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ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動の1年延長が決定(11月5日)

  • 日本の防衛

2024-11-8 11:17

 防衛省は令和6(2024)年11月5日(火)10時30分、ソマリア沖・アデン湾において行っている海賊対処行動について、その期間を1年延長することを閣議決定し、発表した。

派遣海賊対処行動水上部隊(DSPE)写真:統合幕僚監部
派遣海賊対処行動航空隊(DAPE)写真:統合幕僚監部
派遣海賊対処行動支援隊(DGPE)写真:統合幕僚監部

 また、これに併せて防衛省・自衛隊の公式サイトでは、「内閣総理大臣承認等」として2本のPDF資料(「海賊対処行動に係る内閣総理大臣の承認について」「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律に基づく海賊対処行動について」)が発表された。両者はほとんど同じ内容なので、一方をこちらに掲載する。

海賊対処行動の継続について

 標記について、本日の閣議で決定されましたので、以下のとおりお知らせいたします。

1 趣旨

 ソマリア沖・アデン湾における海賊等事案の発生件数については、平成21年から平成23年まで年間200件以上発生していましたが、自衛隊を含む各国部隊による海賊対処活動をはじめとした国際社会の継続的な取組により、現在、低い水準で推移しています。
 しかし、海賊を生み出す根本的な原因であるソマリア国内の貧困等は未だ解決しておらず、状況には依然として変化が見られません。
 また、各国部隊も引き続きソマリア沖・アデン湾における海賊対処活動を実施しており、我が国としても、極めて重要な海上交通路であるソマリア沖・アデン湾における航行の安全確保に万全を期し、国際協調主義に基づき、国際社会の平和と安定に引き続き貢献していくことが重要です。
 このような状況を踏まえ、新たな海賊対処要項を作成し、海賊対処行動を1年間継続することとしました。

2 現行の海賊対処要項からの変更点

 海賊対処行動を命ずる期間を「令和5年11月20日から令和6年11月19日までの間」から「令和6年11月20日から令和7年11月19日までの間」とします。

(以上)

海賊対処行動に係る内閣総理大臣の承認について(令和6年11月5日 閣議決定)

 内閣総理大臣は、海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(平成21年法律第55号)第7条第1項の規定に基づき、同条第2項に規定する対処要項(別紙)を付して防衛大臣から承認を求められた海賊対処行動について、これを承認する。

(別紙)

海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律に基づく海賊対処行動に関する対処要項

1 海賊対処行動の必要性

 ソマリア沖・アデン湾は、我が国及び国際社会にとって、欧州や中東から東アジアを結ぶ極めて重要な海上交通路に当たる。当該海域における重火器で武装した海賊による事案の多発・急増に鑑み、平成21年7月24日から海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(平成21年法律第55号。以下「海賊対処法」という。)第7条第1項の規定による海賊対処行動により、自衛隊の部隊を派遣し、ソマリア沖・アデン湾において、海賊行為に対処するために必要な行動を実施してきた。
 現在、ソマリア沖・アデン湾における海賊による事案の発生件数は低い水準で推移しており、これには自衛隊を含む各国部隊による海賊対処活動、船舶の自衛措置、民間武装警備員による乗船警備等が大きく寄与している。自衛隊の護衛活動については、直接護衛の申請件数は減少しているものの海賊行為に脆弱な船舶からの護衛の要望は継続しており、海賊を生み出す根本的な原因はいまだ解決しておらず、海賊による脅威が引き続き存在していることから、海賊行為に対処しなければならない状況には依然として変化が見られない。
 また、海上保安庁がソマリア沖・アデン湾における海賊行為に対処することが困難であることについては、国土交通大臣から別添のとおり判断が示されたところである。
 このため、引き続き海賊行為に対処するため特別の必要があると認められることから、海賊対処法第7条第1項の規定による海賊対処行動により、自衛隊の部隊を派遣し、ソマリア沖・アデン湾において、海賊行為に対処するために必要な行動を継続することとする。

2 海賊対処行動を行う海上の区域

 自衛隊が海賊行為への対処を行う海上の区域は、ソマリア沖・アデン湾とする。

3 海賊対処行動を命ずる自衛隊の部隊の規模及び構成並びに装備並びに期間

(1)規模及び構成
 ア 海賊行為への対処を護衛艦により行うための部隊(人員約200名。ただし、部隊の交替を行う場合は約400名)
 イ 海賊行為への対処を航空機により行うためジブチを拠点とする部隊(人員約60名。ただし、部隊の交替を行う場合は約110名)及び必要に応じ人員や整備機材等の航空輸送を本邦と当該拠点との間で実施するための部隊(人員約130名)
 ウ ア及びイに規定する部隊が海賊行為への対処を行うために必要な業務を行うための部隊(人員約130名。ただし、部隊の交替を行う場合は約260名)
 エ 自衛隊が海賊対処行動を的確かつ効果的に行うため、次に掲げる部隊及び関係諸機関と第151連合任務群司令部との連絡調整を行うための部隊(人員15名以内)
 (ア)ア及びイに規定する部隊
 (イ)第151連合任務群に参加する諸外国の軍隊その他の関係諸機関
 オ 自衛隊が海賊対処行動を的確かつ効果的に行うため、次に掲げる部隊及び関係諸機関と連合海上部隊司令部との連絡調整を行うための部隊(人員2名以内。ただし、部隊の交替を行う場合は4名以内)
 (ア)第151連合任務群司令部
 (イ)ア及びイに規定する部隊
 (ウ)第151連合任務群に参加する諸外国の軍隊その他の関係諸機関

(2)装備
 ア 艦船
  護衛艦1隻(ただし、部隊の交替を行う場合は護衛艦2隻)
 イ 航空機
 (ア)固定翼哨戒機P-3C 1機(ただし、航空機の交替を行う場合は固定翼哨戒機P-3C 2機)
 (イ)必要に応じ輸送機C-130Hその他の輸送に適した航空機3機以内
 ウ その他
  自衛隊員の健康及び安全の確保、自衛隊の装備品等の警護並びに海賊行為への対処に必要な装備(ア及びイに掲げるものを除く。)

(3)期間
 令和6年11月20日から令和7年11月19日までの間

4 その他海賊対処行動に関する重要事項

(1)自衛隊は、2に規定する区域における諸外国の活動の全般的状況、現地の海賊の状況等に関する情報その他の海賊対処行動の実施に必要な情報に関し、関係行政機関と相互に密接に連絡をとるものとする。

(2)自衛隊が本海賊対処行動を行うに当たって、海上保安官は、護衛艦に同乗し、必要となる司法警察活動を行うものとする。

(3)自衛隊は、海賊対処行動を的確かつ効果的に行うため、海賊行為への対処を行う諸外国の軍隊その他の関係諸機関と必要な協力を行うものとする。

(別添)

 我が国においては、海賊行為への対処は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持について第一義的責務を有する海上保安庁の任務であるが、ソマリア沖・アデン湾の海賊対策として、海上保安庁の巡視船を派遣することは、①我が国からソマリア沖までの距離が約6,500海里離れていること、②ソマリア沖の海賊がロケットランチャー等の重火器で武装していること、③海上保安庁が諸外国の海軍軍艦との連携行動の実績がないこと等を総合的に勘案すると、現状においては、困難である。

(以上)

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