[国会答弁]自由民主党大会における陸上自衛官の歌唱と政治的中立性等に関する質問と答弁(4月28日)
- 日本の防衛
2026-5-1 11:22
令和8(2026)年4月28日(火)、第221回国会(特別会)に提出された「自由民主党大会における陸上自衛官の歌唱と政治的中立性等に関する質問主意書」に対する答弁書が閣議決定・公表された。
その質問主意書と答弁書を以下に転載する。
質問主意書
質問第35号
令和8年4月17日提出
自由民主党大会における陸上自衛官の歌唱と政治的中立性等に関する質問主意書
次の質問主意書を国会法第74条によって提出する。
提出者 石垣のりこ
陸上自衛隊中央音楽隊に所属する陸上自衛官が、第93回自由民主党大会に出席し、制服を着用した上で国歌を歌唱した(以下「当該行為」という。)。自衛隊は、その性質上、厳格な政治的中立性が求められる組織であり、隊員については、国民から特定の政党との結び付きを疑われることがないよう、慎重な行動が求められる。
自衛隊法(昭和29年法律第165号)第61条第1項では、隊員の服務として政治的行為の制限が規定されている。同項中の「政治的目的」については自衛隊法施行令(昭和29年政令第179号)第86条において、「政治的行為」については第87条において、それぞれ規定されている。また、制服の着用については、自衛隊法第58条第2項及び自衛官服装規則(防衛庁訓令第4号)第6条に規定されており、着用は公的性格を強く有するものである。
当該行為については、イベント会社その他第三者からの依頼に基づき、出演料その他の経済的利益が発生している可能性も否定できない。経済的利益が発生している場合、兼業規制及び服務管理の観点からも事実関係の確認が必要と考える。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 当該行為は、公務に当たるか、それとも私的活動に当たるか示されたい。公務に当たる場合、その法的根拠及び判断過程を示すとともに、政党が主催する行事であったことをどのように評価したか示されたい。また、当該行為が自衛隊の広報又は儀礼活動の範囲に含まれると判断した場合、その理由を具体的に示されたい。
二 当該行為と自衛隊法第61条第1項の関係について、政府はどのような整理を行ったか示されたい。また、当該行為が同項の「政治的目的」及び「政治的行為」に該当しないと整理する場合、その理由を具体的に示されたい。さらに、当該行為が自衛隊の服務規律に違反しないと整理する場合、その理由を具体的に示されたい。
三 自衛官服装規則第6条は、「自衛官は、(略)常時制服等を着用しなければならない。」、ただし、休暇等の一定の場合には「制服等を着用しないことができる。」と規定している。公務ではない私的活動において、自衛官は制服等を着用する義務があるか、政府の見解を示されたい。
四 自衛官が公務ではない私的活動の際に制服等を着用することは、当該私的活動が自衛隊と関連する公務であるとの誤認を国民に生じさせるおそれがある。政府は、現行の自衛隊法及び自衛官服装規則の規定によって当該誤認を防止することが可能と判断しているか、見解を示されたい。また、自衛官が私的活動に従事する場合には、自衛隊の政治的中立性に対する国民の信頼を確保する観点から、制服等の着用を禁止する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。
五 当該行為は、政府又は自衛隊が自由民主党を支持しているとの誤認を国民に生じさせると考えるが政府の見解を示されたい。また、当該行為に限らず、自衛官が制服等を着用し特定の政党の行事に出席することは、自衛隊の政治的中立性に対する国民の信頼を損なうおそれがあると考えるが、政府の見解を示されたい。
六 当該行為を受け、今後、自由民主党以外の政党から自衛官の出席又は出演の要請があった場合、政府は同様に対応する方針か示されたい。異なる対応をする場合、その判断基準を示されたい。また、他の政党の行事に自衛官を出席又は出演させた事例を示されたい。
七 政治的性格を有する団体の行事への自衛官の出席又は出演について、不適当として許可しなかった事例がある場合、その概要及び許可しなかった理由を示されたい。また、同事例と当該行為との相違点をどのように整理しているか示されたい。
八 当該行為に関し、イベント会社その他第三者を通じた依頼の有無、出演契約の主体、出演料その他の経済的利益の有無について示されたい。また、経済的利益が発生している場合、同利益は自衛官個人、当該自衛官が所属する部隊又は国庫のいずれに帰属するか示されたい。さらに、当該行為について、兼業の許可の要否、その判断の過程及び第三者を介することによる兼業規制の回避の有無を具体的に示されたい。
九 小泉進次郎防衛大臣は、令和8年4月14日の参議院外交防衛委員会において、「自衛官が党大会で歌唱することについて、私は事前に報告を受けておりませんでしたが、担当部局においては、自衛隊法上の評価について事務的に確認し、今回の自衛官の歌唱については自衛隊法に違反するものではないと確認したものと承知をしています。」と答弁した。同答弁における「担当部局」及び「自衛隊法上の評価」を行った責任者の役職名を示されたい。
十 前記九の答弁に関し、防衛大臣に事前の報告がなかったことについて、服務管理又は指揮監督上の問題はないか、政府の見解を示されたい。また、「自衛隊法上の評価」を含む当該行為に係る防衛省の意思決定過程において、防衛副大臣及び防衛大臣政務官がどのように関与したか示されたい。あわせて、文民統制の観点及び政治的影響を排除する観点も含め、どのように適切性を確保したか、政府の見解を示されたい。
十一 前記自由民主党大会に出席した参議院議員が、会場で撮影したと思われる写真をSNSに投稿している。同写真には、当該自衛官、陸上自衛隊中央音楽隊副隊長及び同議員本人の3名が写っている。
同副隊長は同大会に出席していたか示されたい。当該自衛官の上官に当たる同副隊長が出席していた場合、当該行為は当該自衛官個人の私的活動とは言えず、防衛省・自衛隊が組織として容認又は関与していたと評価され得るが、政府の見解を示されたい。
右質問する。
答弁書
参議院議員石垣のりこ君提出自由民主党大会における陸上自衛官の歌唱と政治的中立性等に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「私的活動」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和8年4月14日の記者会見において、小泉防衛大臣が「職務ではなく、私人として、関係者からの依頼を受けて、国歌を歌唱したものと聞いています。」と述べたとおりであり、また、お尋ねのように「当該行為が自衛隊の広報又は儀礼活動の範囲に含まれると判断した」ものではない。
二について
前段及び中段のお尋ねについては、自衛隊法(昭和29年法律第165号。以下「法」という。)第61条並びに自衛隊法施行令(昭和29年政令第179号)第86条及び第87条は、政治的行為の制限について定めており、御指摘の「当該行為」(以下「当該行為」という。)は、同条第1項各号に掲げる政治的行為に該当するとは認められず、法第61条第1項の規定により禁止されている政治的行為には該当しないと防衛省において確認したものである。
後段のお尋ねについては、お尋ねの「自衛隊の服務規律」の具体的に意味するところが必ずしも明らか
ではないが、当該行為については、法第46条第1項各号の処分事由に該当するとは考えていない。
三について
お尋ねの「私的活動」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、自衛官服装規則(昭和32年防衛庁訓令第4号)第6条本文において、自衛官は常時制服等を着用しなければならないとしている一方で、その例外として、同条ただし書において、休暇中や勤務時間外において自衛隊の施設外にいる場合等は制服等を着用しないことができる旨規定しているところである。
四について
前段のお尋ねについては、その具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、自衛隊員の品位を保つ義務として、法第58条第1項において、隊員は常に品位を重んじ、いやしくも隊員としての信用を傷つけてはならないとされるとともに、同条第2項において、自衛官は制服を着用し、服装を常に端正に保たなければならないとされていることから、自衛官服装規則第6条本文において常時制服等を着用しなければならないこととしている。このことについて必要に応じ適切に説明を行ってまいりたい。
後段のお尋ねについては、お尋ねの「私的活動」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、同様の理由から、勤務時間外における制服等の着用を禁止することは考えていない。
五について
前段のお尋ねについては、お尋ねの「政府又は自衛隊が自由民主党を支持しているとの誤認」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、当該行為については、法第61条第1項の規定により禁止されている政治的行為には該当しないと防衛省において確認したものであり、また、令和8年4月106日の衆議院本会議において、小泉防衛大臣が「自衛隊の活動に対する国民の理解を得る観点からも、今後は、幹部への報告や、関係部署の情報共有を徹底してまいります。」と答弁しているところである。
後段のお尋ねについては、一般論として申し上げれば、同項の規定も踏まえ、個別具体的に判断すべきものと考えている。
六について
前段及び中段のお尋ねについては、お尋ねの「同様に対応する方針か」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として申し上げれば、個別具体的に判断すべきものと考えている。
後段のお尋ねについては、お尋ねの「行事」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、例えば、御指摘の「自由民主党大会」に相当する「他の政党の行事」に、防衛省として自衛官を出席させ、又は出演させた事例については、現時点において確認されていない。
七について
お尋ねの「政治的性格を有する団体の行事」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
八について
お尋ねの「出演契約の主体」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、当該行為については、御指摘の「当該自衛官」(以下「当該自衛官」という。)が「イベント会社」からの依頼を受けて行ったものであり、報酬を受け取っていない。また、法第63条においては、「隊員は、報酬を受けて、第60条第2項に規定する国家機関、行政執行法人及び地方公共団体の機関の職並びに前条第1項の地位以外の職又は地位に就き、あるいは営利企業以外の事業を行う場合には、防衛省令で定める基準に従い行う防衛大臣の承認を受けなければならない。」と規定されているところ、当該行為については、報酬を受け取っていないため、当該承認を要しない。
お尋ねの「第三者を介することによる兼業規制の回避の有無」については、その具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
九について
お尋ねの「責任者」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「担当部局」については、防衛省人事教育局及び陸上幕僚監部であり、これらの部局の担当者が、当該行為について法第61条第1項の規定により禁止されている政治的行為には該当しないことを確認した。
十について
前段及び後段のお尋ねについては、お尋ねの「服務管理又は指揮監督上の問題」及び「文民統制の観点及び政治的影響を排除する観点」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和8年4月16日の衆議院本会議において、小泉防衛大臣が「幹部への報告や、関係部署の情報共有について反省すべき点があったと考えており、自衛隊の活動に対する国民の理解を得る観点からも、今後は、幹部への報告や、関係部署の情報共有を徹底してまいります。」と答弁しているところである。
中段のお尋ねについては、防衛省において当該行為が法第61条第1項の規定により禁止されている政治的行為には該当しないことを確認する過程において、防衛副大臣及び防衛大臣政務官は、当該行為に関する報告を受けていない。
十一について
お尋ねの「私的活動」及び「組織として容認又は関与していたと評価され得る」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、当該行為については、1についてでお答えしたとおりであり、また、陸上自衛隊中央音楽隊の副隊長は、当該自衛官から御指摘の「同大会」に同行してほしいとの相談を受け、勤務時間外において「同大会」に出席したものである。
(以上)
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