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岩屋外務大臣が記者会見、核兵器禁止条約やシリア情勢などに言及(12月10日)

  • 日本の防衛

2024-12-12 13:45

 令和6(2024)年12月10日(火)17時28分から、岩屋 毅(いわや・たけし)外務大臣は外務省会見室において記者会見を行った。

 内容は、以下のとおり。

大臣からの発言

日米防衛相会談の実施について

岩屋外務大臣 :来日中の米国のオースティン国防長官は、本日、石破総理大臣への表敬を行うほか、私との間で日米防衛相会談を実施する予定であります。オースティン長官とは、私の着任以来ですね、G7、オーストラリアなど、これまで3度の防衛相会談を重ねておりまして、非常に緊密に意思疎通ができていることを嬉しく思います。
 4回目となります本日の会談を通じて、日米同盟を取り巻く安全保障環境、また同盟の抑止力・対処力の強化に向けた取組について、幅広く議論をする予定でございます。

第8回日・カリコム外相会合の開催

岩屋外務大臣 :冒頭、私(岩屋大臣)から一つ御報告がございます。
 12月14日カリブ共同体、カリコムといっておりますが、この14か国の外相を東京に招き、第8回目の日・カリコム外相会合を開催いたします。
 東京での開催は10年ぶりとなります。今回の会合では、日・カリブ交流年である本年の取組を総括するとともに、次の10年の指針をすり合わせたいと考えております。
 また、今回の会合では、ハイチ安定化を含む地域情勢や環境、気候変動といった、カリコム諸国が抱える課題に関する、日・カリコム間の新たな協力について議論をしたいと思います。さらに、共通の価値や原則に基づくグローバル・パートナーシップの下での連携について確認をする予定です。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。

記者との質疑応答

日本被団協のノーベル賞受賞、核兵器禁止条約へのオブザーバー参加

共同通信 阪口 :本日の夜ですね、被団協がノーベル平和賞授賞式に臨まれます。率直に、改めて受賞に関しての御所感をお尋ねいたします。それと、被団協は、核兵器廃絶を訴えておりまして、日本の政府の核兵器禁止条約に対する姿勢に対して「間違っている」と指摘していらっしゃったりします。公明党もオブザーバー参加に前向きであったり、石破総理も、総裁選中には真剣にオブザーバー参加について考えるというような御発言もあったと思いますけれども、政府として従来の姿勢を変更して、オブザーバー参加に舵を切る、そういった契機に今回なるんじゃないかと思いますが、その点についてどのようにお考えか、お尋ねいたします。

岩屋外務大臣 :まず、授賞式は今夜の日本時間の9時ぐらいだと思いますが、今回の御受賞は、長年にわたって、核兵器の廃絶、そして被爆の実相に対する理解促進に取り組んでこられた日本被団協の活動が、高く評価されたということだと思います。極めて意義深いことだと思いますし、改めて、心からの敬意を表し、また祝意を表したいと思います。
 その上で、核禁条約に対する対応についてですけれども、核兵器の最終的な廃絶を目指していくことは、唯一の被爆国である我が国の使命であると思っております。その考え方に全く変わりはございません。
 ただ、御案内のとおり、我が国は、戦後今、最も厳しいと言っていい安全保障環境の中にございます。核保有国に取り囲まれてもおります。そして、非常に残念なことながら、その核兵器というものは、質的にも量的にも、むしろ増強されているような状況にある、世界の中には、核の使用ということをほのめかすような、そういう国も出てきてしまっていると、そういう状況の中にあって、最終的な目標は、もちろん核の廃絶・核兵器禁止なのだけれども、やはり現下の状況に鑑みれば、核抑止ということも考えていかざるを得ないというのが、今の私どもの考え方でございます。
 核兵器禁止条約というのは、そういう意味で言うと、「核兵器のない世界」の最後の出口になる条約だと思っておりますが、ここに核兵器保有国は一国も参加していないと、したがって、何が現実的な取組かというのを考えたときに、我々はこれまでNPT体制をまず、しっかり堅固に、これを維持していかなければいけないと、そして、核保有国と非核保有国の間をつなぐ役割を、我が国は果たしていかなければいけないということで、活動を展開してきたわけでございます。
 したがって、仮にオブザーバー通して参加する前に、どういう立ち居振る舞い・言動というものがありうるのかということも含めて、今、仔細に検討してみているところでございます。
 「核の傘」の下にありながら、参加して発言しているドイツなどの例もあるわけでございますので、そこは予断することなく、そういった国々のこれまでの議論というものも、今、検討というか、検証しているところでございまして、これも対応については予断することなく、何が現実的で、何が実践的で、何が効果的かということを、引き続き、しっかり検証していきたいというふうに思っているところでございます。

シリア情勢

朝日新聞 里見 :シリアの情勢についてお尋ねしたいと思います。日本政府は、シリア危機において、これまで軍事的解決ではなくて、政治的解決をまず求めてきていました。昨日、9日の会見で、長官は、状況の改善につながる可能性があるというふうに述べておりますけれども、今回のこの反体制派のアサド政権の崩壊というのが、これまで軍事的な解決ではないという認識でよろしいのかということと、今後これ、どのような点が改善につながる可能性があるというふうにご覧になっているのかというのを、まずお尋ねできたらと思います。

岩屋外務大臣 :今般シリアで起こったことを、どういうふうに評価するかについてはちょっと置いておいて、官房長官が言われたように、状況の改善につながっていくことを、心から期待をしたいと思っております。我が国としては、引き続き、重大な関心をもって、このシリアの状況を注視していきたいと思います。一刻も早く暴力が完全に停止して、全てのシリア人の方々が、基本的人権や尊厳を享有し、自由と繁栄を享受できるようになると、そのことを強く望んでいるところでございます。
 それがためには、シリア情勢の政治的解決を目指す安保理決議がございます。安保理決議第2254号ですが、これを踏まえて、シリア国民の意思を最大限に尊重し、シリアの国民による対話を通じた包摂的な政治的な解決、国民和解、ひいては地域の平和と繁栄に向けての建設的な役割、そういうものを果たして行ってもらいたいというふうに期待しているところでございます。
 平和裏に政権委譲といいますか、新たな政権構築といいますか、そういうことが対話を通じて行われていくことを期待したいと思いますし、そういう展開であれば、我が国もシリア難民についても、これまでも、支援を行ってまいりましたので、復旧・復興という局面に至ったときにも、我が国としてできる支援をしっかりさせていただきたいと思っております。

朝日新聞 里見 :今のご回答の上でなんですけれども、この反体制派という、元々アルカイダにルーツがあるとも言われていて、その点について、先ほどの質問、ちょっと関連はするんですけれども、政府としてどのような見解を持たれているかというのをお尋ねできたらと思います。

岩屋外務大臣 :アルカイダに端を発して、したがって、テロ組織にいまだに認定されていることでありますが、情報がまだ十分でないんですけれども、報道で見る限りにおいては、比較的穏当な姿勢に見受けられるので、是非そうあってもらいたいと思っておりますし、先ほど申し上げたように平和裏に対話を通じて、政権移譲が行われることを期待したいと思います。

韓国情勢(今後の日韓関係)

読売新聞 植村 :昨日、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領への出国禁止が承認をされました。厳しい状況が続いていると思いますが今後、外務省として、韓国との外交だったり、関係継続、どのように取り組むかお伺いします。よろしくお願いします。

岩屋外務大臣 :これは、今日の予算委員会で、総理も答弁しておられましたけれども、現在、今なお、韓国内の政治状況は極めて流動的でございますので、引き続き、特段かつ重大な関心を持って、事態を注視していきたいと思っておりまして、この段階で何か評価することは控えたいと思います。
 その上で、韓国は、我が国にとって極めて重要な隣国であり、パートナーでございます。様々、現在の国際情勢に対して、日韓や日米韓という協力関係を通じて、お互いになし得ることがあると思っておりますので、その基本的な考え方にのっとって、韓国側とは、引き続き、緊密に意思疎通は行っていきたいと、その努力をしていきたいと思っております。

外務大臣の国会対応

産経新聞 原川 :国会審議と外交の関係についてお伺いしたいと思います。先週金曜日、土曜日(ママ)の衆参の予算委員会で大臣が何回答弁されたかというのを確認しておったところ、木曜日は0回、土曜日(ママ)は8回答弁されてたのですが、3回は政治資金に関する質問で、純粋に外交に関する答弁は5回、8回の質問の時間に要した時間4分38秒、私の計算では、そうしますと14時間、出られて大体13時間55分は答弁なさらずに座っておられる。これは非常に非効率ですし、今、これだけ中東情勢、ウクライナ情勢、露朝の軍事協力、韓国の国内情勢ある中で、外務大臣が出席しながらそこに質問が出ないってのは、本当に国会による外務大臣の無駄遣いと言えて、この状況を何とか変えた方がいいんじゃないかというのが、私の年来の問題意識なんですけれども、それを踏まえて質問します。ずっと座っている間、大臣は一体いかなるお気持ちで座ってらっしゃるのかというのと、国会と、その外交のあるべき姿、内閣の一員として、なかなか踏み込んだ発言はされにくいかもしれませんが、この際そこは度外視していただいて、本音の部分でお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

岩屋外務大臣 :御心配いただいてありがとうございます。正直、質問が少ないということについては、残念に思っておりますけれども、考えてみると、石破政権が本格的にスタートして初めての国会論戦ですので、質問者はできる限り、総理の考えを聞きたいと、外交案件といいますか、今おっしゃったように、国際情勢が流動化しているので、テーマはたくさんあると思いますし、実際に総理に対しては、そういう質問も、相次いでおりますので、ここはまずは総理に基本的な考え方を述べていただく場面なのかなと思いながら、そのやり取りを聞かせていただいているところでございます。
 やがて、外務委員会、あるいは参議院の外務の委員会も、スタートすると思いますので、そういう場面になれば、当然、外務大臣が正面に立ってお答えをさせていただかないといけない、あるいは議論をさせていただかないといけないということになろうと思いますので、今はじっと我慢の子でいたいと思っております。

日中関係(大臣の訪中)

China Daily 江
(以下は英語にて発言)
 チャイナ・ディリーのジャン・シュエチンです。
 岩屋大臣、先週東京で開催されたフォーラムの場で、(岩屋)大臣は、早期に中国を訪問して王毅(おう・き)外相と会談し、懸案事項を解消するとともに協力を拡大させたいとの意向を表明されました。では、この外相会談で何を期待するか、ご教示ください。

岩屋外務大臣 :先般の日中フォーラムが非常に盛会で、何よりだったと思います。時間があれば、私(岩屋大臣)も議論の一部も聞かせていただきたい、また参加をさせていただきたいなどと思っていたのですが、国会の都合があって、ご挨拶早々失礼してしまいました。しかし、そのときの挨拶でも申し上げましたように、できるだけ早く、王毅外交部長とは直接お目にかかって、日中間の様々な課題についてぜひ対話を行い、また議論も行わせていただきたいと思っております。
 早期の訪中に向けて、引き続き、国会日程の都合もありますので、なかなか断定的にはまだ申し上げられませんが、調整を急ぎたいと思っているところでございます。
 成果ということですが、日中間には様々な、もういちいち申し上げませんが、課題がありますので、それらが一つずつでも、前に進んでいく解決に向かっていく。中国側からの、様々なお話もあろうと思うし、こちらから申し入れなくてはいけないこともございますので、そういった、万般にわたる課題について、少しでも解決、前進発展というものが見られるように努力していきたいと思っているところです。

総理のインドネシア訪問

トリビューン・ニュース スシロ :来月のインドネシアの訪問なんですけれども、総理大臣、目的と何を期待しているんですか。それだけお願いします。

岩屋外務大臣 :その件については報道もいろいろございますけれども、まだ総理の来年の外遊日程については、何ら決まっているわけではございません。
 今、首脳会合というのは非常に大事ですので、どの地域に、いつ行くということになっても、総理に十分に外交成果を上げていただけるように、外務省としては、最大限のバックアップをしてまいりたいと思っております。まだ決まっておりません。

以上

記者との質疑応答

12式地対艦誘導弾能力向上型の発射試験について

記者 :12式地対艦誘導弾能力向上型について最初の発射試験を行い、飛しょうが予定どおり実施されたと公表されましたが、今回の試験で得られた具体的な成果をお聞きします。

岩屋外務大臣 :現在開発中の12式地対艦誘導弾能力向上型の地発型、また艦発型につきましては、今般、航空装備研究所の新島支所において発射試験を実施をしまして、発射、また飛しょうの性能、そして通信機能、これを確認をしたところであります。
 試験の結果、事業が順調に進捗をしているということを確認をできたことから、引き続き、早期装備化に向けて、開発事業を着実に進めてまいりたいと考えております。

米軍オスプレイの一時的な運用停止について

記者 :米海軍航空システム司令部は、米軍オスプレイの一時的な運用停止を提言し、海兵隊と海軍、空軍がこれに応じて運用を停止しました。最近の予防着陸の事案を受けた念のための措置だと説明しています。
 受け止めと、日本政府にどのような通知や説明があったのかをお尋ねします。また、防衛省は、これを受けて自衛隊のオスプレイの運用を停止したのかどうか、していなければその理由をお尋ねします。

岩屋外務大臣 :報道につきましては、現在、米側に確認中であります。自衛隊の対応につきましては、米側への確認の結果を踏まえてですね、適切に対応してまいります。

韓国国内の動きや日米韓の連携について

記者 :韓国では非常戒厳をめぐって前の国防相が拘束され、大統領も出国禁止となっています。こうした状況の受け止めと、地域の安全保障への影響をどう考えているのかお聞かせください。
 また、ユン政権では日米韓の枠組みを特に重視されてきました。今夜ですね、オースティン長官との会談も予定されているということですけれども、こうした状況を踏まえて、地域の安定化に向けてどのように連携して対応していくのか、お考えをお聞かせください。

岩屋外務大臣 :韓国とは、国際社会の様々な課題に対して、パートナーとして協力をすべき重要な隣国であります。他国の内政につきましてはコメントはいたしませんが、防衛省としましては、今般の韓国国内の一連の動きについて、その内外への影響、これを含めて、特段かつ重大な関心をもって注視をしつつ、日韓・日米韓の連携の重要性を踏まえながら、韓国側と緊密に意思疎通を図っていくことには変わりはありません。
 その上で、冒頭申し上げたとおり、本日、オースティン長官との会談を予定をいたしております。この会談におきましては、日米同盟を取り巻く現下の安全保障環境に関しまして、日米間で認識を共有をするとともに、私の方からは、韓国を含む地域のパートナーとの連携の重要性につきまして、言及をしたいと考えております。
 そして、北朝鮮情勢をはじめ、我が国が戦後最も厳しく、そして複雑な安全保障環境に直面をする中で、日米韓3か国の連携が地域の平和と安定にとって不可欠であるということは論をまちませんが、防衛省としましては、これまで積み上げてきました3か国の協力の強化のための取組をしっかりと継続をしていくということで、引き続き地域の平和と安定に貢献をしていく考えであります。

日米拡大抑止協議の開催について

記者 :防衛省は昨日、本日から12日まで日米拡大抑止協議を開催すると発表されました。7月の閣僚級の会合で、拡大抑止強化の最善の方法を探求するとされていましたが、議論の進捗と、今回どのような議論をし、どう強化していくかなどの具体策などについて、期待する成果についてお聞かせください。

岩屋外務大臣 :我が国は現在、戦後最も厳しく、そして複雑な安全保障環境に直面をしております。現実に核兵器などの日本に対する安全保障上の脅威が存在をしている中で、こうした脅威に対応するためには、米国が提供する核を含む拡大抑止、これが不可欠であります。
 本年の7月の日米の「2+2」、この機会にも、拡大抑止に関する日米閣僚級会合を実施をしまして、日米拡大抑止の協議を通じまして、拡大抑止を強化する最善の方法を探求し続けるということを確認をいたしております。
 そういう中で、今回の日米拡大抑止協議におきましては、まず、地域の安全の環境ですね、それから日米同盟の態勢、そして核及びミサイル防衛政策、そして軍備管理やリスク低減といった事項を議論をしまして、戦略や能力に関する相互理解を向上させ、この核の抑止力、これを強化をするための方法について意見交換を行う予定であります。こうした議論を通じて、核抑止を含む米国の拡大抑止、これの信頼性を維持・強化してまいりたいと思います。
 なお、本日ですね、ノーベル賞の平和賞受賞式が実施されますけれど、これに関してはですね、この日本被団協が受賞をされるということでございますが、被団協につきましては、非常に長年ですね、核兵器の廃絶、また被爆の実相に対する理解促進に取り組んでこられた団体でございまして、これがノーベル賞を受賞されると、非常に名誉ある、そして栄誉ある賞を受けられるということは極めて意義深いというふうに思います。

(以上)

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