展示飛行スケジュールを更新(5月25日)
- 人事発令 令和8年8月1日・2日・3日付け、1佐職人事(陸自241名、海自20名、空自56名)
- 空幕人事教育部補任課の防衛事務官を停職4月 新宿駅ホームで迷惑行為(9月18日)
- 《特集》ブルーインパルスが愛知の空へ!「愛知・名古屋2026大会」どこで見る? どこで撮る?
- 高市総理が第81回国連総会で一般討論演説 国際情勢の緊迫化に触れ、国連改革に日本が責任を果たすと表明(9月23日)
- 小泉防衛大臣が再任後の記者会見 三文書改定、防衛産業融資、F-15トラブルなど(9月18日)
- 人事発令 令和8年9月23日付け、1佐職人事(空自1名)
- 小泉防衛大臣が全防衛省・自衛隊職員に対し訓示 第2次高市改造内閣での続投受けて(9月18日)
- 海自補給本部3等海佐を停職2月 部下への威圧的言動や長時間の叱責などで(9月18日)
- 《特集》ブルーインパルスが愛知の空へ!「愛知・名古屋2026大会」どこで見る? どこで撮る?
- 人事発令 令和8年9月18日付け、1佐職人事(海自1名)
- 航空自衛隊がブルーインパルスの2026年度展示飛行スケジュールを更新(5月25日)
- 人事発令 令和8年9月17日付け、書記官人事(2名)
- 人事発令 令和8年8月1日・2日・3日付け、1佐職人事(陸自241名、海自20名、空自56名)
- 空自 偵察用無人機RQ-4Bグローバルホークが鳥取県沖で墜落 浮遊物の写真を公開(9月20日 第6報まで掲載)
- 防衛省が第13回処遇・給与部会を開催 自衛官の給与体系見直し提言取りまとめ(8月24日)、議事録を公開(9月10日)
- フランス空軍ラファールなどが百里基地に展開 空自航空部隊と共同訓練を実施(9月18日)
- 《特集:ブルーインパルス》飛行展示と飛行条件の基礎知識
- 人事発令 令和8年8月3日付け、将補人事(陸自20名、海自7名、空自13名)
- 《特集》ブルーインパルスが愛知の空へ!「愛知・名古屋2026大会」どこで見る? どこで撮る?
- 航空自衛隊がブルーインパルスの2026年度展示飛行スケジュールを更新(5月25日)
- 最新レーダーの驚くべき生産拠点 ──最高の製品は最高の工場から
- 人事発令 令和8年9月18日付け、1佐職人事(海自1名)
- 人事発令 令和8年8月1日・2日・3日付け、1佐職人事(陸自241名、海自20名、空自56名)
- 防衛省が第13回処遇・給与部会を開催 自衛官の給与体系見直し提言取りまとめ(8月24日)、議事録を公開(9月10日)
- 人事発令 令和8年9月17日付け、書記官人事(2名)
- 人事発令 令和8年8月3日付け、将補人事(陸自20名、海自7名、空自13名)
- 《特集》5つの艦種で構成される海自の主力艦 基礎から分かる「護衛艦」概論
- 若年定年の自衛官への給付金支給対象者を拡大、政令を公布(7月3日)

