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シナイ半島国際平和協力業務、派遣期間の1年延長が決定(11月5日)

  • 日本の防衛

2024-11-8 11:31

 防衛省は令和6(2024)年11月5日(火)10時30分、国連平和維持活動に対する協力として2019年4月から行っているシナイ半島における国際平和協力業務について、実施計画を変更し、派遣期間を1年延長することを閣議決定し、発表した。

 これに併せて閣議資料が報道に公開されたので、そのうち実施状況の資料をここに掲載する。

シナイ半島国際平和協力業務実施計画の変更について

 標記については、本日(5日)の閣議において決定されました。概要は下記のとおりです。

1 趣旨

 我が国は、平成31年(2019年)4月から、多国籍部隊・監視団(MFO)に司令部要員として自衛官を派遣しており、現在、陸上自衛官4名が、エジプト・シナイ半島南部シャルム・エル・シェイクに所在するMFO司令部において、MFOの停戦監視活動の実施に関するエジプト・イスラエルとの連絡調整や施設整備に関する業務を行っています。
(参考)MFOは、1979年のエジプト・イスラエル平和条約及び1981年の同平和条約の議定書に基づき設立された国際機関。1982年よりシナイ半島で停戦監視活動、対話・信頼醸成の促進支援等を実施。

 MFOへの司令部要員の派遣は、我が国の平和と繁栄の土台である中東の平和と安定に資するものであり、また、他の要員派遣国との連携を促進し、人材育成の機会の確保等にもなるとの意義があります。
 上記の意義等を踏まえ、本日の閣議において、シナイ半島国際平和協力業務実施計画を変更し、以下のとおり派遣期間を1年間延長することが決定されました。
 なお、国際平和協力法第7条第1号及び同条第3号の規定に基づき、変更に関する実施計画の内容及び変更前の期間における実施の状況について、本日、国会に報告いたします。

2 変更内容

派遣期間の延長
・現行実施計画の派遣期間:令和6年11月30日まで
・延長後の派遣期間:令和7年11月30日まで(1年間の延長)
(以上)

シナイ半島国際平和協力業務の実施の状況(令和6年11月)

 この報告は、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成4年法律第79号)第7条の規定に基づき、国会に報告するものである。

1 経緯

 1973年の第4次中東戦争の後、1978年9月、エジプト・アラブ共和国とイスラエル国は、アメリカ合衆国の仲介により、「キャンプ・デービッドにおいて合意をみた中東における平和の枠組」及び「エジプト・イスラエル平和条約締結のための枠組」に署名し、1979年3月26日には、「エジプト・アラブ共和国及びイスラエル国との間の平和条約」(以下「平和条約」という。)が締結された。
 これを受け、関係各国は、平和条約に基づく国際連合の部隊及び監視団の派遣について、国際連合安全保障理事会(以下「安保理」という。)の合意を取り付けるべく働きかけを行ったが、1981年5月の安保理議長からの合意不成立の通告を踏まえ、同年8月3日、紛争当事者であるエジプト・アラブ共和国とイスラエル国は、アメリカ合衆国の仲介により、多国籍部隊・監視団(以下「MFO」という。)設立の根拠となる「エジプト・アラブ共和国とイスラエル国との間の平和条約の議定書」に署名し、平和条約に定められた国際連合の部隊及び監視団の任務及び責任を代替する機関としてMFOが設立された。
 MFOは、1982年の活動開始以来、エジプト・アラブ共和国とイスラエル国との間の対話や信頼醸成の促進を支援することにより、我が国の「平和と繁栄の土台」である中東の平和と安定に貢献してきた。また、我が国は、中東における我が国の果たす役割への期待が高まってきた中、1988年度に初めてMFOへの財政支援を実施し、それ以来、MFOへの財政貢献を行ってきたところである。
 このような財政支援を通じた中東の平和と安定への我が国の貢献についてMFOから高い評価がなされ、MFOから我が国に対し、要員の派遣について要請があり、また、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成4年法律第79号。以下「国際平和協力法」という。)第3条第2号イに規定する武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意、受入れ国及び紛争当事者の国際連携平和安全活動への同意並びに当該活動の中立性という点に関しては、MFOについてそれぞれが満たされており、さらに、国際平和協力法第6条第1項第2号に規定する我が国の国際平和協力業務の実施についての紛争当事者及び受入れ国の同意についてはいずれも得られていた。
 これらを踏まえ、我が国としても、世界の平和と安定のために一層の責務を果たしていくに当たり、中東地域の平和と安定への貢献を通じたMFOによる国際平和のための努力に対し人的な協力を積極的に果たしていくため、この要請に応分の協力を行うこととした。このため、平成31年4月2日、「シナイ半島国際平和協力業務の実施について」、「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成31年政令第147号)」及び「シナイ半島国際平和協力隊の設置等に関する政令(平成31年政令第148号)」の閣議決定を行い、同月5日にシナイ半島国際平和協力隊を設置した。
 我が国は、以上の経緯をもって、司令部要員によりMFO司令部業務分野における国際平和協力業務を実施した。さらに、連絡調整要員を併せて現地に派遣し、我が国のMFOに対する協力を円滑かつ効果的に行うための連絡調整の分野における国際平和協力業務を実施した。

2 シナイ半島国際平和協力業務の実施の状況に関する事項

 MFOは、その本部をイタリア共和国の首都ローマに置き、2024年8月末現在、15か国から派遣された軍事要員は1,166名である。
 我が国からは、国際平和協力本部による研修を経て、司令部要員及び連絡調整要員が、それぞれ、現地に派遣された。

(1)司令部業務の概要
 我が国からは、国際平和協力本部による研修を経て、平成31年4月26日以降、6次にわたり、4次までは各2名の司令部要員が、5次からは4名の司令部要員が、約1年間の任期で現地に派遣された。これらの司令部要員は、MFOの司令部要員の一員として、MFOの停戦監視活動の実施に関するエジプト・アラブ共和国及びイスラエル国との連絡調整やこれに係る中長期の活動方針の作成、領空通過・滑走路使用許可取得に係る調整、エジプト・イスラエル両国の軍事当局間の対話・信頼醸成の促進支援に関する業務等に加え、老朽化した施設の更新や新設をより計画的に行うための業務をそれぞれ実施した。

(2)連絡調整業務の概要
 内閣府から派遣された連絡調整要員は、我が国のMFOに対する協力を円滑かつ効果的に行うため、国際平和協力本部による研修を経て、平成31年4月24日以降、逐次、業務に従事した。要員は、カイロに1名配置され、派遣先国政府当局その他の関係機関と司令部要員との連絡調整業務を行った。

参考1 資料出典:防衛省
参考2「MFO(多国籍部隊・監視団)我が国要員の配置状況」 資料出典:防衛省

(以上)

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