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木原防衛大臣、シャングリラホテルでの臨時会見(6月1日)

  • 防衛省関連

2024-6-3 07:14

 令和6(2024)年6月1日(土)18時53分(現地時間)から、木原稔(きはら・みのる)防衛大臣は、IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)に参加するため訪れているシンガポールのシャングリラホテルにおいて、日中、日仏、日カタール、日韓、日星防衛相会談後の木原防衛大臣ぶら下がり会見を行った。
 内容は、以下のとおり。

大臣からの発表事項

大臣 :私からは、今日行われたバイ会談について、その成果などの報告をさせていただきます。

 では順番に、まず、日中防衛会談におきましては、董軍(とう・ぐん)国防部長との間で、初めての防衛相会談を実施しました。尖閣諸島を含む東シナ海情勢や我が国周辺における軍事活動の活発化について深刻な懸念を率直に伝達するとともに、日中防衛当局間ホットラインについて、適切かつ確実に運用していくことを改めて確認したほか、今後も日中防衛交流を推進していくことで一致をしました。

 次に、日仏防衛相会談においては、ルコルニュ・フランス軍事大臣との間で、3年ぶりとなる防衛相会談を実施し、先般の岸田総理の訪仏において、日仏円滑化協定、RAAの交渉開始が発表されたことを歓迎するとともに、共同訓練を含むインド太平洋地域での両国間の具体的な協力の進展を歓迎し、引き続き日仏防衛協力・交流を深化させていくことで一致をしました。

 次に、日本カタール防衛相会談でございます。アティーヤ副首相兼防衛担当国務大臣との間で、昨年7月の首脳会談で両国間の関係が戦略的パートナーシップに格上げされたことを踏まえまして、両国の防衛協力・交流を一層推進していくことを確認いたしました。

 次に、日韓防衛相会談におきましては、シン国防部長官との間で、昨年来協議をしてまいりました日韓防衛当局間の懸案について結論が得られ、再発防止策として海軍種間の意図表明文書が作成されたことを確認し、海上自衛隊、そして韓国海軍、その双方が平時に遭遇した場合の安全を確保するため、この実施を確保していくことで一致をしました。

 また、日韓米安全保障協力の推進及び日韓防衛当局の相互信頼の強化に努めていくことを確認しました。長年の懸案であった火器管制レーダー照射事案の再発防止は図られたと判断をしておりまして、本日の結果を踏まえて、日韓防衛協力・交流を活発化させていく考えであります。

 最後に、日シンガポール防衛相会談におきましては、シャングリラ会合のホスト国としてのシンガポールの御尽力に、私の方から謝意を述べました。また、日星二国間の防衛協力に加えて、シンガポールは本年夏頃から2027年まで、ASEANの対日調整国を担うため、日本とASEANとの防衛協力の強化について、ウン・エンヘン国防大臣と議論をいたしました。

記者との質疑応答

スピーチ内容について

記者 :シャングリラ会合の方で、大臣、今日スピーチをされました。改めて大臣として一番訴えたかったところはどこだったのか、また、会場の雰囲気だったりとか、大臣御自身の手ごたえなどありましたら教えてください。

大臣 :スピーチをさせていただきました。インド太平洋地域の平和と安定が国際社会共通の利益であることを強調をしました。その上で、我が国が防衛力の抜本的強化、地域全体の状況把握能力の向上、そして地域を横断する連携強化に取り組んでいく決意というものを発信をしました。
 例えば、状況把握能力の向上に関しては、同盟国・同志国間で情報共有の取組が進んでいることや、政府安全保障能力強化支援、OSAであったり、あるいは、防衛装備移転を活用し、我が国が同志国の警戒監視能力の向上を支えていくことについて取り上げたところです。
 会場からはですね、こうした我が国の取組に対する高い関心が得られたという、スピーチをしながらそういうふうに思いましたし、スピーチが終わった後もですね、そういう点について我々の関係者に対して、フロアから様々なそういった御意見などがあったというふうに聞いております。

日韓防衛相共同声明とレーダー照射問題について

記者 :日韓防衛相会談について伺います。
 レーダー照射問題について、再発防止策では一定の合意がなされたということですけれども、一方で、この共同ステートメントなどには、事実関係の解明というのは盛り込まれておりません。今後、この問題はこれで決着して事実関係の解明というのはなされないのか、というのが1点と、そのことについて日本国内でも不満を抱く人もいて、その不満に対して大臣は今回の合意についてどう説明するのか、という2点をお伺いします。

大臣 :まず、日本側としては、今回その事案の発生というのを重く受け止め、これまで再発防止を強く求めてきました。2018年12月からですから、もうずっと我々は、再発防止というのを強く求めてきました。
 日韓双方において、2018年12月に、海上自衛隊と韓国海軍の間で発生したような日韓及び日韓米の安全保障協力の停滞につながり得るような事案の再発防止策として、キューズ(CUES:洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準)の遵守、現場における意思疎通の改善、中央レベルでの意思疎通の強化を含む文書が策定されたところでありまして、これによって、部隊の安全確保及び火器管制レーダー照射事案の再発防止は図られたと判断しています。
 防衛当局間の懸案については、日韓間で結論が得られたところでありまして、今御質問にあったような事実関係と言いますか、我々がですね、我々の主張というのは変更したわけではありません。
 それに対して、国民に対してどうこれから説明していくかというのが大事だと思うのですが、この問題は2018年からずっと続いております。このまま日韓関係において放置をしておけばですね、またこれが再発することというのは考えられると思います。
 この事案というのは、海上自衛官の正に命に係わる問題でもありますから、これ決して再発はあってはならないということです。双方の立場に違いはあるけれどもですね、それぞれの主張というのはそのままの状態ではありますが、しかし、再発してしまったらこれは取り返しがつかないということになりますから、今回、再発防止策ができたということで、海上自衛隊の安全は守られる、担保されるというふうに認識をしております。
 同時に、今回この懸案が、再発防止策ができたということで、また再び2018年以前のような日韓の防衛交流というのが再開をされることが見込まれます。そのことによって、この地域の安全というのがですね、日韓関係、そして日米韓の関係というのが、より深化をし、そして様々なレベルでですね、この日韓関係、日米韓関係が深化することによって、正に様々な、この地域における安全保障上の課題の解決に向けて、促進していくのではないかなと思いますので、そのこともしっかりと説明させていただきながら、今回の成果というものをですね、丁寧に説明していき、御理解をいただきたいと、そういうふうに思っております。

韓国海軍が作成していた対応指針について

記者 :レーダーの関連でお伺いします。韓国側がですね、自衛隊に対しての強硬な対応をとる指針を作成していたという状況がありますけれども、この指針の扱いについて、今日の会談で何かやり取りはあったでしょうか。

大臣 :今般の日韓防衛相共同プレスステートメントにおきましては、今後、海上自衛隊と韓国海軍の双方が、平時に海上で遭遇した場合においては、今後策定された海軍種間の意図表明文書に基づき、対応がなされる旨を確認をしております。質問の趣旨は何でしたっけ。

記者 :韓国が内部に作った指針をですね、どう扱うかです。

大臣 :これは、その内容につきましてはですね、まず、韓国国防部がやることですから、彼らの指針なので、そこは韓国国防部にお尋ねいただきたいと思います。

記者 :レーダー照射とは別なんですけれども、今日の日韓の会談の中で、自衛艦旗、いわゆる旭日旗に関してやり取りがあったかどうか、もし、あったとしたら、その中身を教えてください。

大臣 :今日の防衛相会談、日韓の会談ではですね、自衛艦旗の問題についての議論は行っておりません。ただ、韓国側も昨年5月のPSI訓練に際して、海上自衛隊の艦艇が、自衛艦旗を掲揚することは国際慣例であるということを既に説明したところであり、防衛省・自衛隊としてはですね、2022年の我が国主催の国際観艦式がございました。
 また、昨年5月のPSI訓練を通じまして、双方の艦艇を用いた交流が実現していることを踏まえて、海上自衛隊が韓国海軍と防衛協力・交流を行う上で、自衛艦旗の問題は支障となっていないと、そういう評価をしております。
 訓練も十数回トライの訓練もやっておりますし、護衛艦もですね、韓国の港にも入港しておりますから、そういう意味で、もう自衛艦旗の問題は支障となっていないと、そういう評価であります。

再発防止策なき5年間について

記者 :今日の会談の中で、先ほどの、火器管制レーダーの事実認定のお互いの主張というのは、改めて述べられた事実があるのかどうかと、先ほど結論が得られたとおっしゃられましたけれども、結論を得るまでに5年超がかかったことについて、大臣のお考えをお聞かせください。

大臣 :このレーダー照射問題に対しての、日本の認識は今後とも何ら変わりはないわけです。そして、それは韓国も同様であろうというふうに思います。それは事務レベル間でもですね、ずっとそういう状況が半ば2018年12月からずっと続いてきたということであります。
 これだけの時間がかかったことというのは、私はその間ですね、再発防止策がとられないままこの期間が経過したということは、これは深刻に受け止めなければいけないと思っていますので、しかしながら、今回そういった再発防止策が合意できたということでですね、再発防止策がしっかりととられて、そして私どもの海上自衛隊も、そして韓国海軍も、そういう予期せぬ、不測のですね、事態が発生することが回避されることになったということは、これは歓迎すべきことだと思っております。

以上

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