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中谷防衛大臣が記者会見 中国軍の活動の活発化や自衛隊の女性登用の質問に回答(2月14日)

  • 日本の防衛

2025-2-18 10:00

 令和7(2025)年2月14日(金)8時46分~9時0分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、参議院 本会議場議員食堂側で閣議後会見を行った。
 大臣からの発表事項はなく、以下のとおり記者との質疑応答が行われた。

記者との質疑応答

台湾や日本周辺での中国軍の活動の活発化について

記者 :台湾周辺の空域に侵入した中国軍機の数が、昨年5月に頼清徳政権が発足以降、前政権のときに比べて倍増したことが明らかになりました。これに関連して、日本側の海空域での中国軍機や艦艇の活動も活発化していると思いますが、このような動きについて、防衛省としてどのように分析し、どう認識されているか伺います。また、中国軍機や艦船による特異なケースや初めて確認されたケースがあれば、あわせてお答えください。

大臣 :中国は、国防費を継続的に高い水準で増加をさせておりまして、十分な透明性を欠いたままですね、軍事力を広範かつ急速に増強をさせております。また、中国は、我が国周辺海域におきましても、尖閣諸島周辺における海警船による領海侵入、これを含め、力による一方的な現状変更の試みを継続・強化するとともに、軍事活動を拡大・活発化をさせております。
 例えば、与那国島と台湾との間や沖縄本島と宮古島の間など、我が国の南西地域の海域、これを通過して太平洋と東シナ海を往来をした中国海軍艦艇を防衛省・自衛隊が確認をし、公表した昨年、2024年の件数は、2021年と比べて3倍以上、21回から68回に増加をしております。また、太平洋での活動も活発でありまして、昨年、2024年には、戦闘機を含む空母艦載機は約1,200回に及ぶ発着艦を行いました。さらに、昨年8月に中国軍機が領空侵犯をし、9月に中国軍空母が与那国島と西表島の間を航行するという初めての事案が相次いで発生をしました。我が国周辺海空域において、短時間にこうした事案が立て続けに起きたことに、強い危機感を有しております。
 また、ロシアについても、我が国周辺での活発な活動を継続をいたしております。まず、昨年、2024年9月に北海道礼文島沖上空でロシア軍機による領空侵犯があったほか、昨年、2024年11月には中露両国の爆撃機が、我が国周辺において長距離にわたる共同飛行を行いました。また、艦艇についても、我が国周辺海域の航行を繰り返しているほか、2021年以降、中露の共同演習に連接する形で中露海軍が艦艇の共同航行を毎年実施をいたしております。こうしたロシアの軍事動向は、我が国を含むインド太平地域において、中国との連携と相まって防衛上の強い懸念となっております。
 そして、中国の軍事動向などは、我が国と国際社会の深刻な懸念事項であり、我が国の平和と安全及び国際社会の平和と安定を確保し、法の支配に基づく国際秩序を強化をする上で、これまでにない最大の戦略的な挑戦となっております。我が国周辺海空域における警戒監視活動等に万全を期しつつ、引き続き冷静かつ毅然として対応する考えであります。

トランプ大統領とプーチン大統領の電話協議の受け止めについて

記者 :アメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領が12日、電話で協議をしました。トランプ氏はウクライナ侵攻の終結に向けた交渉を開始することで合意したと明らかにしましたが、この電話協議の受け止めと、仮に停戦が実現した場合、日本周辺の安全保障環境にどのような影響を与えると分析しているか聞かせてください。

大臣 :2月12日(米国時間)、米露首脳電話会談が実施をされ、ウクライナを含む地域情勢、また二国間関係等についてやり取りがあったと承知をしております。米露双方の発表等によれば、その中で、米露首脳の相互訪問の可能性やウクライナに関する交渉の開始についても取り上げられたと認識をしております。現時点でこうした第三国間のやり取りにつきましては、政府としての評価を述べるということは尚早と考えますが、ロシアによるウクライナ侵略に対応するに当たりまして、米露両国の関係は極めて重要でありまして、その動向を注視をしてまいります。
 また、停戦が実現していない中で、我が国の安全保障環境への影響についてお答えすることは適当でないと考えますが、いずれにしましても、本件を巡る状況につきましては、引き続き強い関心をもって注視をしてまいりたいと思います。

自衛隊における女性登用について

記者 :自衛隊における女性登用について伺います。女性自衛官は年々増加傾向にありますが、米欧に比べてですね、遅れも指摘されています。さらなる女性活躍に向けてですね、どう取り組んでいきたいか、また、女性自衛官が増えることで自衛隊にどういうプラスの効果が生じると考えるのか、大臣の御所感を伺います。

大臣 :自衛隊に対する任務、これが多様化・複雑化をしておりまして、これまで以上に高い知識・判断力・柔軟性、これを備えた多面的な能力を有する人材が求められております。そして、防衛省・自衛隊が多様な人材を柔軟に包摂できる組織に進化をしていくということが重要でありまして、女性を積極的に活用するということは必要不可欠となっています。
 このため、防衛省・自衛隊では、女性自衛官の採用や登用を拡大するとともに、意欲と能力のある女性自衛官があらゆる分野にチャレンジできるように、女性自衛官の配置制限を全面的に撤廃をし、女性自衛官の活躍を推進してまいりました。こうした取組は、有用な人材確保に資するとともに、災害派遣など国民と接する活動が増えているなかで、女性ならではの視点やアプローチなど、任務に対する多様な視点の活用にもつながっております。
 また、防衛省・自衛隊は、女性自衛官の積極的な採用・登用におきましては、令和6年3月末の全自衛官に占める女性の割合は8.9%、10年前(平成25年度)と比較をしまして、約1.6倍に増加をしておりますが、令和12年度までに12%まで増加をさせる計画でおります。また、女性自衛官の登用につきましては、佐官以上の幹部自衛官に占める女性の割合を、令和7年度末までの目標として5%以上としておりまして、令和6年3月末の時点で4.4%となっております。引き続き、女性自衛官の採用・登用を積極的に行うとともに、意欲と能力のある女性自衛官が活躍できる職場環境の整備に取り組んでまいりたいと考えています。

中国、ロシアへの自衛隊の対応と、今後の防衛予算について

記者 :2つお伺いします。1点、最初の中露のことに関して、大臣、最大の戦略的挑戦というふうにおっしゃいましたけれども、改めてそれに対してですね、防衛省・自衛隊としてどのように対応していく必要があるというふうにお考えなのか。
 また関連してですね、日本の防衛力強化について、先の日米首脳会談では、日本のですね、2027年以降の防衛力強化に対するコミットメントを歓迎するというふうになっています。2027年度以降のですね、防衛予算に関して、現行の43兆円より増やす必要があるというふうにお考えなのか、また新しいフレームワークについてはですね、いつ頃から議論をするのが望ましいというふうにお考えでしょうか。

大臣 :これは国家安全保障戦略等においてですね、2027年度より後の防衛力の抜本的強化の具体的な内容については、おおむね10年後までに、より早期かつ遠方で侵略を阻止・排除できるように防衛力を強化をするということとしておりまして、防衛省としましては、こうした目標を実現するために、2027年度より後も防衛力の抜本的強化に取り組んでいく考えであります。2027年度より後の防衛費につきましては、現時点で何ら決まっているものはありませんが、いずれにしましても、その時点で安全保障環境等を踏まえ、今後、何が必要なのかということを検討して、実施すべき事項を積み上げてまいります。
 また、中国の動向等につきましては、先ほどもお話をしたとおりでございますが、非常に、国防費を高い水準で増加をさせ、そして透明性を欠いたままでですね、軍事力を広範かつ急速に増強させていると、先ほど与那国と台湾、そして沖宮海峡など我が国の南西地域の海域を通過して、太平洋と東シナ海、これを往来した中国海軍艦艇を確認をしまして、先ほどお示しをした数字に増やしております。
 また、空軍の方も領空侵犯を起こしておりまして、短期間にこうした事案が立て続けに起きたことは強い危機感、これを有しております。ロシアにしましても、先ほどお話をしたとおりでありまして、非常に中国の軍事動向等は、我が国と国際社会の深刻な懸念事項でありまして、最大の戦略的な挑戦でございます。これに対しまして、しっかりと抑止力・対処力をもって対応できるように抜本的な防衛力の強化をすると同時に、日本の同盟国・同志国との連携を強化をいたしまして、各国が取り組んでこういった中国の動向につきまして警戒監視、また対処をしていきたいと考えております。
 そして、この基本的なことにつきましては、とにかく防衛省・自衛隊としましては、我が国周辺海空域において短時間にこうした事案が立て続けに起こっていることについては、強い危機感を持っておりまして、日本の領海・領土・領空、これを断固として守るという決意の下に、防衛省・自衛隊としては、引き続き、我が国周辺海空域における中国・ロシアの軍事動向については強い関心をもって注視をするとともに、今後とも状況に応じた厳正かつ必要な対応を実施をしまして、警戒監視及び対領空侵犯措置に万全を期してまいりたいと考えております。
(以上)

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