木原防衛大臣、5月24日の記者会見 ヴァリアント・シールド2024への参加など
- 防衛省関連
2024-5-25 17:10
令和6(2024)年5月24日(金)9時04分~9時32分、木原稔(きはら・みのる)防衛大臣は、防衛省A棟11階第1省議室において閣議後の記者会見を行った。
大臣からの発表事項は特になく、記者からの質問に答えた。
記者からの主な質問事項は、こちらの通り。
- 台湾周辺における中国軍の軍事演習
- 幕僚長会見の在り方
- 嘉手納基地での空挺訓練の中止
- ヴァリアント・シールド2024への参加
- P-1哨戒機などの可動率、C-2輸送機などのスペック
- 防衛産業の統廃合
記者との質疑応答
記者 :中国軍の動向について伺います。中国軍は昨日、台湾周辺で軍事演習を開始したと発表しました。20日に就任した台湾の頼清徳(らい・せいとく、ライ・チントー)政権へ圧力をかける狙いがあるとみられますが、防衛省としてこの動きをどのように見ているか受け止めをお願いします。
大臣 :中国軍ですが、昨日23日から本日24日にかけまして、台湾周辺で軍事演習を実施する旨発表していることは承知をしております。また、中国側が、この演習について様々なコメントをですね、表明していることも承知しております。防衛省としては、関連の動向について重大な関心をもって注視をしているところです。
こうした点も含めて、中国の軍事動向については、平素から情報収集・分析に努めていますが、個々の具体的な情報の内容については、中国側の意図、そして目的も含めて、事柄の性質上、お答えは困難であることは御理解をいただきたいと思います。
台湾海峡の平和と安定というものは、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であります。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが、我が国の従来からの一貫した立場であります。中国は、我が国周辺全体での活動を活発化させるとともに、台湾周辺での軍事活動も活発化させてきているものと認識しておりまして、防衛省・自衛隊としては、引き続き関連の動向を注視するとともに、我が国周辺海空域における警戒監視活動等に万全を期してまいる所存です。
記者 :先日退職された阿部空将に関するお話を伺いたいんですけれども、パワハラがあったということで、空自の方ではですね、パワハラがあったと言いつつもですね、4、50分の指導であったと、暴力や暴言はなかった、よって4日だけの謹慎にしたというふうに言ってるんですけれども、取材をする限り、3時間以上延々と暴言を吐き続けたりとかですね、あとは精神疾患を起こした隊員も複数おいでだというふうに、僕の方で聞いております。
これを内倉空幕長は当初、阿部さんの氏名も公表しなかった、後に氏名を公表したわけですけれども、そういう身びいきとも思われるようなことをされているんですね。これが3月28日に、彼は円満に退職をされて、退職金も満額もらっていることだと思うんですけれども、これよろしいのか、ということがまず1点と、それに関連して、3月28日の空幕長会見、これはキャンセルになりました。これは内倉空幕長が、この件に関して記者から突っ込まれることが嫌だから会見を中止した、自分だけで会見中止にすると格好悪いので、陸幕長も誘って止めてしまったと、それを聞いた吉田統幕長が激怒したという話を複数の空自の関係者から聞いておるんですけれども、これ事実でしょうか。
大臣 :1点目の件ですね、阿部元空将の退職の件、私も報告は受けております。必要な調査というのを行った上で、そして所要の手続きを踏まえて、懲戒手続きを行ったと、そのように承知をしております。そして2点目についてはですね、空幕長会見、そして陸幕長会見の件というのは、中身については承知をしておりませんが、何か特段の事情があってのことだというふうに思いますが、いずれにしても各幕長による会見というのは、適切に行われるものだという、そういう認識です。
記者 :これがもし本当にですね、記者から逃げるために会見をキャンセルしたのであれば、空自のトップが説明責任を果たさないということになるわけですよ。これは大変大きな民主国家の軍隊、自衛隊は軍隊ではありませんが、文民統制という面からも大変問題ではないかと思うのですけれども、大臣いかがお考えでしょうか。
大臣 :各、陸・海・空自衛隊のトップである幕僚長の会見というのは、適切に行われ、そして国民に対する、そういった説明を果たしていくということは重要であるというふうに考えておりますので、適切に会見を行われるべきだと思っております。
記者 :昨夜、米軍嘉手納基地でパラシュート降下訓練が予定されていましたけれども、中止となりました。その旨、防衛省からも各自治体に沖縄防衛局を通じて御連絡されていると思うんですけれども、中止の理由について米側から説明を受けているかどうかについて教えてください。
大臣 :御指摘のように嘉手納飛行場において、昨日23日に実施予定であったパラシュート降下訓練でありますけれども、米側からは気象条件のため中止になった旨の説明を受けているところであります。
記者 :米軍の大規模演習「ヴァリアント・シールド」が来月ですね、日本で初めて行われること、そしてまた、自衛隊もその訓練に参加すると一部報道がありました。事実関係を含めて米軍とどのような調整が行われているのか、現時点で明らかにできることがあれば教えてください。
大臣 :自衛隊はですね、来月の7日から18日までの間、米国主催による多国間演習「ヴァリアント・シールド2024」、これに参加をいたします。「ヴァリアント・シールド」は、これまで米国が実施してきた統合実動演習でありまして、米国からの招待を受けて、そして今回初めて自衛隊が本演習に参加をし、主に日本周辺海空域及び日本国内の自衛隊施設等において各種の戦術訓練を実施します。我が国を取り巻く安全保障環境というのは厳しさを増している中で、本演習に参加をし、統合作戦能力及び日米同盟の抑止力・対処力を強化するとともに、同志国とのパートナーシップの拡大を図るということは、極めて意義が高いものだと私は考えております。
記者 :関連でお尋ねします。現在、日本国内で米軍が使用を予定している自衛隊の基地、駐屯地等、判明している部分があれば教えてください。
大臣 :日本国内のということですね。 八戸、松島、硫黄島にあります自衛隊施設など を予定しているところです。
記者 :オリンピック関連でお伺いしたいんですけれども、2020年東京オリンピックにおいてですね、大臣も御記憶かと思うんですけれども、ブルーインパルスがですね、低空で飛んで、カラースモークが色々な物に付着して問題を起こしたことがあると思うんですけれども、カラースモークをたいて、これで地上の車などに色が付着したということで、隊員が処分されたということがあるんですけれども、空自の複数の衛生関係者に聞くところによるとですね、これは事前に分かっていた、結局、物に対して色が付着するのは分かっていたのだけれども、当時、森喜朗元総理とですね、杉山空幕長がですね、これに対して承知していながら報告書を改ざんさせたと、異議を唱える者は左遷されたというふうな話を複数の人間から聞いているんですけれども、これ事実とすると、本来使ってはいけないものを使ってしまったと、しかもその責任をブルーインパルスに負わせてしまったということになるんですけれども、これは大臣、このお話は御存じでしょうか。
大臣 :ブルーインパルスですけれども、計画の段階でですね、いろいろな自治体や、あるいは団体等からイベントの、あるいは自衛隊の記念行事にブルーインパルスは登場するわけですが、年間計画を立ててですね、そして非常に人気のあるものでありまして、なかなか全ての希望には答えられないぐらいの、そういった人気があるブルーインパルスなんですが、前回の東京オリンピックの際の件については、私は承知をしておりませんでですね、細部について今情報を持っていないものですから、できたら事務方にお尋ねいただけたらと思います。
記者 :くだんの報告書とですね、あとカラースモークのサンプルを頂ければ僕の方のポケットマネーで調査をして、第三者の研究所で分析してもらおうかと思うので、そういうことは可能でしょうか。
大臣 :手続き的なものもありますので、事務方にお問い合わせいただきたいと思います。
記者 :P-1の可動率について伺いたいんですけれども、海自の哨戒機P-1、これは取材する限り、可動率3割程度しかないと、その主な理由というのは、国産のエンジンの不具合が多いと、タービンブレードが飛ぶ前に異変があるとすぐ止めてしまうと、だから飛べないことが多い、それから光学電子センサーが出し入れのところでよく止まると、それで主に3割ぐらいしかないという話があるんですけれども、本当でしょうか。
大臣 :防衛力整備計画等でですね、これから防衛力の抜本的強化を行っていく上で、新たな装備品というのももちろん購入する計画に加えて、既存の装備品の可動率を上げていくということも、これ重要であるということは、防衛力整備計画等でも書かれているところであります。当然、P-1についてもですね、これは重要な装備品の一つでありますから、可動率向上に向けては、これは鋭意取り組んでいかなければいけない中で、今御指摘の点については、私は詳細の情報を持っておりませんので、その点も事務方にお尋ねいただけたらと思います。
記者 :米国ですと、例えばF-35戦闘機の可動率であるとか、ミッション達成率などに関しても、会計検査院であるとか、議会の調査局がどの程度のパーセンテージなんだと、なぜこんなに低いのか、低い理由を説明して、なおかつこれをどうしたら向上するのかということを公表しているんですけれども、一般的に防衛省・自衛隊はそういう数字を全部隠して、相手に手の内を明かさないというふうにおっしゃって、公開しないことが多いんですね。これは非常に民主国家の文民統制上問題があるんではないかと、よその国が当然公開しているものをですね、公開しない。有事になって、これがばれて、飛ばなかったらどうするんだということがあると思うんですね。ですから、そういう情報をですね、もっと公開していこうという話は、大臣、お考えじゃありませんか。
大臣 :少なくとも私は、可動率というのは承知をしております。装備品の可動率は、私は承知をしておりますし、その可動率、正に数字というのはどれぐらい装備品が動いているか、あるいは飛べるのか、そして、例えば航続距離だとかですね、運用時間というのは正に防衛力そのものになりますので、運用上の情報保全というのは、これは極めて大事なものだと思っておりますから、これは原則的には公開はしないというところです。ただし、国民に対する説明で公開できる範囲については公開をしなければいけませんし、先ほど可動率の向上というのは、これは防衛力整備計画にも書かれていることでもあり、そもそも既存の装備品をですね、最大限活用するということは非常に大事なことでありますから、そういったことを踏まえてですね、今後は可動率の向上に努めていかなければいけないと、そういうふうに思っています。
記者 :以前、浜田大臣のときにですね、16式機動戦闘車にクーラーを搭載するようになったと、そうするとクーラーを搭載するとですね、C-2輸送機で運べないというふうに浜田大臣おっしゃっていたんですけれども、その後に空幕の方にC-2のペイロードはどのぐらいなんですかと聞いたら、36トンだとおっしゃるわけですよ。ということはですね、これ素直に聞くと、16式戦闘車のですね、クーラーって10トンぐらい重たいんですかという話になるんですけれども、大臣これいかがですか。
大臣 :今の御質問というのが初めて聞く内容ですので、今すぐ答える準備はできておりませんが、C-2のペイロード、そして16式の機動戦闘車、そしてそのクーラーの関係というのは、私もよく存じ上げておりません。今のそういう経緯があったということは存じ上げておりません。
記者 :最大離陸重量時のC-2のペイロード、後で事務方からで構わないのでお聞かせ願えますか。それがですね、36トンが嘘だというのであれば、大変な問題ですよ。結局過大な数字を出していることになるわけで、機動戦闘車は26トンなわけで、それにクーラーを積んだら飛べなくなったというのであれば、それは説明が矛盾しますよ。そういうことをちゃんと本当は飛べないのであれば、ペイロードがもっと少ないのであれば、それはちゃんと国民に説明すべきだと思うんですけれども、大臣いかがですか。
大臣 :公表している装備品の仕様ですね、スペックというのは、これは正しいものであります。そして、それをなかなか数字上の理屈が合わないという御指摘だと思いますが、その点については確認の必要があるかなと思います。
記者 :ですから、それが例えばコンマ5トンとかであればまだ分かるんですけれども、10トン違うわけですよ。10トン違うといったら、例えば、大臣ステーキ食べに行って、5万円と言われたものが10万円だったら怒りますよね。いくらなんでもこれはやっぱり問題ではないですか。それから、空自の資料を見ても、資料によってはC-2のペイロードは、C-1の4倍だと、8トンの3倍だと、そうすると24トンしかないというような表記もあるんですよ、一方で最大36トンという表記もあって、これ一定してないんですよ。ですから伺ったんですけれども、公式見解が36トンであるというふうに回答が来たんですね。ですからあえてここで伺っているわけです。
大臣 :御指摘は分かりました。公表している仕様、スペックというのは、これは正しいものだというふうに思います。
記者 :防衛省では今、防衛産業振興ということで、いろいろ法律も変え、努力されているかと思うのですけれども、防衛産業の利益率が低いと、8%であると、対してよその国は13%だと、これを上げるというふうにおっしゃっているんですけれども、諸外国の場合には輸出をしたりとかですね、自社ベンチャーで開発をしたりとかしておりますから、リスクを負っている、だから高いんだという部分もあるかと思うんです。
けれども、日本の国内の防衛産業の場合、ほぼリスクゼロなんですね。それを同列に比較をして日本の方が低いんだから上げなければいけないと、その一方でですね、同じ分野で日本の場合、弱小なメーカーが何社もあるわけです。それに対する統廃合をするという意思が全く防衛省から聞こえてこないんですよ。
例えば、ヘリメーカー3社あって、ほぼほぼ自衛隊しか顧客がいない状態で、輸出もしていない、民間どころか警察も消防も使っていないと。そういうある意味、子供部屋おじさんみたいなヘリ産業に、何倍も高いお金を払って調達を続けるべきなのか。あとは例えばソナーでいえば、沖電気とNECがパッシブとアクティブのソナーを分けていると、ところが両方の会社には、音響工学の博士号を持った社員一人もいないそうなんです。つまり少ないところで、ビジネスを小分けにして細々とやっているために値段も上がる、技術もないということであれば、事業統廃合して生産効率を上げる、そうすれば自ずから利益も増えるというところもあるかと思うんです。これはビジネスの間では極めて基本的なことだと思うんですけれども、大臣、今後はそういう防衛産業の統廃合をやっていこうという御意思おありでしょうか。
大臣 :防衛産業といいますか、装備品というのは、正に防衛力そのものであるというふうに3文書にも書かせていただいているところであります。
民間企業ですから一義的にはですね、統廃合というのは、これは企業間の問題であります。市場の中における、マーケットの中においてですね、企業の果たす役割などによって、これは我々の範囲の外の中で行われるものだと思っております。一方で、正に防衛力そのものである防衛産業が健全に育成されるということは、我が国にとって非常に重要であると思います。
装備品、海外から一般輸入するもの、あるいは米国からFMS(海外軍事販売)で調達するもの、そして国内で製造されるもの、いろいろありますが、やはり、国産の装備品というのを増やしていくということは、国内の経済からいっても重要であろうと、あるいは雇用の観点からも重要であろうというふうに思っております。
防衛省としても、防衛産業の競争力強化については、不断に検討していく中で、とりわけ、今海外との比較をされましたけれども、海外の防衛産業と日本の防衛産業、比較すると日本の防衛産業というのは、防衛装備品だけを作っているのではなくて、防衛部門というのはごく一部であり、大層の利益はその他の民需で賄っているという装備品のメーカーが非常に多いということは、この防衛部門について、今おっしゃたように利益率が低いということであれば、当然、株主の理解が得られないとかですね、あるいは業務を再編、あるいは場合によっては縮小する中で、一番最初にこの防衛部門が切り捨てられるということにもなりかねない。すなわち、そこでやはり適正な利益率というのを、もちろん過剰であってはいけませんけれども、適正な利益率、その対価に見合った利益率を我々は出しているということは、これは非常に大事なことであろうというふうに思いますから、そういうことを総合的に考えながら、国内の防衛産業の育成というのは、我々に協力できるところはしていかないといけないというふうに思っております。
記者 :ということは大臣、減らすということは、例えば統廃合を考えてらっしゃらないという理解でよろしいですか。
大臣 :統廃合については、正にこれは我々が考えることではなくて、恐らく一義的には企業間の問題であろうというふうに考えております。しかしながら、それは政府全体としての方向性としてあるべき姿というのが、これがこれからどんどんその中で自然にですね、淘汰されていくところは淘汰されていくし、統廃合されるところは統廃合されていくということになっていくのだろうと思います。
記者 :防衛省の意図ではですね、その統廃合を推進することは可能ではないかと思うんですけれども、例えば今問題となっているAMV(装甲モジュラー車両)の国内生産、これ日本製鋼所がライセンス生産すると言っているのですけれども、3社、日立、三菱重工、コマツが撤退して2社になったと、それでさらに重工1社になるわけなのですけれども、ここで日本製鋼所がライセンス生産をするとまた増えてしまうと、しかも聞くところによると、日本製鋼所のライセンス生産はコマツの元装甲車部門の人たちが中心になってやると、なおかつコマツのベンダーを使うと、そうするとゾンビみたいに生き返ってくると。
しかもAMVの話も、聞くところによるとですね、20年かけて調達すると、今までと全く同じですよ。つまり細く長く調達してコストを高くする。しかも20年後ってメーカーのパトリアがAMV XPを生産しているかどうかも分からないですよね。そういう無計画で、なおかつ防衛省の意図でメーカーを増やすというのは、意図的に統廃合から逆の方向に行くということになると思うんですけれども、大臣いかがですか。
大臣 :今回、いわゆる3文書等でですね、43兆円5年間の計画の中で、装備品を含めてこれから計画的に装備品を調達していくわけですけれども、そういう中で、今おっしゃったような、やはり効率というのは求めていかなければいけないと思います。あるいは既存の装備品もですね、いわゆるファミリー化なども追及していく中で、より効率的なもの、そして合理的なもの、そしてそういう在り方を追求していかなければいけないと思います。様々なやり方というのはあると思います。まとめ買いという考えもあるかもしれません。そういう中でですね、それが直接統廃合をやるとかやらないとかということには、直接これは結び付かないし、そういうことについて予断をもってお答えするべきではないというふうに思います。
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