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木原防衛大臣が記者会見 防衛企業への自社点検依頼についての質問などに回答(8月8日)

  • 防衛省関連

2024-8-12 09:09

 令和6(2024)年8月8日(木)10時52分~11時14分、木原稔(きはら・みのる)防衛大臣は、防衛省A棟11階第1省議室において閣議後の会見を行った。
 内容は、以下のとおり。

大臣からの発表事項

日印「2+2」及び日印防衛相会談について

 日印「2+2」及び日印防衛相会談の実施についてでございます。諸般の事情が許せばということですが、8月20日火曜日に予定されている日印「2+2」(外務・防衛閣僚会合)及び日印防衛相会談の実施のためインドを訪問いたします。
 インドとの「2+2」及び防衛相会談は、2022年9月に東京で実施して以来、いずれも約2年ぶりとなります。我が国とインドは、民主主義や法の支配などの基本的価値や戦略的利益を共有しており、インドは、「自由で開かれたインド太平洋」を実現する上で極めて重要なパートナーであります。
 今回の会談では、地域情勢について両国の認識を共有するとともに、日印間の安全保障・防衛協力の更なる進展に向けて、部隊間交流や防衛装備・技術協力等に関する具体的な議論を行う予定であります。

記者との質疑応答

調査チームのイスラエル周辺国への派遣報道について

記者 :中東情勢の緊張が高まっている中、防衛省が近く、調査チームをイスラエルの周辺国に派遣するとの一部報道があります。事実関係と防衛省の今後の対応について教えてください。

大臣 :報道は承知をしております。政府全体としまして、中東情勢を注視しつつ、高い緊張感をもって邦人の安全確保に万全を期しているところであります。防衛省・自衛隊としても、引き続き、外務省をはじめとする関係省庁と緊密に連携をしつつ、情勢の推移に応じて適切に対応してまいる考えですが、詳細については、自衛隊の運用に関することでもあり、お答えは差し控えたいと存じます。
 いずれにしましても、現地の情勢については重大な関心と懸念を持って注視し、適切に対応していく所存です。

憲法への自衛隊の明記について

記者 :憲法への自衛隊の明記について伺います。
 昨日、岸田総理大臣は、自民党の憲法改正実現本部に出席して、憲法への自衛隊の明記について、今月中に論点整理を行うよう指示しました。これについて、大臣の受け止めと、憲法への自衛隊の明記についての大臣御自身のお考えをお聞かせください。よろしくお願いいたします。

大臣 :自民党で憲法改正の議論がなされているということは承知をしております。そもそも憲法改正というのは、国会が発議をして、そして、最終的には国民投票によって、国民の皆様方が決めるものという認識であります。党での議論に対して、今この場、防衛大臣記者会見という場でですね、コメントするということは差し控えたいと思います。
 岸田総理ですが、岸田総理は、党の役職をお持ちです。自由民主党総裁という、そういう立場で国家の根幹を規定する基本法である憲法につきまして、時代の要請に応えて改正を考える機会を国民に提起することは政治の責任であると、そうした考えを示されているものというふうに承知をしております。

防衛関連企業等への自社点検と報告などの依頼について

記者 :海上自衛隊の潜水艦乗組員らに対する川崎重工業の金品提供などについて伺います。
 防衛省が三菱重工業とジャパンマリンユナイテッドに対して、両者のコンプライアンス担当部門による自社点検と報告を期限を定めて求める方針だとの一部報道がありました。また、潜水艦の製造・修理以外でも、防衛産業企業に下請け業者との間で架空取引がないか、点検・報告を求めるとの報道もあります。これらの事実関係について教えてください。

大臣 :本年4月の川崎重工業株式会社と潜水艦修理契約に関しまして、隊員の規律違反であるとか、または架空取引等に伴う過払いの疑いというものが生じたことを契機として、現在、同社以外の企業との潜水艦修理契約を含め特別防衛監察を実施しているところであります。
 他方、防衛省としては、防衛力を抜本的に強化するため必要な経費の確保に努めている中で、国民の皆様からの疑惑や不信を招くような行為があってはならないとの強い問題意識を持っているところであります。
 このため、潜水艦修理に関わる企業はもちろんのこと、それ以外で防衛省との契約関係にある防衛関連企業に対しても、取引先企業との間で架空取引が行われていないか等について本社のコンプライアンス部門の協力を要請し、自社点検を依頼することといたしました。
 本件についてはですね、間もなく公表いたします。この会見の後に公表しますので、詳しくは防衛装備庁の方から説明があると思いますので、その際にお尋ねいただけたらと思います。

特別防衛監察の中間報告の公表時期

記者 :先週、国会での閉会中審査で大臣は、特別防衛監察の中間報告と公表を検討すると答弁されていたと思います。
 川崎重工業側の、年内をめどに調査結果の公表をするというふうに言っていますが、今回のこの特別防衛監察の方の中間報告の公表時期はいつを念頭に置かれているのか、例えば川重と同じ時期を想定しているかなど、もしあれば教えていただければと思います。

大臣 :私が指示をした特別防衛監察を今行っております。そして、監察結果についてはですね、一定の調査に要する時間はかかるものと承知しております。つまり調査を要する事項というのは非常に多岐にわたっているということ、また、監察の適正な実施を確保するという観点からですね、ここは一定の時間を要するということはやむを得ないことだと思っております。
 監察結果の公表については、監察終了時点で公表するということはもちろんですが、中間的な報告をですね、するかどうかについて、私も検討するということを言っております。監察の進捗状況などを踏まえないといけないと思います。速やかに済むようであればですね、最初から最終公表とするかもしれないし、時間があり、思ったよりもかかるということであればですね、そういった中間的な報告も必要だというふうに考えますし、そういったことは進捗状況等を踏まえて検討していきたいというふうに思っております。

佐世保のドローン飛行、違法ドローン飛行について

記者 :違法のドローンの飛行についてお尋ねします。
 先月の26日、佐世保にある海上自衛隊やアメリカ海軍の施設上空をドローンが飛行しているのを一般の方が目撃しました。佐世保のアメリカ海軍は取材に対しドローンが飛行していたと認めていますが、防衛省は把握されていますでしょうか。また、自衛隊や米軍の施設上空を飛ぶ違法ドローンの目撃情報が他にも複数あります。
 大臣は、「いずも」の事案の際、厳正かつ速やかな対処を徹底するとおっしゃっていましたが、現状、違法ドローンに対する抑止力が効いていない状態にも見えます。「いずも」の事案以降、防衛省としてどのような対策をとっていらっしゃいますでしょうか。

大臣 :今いくつか個別の事案をですね、御指摘いただきましたが、個別のドローン、それぞれのドローンを認知していたかということをですね、一つ一つお答えすると、基地警備に係る我が方の能力が明らかになってしまうということ、そして、基地への侵入者等を利することにもつながりかねないということもあって、一つ一つに対してですね、御指摘の飛行の有無も含めてお答えは差し控えます。
 その上で、防衛省・自衛隊としては、先般の護衛艦「いずも」を空撮したとする映像の分析結果、これを契機としまして、改めて徹底したドローン対処の重要性を認識したところであり、基地警備能力を強化するために、電波妨害による違法ドローンの強制着陸といった、あくまでも法令の範囲内での厳正かつ速やかな対処の徹底、そして、より能力の高いドローン対処器材の早期導入、そういったことを今進めております。
 昨今、ドローンの普及が急速に進んでおりまして、関連技術も合わせて急速に発展しつつあります。防衛省・自衛隊としては、こうした傾向を的確に対応できるように、基地警備能力等を高める不断の努力を続けてまいる所存です。

記者 :個別のドローンに関しての一つ一つには答えられないということだったのですが、複数の目撃事例がありまして、どのドローンが把握されていないということは難しいと思うのですが、佐世保上空を複数のドローンが飛行しているということに対しては、把握の方はいかがでしょうか。

大臣 :佐世保の基地という特定の施設、そして米軍も所在しているところですので、その点について私どもがどの程度状況を把握しているかというのは差し控えさせていただきます。

地位協定の改定、在り方について

記者 :沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落して13日で20年が経ちますけれども、この間、日米でガイドラインを策定するなどしてですね、いろいろ現時点の対応というのは、いろいろ調整はしてきたところではあるんですが、地位協定をめぐっては依然課題が指摘されているという現状を踏まえてですね、この地位協定の改定とか在り方について大臣の考えをお尋ねできたらと思います。

大臣 :日米地位協定についての御質問ですが、そのような様々な御意見があるということは承知をしているところです。日米地位協定は、合意議事録等を含んだ法的な枠組みでありまして、これまで、手当てすべき事項の性格に応じまして、効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じて、一つ一つの具体的な問題に対応してまいりました。
 例えば、米軍機による事故への対応について申し上げると、令和元年7月には、米軍施設・区域外での合衆国軍用航空機事故に関するガイドラインを改正し、事故現場の規制を日米両当局が共同で行い、迅速かつ的確な対応を行うことができるようにいたしました。また、遡って平成27年9月には、日米地位協定の環境補足協定を締結し、環境基準や立入りについて、法的拘束力のある国際約束という形式で規定を設けています。
 今後もそういった取組をですね、一つ一つ具体的な問題に応じて着実に積み上げていく、そういう考えであります。

終戦記念日にあたり大臣の靖国参拝などについて

記者 :終戦の日がですね、79年目の終戦の日が近づいてまいりましたが、大臣は当日やまた前後にですね、靖国神社に参拝されたり、あとは玉串料を納めたりといった、そういった御予定はありますでしょうか。

大臣 :国の内外を問わず、国のために尊い命を犠牲にされた皆様方に対しまして、哀悼の誠を捧げ、尊崇の念を表すということは、これは当然のことだと考えています。私の今後の参拝につきましては、個人として適切に判断してまいります。

自主点検を依頼する防衛関連企業数や公表のタイミングなどについて

記者 :先ほど大臣が、防衛産業企業が架空取引をしていないか点検するということをおっしゃいましたので、その件についてお伺いします。自主点検を依頼する防衛産業企業というのは、何社くらいなのか教えてください。

大臣 :先ほど申し上げましたように、間もなく正式に公表しますので、防衛装備庁に詳細はお尋ねいただけたらと思いますが、本自社点検の依頼というのは、原価計算方式を採用する防衛関連企業ということですから、約100社程度が対象になるというふうに私は聞いております。詳しくは、また後ほどお尋ねいただけたらと思います。

記者 :関連しまして、自社点検ということなんですけれども、防衛省は点検には関与はされるのでしょうか。

大臣 :今回の自社点検は、防衛省との間で契約関係がある防衛関連企業に対して行われます。取引先企業との間で架空取引が行われていないか、また、それを防止する体制・対策が採られているか、あるいは防衛省との契約において請求する経費の中で、自衛隊員に対する金品の提供や供応接待が行われていないか、またそれを防止する対策が採られているかなどについて、各企業の本社にはコンプライアンス部門というのがありますので、そこの協力を要請して、自社点検を依頼するということになります。

記者 :自社点検ということになりますと、身内による点検ということになりますが、点検の信頼性といいますか、信ぴょう性といいますか、その辺はどのように大臣はお考えでしょうか。

大臣 :今回は、自社点検を依頼するわけですが、私どもとしてはですね、期限を区切ってしっかりと対応していただくようにお願いしようと思っております。ちなみに報告期限は9月20日にいたします。防衛関連企業に対して、依頼といいながらですね、期限を設けたということにもなります。
 そして、今般の自社点検については、特別防衛監察及び防衛装備庁による調査の材料としまして、活用をするところであります。そして、今回の自社点検の実施に当たっては、各社それぞれ大手企業が多いわけですが、それ以外のところももちろんありますが、コンプライアンス部門というのは、私は信頼でき得るものというふうに考えておりまして、一定の信頼性を担保できるという、そういう認識を私は持っているところであります。

記者 :今回、公表がこのタイミングになった、この理由というのをお尋ねしたいと思っているのですが、先般、川重の方で記者会見とかがあったりとかで、そういうことを踏まえたことなのか、あるいは別の理由があるのか、そのあたりお尋ねできたらと思います。

大臣 :正に、特別防衛監察等をまずは私が指示をし、そして、それを並行して進めていく中で、このタイミングになったというのは、私は適切なタイミングであったと思っております。
 7月5日に私がまず指示をいたしまして、潜水艦修理契約に係る特別防衛監察が開始をされました。防衛装備庁としては、潜水艦修理部門に限らない他の防衛関連企業に対しても、国民の疑惑や不信を招く行為はあってはならないという、そういう考えであります。
 これらの防衛関連企業に対して、取引先企業との間で架空取引が行われていないか等を確認するために、今般、自社点検というのはこのタイミングで実施を依頼するということになったわけであります。

記者 :企業の公開する信頼性が高いという話だったんですけれども、仮にその自主点検の後にですね、例えば国税による税務調査によって架空取引が明らかになった場合などの、何らかのペナルティを設けるお考えというのはあるのでしょうか。

大臣 :まずは、今回の自社点検については、先ほど申し上げましたけれども、報告期限を設けさせていただいております。そして、一定の信頼性のあるですね、コンプライアンス部門とのやり取りをさせていただいているところであります。
 もちろん、まだこれから内容がどういったものが出てくるかということにもよりますし、またその出てきた内容にもよるかと思いますが、それは、ですから今、御質問に答えるとすると、これから出てくるであろう、もしくは出てこないかもしれませんが、その事実関係に基づいて我々が対応を考えていく、場合によっては厳正に対処することがあり得るというふうに思っております。

墜落した海自SH-60Kの引揚げについて

記者 :海上自衛隊のSH-60K、2機が深海で見つかった件ですけれども、こちらの方、引揚げの可否の検討状況についてはどのようになっているのでしょうか。あわせて、可否の判断をする時期のめどというのは何かあるのでしょうか、教えてください。

大臣 :先般、この件についてはピンナップもさせていただいておりまして、衝突現場付近の海底で発見に至った2機の機体引揚げについてですね、その可否を含めて、引揚げ能力を有する可能性のある企業間との間で検討・調整中であります。その点御理解をいただいた上でですね、今後、今そういった特殊な能力のある装備になりますので、契約等もありますから、それをその現場に持っていくまでの時間などもあると思います。それと、運用の仕方等々、現在調整中ということですので、またこの件については、進展があればですね、速やかに公表させていただきたいと存じます。

(以上)

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