木原防衛大臣、5月28日の記者会見 北朝鮮による衛星打ち上げ失敗など
- 防衛省関連
2024-5-29 06:06
令和6(2024)年5月28日(火)9時13分から、木原稔(きはら・みのる)防衛大臣は防衛省A棟11階第1省議室で、閣議後の記者会見を開き、記者と次のような質疑応答をおこなった。
記者との質疑応答
5月27日の北朝鮮衛星打ち上げについて
記者 :北朝鮮の関係で伺います。昨日、北朝鮮は衛星打ち上げを目的とした弾道ミサイル技術を使った発射を行いました。北朝鮮側はですね、空中で爆発し、失敗したと伝えていますが、新たに判明した事実関係など、防衛省の最新の分析状況を教えてください。
大臣 :これまでも政府から公表しているとおり、日米韓の緊密な情報共有によれば、北朝鮮は昨日27日、北朝鮮北西部沿岸地域の東倉里(トンチャンリ)地区から、南方向に向けて、衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を強行しましたが、発射されたものは、数分後に黄海上空で消失し、宇宙空間への何らの物体の投入はされていないものと推定しております。発射の詳細については日米韓において分析中でありますが、これまでに得られた情報を総合的に勘案すると、昨日の発射は衛星打ち上げを試み、それに失敗したものであったと認識しています。
今般の発射は、衛星打ち上げを目的としたものであったとしても、北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用した、いかなる発射も禁止としている、関連する国連安保理決議に違反するものであり、国民の安全に関わる重大な問題です。防衛省としては、引き続き、米国、韓国等とも緊密に連携しつつ、必要な情報の収集・分析を行うとともに、警戒監視に全力を挙げてまいります。
記者 :衛星の関連でお伺いします。今、大臣、衛星の打ち上げに失敗したという認識を示されましたけれども、一方で政府は「Jアラート」をですね、午後10時46分に発令し、避難を呼びかけてですね、解除したのは11時3分だったと思います。こうした「Jアラート」の発令は適切だったとお考えでしょうか。改めてお伺いします。
大臣 :私どもとしては、防衛省・自衛隊として得られた情報を速やかに関係省庁に伝え、そしてそれに伴いですね、内閣官房は「Jアラート」の発出を決めたものだと思っております。詳細については、所管の内閣官房にお問い合わせいただけたらと思います。
記者 :先ほど、総合的な分析の結果、失敗だというふうに認定したということなんですけれども、その分析の過程をですね、もう少し御説明いただければと思います。
大臣 :今回の発射事案ですけれども、東倉里地区から南方向に向けて、衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を強行ということを申し上げました。衛星打ち上げを目的とするということであれば、数分後に黄海上空で消失し、そして宇宙空間への物体の投入はされてないということからすると、昨日の発射というのは、衛星打ち上げを試みた結果、それに失敗したものであったと、そういうような認識に至るということでございます。
発射予告に備えた部隊の展開について
記者 :衛星の関連で1点お尋ねします。北朝鮮の発射予告から実際に発射するまでの時間的な余裕が近年徐々に短くなってきておりますが、このことについては防衛省はどのように分析されておられるんでしょうか。教えてください。
大臣 :過去の予告期間と実際の発射時刻の関係というのは、全て我々どもは把握しているところであります。これは予告期間、そして相手の発射の意図、我々はぎりぎりまで発射をしないことを求めているわけですが、強行に至ったということであり、その評価というのは、これから引き続き米国、韓国等とも連携しながら、必要な情報の収集・分析を行う中でですね、これは評価されるものだというふうに思っております。
記者 :関連でお尋ねします。予告から発射までの時間がどんどん短くなればですね、現在展開している部隊を引くに引けない状況というのが続くと思うんですが、その辺りいかがでしょうか。
大臣 :ちょっと質問の意図がよく分かりませんが。
記者 :予告から発射までの時間が当然短くなれば、部隊を展開しているような時間的な余裕がなくなってきます、一般的には。そうしますと現在沖縄方面に展開している部隊を、これから北朝鮮は3回撃つと言っているわけですから、引くに引けないような状況が生まれてくるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
大臣 :昨年の5月29日に弾道ミサイル等の破壊措置命令を発出しております。そういう中で、必要な自衛隊のイージス艦、あるいは沖縄県内のPAC-3(地対空ミサイル)部隊等に対して、態勢をとらせてきているところであります。破壊措置命令に基づくPAC-3の展開については、各種情報の分析、評価を続けていく中でですね、その予告期間にかかわらず、とらわれず、各種情報の分析、評価を続ける中で、こういった破壊措置命令等、あるいはPAC-3の展開等というのは適切に判断するものだというふうに思っております。
記者 :関連なんですけれども、部隊の展開、PAC-3の先島の部隊ですね、特に展開期間が長くなってきているので、そろそろ、部隊のローテーションだったりもあると思うんですけど、隊員の心理的な負担等もですね、どんどん負荷が掛かってくる状況もあると思うんですが、その辺り現在の状況は大臣としてどう捉えていらっしゃるでしょうか。
大臣 :もう既に1年近く、昨年の5月29日からそういった破壊措置命令を発出し、継続をしているわけでございます。部隊の運用については、その部隊の交代要員も含めて、私どもとしては適切に対応するということです。いずれにしましても、これは何よりも国民の安心・安全が第一であるということでございますから、そのために必要な態勢をとる、とり続けるということは、防衛省としてこれはしっかりと判断をしなきゃいけないことだと思います。ローテーションというのは、私ども適切に対応していく所存でございます。
記者 :関連してなんですけれども、PAC-3の部隊の展開ですね、適切に判断していくということなんですけれども、例えば少なくとも今年3発上げると言っている以上、今年中は配置を続けるですとか、言える範囲で見通しなどありましたら教えていただけますでしょうか。
大臣 :日本のみならず、米国、韓国と情報共有しながらですね、防衛省・自衛隊としてどのように今後態勢をとっていくかということは、適切に判断するものだと思っております。
記者 :先ほど出ていた質問の中で、どのように分析して失敗と認識したかというところでですね、数分後に消失していて、宇宙空間に特に投入されたものが見受けられないというところを挙げてましたけれども、それは本日未明の会見の時点でもそういった状況は分かっていたと思うんですけれども、あの時のエントランスで会見していただいたときと、今の会見の間にどういった変化が生じたかというのを言える範囲で、ありましたら教えていただけますか。
大臣 :今まだ現在分析中でありますので、事の詳細まではですね、つまびらかにはまだできない部分がございますが、今回の目的がですね、衛星の打ち上げということでありますから、結果として数分後に黄海の上空で消失したということ、そして宇宙空間へは何ら物体の投入はされていないこと、ということからすると目的を達成していないということでありますので、その辺りの昨夜から今にかけての分析がより進んだということ、それをもって、今回は試みたけれどもそれに失敗したものであるという認識をもったということであります。
日米韓のリアルタイム情報共有について
記者 :日米韓のリアルタイム情報共有についてなんですけれども、今回発射直後に消失して、爆発したと言われていますが、日本の見通し線の先で起きた事案なんだろうと思うんですけれども、レーダー情報のリアルタイム共有というのは十分に機能したかどうかという点と、今後の分析もレーダーの情報が主体になると思うんですけれども、情報の共有が今後十分になされるかどうかという点について教えてください。
大臣 :日米韓のリアルタイム共有はですね、これは北朝鮮のミサイル警戒データのリアルタイム共有のメカニズムが始動して以降ですね、これ昨年末だっと思いますが、北朝鮮によるミサイル発射の情報については、これはもう常時継続的にリアルタイム共有を行っているところであります。途切れることなく常時継続しているという、そういう認識であります。防衛省としては引き続きそういった米国、韓国等とは緊密に連携しながら、必要な情報の収集・分析を努めているという、それに尽きるということであります。
以上
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