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木原防衛大臣、6月28日の記者会見 日比防衛相会談の実施や移動式警戒管制レーダーの配備などを発表

  • 防衛省関連

2024-6-30 08:08

 令和6(2024)年6月28日(金)10時59分~11時34分、木原稔(きはら・みのる)防衛大臣は、防衛省A棟11階第1省議室において閣議後会見を行った。

大臣からの発表事項

フィリピンとの外務・防衛閣僚会合(2+2、ツープラスツー)

 冒頭3件申し上げます。1件目、日比「2+2」及び日比防衛相会談の実施についてであります。7月7日、日曜日から8日、月曜日、諸般の事情が許せば、フィリピンを訪問し、外務・防衛閣僚会合、いわゆる「2+2」及び、防衛相会談を実施いたします。
 今回の一連の会談では、本年4月の日米比首脳会合や、また5月の日米豪比防衛相会談等を踏まえながら、法の支配に基づく「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、二国間、多国間の安全保障・防衛協力の一層の強化について議論を行いたいと考えています。
 フィリピンとの「2+2」の実施は、2022年4月に第1回目を東京で開催して以来となり、今回が第2回目です。今回の訪問を機に、安全保障上、大きな意義を有する同国との協力関係を更に発展させていきたいと考えています。

北大東島への移動警戒管制レーダー配備

 2件目であります。北大東島への移動式警戒管制レーダー等の配備、検討について申し上げます。防衛力整備計画にもあるように、周辺国等の活動の拡大・活発化を踏まえ、太平洋側の警戒監視態勢の強化というのは喫緊の課題となっています。この観点から、防衛省・自衛隊は、これまで沖縄県の北大東島について、航空自衛隊の移動式警戒管制レーダー等を運用する部隊の配備に係る有力な候補地として検討してまいりました。
 昨日、27日、木曜日ですが、これまで実施してきた現地調査等を踏まえ、沖縄防衛局を通じて沖縄県北大東村に対して、当該部隊配備の意向をお伝えさせていただきました。なお、北大東村においては、村議会において令和3年12月に自衛隊の誘致に係る決議が可決をされ、同月、防衛省に部隊配備を御要請いただいております。防衛省としては、引き続き、北大東村と緊密に連携しつつ、地元の皆様に対し、丁寧な御説明と適切な情報提供をしっかりと行ってまいります。

自動車運送業等関係団体との連携

 3件目であります。人材確保の取組に係る国土交通省と防衛省、自動車運送業等関係団体との連携に関する申合せについてであります。本日、防衛省は、国土交通省及び自動車運送業等関係団体との間で、自動車運送業等と自衛隊の人材確保の取組について、連携することを申合せました。
 具体的には、国土交通省及び防衛省の地方組織と業界団体の会員との間で、自動車運送業等における人材確保と退職予定自衛官の円滑な再就職支援、自衛隊における人材確保、予備自衛官等制度に係る取組について、一層の連携強化を促進することを申合せました。
 自衛官の再就職支援の充実・強化というものは、人材確保のためにも極めて重要です。防衛省としては、今般の申合せを通じまして、退職予定自衛官の円滑な再就職支援が促進をされ、自衛官の募集や予備自衛官等の制度といった分野でも相互に連携することで、自衛官の魅力化により良い効果が生まれることを期待をしております。

記者との質疑応答

6月26日の北朝鮮の弾道ミサイル発射

記者 :北朝鮮による26日の弾道ミサイルの発射について、韓国軍合同参謀本部は、このミサイルは失敗したと推定されると発表し、極超音速ミサイルの試験発射だった可能性も指摘されています。
 防衛省の最新の分析状況を教えてください。また、今回のミサイル発射で27日から開始した日米韓共同訓練「フリーダム・エッジ」の実施に影響はなかったか伺います。

大臣 :最新の分析状況ということですが、改めてこれまで政府から発表しておりますが、北朝鮮は26日の5時台に、北朝鮮内陸部から少なくとも1発の弾道ミサイルを、東方向に向けて発射しました。発射された弾道ミサイルは、最高高度約100km程度で、約200km以上飛翔したのちに、我が国の排他的経済水域EEZ外に落下したものと推定されています。
 北朝鮮が26日に発射した弾道ミサイルについては、これまでに得られている情報を総合的に勘案をしますと、固体燃料推進方式の中距離弾道ミサイル級の弾道ミサイルであったと推定しています。IRBM級ということです。
 その上で御指摘の韓国軍の発表や、26日の発射について様々な指摘がなされていることは承知しておりますが、失敗の可能性も含め発射の詳細については、引き続き、日米韓3か国で緊密に連携して分析中であります。
 それから、「フリーダム・エッジ」に対しての影響という主旨での御質問でしたが、日米韓3か国は、昨日27日から明日29日までの間に、東シナ海周辺において、弾道ミサイル対処訓練、防空戦闘訓練、対潜戦訓練、捜索救難訓練及び海上阻止訓練を実施するとともに、防衛省市ヶ谷地区においても、サイバー攻撃対処訓練を実施するなど、日米韓共同訓練「フリーダム・エッジ」を実施しています。
 本訓練ですが、特定の国や地域を想定したものではなく、26日の北朝鮮の弾道ミサイル発射が、訓練の実施に影響を与えたということはありません。北朝鮮は、今後も各種ミサイル発射などの更なる挑発行為に出る可能性があると考えておりまして、防衛省としては、引き続き、米国・韓国等とも緊密に連携しつつ、必要な情報の収集・分析を行うとともに、警戒監視に全力を挙げてまいります。

在沖米軍兵士による暴行事件2件

記者 :沖縄の在日米軍の事件に関してお尋ねしたいんですけれども、昨年12月に16歳未満の少女に性的暴行を加えたということで、3月27日付に、地検に不同意性交罪で一人米兵が起訴されていたということが報道で先日分かりました。
 今朝方の報道では、別の方、これ5月に、20代の海兵隊員が別の女性に性的暴行をして怪我を負わせたということで逮捕されていたという報道も今朝方ありました。
 これを受けて、防衛省の把握している状況と、大臣の受け止めとですね、防衛省として米側に何か働きかけを行ったのか、それがあったならばどういう具体的な内容だったのかというのを、その辺り教えていただけますでしょうか。

大臣 :まず、その2つの関係についてということですが、前段の昨年12月の件につきましては、沖縄県警及び那覇地検において、所要の捜査が実施されたあと、那覇地検により米軍の被疑者が起訴されたと承知をしています。
 このような事案が発生したことは極めて遺憾でありまして、米側に対しては遺憾の意を表した上で、綱紀粛正及び再発防止の徹底について申し入れをしたところであります。米側も本件を深刻に受け止めておりまして、地元の捜査当局の捜査及び同被疑者への取調べに対して協力がなされたものと承知をしております。
 米軍人等による事件・事故というものは、地元の皆様に大きな不安を与えるものであり、あってはならないものであります。防衛省としては、外務省や米側と連携しながら、本事件に対応していく所存です。
 それから後段の今年5月の案件についても御質問がございました。報道については承知をしております。お尋ねの件ですが、那覇地方検察庁は、令和6年6月17日、被疑者を不同意性交等致傷の事実で那覇地方裁判所に公判請求したものと承知しています。
 こちらにおいてもですね、このような事案が発生したことは極めて遺憾です。同様にそのように感じております。12月に発生した米空軍兵の事案、これに続いて、米兵によるものと見られる性犯罪が発生したことを重く見て、防衛省地方協力局長から在日米軍司令官に対して遺憾の意を伝達するとともに、こちらも綱紀粛正及び再発防止の徹底について申し入れています。
 いずれにしましても、米軍人等による事件・事故というものは、先ほども申し上げましたけれども、地元の皆様に大きな不安を与えるものであります。これもあってはならないという事案であります。こうした一連の事案がございました。防衛省としては、米側に対し、様々な機会、あらゆる機会にですね、事件・事故の防止について、その徹底をですね、求めていく考えであります。

暴行事件に関する情報伝達について

記者 :今の御発言で1点確認なんですけれども、12月の事件については空軍兵というふうにおっしゃられたんですけれども、後段の5月の事件については、これは米兵と見られるというような御発言だったと思うんですが、報道だと海兵隊員というふうな書かれ方をしている、その辺り、どういうふうに今、状況を認識していらっしゃるのかというのを確認させていただけますでしょうか。

大臣 :こちらは、先ほど米兵によるものと見られる性犯罪ということを申し上げましたが、米海兵隊員であるというふうに承知をしております。

記者 :もう1問関連でなんですけれども、特にこの前段についてはですね、前段の12月の空軍兵の事件については、報道が出るまで沖縄県側がですね、事実を知らなかった、伝えられていなかったというふうに、玉城(たまき)知事が主張しているわけですけれども、これについて大臣として適切だとお考えになるのか、あるいはこうした対応を巡ってですね、外務省から相談を受けたのか、協議をしたのか、その辺りを教えていただきたいのとですね、5月のこの事件についても同様に、現時点で沖縄県側に伝えている事実はあるのかどうかというのを確認できますでしょうか。

大臣 :前段の方から申し上げると、米側から日本政府に対する通報を受けた後の日本側内部での通報に当たりましては、個別具体的な事案の内容に応じて適切に判断して対応するということになります。
 特に、本件のように、被害者のプライバシーに関わるような事案であるとか、捜査に関わる事案につきましては、関係者の名誉であったり、プライバシーへの影響であったり、あるいは、将来のものも含めた捜査・公判への影響等の有無、そして、その程度等を考慮し、慎重な対応が求められるものと承知をしています。
 それから、後段の5月の案件についても、犯罪の重要性を考慮するということはもとより、その一方で、認知の時点において公になっていなかったところ、性犯罪であることから、これが公になることによって、同様に被害者の名誉、プライバシーに甚大な影響を与えることがあり得ることなどを考慮して、公表するか否かを判断したものというふうに承知をしております。
 防衛省としても、そのような捜査当局の判断を前提として対応しているということを、ぜひ御理解いただきたいと思います。繰り返しますが、在日米軍にかかる事件・事故が地元の方々に不安を与えることがないように、これは努めていかなければいけないということは、私自身もそのように思っております。

記者 :今のに関連して、この12月の案件と5月の案件なんですけれども、それぞれ防衛省が把握された時期、申し入れを行った時期、どこからもたらされた情報なのかを教えてください。

大臣 :こちら12月の件については、正に事件に係る情報の伝達ということであります。捜査機関の活動内容に関わる事柄でありまして、お答えは控えなければならないということは御理解いただきたいと思います。
 米側に対しましては、遺憾の意を伝達した上で、綱紀粛正や再発防止の徹底を申し入れておりますけれども、米側との関係もありますので、米側とのやり取りの詳細については差し控えます。
 誰に伝えたかというのは、防衛省の地方協力局長から在日米軍司令官に対して、加えて、沖縄防衛局長から第18航空団(嘉手納)司令官に対して、先ほど申し上げたように遺憾の意を伝えるとともに、隊員の教育、そして綱紀粛正、再発防止の徹底を図るように申し入れをしているところであります。

記者 :外務省は12月の件に関しては、起訴前に把握されていて、起訴の時点で申し入れを行ったというふうに、時期を明らかにしています。
 防衛省としては、米側とのやり取りの詳細を控えるという、この対応の違いはなぜなんでしょうか。

大臣 :私が今答えたとおりであります。防衛省としての対応を申し上げたところであります。防衛省としては、米側とは緊密に連携しながら本事件に対応していくということに尽きます。

暴行事件の再発防止策について

記者 :両方の事件を踏まえて、申し入れされているということなんですけれども、米軍に求めている再発防止策について伺いたいと思いますが、リバティ制度の厳格化は要求しているのか、これから要求する考えはありますでしょうか。

大臣 :リバティ制度というものは、在日米軍が、自主的な規制措置として設けている勤務時間外行動の指針でございます。こちらは米軍内部の規律事項であるというふうに承知をしております。
 今回の事件を受けて、防衛省としては、先ほど申し上げたように、米側に対しては、綱紀粛正や再発防止の徹底を申し入れたところであります。こうした私どもの申し入れを踏まえて、まずは、米側においてですね、このような事件が二度と起こらないよう、具体的な再発防止策を検討し、徹底していくことが重要ではないかと考えております。日米で協力して事件・事故の防止に取り組んでいくことも考えております。

記者 :今のを踏まえると、防衛省側からは、具体的にこうしろということを求めているのではなくて、綱紀粛正ということで求めて、その具体的な内容は米側が判断するということでよろしいでしょうか。

大臣 :リバティ制度というのは、米軍の中の規律事項でありますので、それに対して私どもとしては、綱紀粛正、再発防止の徹底を申し入れたところですので、それを踏まえて、まずは米側が具体的な再発防止策を彼らが検討し、徹底していくこと、これが重要だろうというふうに思います。
 その上で、私どもとしても、日米で協力しながらですね、事件・事故の防止には取り組んでいきたいと考えています。まずは米側の対応をしっかりと待ちたいと思います。

記者 :米側は続いているわけですよね、しかも知らされていなくて。米側はそれを自分たちからも公表はしていませんでした。
 昨日も沖縄県庁に来て謝罪の言葉はなかったということで、米側だけに任せていて再発防止になるのかどうかということが疑問なんですけれども、ここまでの事態になっているのであれば、より強い対応が求められるのではないでしょうか。

大臣 :捜査当局における判断を踏まえて、防衛省を含む関係機関というのは、県を含む関係者に対する情報提供の必要性及び相当性を判断しながら対応していくということになります。
 本件においては、このような事件が二度と起こらないようにするためには、具体的な再発防止策というものを検討し、徹底していくことが重要であり、この点、まずは米側にですね、しっかりと具体的な、そういった防止策を検討してもらい、そして、それを日米協力して取り組んでいくということだと考えています。

記者 :関連で、自分たちで考えて再発防止策、綱紀粛正を徹底できるような組織であれば、こんな状況になっていないのではないかなと思うんですけれども、防衛省として、より強い対応、具体的な再発防止策を防衛省側から提示していくということは考えないのでしょうか。

大臣 :本件についてですね、米側も極めて深刻に受け止めているというふうに認識をしておりますから、私どもの申し入れを踏まえて、彼らが再発防止策を検討し、徹底していくことがまずは重要です。
 そして、この点は私どもも傍観しているのではなくて、日米で協力して取り組んでいくことになります。事件・事故の防止、これはあってはならないことですから、再発しないということ、再発させないということを徹底してまいります。

在日米軍の事件に関する防衛省の対応ついて

記者 :今の関連で1点だけ、内容の詳細については控えますということなんですけれども、地方協力局長から在日米軍司令官に対して申し入れをしたという時期については、明らかにできますでしょうか。

大臣 :米側との関係もあって、あるいは捜査当局との関係もありですね、その点については、捜査機関の活動内容に関わる事項でありますので、情報の伝達という部分については、お答えは控えなければならないということでございます。

記者 :今年の1月にもですね、沖縄本島の路上で、県内の女性に性的暴行を加えたとして、海兵隊員の30代の男が不同意性交等の容疑で逮捕されています。
 こちらも県警からは発表されていないんですけれども、防衛省、あるいは防衛局として、この件については連絡を受けて、何かしらの対応をしているんでしょうか、いかがでしょうか。

大臣 :私はこの瞬間には承知をしておりませんが、おそらく沖縄県警が関係する統計を発表したのではないかなというふうに思います。詳細については、その捜査当局、あるいは沖縄県警にお問い合わせいただけたらと思います。

記者 :事件の中身等々は当然そうだと思うんですけれども、防衛省側に何かしら情報の伝達があったのかどうかという点と、それを踏まえての対応をしたのかどうかという点についてはいかがでしょうか。

大臣 :県警の統計でありますので、それについて私この場でお答えする立場にはないと思います。こちらもいわゆる事件に関わる情報の伝達とも考えられる部分でもありますので、捜査機関の活動内容に関わる事柄でもあるかと存じます。

記者 :日米の合同委員会合意では、通報基準というものがあって、伝達経路としてもですね、米側から沖縄防衛局なりに通報が行くようなルートになっていると思いますけれども、そういう通報経路の流れで防衛局・防衛省側に情報の伝達があったかどうかという部分については、そこもお答えできないという理解でよろしいでしょうか。

大臣 :米側から日本政府に対する通報を受けた後のですね、日本側内部の通報に当たる、その部分については、個別具体的な事案の内容に応じて、適切に判断して対応するということになっております。
 御承知のことと思いますので、先ほども申し上げましたけれども、そういった個別具体的な事案の内容ということに当てはめるとですね、正に被害者のプライバシーに関わるような事案でもあり、また、関係者の名誉という部分も当てはまるのではないかなと思います。
 そういった将来のものも含めた捜査・公判への影響の有無等というのは、これは私どもとしても考慮しなければいけないということで、慎重な対応が求められるということになるのだと思います。したがって、捜査当局の判断というものを私どもは前提として対応しているということになりますので、その点は御理解ください。

創設70周年を踏まえた自衛隊の役割について

記者 :全く別件で恐縮なんですけども、自衛隊の創設70周年に関して、自衛隊の役割拡大について伺います。
 自衛隊を巡っては、特にこの10年で集団的自衛権が容認された上、警戒監視などの任務ですとか、多国間、二国間の訓練が増えています。加えて今春の日米首脳会談では、インド太平洋の安全保障に自衛隊がより中核となって関与していく方向性が明確になって、今後の役割は一層増大するということが予想されると思うんですけれども、一方で、自衛隊員不足というのは常態化していて、装備品の不足も指摘されてます。
 自衛隊の現状に比してですね、自衛隊に求められる役割ですとか責任が拡大しすぎていないのかなど、現状への認識を聞かせてください。また、この状況を踏まえてですね、改めて今後の自衛隊の役割についての考え方をお願いいたします。

大臣 :自衛隊創設70周年を踏まえた自衛隊の役割についての御質問だと理解をしました。少し丁寧に説明しますと、力による一方的な現状変更の試みの深刻化や、北朝鮮による度重なる弾道ミサイルの発射など、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑なものになっています。
 こうした安全保障環境に直面する中においても、国民の命と平和な暮らし、そして、我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜くこと、これは我が国政府の最も重大な責務であります。
 自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務としていますが、その具体的な役割は、これまでも、我が国が置かれた安全保障環境に応じて、例えば、国連PKO活動への参加や、各種の特措法に基づく活動の実施、さらには平和安全法制に基づく活動など、変化をしてきたところであります。
 近年、安全保障環境が厳しさと複雑さを増す中で、防衛省・自衛隊の役割は、この70年間の間に、かつてないほど、確かに大きくなっており、より幅広い活動を平素から行っていくことが求められるようになってきていることというのは事実でありますが、これらはいずれも国民の命と平和な暮らしを守るために必要なことでございまして、今、質問の中で御指摘があったように、自衛隊の役割が拡大しすぎているというふうには私どもは考えておりません。
 防衛省としては、厳しい安全保障環境の下、拡大する自衛隊の役割をしっかりと果たすことができるように、安保関連三文書に基づく防衛力の抜本的強化を決断したところでもあります。
 御指摘のあったような隊員不足、装備品の不足について若干申し上げれば、人口減少と少子高齢化を踏まえて、無人化・省人化・最適化を徹底していくとともに、それでもやはり必要な人材は確保しなくてはいけませんので、そのためには募集能力の強化、給与面の処遇の向上、生活・勤務環境の改善、ハラスメント防止対策を含めた各種施策について不断に検討し、人的基盤の強化に取り組んでいます。また、現有装備品を最大限有効に活用するための可動率の向上、必要な装備品の調達等にも努めています。
 このように、安保3文書に必要な施策は盛り込まれておりますので、まずはこれにしっかりと取り組むことが重要であり、実際に今取り組んでいるところであります。引き続き、防衛力の抜本的強化の着実な実現、同盟国・同志国等との協力・連携を強化することにより、我が国の平和と安全、さらには地域と国際社会の平和と安定及び繁栄を確保していく、そのような考えでございます。

移動式警戒管制レーダーの配備について

記者 :冒頭発言がありました、沖縄県北大東村への移動式の警戒管制レーダー配備についてなんですけれども、以前から北大東村が有力な候補地というふうにして検討を進めてきましたが、実際に配備を決めた理由について伺いたいのと、またその先ほどの住民への説明という話がありましたが、今後の説明とかですね、後は実際の配備のスケジュール、見通しについても教えてください。

大臣 :まずその意義とか目的というのは冒頭でも少し触れましたけれども、我が国周辺の海空域においては、周辺国等が活動を拡大・活発化させている中で、太平洋側の警戒監視態勢の強化が喫緊の課題であると、そういう認識を持っているということです。
 沖縄本島、宮古島間の海域、宮古海峡ですが、その太平洋側に位置する北大東島というのは、我が国周辺の警戒監視を常続的に行っていく上で重要な位置にございます。ここに移動式の警戒管制レーダー等を配備することは、我が国防衛上非常に有意義なものだと考えました。
 さらに、こうした常続的な警戒監視基盤を整備することにより、我が国が領土・領海・領空、そして国民の生命と財産を守り抜くという防衛の意思と能力を示すということは、我が国に対する武力攻撃を抑止する上でも非常に重要であると考えます。
 後は北大東村の住民への説明という御質問もございましたが、村民向けの住民説明会を開催するよう御要請をいただいておりますので、現時点において具体的にはまだ決まっているものはございませんが、防衛省としては地元に対して丁寧に説明を行うことが重要であると考えておりまして、住民説明会の開催については今後、北大東村と相談しながら検討、調整をしてまいります。
 後はいつに開設する予定かという、最後の質問については部隊を配備するということになった場合には、その開設の時期ということになるわけですが、ようやく今、配備先をですね、私どもで判断をしたところになりますので、今後検討を精緻化する必要があることから、現時点においては確たることをお答えすることは困難でありますが、また、住民説明会もこれから検討、調整するということにもなりますので、可能な限り速やかな開設を目指したいと、そういう現時点での考えでございます。

以上

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