中谷防衛大臣が記者会見 自衛官の処遇、海自の無人機未契約問題などに言及
- 日本の防衛
2024-11-12 09:15
令和6(2024)年11月8日(金)11時34分~11時52分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、防衛省A棟第1省議室において閣議後会見を行った。
大臣からの発表事項はなく、以下のとおり質疑応答のみが行われた。
質疑応答
アメリカの大統領選について
記者 :アメリカの大統領選についてお伺いします。5日のアメリカの大統領選でトランプ氏が勝利しました。トランプ氏は一期目と同様、北朝鮮との交渉を進める可能性が指摘されていますが、その場合、現在進展している日米韓の防衛協力の足並みが乱れる懸念はないでしょうか、お考えをお聞かせください。
大臣 :地域の安全保障環境が厳しさと複雑さを増している中ですね、日米、そして日米韓の連携の重要性は一層高まっているというふうに認識をいたしております。昨日はですね、視察におきまして、横須賀を訪問いたしましたけれども、その中でちょうど韓国の海軍の揚陸艦「マラド」が寄港しておりまして、艦内の視察や、また乗組員との交流、そして歓迎式にも臨んだわけでございますが、海上自衛隊とは共同訓練も実施をしておりまして、このような部隊レベルでのですね、相互信頼の強化というのは非常に重要なものだと考えております。
したがいまして、防衛省としましても、こうした認識を踏まえてですね、次期政権におきましても、強固な信頼関係、そして協力関係、これを構築をしまして、今後とも日米同盟の抑止力・対処力、これを一層強化をしていくとともに、引き続き、日米・日米韓の連携を深化させていく考えであります。
豪政府が導入計画中の海軍の新型艦について
記者 :別件で伺います。オーストラリア政府が導入を計画する海軍の新型艦について、共同開発国の候補を4か国の中から日本とドイツに絞り込んだと、オーストラリアメディアが伝えました。この受け止めと、今後どのように対応していくお考えかお聞かせください。
大臣 :御指摘の報道は承知をいたしておりますが、オーストラリア政府から何らかの発表がされたとは承知をしておりません。 今年2月にオーストラリア政府が次期汎用フリゲートの候補の1つに海上自衛隊の「もがみ」型の護衛艦を挙げておりまして、以降、我が国としては必要に応じてオーストラリアに対して情報提供、これを行っております。その上で、今回の豪州の計画に関しましては、現時点において、政府として決定した方針はなく、今後の対応につきましては、予断を持ってお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。
防衛費と防衛力整備計画について
記者 :防衛費に関して2点お伺いします。岸田政権のときは、衆参両院の選挙の時、防衛費をGDP2%にするということを公約に掲げておられましたけれども、今回の選挙ではそれが無かったと思いますが、その理由はなぜなのか。
そして、その2%を下げるというような考えはあるのか、あるいは今の防衛力整備計画も見直しをするようなことがあるのか。それから財源に関して、特に具体的な話が無いかと思うんですけれども、例えば、ふるさと納税を廃止する、そうすると今の建設国債で出ている5,500億円ぐらいが賄えていたと思うんですけれども、そういう議論が政府内あるいは党内で行われているのか、その辺いかがでしょうか。
大臣 :選挙戦での公約というのは、それぞれの政党でですね、決められるものでありますので、政府としては、それについてお答えをするような立場ではありません。いずれにしましても、防衛省としては、防衛力整備計画において5年間で43兆円程度という金額の範囲内でですね、必要な防衛力の強化をしっかり行っていくという考えでありますので、この金額を変更したり超過をするというようなことは、現時点では考えていないということです。
記者 :財源の方の先ほどの件なんですけれども、それはどうなんでしょう。
大臣 :それも税制の話でありますが、税制措置につきましては、自民党も税調が設けられて協議をされているようでありますが、与党のですね、税調の議論を踏まえまして、最終的に決定されるものではないかなというふうに思います。
自衛官の処遇について
記者 :自衛官の処遇等をめぐる関係閣僚会議の関連でお伺いします。大臣、これまで横田基地や横須賀基地への視察などの際、就任されてからこれまでですね、実際に現場で任務に当たっている隊員や自衛官の生活環境や勤務環境について意見を聞くなどの機会があったのかどうか、あったとすればどのような意見を交わされてきたのかという点を教えてください。そういった機会これまでなかったとすればですね、政府は年末までに方向性のとりまとめを行うということですが、今後、そういった現場の隊員の方々と大臣が直接意見交換などを行う予定や考えなどありますでしょうか。教えてください。
大臣 :これまで横田基地と横須賀基地を訪問したわけでありますけれども、その視察の目的といたしまして、現実に実際の隊員等の処遇とかがどういった状況で捉えられているかという点と、それから最前線で任務を遂行している隊員の方々がですね、高い緊張感の下に任務に精励をしているという姿をですね、直接目にしたことがありました。
その中で、隊員さんとの生活・勤務環境も含めて、様々な内容の意見交換をいたしました。現実に横須賀においても、勤務をしている隊員からですね、何か希望はないかとか、困ったことはないかというような質問をさせていただきましたけれども、例えば、Wi-Fiを整備してもらいたいとか、それから、個室化ですね、そういうことは考えられないかとか。あとは、一番多かったのは食事ですね、食事は非常に大事であるというような点で、これについては御意見として承りましたので、また原課でですね、これから、そういう声があったということは伝えて検討していくというふうに思っております。
しかし、非常に今任務が多様化をしてきておりますので、様々な任務に集中できるようにですね、それと、やはり自衛官としての名誉と誇り、これを持ちながら働いていく環境を作っていくということでありますので、そういう中で生活・勤務環境の改善というのは、大変重要なことであると認識しております。
今日も官邸におきまして各省の関係閣僚会議が開かれました。各省から御意見を頂きましたけれども、こういった現場の声とですね、政府でのそれぞれの現実の対応等も調整しながら隊員の生活環境、勤務環境の改善にスピード感をもって取り組んでいきたいと思います。
北朝鮮の弾道ミサイルについて
記者 :北朝鮮の弾道ミサイルについて伺います。今週5日に発射された弾道ミサイルの種類などについて、最新の分析状況を教えてください。また、これまでに発射されたミサイルと比較した時に、どのようなことが言えるのかといったことや、北朝鮮が今年、短距離ミサイルを何度も発射している、そういった傾向についてはなぜだと分析されているのかについてもよろしくお願いいたします。
大臣 :5日の7時頃、北朝鮮の西岸付近から複数発の短距離弾道ミサイルを発射したと、そして落下をしたのはいずれも朝鮮半島の東岸付近の日本海であって、我が国のEEZ外であったと推定をしております。また、発射された弾道ミサイルのうち、少なくとも7発、これは最高高度が約100km程度、そして約400km程度飛翔したものと推定をしているということで、その発表をいたしましたけれども、これ以上の更なる詳細につきましては、引き続き日米韓で緊密に連携をして分析を行っているところでございます。
そういう中で、複数発の弾道ミサイルにつきましては、これまでも、複数発の同時発射、また極めて短い間隔での連続発射など、様々な形で弾道ミサイルを発射してきておりまして、こうした発射を通じて、ミサイル関連の技術のみならず、実戦的なミサイル運用能力の向上を追求をしているというふうにみられております。そして、今回の発射そのものも、その一環であったという可能性が考えられるということでございます。
北朝鮮にどのような狙いがあるにせよですね、北朝鮮による核・ミサイル開発は、我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものでありまして、断じて容認できるものではないということでありますので、引き続き、米国、韓国等とも緊密に連携をしながら必要な情報の収集・分析に努めるとともに、警戒監視に万全を挙げてまいりたいと考えております。
海自の無人機3機が予定を過ぎても未契約の問題について
記者 :会計検査院の報告によると、前中期防で3機買うはずだった海自の艦載型の無人機が生産が中止になってしまって買えなかったということが指摘されておりますが、これですね、大臣、防衛省・自衛隊の装備調達が非常にスローモードだからではないでしょうか。
しかも、過去にアパッチを買う時に結局途中でボーイングの生産が無くなってしまって、生産が中止になってしまったことがあり、尚且つ東日本大震災の後に新しい無人機を陸自で買おうということがあって、スキャンイーグルを決めるまでに、これ9年くらいかかってるんですね。尚且つ、今調達されているカールグスタフっていうM3、これももう生産が終わるにもかかわらず、M3を買ってきて、今年からM4に変わったということもございますが、全体的に防衛省・自衛隊の装備調達に至るまでのタイムラインがすごく長すぎるんじゃないか、意思決定が遅いんじゃないかと思いますが、大臣いかがお考えでしょうか。
大臣 :今回の会計検査の指摘につきましては、厳粛に受け止めましてですね、その内容を精査してまいりたいと思います。
御指摘の中期防の中で海上自衛隊の艦載機型の無人機3機ですね、これの件につきましては、まず、広い我が国周辺の海域における常続の監視態勢、これを強化をして、現有の有人ヘリコプター、これのパイロットの負担を軽減をするというために、その代替としての艦載機、無人機を導入することとしておりました。
他方、この中期防決定後にですね、装備品の選定に向けた検討を行うにあたりまして、海上自衛隊、これが求める要求性能、これを満たして、かつ製造の継続が見込まれる機体が当時存在をしなかったということでありまして、予算の計上に至らなかったということでございます。
当該の装備品を求める機能等につきましては現在検討中でありますので、防衛省・自衛隊としては、引き続き無人アセットの防御能力の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
記者 :無人機関係なんですけれども、最近の報道で、来年から5ギガヘルツ帯の無人機が運用できるようになったというふうに書いておりますが、これ、ということは今まで自衛隊でも、それはできなかったということになるかと思うんですが、以前、スキャンイーグル、これオリジナルは5ギガ帯を使うんですけれども、2.4ギガ帯にスペック・ダウンしているというふうにメーカーサイドの方から聞いていたんですが、防衛省ではそのような実態はないというようなお話を伺っでたんですけれど、これ実際どうなんでしょう。
大臣 :こういった装備の点につきましては、防衛力の整備計画の中でですね、無人機の項目がございます。これにつきましては、今真剣に防衛省で検討中でありますので、詳しくはまた事務方の方からですね、答えさせていただきます。
統一教会と安倍晋三元総理の関係について
記者 :統一教会と安倍晋三元総理の関係に関してお尋ねしたいんですけれども、文芸春秋によると、アメリカの国防省の報告書が出たということで、統一教会が4,000億円以上、北朝鮮にお金を出しているという話が報道されておりました。その統一教会と安倍晋三元総理、非常に仲が良かった、ただの運動員であるとか秘書官も、安倍派の人達は影響されていたというような話を聞いておりますが、であれば、そういう間接的とはいえ、北朝鮮、仮想敵である北朝鮮の核・ミサイル開発に自衛隊の最高指揮官が協力していたということにならないでしょうか。そしてこれは、防衛省の方では、実際はどうなのかというような調査というのは行う気はございますでしょうか。
大臣 :政治的な活動の件につきましてはですね、政府としても承知をいたしておりませんので、その点につきましては、お答えは控えさせていただきます。
訓練中の手りゅう弾の事故について
記者 :大臣、現役の時に使った手りゅう弾はどういうものを使われておりましたでしょうか。MK2でしょうか、それともM26だったんでしょうか。
大臣 :私、現役はもう昭和59年に退官をしておりますので、35年以上経っておりますが、当時使っていた手りゅう弾はそれだと思います。
記者 :それでですね、今年、非常に痛ましい訓練中の手りゅう弾の事故があったんですけれども、これはM26を使っていたんですが、現在、陸自ではですね、まだすごい古いMK2を使っている。これは、米軍は危険だということでベトナムの以後に廃棄してるんですけれども、非常に破片がイレギュラーに飛んでしまう、それを未だに使っているのは問題があるのではないかと。
米軍は、さらにもっと新しいものを使っているんですけれども、いつまでも古くて、しかも今、M26は調達もされていないということなんで、古いもの使っているという可能性が多いと思うんですけれども、これを見直す、もしくは、新しいものに代えるということはお考えでしょうか。
大臣 :訓練につきましては、その原因とですね、再発防止、また、改善を図っていると思います。御指摘のありましたMK2型の手りゅう弾につきましては、適切な安全管理措置を講じることで安全に使用可能であると考えているということでありますので、その上で、手りゅう弾の訓練等の使用状況、また、残りの保有数を踏まえつつですね、必要に応じて更新をしていくという報告を受けております。
記者 :M26は均等に破片が回るんですけれども、それがM2だとイレギュラーに飛んでしまうわけですね、単位が短かったり、長かったりするんで、それをどうコントロールするのか、普通、技術的には非常に困難かと思うんで新しいものを買った方が安いような気もするんですけれども、具体的にどうコントロールしているかということは、あとで陸幕から教えてもらえるんでしょうか。
大臣 :事故が発生したということは非常に重大なことでありまして、いろいろ検討はしておりますが、基本的には訓練のやり方が原因ではなかったかなというふうに思っております。また、詳しいことは、陸幕の方に聞いてください。
(以上)
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